衛宮士郎 "先生概念"【GRADATION ARCHIVE】 作:神宮寺志狼
ワイルドハントの独特な芸技術の評価は、トリニティのツルギの演劇の感想から。
テイルズ・サガ・クロニクルの評価に関しては私の考察を踏まえた上での判断です。
「.....やっと終わったわね....」
「どうでしたか?ユウカ先輩.....。」
「........。」
プレイし終わった早瀬に、ユズが恐る恐る感想を聞いた。
正直俺も、不安だった。
「......結果から言うわ。
このゲームそのものを100点満点で評価すると──────30点。
ミレニアムプライスになんて出せるような代物ではないわ。」
「お、おい早瀬────」
やはりと言うか、早瀬が下したのは辛辣な評価。
そこまで言う必要はないだろうに。
「──────」
「結果から、と言ったでしょう?
私の話を最後まで聞いて。
そう。
これは「ゲームそのもの」を評価した場合の話。 」
「.....どういうこと?ユウカ。」
「まず、シナリオ、文章を担当したモモイ。
誤字脱字が目立つわ。
間違っている言葉の使い方も多々見られたし....あなた読み直したの?」
「うっ......それは.....。」
「...何よ「腹違いの友人」って。呆れたのを通り越して笑っちゃったじゃない。」
「─────────。」
早瀬の意見に、何も言い返すことの出来ないモモイ。
「けれどね。
これを見て頂戴。」
俯いて、歯を食いしばって、涙を流すことを堪える彼女の頭の上にひとつの雑誌を置いた。
「......なにこれ....「ワイルドハント芸術学院」の....「週刊美学」?」
「.....あの学校とはちょっと関わりがあって....。
文学の専門家に、「テイルズ・サガ・クロニクル」のシナリオを評価してもらったの。
ううん、実を言うとシナリオだけじゃない。
キャラクターのデザインや服飾デザイン。
設定。
構成要素、描写。
そして一切バグのないプログラムと画期的なゲーム内のガジェット設定と性能。
───────まさか、ミレニアムじゃなくて、あの学校で大ヒットしてるとは夢にも思わなかったわ。」
「「えっ!?」」
雑誌の表紙をみた、モモイとミドリが驚きの表情を見せた。
「テイルズ・サガ・クロニクル特集」と、書かれていたのだ。
「......ど、どうして....」
ただし、ユウカと同じく、雑誌の評価40点と、思ったより高くなかった。
「.....?
どうしてこの評価で大ヒットしてるんだ?」
俺はその「ワイルドハント芸術学院」とやらには行ったことは無い。
どんな学園で何に重さをおいているのか、全く分からない。
そんな俺にモモイが口を開いた。
「ワイルドハント芸術学院はお金持ちいっぱいそうだし.....物珍しく思ってる人が買って言ってるんじゃない?」
「....」
モモイが最底辺までどん底に落とされている....。
ここまで卑下するモモイを見るのは初めてだ。
───────絶望。
それは人の心を全て変えてしまう。
かく言う俺もあの時───────
「違うわよ!
次のページ、見なさい。」
早瀬がページをめくる。
「........?
各要素に分割した場合の評価?
シナリオ70%
イラスト・デザイン80%
企画ストーリー進行70%...........?
なぁ、早瀬。
これって高い方なのか?」
総合評価とギャップがありすぎる。
「ええ、芸術に対して、発想に対して独自の理解を示すワイルドハント芸術学院においては総合評価70を超える物は高いとされています。
モモイ、ミドリ、ユズ。
これがどういう事か?わかる?」
3人は揃って首を横に振った。
「以前、ユズがこのゲームのプロトタイプをネットにアップして叩かれていたことがあるわよね。
このゲームはあれを基盤に作ったのよね?ユズ。」
(こくこく)
頷くユズ。
それにため息を着いた、早瀬。
「それが、原因よ。
ユズが最初に構成を考え作った基盤に、モモイとミドリが別のものを載っけてしまった。
例えばの話、中世のファンタジー物に近代科学兵器を持ち出して、尚且つ衣装が近未来のSF衣装。
どう思う?」
「..........」
「─────あってない....。」
モモイが、自らのを非認めるように、答えを告げる。
つまり──────
「各要素が100%でも合致しなければ意味が無い。
これがこのゲームを「ゲームによく似たゴミ」と言わしめている理由よ。」
「「────────────。」」
「お、おい早瀬!!言い過ぎだ!そこまで──────」
「────でもね!」
(パシッ!)
俺の肩にかけた手を払う、早瀬の強気に少し気落とされる。
「それは最初からみんなで意見を統合した訳ではなく衛宮先生の言う通り「プレイする人に楽しんで貰うために、自らにとってそれぞれの最高のものを詰め込んだ」からよ。」
だからか、俺が「良い」と思えたのは。
各それぞれの要素を理解し、判別した。
つまり全体の流れとしての「骨子」を、見ないようにしていたのだ。
そうしてゲームをやったこと無い俺が無責任にも「このゲームは良い」と無責任なことを言ってしまった。
どうかしていた。
それとも最初から形あるものだからか。
そんなことにもどうして気づけなか────違う、気付きたく、なかったのだ。
彼女たちを悲しませたくなかったから、「無責任」にもそんな言葉を口にしたのだ。
「─────────。」
──そうだな、美甘。
お前の、言う通りだった。
「──────そ、それでも!アリスにとっては最高のゲームですっ!!」
「.....アリスちゃん ....。もういいんだ。そんなこ───」
涙を溜めたまま、ユズはアリスに向き直る。
「いいえ!何度だって言います!「テイルズ・サガ・クロニクル」はアリスにとって、そのほかのやったゲームより、大好きです!
アリスは、モモイとミドリとユズの作ったゲームを「愛しています!」
だから──────────。」
そうして、手を差し伸べた。
そのひとつしかない小さな手のひらを、ユズ達全員に。
「ですから、アリスも、作りたいです!
3人と同じように「心のこもった」ゲームを!」
「アリス.....。」
「ちゃんとあなた達が1つになって、ゲームを作れればしっかりしたものができ上がるはずよ。
モモイ、ユズ、ミドリ。」
早瀬とアリスの説得に、ユズの下した、ひとつの結果。
それは────
「────────作ろう。
「テイルズ・サガ・クロニクル2」を。
皆で!」