衛宮士郎 "先生概念"【GRADATION ARCHIVE】   作:神宮寺志狼

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インタールードというよりインターバル。

Vol3においての彼女の立ち位置はおいおい。





Vol2-1 interlude
S.C.H.A.L.E Wakamo's Interlude 1「表現出来ない結論」


 

「お、お待ちなさいっ!それは私の役目─────」

 

「ドーーーーーン!!

士郎~!朝だよ~~」

 

 

「ギ──────!」

 

耳元で目覚まし時計のベルより大きい声で叫ばれる。

 

頭ん中はもう大爆発。

モモイの声がスーパーボールのように反射しまくって耳鳴りが。

 

最早、大声により起こされ、頭痛によって意識が覚醒するというなんとも酷い朝の始まり方だった。

 

昨日シャーレでやった「ゲーム開発部特別賞入賞おめでとうパーティー」でギャン騒ぎするだけして最初に寝落ちしたやつのテンションとは思えない顔で俺を覗き込むモモイさん。

 

 

「おっ!起き──────」

 

(ポカッ!)

 

「────痛っ!」

 

 

「おっ!起きた?」───じゃねぇ!

 

あのなぁ、なんで朝からdeathボイスで起こされにゃならんのだ!!」

 

ちょっとばかり軽めに頭をコツンと叩いた。

 

「だ、だって.....」

 

「見ろ!後ろのワカモの殺気!」

 

最早これが漫画なら「ゴゴゴゴゴ」なんてオノマトペが付いていてもおかしくない。

いや、絶対ついてるぞこれ。

 

 

 

 

 

 

 

パーティーが終わった後。

モモイは手を負傷した俺の看病をするから残ると言い出した。

 

それが朝からシャーレにモモイがいる理由であり、お互い喧嘩別れしたようなワカモが絶賛ご機嫌ななめの理由でもあった。

 

顔を見せた時にはしょぼくれていたのだが、俺の手の怪我を見るなり態度が豹変した。

 

『あなた様、そのお怪我は一体どうしたのですっ?!』

 

『いや....そのだな────』

 

『士....衛宮先生はその.....』

 

 

 

ワカモが俺の事を慕ってくれていると言うのは自分でも気づいている。

なんせ、こんな頼りない大人に尽くしてくれてるんだからどっか尊敬とか憧憬の念を持つ部分があったんだろう、と勝手に解釈している。

 

んなわけで、特に俺に対して攻撃したり、否定したり陰口を吐いているのを見かけると無言で銃を抜き、それを俺が諌めるのは日常茶飯事だった。

 

アビドスに居た時の便利屋68との初戦や、風紀委員会との戦闘の時がいい例だ。

なんだったか.....なんか相手を塵1つ残さず消し去りたいとか言ってた気がする。

 

それなのにモモイが「自分がやった」と主張すればせっかくの修繕工事が終わったシャーレのオフィスが間違いなく吹き飛ぶ訳で、下手するとモモイ本人が本当に消滅しかねない。

 

 

俺には庇うしか選択肢は無かった。

 

『─────ミスって機械で手に穴開けちまった。』

 

 

 

『────────────』

 

とりあえず捻り出した嘘話。

これにはワカモも、モモイも絶句していた。

 

とは言うものの、結構疑うことなく信じてくれた為にとりあえず事なきを得た。

 

 

 

 

 

 

「士郎さんの看病は私が居ますので結構です。

どうぞミレニアムにお帰りやがり下さいませ!」

 

おい、ワカモ口調が───

 

「やだやだやだやだやだやだ~!!せっかく士郎の看病(という名目)でD.Uに来たのに要らないなんて言われたらゲームショップ巡り出来ないじゃん!!」

 

凄い、一切の反省の色が見えない。

ただでさえ昨夜も早瀬にみっちり叱られていたと言うのに。

もはやここまで来ると清々しく感じてきたぞ。

 

「...........ワカモ、コイツ見張っててくれ、ちょっと早瀬に電話してくる。 」

 

「わ、分かりましたあなた様─────」

 

 

「う、嘘嘘だよ!

うぐっ.....建前漏れてる 。」

 

ワカモと2人して頭を抱えてため息をついた。

 

「違う、漏れたのは本音だろ!

っ....たく。」

 

「まさか士郎さんをダシにしてD.U来るなんて.....」

 

ユズみたいな子にこそ、この図太さは見習って欲しいものである。

 

それはさておき────

 

「ゲームなぁ....藤河、ちょっと案内してやってくれ。」

「え....いいの?わたしで。

というかなんかの反省文替わりに士郎の世話係になったならその子の為にならなくない?」

 

 

察しているのか、藤河のモモイを見る目が結構厳しめだ。

「帰ってきたら仕事してもらうし、少しワカモと2人きりで話がしたいんだ。」

 

 

「あ、あなた様.....//」

 

俺がそんなことを言うと極端に藤河がへそを曲げる。

 

「あっそう。へいへい。犬も食いませんよーだ。

行こっか、モモイちゃん」

 

「え、あ、うん.....。

ほんとにいいの?」

 

「今更冗談だ、って言うなら本気で怒るぞ。」

 

モモイは藤河に手を引かれて、シャーレから出かけて行った。

 

 

「っと、藤河からモモトーク?なんだ?」

 

 

内容を見ればミレニアムに行くことを相談無しに報告だけで片付けた事を怒っているようだった。

 

そういやアビドスに行く時もゲヘナに行く時も藤河に相談してから出かけたな。

 

『次は私も連れて行ってよね。ミレニアム。』

 

 

そんな要求が飛んできたので『近いうちにな』と返信をした。

 

 

「そ、それで士郎さん.......お話というのは....//」

 

嫌いざ改まって仲直りしようとすれば言葉に詰まる。

 

 

「俺がミレニアムに居た時は何をしてたんだ?」

 

とりあえず状況を聞けば彼女の表情は喜びから哀しみへと変わる。

というより、少しガッカリ、と言った感じだろう。

 

「.....いえ、この1ヶ月、ずっと頭が真っ白で....あるばいと..の作業もまともに手がつかず...」

 

 

「.........そっか、悪かったなワカモ。」

 

「な、何故?

謝る必要はありません!

あなた様が此処を出て行かれたのは私が気分を害したから────。」

 

やはり、気にしていたのはそこなのか。

そういえば早瀬もワカモの事を心配してたけど、まさかこれの事だったのか。

 

「ワカモ、言ったよな

 

「役割に固執しすぎると本来の目的を見失う」って。

 

今回ミレニアムに言ってみて、俺もそうなんじゃないかと思うようになった。

 

速度とか効率を求めるうちに結果が出ればなんでもいいみたいな。

目的があるのはいい事だけど、「目的」だけを見て目指すのは違うんだな....って。

 

アイツらもそうだったよ。

 

「皆を楽しませるゲームが作りたいからゲーム開発部に入った」のに逆に「部活の成果を出す」って事に縛られて「皆といる場所」とか「ゲームを愛する心」ってのを置き去りにしそうになってた。

 

最後はちゃんと取り戻して、皆で心のこもったゲームを作ることが出来たけど....。」

 

「で、では....!」

 

嬉々とした表情の彼女を、言葉で止める。

 

「─────だけど、やっぱりセイバーが間違ってたとは思えないし....思いたくもない。」

 

彼女は間違ってなんかない。

間違ってるとしたら、周囲の奴らだ。

誰も、アルトリアという王を理解しようとせず、ただ盲目的に付き従い、おかしいと気づいた時にはそれをセイバーだけのせいにし、最後には見放した。

 

 

「士郎さんにとって、その「セイバー」という方はとても、大事な人だったのですね。」

 

今度は穏やかに、俺の思いを察したのか、ワカモがそう、問いかける。

 

「あぁ大事だったし、今でもその星を追いかけてる。

 

でも、俺はあいつの心を、救ってやることが出来なかった。

滅んだはずのブリテンの王の呪縛に等しい責務から、あいつを解放することが出来なかった。

 

あいつは馬鹿だ。

 

王としての最後、誓いを最後までちゃんと果たしたってのに、「王としての自分を無かったことにしたい」だなんて....。」

 

違う、結局セイバーも自ら立てた誓い(望み)を、長い年月の果てに、忘れたか、歪めてしまったのかもしれない。

そうであるなら、それを気づかせてやるだけで良かった。

 

「士郎さんが....後悔している所など始めて見ました.....。」

 

「後悔....?多分違う。

確かにやり残したかもしれないけど、もう過ぎたことだ。

 

どっちかって言うと......」

 

未練。

その呼び方の方が正しいのだろう。

 

「やり直したいとは、やっぱり思わない。

 

あの別れは、俺たちにとってかけがえのないものだ。

改竄しようなんて方が無粋だ。

 

俺は意地でも後悔したくない。」

 

 

「.........。」

 

「だから、俺は忘れない。

 

「先生」になろうとした理由も、お前の言葉も全部。

 

 

悪い、上手く言葉に出来ない。

 

だから、あの日のお前との口喧嘩の答えなら。

 

お前と一緒に時間をかけて見つけたい。

いいか?」

 

 

そうして、包帯に巻かれた、傷だらけの手を差し伸べる。

 

「....?」

 

こういう時だけ、察しが悪いのはちょっとずるいと思う。

 

「ほ、ほら。

とりあえず仲直りの握手しておこうって....そう言う話。」

 

「....あぁ....あなた様....こんな私にさえ手を差し伸べてくださるなんて.....」

 

彼女は俺が差し伸べた掌を、両手で暖かく包むように手を取った。

 

 

「改めて、またよろしくな、ワカモ。」

 

「はい、あなた様。

このワカモをあなた様のお隣に置いてくださいまし。」

 

 

色んな方の先生作品で「桜花絢爛お祭り騒ぎ」を見かけます。いかがでしょう。読みたいですか?

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