衛宮士郎 "先生概念"【GRADATION ARCHIVE】 作:神宮寺志狼
ミレニアムというかアリス関連の話は最終章に大きく影響を及ぼしたりするのでストーリーを読み返しながら1週間考え込んでました。
ケイの立ち位置と心境(?)がかなり特殊になりつつあります。
それはそれとしてアリス、お前ミレニアム全域停電にしたんか....。
士郎、お前なにか思うところないんか....?
それにこんな時に、アロナ、お前「テイルズ・サガ・クロニクル」を裏でプレイしてるんか.....。
あと、Vol3行く前に、デカグラマトン:ビナー編を挟むか迷ってます。
それとこれのケイ視点をVol2 第2章後の絆ストーリーに差し込もうと思ってます。
それは、ミレニアム・プライスより1ヶ月ほど前。
C&Cとの演習後にさかのぼる。
「シロウ!
アリスも魔導書が欲しいです!」
「はぁ?」
何度目だこの流れ。
マコト、アルに引き続きアリスまで?
「あのなぁ、俺魔導書なんてもってないぞ?
魔術だってお前に教える気はないし、お前は見習い勇者なんだろ?
魔法勇者なんて聞いたことないぞ?」
いや、世の中にはそういうジャンルもあるのかも知らないが、少なくとも魔法を使う勇者なんて聞いたことない。
「いいえ、先生は魔導書を持っています!」
彼女は俺の端末を指さした。
「あぁ、携帯のことか.....びっくりした。」
「テイルズ・サガ・クロニクル」をプレイしたからなのか、アリスから口に出ることは大半RPGによってしまった。
アリスは見習い勇者を名乗り、何時か本物の勇者になるのだと。
そういつも口にしている。
ミレニアムの生徒達はそんなアリスの夢を笑って頭を撫でて子供扱いするが、そんなことは無い。
アリスは立派に夢を見つけたのだ。
それは俺と同じ、難しく遠い夢。
俺達は共に見習いだ。
「そうか、アリスには端末は無かったもんな。」
「シロウ先生!アリス、マスターの端末が欲しいです!」
「.....お前俺の端末、ロックかけてたのに解除してたな?」
それは小塗が「G.Bible」を「鏡」を用いて開いた後。
俺の端末はアリスが受け取った瞬間にロックが解除された。
「いえ、勝手に端末が動いたのです。」
「そんなことあるか!」
そうして端末を手渡す。
すると彼女の言う通り、勝手にロックが解除された。
「嘘だろ!?」
「やはり、この魔導書は相応しい持ち主としてアリスを選んだのです!!」
「.......それはさておき、さいですか。」
とは言っても「はい」と手渡す訳には行かない。
こいつは生徒たちの重要な連絡手段だ。
「なら俺と同じ端末を買いに行こう。」
そうしてミレニアムにある電化製品店へと二人で足を運んだ。
「いらっしゃいませ。
まぁ、これは「創造の魔術師」シャーレの衛宮先生ではありませんか!
皆!とうとう我が店にいらっしゃったぞ!!」
目の前の店員が大声で叫ぶと、店内の店員だけでなく客まで飛んできた。
「おぉ!これが噂の魔術師先生か!」
「ようこそいらっしゃいました!」
「う、うわぁ!な、なんだこれ。」
「わぁ....うわぁ...!
凄いですシロウ!
シロウは先生でなく愛されるマスコットだったのですね!」
「ま、待て!」
そこから10分ほど身動きが取れず質問攻めにあった。
「なんだってこんな目にあうんだ.....」
獣とロボットにもみくちゃにされて、もう疲れたぞ。
「それで衛宮先生今日は何をお求めですか?」
「....これと同じ端末を探してるんだけど....」
そのロボット店員は俺の端末を吟味すると「こちらへ」と案内してくれた。
「こちら各種、衛宮様のお使いの端末と同機種でございます。」
その店員は礼儀正しくお辞儀して俺達の邪魔しないように下がって行く。
「だってさ、アリス。
せっかくだし触ってみるか?」
まぁ本物が手元にあるし、触ったことあるので意味などないのだが。
「は、はい。シロウ。」
と、彼女が端末に触れようとすると────
(バチバチッッッ!!)
「きゃっ!?」
アリスが触れる前に、その端末はピカっと光り、煙を吐いた。
同時に店内の照明が全て消え、辺りは暗くなる。
「アリス!大丈夫か!?」
「は、はい。」
「ご無事ですか!」
そうして再び駆け寄ってくる店員。
「一体何が.....。」
ふと、自らのポッケに入れた端末が震えていることに気づく。
取り出すと勝手にロックは解除されていて、画面には例のDivi:sion systemが開いていた。
「な──────」
俺は反射的に端末のディスプレイをボタンで消す。
「先生もご無事でしょうか!」
「あ、あぁ、何も問題はないけど ....」
「おかしいですね.....こんな症状は初めてなのですが.....ここ周囲一帯の種端末が全てダメになっていますね.....。」
『ひゃっ!』
『て、店長!!』
ほかのエリアでも店員の悲鳴が上がる。
「あー、停電か.....まぁ稀にこんな日もあるだろ。」
「シロウ....これはアリスのせいなのですか?」
困り顔でこちらを見つめてくる。
「いや、そんな事ないと思う。
単なる偶然じゃないか?」
確かにアリスが触れようとした瞬間に端末が死んだのは紛れもない。
しかし、実際には指先1つも触れていなかった。
むしろあれだけ撃ち合いやら戦闘が起きているのに逆に機器のトラブルが起きないなんてそんなことあるのか?
「またどっかで戦闘が起きて電線でも切れたんだろ。
少し店の周辺を廻って───────」
『シロウ、よく聞いて。』
ここで真打ち、ダウン中のアロナに変わってイリヤが伝達してきた。
『現在進行形でEMP攻撃とジャミングを受けているわ。
私がいる「シッテムの箱」は規格外だから問題ないけれど、少なくともこの店の中ではもう通信手段は使えないの。』
一体誰が.....
というかそもそもEMP攻撃ってなんなんだ?
「EMP攻撃って機械をクラッシュさせる攻撃手段だろ?」
『違うの、簡単に説明するとEMP攻撃は電源に繋げてる端末しか破壊できないらしいの。
大型とかデスクトップサイズのコンピュータだったり。
それこそ充電中の端末とかね。
だからだと思う、ジャミングして通信障害を起こしたのは。』
要するに、これは意図的に起こされたことで、
それはあくまで連絡、通信を断つ為の
『恐らく相手の狙いは───────』
「全員!両手を頭の上へ!!」
「動くんじゃねぇぞ!」
店の自動ドアをこじ開けてヘルメットを被った生徒達が侵入してきた。
「────ッ!強盗か!」
店の入口に10人は銃を構えている。
『店の外に見張りが5名、大型トラック5台にそれぞれ2人ずつ乗り込んでる。
最低でも25~30人は居そうね。』
イリヤはアロナの権限を一時的に使っているのか、街の監視カメラの映像から敵勢力の戦力を確認してくれた。
店内の市民はパニックになっている。
というのも、アビドスやゲヘナと違いミレニアムでは犯罪行為は散見されないからかもしれない。
「マスター、これはバトルイベントですか?」
口調はいつも通りながら、アリスの眉間には皺が寄り、睨むように目の前のヘルメット団員を見ている。
「.....いや、様子を見よう、店内で戦えば店員が人質に取られるかもしれない。
アイツらが目的を達成した後に止めよう。
ここで戦うなら、アイツらが誰かに対して危害を加えようとした時だ。
それと、アリス。
お前の
最悪の場合建物ごと破壊しかねない。
他に使えそうな銃はあるか?
ハンドガン、ショットガン、サブマシンガン、何でも出せる。」
俺がそう言うとアリスは首を振った。
「アリスの使っているこの剣は射程範囲が長く、ある程度のアタリを付けて砲撃しています。
なので、正確な射撃は出来るかわかりません.....
それより、アリス、剣か大剣を使ってみたいです。
それこそ質量の大きいバスターソードのような─────」
確かに、アリスの腕力なら扱えそうだ。
それに、キヴォトスでは大剣を扱う人などそうはいない、返ってあの生徒たちを萎縮させることも出来る。
で、そんなアリスに似合いそうなもんが咄嗟に─────
「
あった、俺自身がまともにその攻撃を食らって吹き飛んだ剣が。
『シロウ!それ──────』
「アリス、何かあった時は迷わずこれを持って突撃するんだ。
多分こいつなら何があっても砕けない。
こんなデカブツもって突進すれば間違いなくあいつらは怯むはずだ。」
「!!
分かりましたアリスにお任せ下さい」
俺は投影したそれを柱の後ろに立てかけた。
本当なら犯罪を犯す前に止めたいが、無関係な人もいる、下手をすれば彼女達の罪も増えるかもしれない。
被害を最小限にするにはそれしかない。
「あたし達の目的は高級品と金だけだ、余計なことさえしなきゃ命までは取りやしねぇ。
おい、そこの店員共、手頃なサイズの高級品を見繕え!」
「は、はい。」
ヘルメットを被った生徒たちは店員に銃を突きつけ脅迫する。
駆け出したい、今すぐに。
それを必死に理性で押し殺す。
今出ていけば彼らも危ないと、奥歯を噛み締め、その瞬間を待った。
「ですが、マスター。」
─────だが、その様子を見ていたアリスは違った。
「マスターの言っていることは分かります。
アリスもこの場にいる村人に傷ついて欲しくはありません。
ですが....
目の前の悪事を、見過ごす事は、正しいことなのでしょうか。
────アリスの知っている勇者は絶対にそんな事をしません。」
それは間違いなく彼女は自らの正義感に基づいた判断だった。
その岩
その瞳は、薄く、紫色に染まった。
それこそ、ほんの一瞬。
気づくか気づかないか、そんな程度。
だが、見逃すはずがあろうか?
こんなに真っ直ぐに、俺の心を、瞳を射抜くような真っ直ぐな眼差しから、どうして目を逸らすことが出来ようか。
それは、かつて俺が望み、今も心の内にある、ナニカ。
概念なんかに雁字搦めにされ、思うように動けず、助けられず、手をさし伸ばすことの出来ない俺にとって、それは眩しい星の光そのものだった。
「待て───」
彼女はその斧を両手に握り込み、引きずりながら─────消えた。
(スッ....!)
「────は?」
消えたのではない。
早すぎて、俺の目では捉えきれなかったのだ。
「たァァァァァァァァァァァっっっっっ!!!!」
全速力、それも音より早く、アリスはヘルメット団員の一歩手前で反動もなく、止まった。
「あ?─────────────。」
呆気にとられたのは俺だけではない、その攻撃される相手すら、その速度に、速さに気づけず対応が遅れている。
「攻撃しますっ!!」
(─────ブンッ!)
アリスはその斧剣を振りかぶり、神速の一撃の、しかもその余波によって生徒達を文字通り弾き飛ばした。
バーサーカーも
10人いた生徒たちは全員店の外まで吹き飛ばされる。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「な、なんだ今のぉぉぉ!!!」
「アリス!」
店から駆け出し、その背中を追う。
アリスは、その宣言通り、皆を危機から最低限の一撃によって遠ざけた。
しかし、やはりと言うべきかされどもと言うべきか、彼女たちは立ち上がる。
「テメェ!良くも!!」
「これでも喰らいやがれ!!」
(バリバリバリッ!!)
(ダダダダダダダッッッ!!!)
店から叩き出された全員が、いや、最早待機していた見張りも、車に乗っていた生徒すら、アリスを視認して襲いかかってくる。
ガトリング砲や、散弾、マシンガン、その暴雨に当てられては流石のアリスも動けない
「くっ!!」
アリスは斧剣を銃弾を盾にする。
「せいぜい銃弾にビビってろ!!」
その言葉に、なにか思うところがあったのか。
「────────恐怖なら」
「あ?」
抑えていた斧剣から右手だけを離し。
「アリスはもう既に知っていますッッ!!」
踏み込んだ。
斧剣を盾にして走り出す。
空いた右腕は背中に背負った、光の剣の柄へ。
「悪を斬り裂く正義の一撃────受けよっっっ!!!」
(ガオン........ウウウウウウウ─────!)
横凪に、重量と質量の載った斬り払いのような重い一撃。
青白い閃光は文字通り光の剣となって。
彼女達はアリスのそんな攻撃にについていけずに、
「ギァァァァァァァッッッ」
(ドカァァァァァァン!!)
25人全員がまとめて軽く吹き飛んだ。
戦闘は終わった。
ほんの一瞬、時計の針が分を跨ぐことはなく。
「ぱんぱかぱーん!!
敵の殲滅を確認!ミッションクリアです、シロウ!」
「───────あ、あぁ.....」
店内に風が吹き込んできた。
手元の端末には「protocol :ATRAHASIS」と表示されている。
「な、なんだこれ.....。」
その表示は、端末の電源が落ちると同時に消えた。
「は!?ちょ、こんな時にバッテリー切れかよ....どうやってヴァルキューレに連絡────」
『シロウ、通報ならさっき私がしたけど。』
と、胸元に抱えたイリヤが視線を誘導した。
「ヴァルキューレ警察だ!
衛宮士郎、天童アリス!
恐喝、窃盗、暴行、器物破損の容疑で逮捕する!!」
「「『────あ。』」」
こうして、無事事件を解決した俺たちは誤認逮捕され。
お店に戻れば今度はアリスが店員の感謝に揉みくちゃにされ。
解放されたのは夜中の9時近く。
しかもミレニアム一帯はどこもかしこも停電しており、街灯のひとつすら付いていない。
「.....ご、ごめんなさい。」
アリスが道端であやまった。
「ん?なんでアリスが謝るんだよ。」
「....こんなことになったのはアリスがシロウの命令を────」
アリスの頭に優しく手を置いた。
「そんな事ないぞ。お店の人も感謝してたじゃないか。
お前は何も悪いことをしてないぞ。
むしろ、俺も感謝してる。」
「───何故ですか....?私はマスターの指示を無視したのに....」
「そんな馬鹿な。
むしろアリスは今回、俺の願い事を叶えてくれたぞ。」
アリスの目の前に回り込んで屈み、目線を合わせた。
「誰に怪我をさせることも────そりゃ吹っ飛ばされた
だとしても強盗自体は未遂に終わったから罪がかさ増しすることもなかったし。
大団円だろ。
俺には、あんなこと出来ない。
あれは「勇者」のアリスだから選択できたんだ。」
「........怒ってないのですか?」
「....ちょっと不満に思ってる。
あぁ、言うことを聞いてくれなかったアリスじゃなくて、アリスを信用出来なかった俺自身にだ。
お前は俺の思っていたより強かったよ。」
力では無い、理屈に囚われず、現実に囚われず。
自らの意思を通そうというその度量が。
「むしろ、俺もアリスみたいに頑張るぞ!
「正義の味方」見習いとして!」
安心したのか暗い顔が一気に明るくなった。
「....っ!はい!一緒にがんばりましょう!マスター!」
街灯なんて要らない。
ちゃんと俺達には進むべき道が見えているのだから。
「なぁ、学校の扉、電子制御だから全然開かないんだが.....」
「困りました....仕方ありません!」
「シロウ、ここをキャンプ地としましょう!」
色んな方の先生作品で「桜花絢爛お祭り騒ぎ」を見かけます。いかがでしょう。読みたいですか?
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要る。
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後回し、本編に進んで