衛宮士郎 "先生概念"【GRADATION ARCHIVE】   作:神宮寺志狼

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この作品ではミレニアムでは生徒は部活を兼任できることにしております。

故に「特異現象捜査部」の部員を増やします。

あとかなり重要パート。

雷雲(らいうん)号はこの作品におけるオリジナル機体。
アビドスVSカイザーPMCの時にアヤネが強奪した戦闘ヘリです。
雨雲(あまぐも)号に乗る前の機体だと思っていてください。



ゲベート(理解と祈り) 前編

 

 

interlude ホシノユメ

 

夢を見る。

それも飛びっきり胸糞の悪い悪夢だ。

せめてもの救い、それはあの人が出てくる夢ではないことくらいだろうか?

 

 

それは夜なのに夕焼けのように真っ赤に燃える空の夢。

至る所を見ても燃えるように───否、燃え盛る街の夢。

 

私はそんなところに立っていた。

大規模な火事があったのだと気づくまでにそう時間はかからなかった。

 

見覚えのあるようで無いような街並み。

 

いや普通に考えたらそんなことすら思えない筈だった。

何せ建物の多くは崩れ跡形もないのだから。

 

分かることは、ここは夏のアビドス砂漠の炎天下より熱い、同時に夜の冷え込んだ時のように冷たかった事。

 

「ゴホッ、ゲホゲホッ.....」

 

そんなことより私を苦しめてるのは息が苦しいということだけだった

苦しい、痛い、辛い。

 

でもやはり熱い。

 

これが夢だと思えたのは、夜なのに、空に太陽のような何かが浮かんでいたから。

そして、ここが救いのないアビドスよりももっと助からない地獄だと思えたから。

こんなのは夢だ。

 

本当に、悪い夢だ。

 

 

 

しかし、いくら歩いても夢から覚めない。

 

ふと、体勢を崩し正面から倒れ込んだ。

 

足を掴まれたのだ。

 

「タ....スケ....」

 

その掴んだ手に見覚えはなかった。

否、形すら留めていなかった。

 

「─────ッ!!」

ただその差し伸ばされた手が、あの人の手に見えてしまい反射的に蹴り飛ばしてしまう。

 

頭を蹴り飛ばされたその人は、動かなくなってしまった。

罪悪感に胸が締め付けられる。

 

こちらから手を差し伸べれば、彼、彼女は炭となって消えていった。

 

気づけばあちこちから悲鳴が聞こえる。

誰の、ではない。不特定多数の、女や男、年寄りや、赤子の声が。

 

私は夢中で走り抜けた。

これは亡者の叫び声だ。

 

助けられない、否、助からない。

燃える街中(地獄)をひたすらに走った。

 

ただ、体はもう限界だった。

 

「ゼェゼェ....ゴホッ.....ハァ....」

 

煙の中走るという行動自体が愚かな事だった。

そうして瓦礫の上に倒れ伏した。

 

隣には自分より年若い少年ひとり、同じよう仰向けに倒れ伏している。

 

その時に悟った。

嗚呼、これはあの男の夢なのだと。これがあの男の記憶なのだ、と。

せめて、この人の心を孤独で埋め尽くさないように、とその冷たくなり逝く手をそっと握ぎる。

大丈夫と、声を出したかった。

だが、そんな気遣いは不要だった。

 

少年の心は既にもう死んでいたのだ。

助けを求めながら、彼は死んでいた。

 

だからここで本来の衛宮士郎()は死んでしまった、のだと私にはわかってしまった。

 

「そっか、なら私と同じだね。」

 

最後にそんな言葉が出た。

何を安堵しているのか。

 

 

彼はその自らの口で死者は蘇らないと言った。

で、あれば果たして今、あそこにいる彼は?

 

そう、衛宮士郎にとって、衛宮士郎という存在自体が忌むべきものなのではないかと。

このまま彼が生き返ってしまえば、彼は自身という存在を守ることも無く(てい)のいい無くていいものとして扱ってしまう。

 

それはダメだ。

なら彼はここで─────

 

そんな時、ふと「よかった」と、声がした。

 

体が起き上がってそちらを見る。

 

底には無精髭を生やした、目の死んだ、男がいた。

 

直感的に、この人をこの子に近づけてはいけないと思えた。

 

手に持っているのは私の銃。

 

それを彼に向けて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝、銃声の音と共に目覚める。

 

「は、はははは......」

 

やはり、それはユメだった。

 

「こんな馬鹿みたいな夢─────」

 

全身はびっしょりと汗で濡れていた。

ただ次に見た光景はそちらの方が夢ではないかと思わせるような惨状だった。

 

「な、何なのさこれ.....」

 

窓の外に思い切りデカイ、何かが見える。

 

私は急いで制服を携帯をカバンに詰め込んで、銃と盾を持ち家から飛びだした。

 

ズザザザザと、それは街を履い回っている。

 

 

 

「アヤネちゃん、聞こえる?

 

ごめん、今から至急皆を学校に集めて。」

 

 

私はそれだけ言って、街を走り出した。

 

interlude ホシノユメ END

 

 

それは、ミレニアムから帰ってきてから1週間後位のこと。

 

俺はリオにまた呼び出されていた。

 

 

「衛宮先生...貴方には特異現象捜査部の特別顧問になって欲しいの。」

 

スっと、書類を差し出してくるリオ。

 

「なんだ?その、特異現象捜査部ってのは....」

 

「特異現象捜査部、それはキヴォトス各地における「科学的理論では証明できない事象」に対して調査する部活。

 

それこそ、貴方のその魔術のような。」

 

 

つまり、オカルト地味た事案を研究するための部活らしい。

 

「合理だ合理言ってるお前がそんな物に興味を持つなんて意外だな。」

 

少し乱暴な言い方だったか?

彼女の目が睨むように細まる。

 

「.....衛宮先生、勘違いしないで欲しいのだけど、科学とは人の進歩そのものよ。

 

先に進む意思と、並々ならぬ努力により生み出された成果によってこの世の未知を解き明かし、それを自らの物として今の繁栄があるの。

 

オカルトも突き詰めれば現象、事象のひとつに過ぎないわ。」

 

「ただ、理解できてないだけって言いたいわけか。」

 

「ええ、それがたとえそれが「魔力」なんて法外なエネルギーを用いていたとしても、そこには法則性と規則がある。

それを解き明かすのが─────」

 

リオの言いたいことは理解できた、なぜこんなキヴォトスで特異現象を捜査しようというのか。

単純にそれは興味だけに留まらないだろう。

 

「なぁ、もしかして、何が起こってるのか?」

 

 

そう聞くと、彼女はモニターにアビドスのマップを広げた。

 

「アビドス砂漠。

 

 

貴方はどうしてアビドスが砂漠化しているか知っているかしら。」

 

「え?」

 

 

彼女はドローンのカメラの映像を映した。

 

そこには─────

 

「なんだこれ竜巻.....?」

 

砂嵐の群れと言った方が正しいか。

そこには吹き荒れる竜巻の群れがあった。

 

「アビドスが砂に溢れる原因はこれよ。」

 

「......なぁ、これ単なる気象だろ?

こんなの何年も前から続いてるってアヤネが言ってたぞ。」

 

彼女はため息をついて瞳を逸らした。

 

「....貴方にはこれがただの異常気象に見えるのね。」

 

「いや()()()()()()()って矛盾してるぞ......ってそんな事じゃなくて──────違うのか?」

 

「起きていること全てをただ地形のせい、自然のせい、偶然、で片付けるのは愚かな事よ。

 

この竜巻の群れの中にある、いちばん大きなもの。

これを赤外線映像で捉えるとこうなるわ。」

 

そう言って映像が切り替わる。

その吹き荒れる嵐の中、なにか酷く大きく長いナニカが鎮座している....ように見えた。

 

「なんだこれ。」

 

「これが今回の調査対象物よ。

砂漠の自治権がアビドス高校の元に戻った今しか調査する方法はないわ。」

 

「それで俺の出番って訳か.....」

 

「アビドス廃校対策委員会にとっても、悪い話ではないわ。」

 

 

確かに、この件が解決すれば対策委員会にとっても多大な前進となる。

それに、カイザーグループが撤退した今、不安定な要素は排除できるならそれに越したことはない。

 

「わかった、で?部員は?

お前の考えは分かったし、特別顧問とやらになるのもホシノ達への繋ぎも別に構わないけど。

 

部活として成立させるには最低でも成果と部員4人が必要になるんだろ?」

 

それは生徒会(セミナー)の上長として彼女が決めた事だ。

 

「えぇ、そうね。

貴方には紹介しておくわ。」

 

俺がそう言うと、扉は開いてウィィィンという音と共に彼女達が姿を現した。

 

「なっ─────」

 

 

1人は明星ヒマリ。

生徒会(セミナー)非公認でありながら認可を受けている矛盾した部活動、ヴェリタスの部長。

 

それは分かる。

 

だが─────

 

「馬鹿!ここが何処だと思ってるんだ!自分の部屋じゃないんだぞ!?

 

服着ろ服!!」

 

もう2人目はほぼ下着か水着姿の、コートを半分脱いでいる生徒だった。

どうにも直視できない。

 

「え?服なら着てるけど....?

それよりこの部屋暑いんだけど....クーラー入ってる?」

 

「何を言っているのですか?エイミ。

むしろ少し寒いくらいですよ?」

 

はぁ?何を言ってるんだ。

今の現在室温は────23℃前後、比較的この生徒会長室においては最適とも言える温度帯だ。

 

 

「彼女は和泉元エイミ。

そして私と、ここにいないもう1人を入れて、特異現象捜査部よ。」

 

もう....1人?

 

「なぁ、もう1人って─────」

 

そんな中携帯がひとしきり震えと音を発して鳴り出した。

 

「ちょっと悪い」

 

そういって席を外す。

 

 

 

「はい、衛宮ですが....」

 

《バリバリバリッッ!!》

『士郎先生!!

 

アヤネです。

巨大な 何かにアビドスが─────きゃっ!』

 

(ドガァァァァァン!!)

 

爆発音共に通信は途切れた。

 

「アヤネ!?アヤネ!!

クソッ!」

 

通信相手は奥空アヤネ。

音を聞いた様子からしてあれは雷雲(らいうん)号の機銃掃射とミサイルの発射音。

 

そして最後のは機体の爆発四散する音ではないのか?

 

一体アビドスで何が........

 

 

「1歩、遅かったようね。

もはや一刻の猶予もないわ。

衛宮先生、特異現象捜査部の顧問として、そしてシャーレの顧問として、私達をアビドスまで連れていきなさい。」

 

命令口調にやや反発感を覚えるがそんなこと言ってられない。

 

「 ....わかった....。」

 

彼女達の行動理由の多くは謎に包まれている。

それでも状況が読めない以上、味方は多い方がいい。

 

「行こう、アビドスへ。」

 

そうして俺たちがセミナーの会議室を出ようとした時。

 

 

「ふふん!話は聞かせてもらったよ!」

 

 

ドタン!と扉が開かれた。

 

「モモイ!ミドリ、アリス、それにユズまで!」

 

そこに居たのはゲーム開発部の4人だった。

 

「なんだってこんな所に────」

 

俺が理由を問い正そうとした、その時、

 

「士郎!!」

 

その後ろから駆けて来たのは藤河だった。

 

「藤河まで!?」

 

「コレ見て!」

 

どうやら藤河をここまで案内してくれたのはモモイ達らしい。

この間、モモイが俺の世話を焼きにシャーレまで来た時に随分と仲良くなり連絡先まで交換したそうで。

 

そんなことはどうでもいいと言わんばかりに4人をかき分けて藤河が俺に端末を見せる。

 

 

それは白い大蛇がアビドス自治区を蹂躙している様子だ。

 

 

Endless Carnival

 

 

ヘリに乗ってアビドス自治区上空まで来た俺たちが見たのはまさに藤河が見せてくれたその光景そのものだった。

 

「エイミ、ミサイル一斉発射。」

 

「了解、任せて。」

 

 

(パシューーン!)

 

多連装ミサイルランチャーが発射され、下方にいる蛇に全弾直撃した。

 

 

「やったか?」

 

「お姉ちゃん.....それ禁句だよ。」

 

ヘリには藤河はおろかゲーム開発部4人とC&Cの4人も同行している。

俺の顧問をしている学校が危機だと言うとモモイとアリスが一緒に来ると言い出したのだ。

 

それを当初リオが咎めた。

 

『これは遊び(ゲーム)じゃないのよ。』

 

『わ、わかってるもん!

 

でも士郎....先生にはお世話になったし.....助けてもらったのに見返りがないなんておかしいもん!』

 

『はい、それにアリス達は勇者パーティです!世界の危機なら救わなければなりません!』

 

2人が退避を頑なに拒否した。

 

 

『いいではありませんか。

むしろこういう場合彼女達の方が突破口を開いてくれるかもしれませんよ?』

 

『けれど、彼女たちは()()()無関係よ?

巻き込むつもりかしら?』

 

『いいえ?けれど生徒の自主性も尊重しなくてはいけないのでは?

 

()()。』

 

リオとヒマリのいつもの口論の末、今回はヒマリの意見が通ったようだった。

 

『.....それに、時間はないわね。

 

命令無視だけはしないこと....

余計なリスクは背負いたくないわ、あなた達は後方待機。

 

前線はネル達に任せなさい、いいわね?』

 

 

そうして彼女達はヘリに同行した。

 

確かにアリスは高火力。

モモイとミドリのコンビネーションにユズの適切な解析能力(アナライザ)

 

彼女達は戦力になり得るかもしれない。

 

「なんなんだよ....アイツ。」

「.....やっぱり効いてないみたいです....」

 

ユズが煙の中から出てきたアイツを指さす。

 

「エイミ、回避行動を取ってください。

攻撃が来ます。」

 

 

それはどのような判断基準なのか、ヒマリが和泉元に指示を出す。

 

 

「待ちなさい、この場合の指揮系統は私だったはずよ。」

「このまま皆で仲良く焼肉になりたいのでしたらどうぞご勝手に───────」

 

突如彼女の言葉のをかき消すようにオレンジ色のレーザーのような何かが機体を掠めた。

 

「「きゃぁぁぁぁぁ!!!」」

 

「うぉっ!!」

 

ガタガタと揺れ出す機体。

バランスを崩して機体が15度くらい軸回転(ロール)した。

 

「あ、あら?」

 

ヒマリの座っている車椅子が、それに耐えられず、横滑りしていく。

どうにかそれを抑え込んだ。

 

「.....ありがとうございました。衛宮先生。」

 

「お、おう。

それよりリオ、ヒマリ。

下で暴れてるアレはなんなんだよ。」

 

「今はまだ何も。

私達もアレの正体を掴めていませんので。」

 

「強いて言うなら調査対象001(ゼロゼロワン)と言ったところかしら。」

 

 

2人とも黙秘を決め込んでいるのか、それとも本当に知らないのか。

まともな情報がない。

 

「それを調べるのも特異現象捜査部の仕事って訳か。

和泉元、アビドス校舎へ向かってくれ。」

 

通信が途絶したアヤネも気になる。

 

「うん、わかった。」

 

俺たちは、アビドス高校のグラウンドへと着陸する。

 

「士、士郎!!!」

 

そうして一番最初に俺の胸に飛び込んできたのはセリカだった。

 

「せ、セリカ!?どうしたんだ!?」

 

珍しく抱きついてきた彼女の肩を掴んで引き剥がす。

 

「アヤネちゃんが!アヤネちゃんが.....あの巨大な蛇のレーザーにに雷雲号ごと撃ち抜かれて.....」

 

やっぱりか ....。

 

「無事なんだよな?」

 

普通ならヘリコプターと共に爆発したならまず助からないだろう....しかし、キヴォトスの生徒なら。

 

「う、うん。

....ホシノ先輩がゲヘナの風紀委員会のコネを使って救急医学部....だっけ、

とにかく救急隊を呼んでくれたから....でも呼吸器つけた状態で意識が戻らなくて....。」

 

「あなた様!」

 

ワカモも校舎から出てくる。

 

「ワカモ、藤河組の皆や柴大将はどうなったんだ?」

 

一応、藤河が組から離れた時のまとめ役はワカモになっている。

んなわけでここの今の総大将というかリーダーはワカモだった。

 

「全員無事にシェルターへ避難しました....ですが....なんです?

あれは。」

 

「分からない。

だけどこのままじゃアビドス自治区そのものが崩壊するのも時間の問題だ。

ホシノとノノミとシロコはまだ全線か?」

 

今度はセリカへ問う。

彼女は首を縦に振った。

 

「え、えぇ。今から私も合流しようと思ってたところ。」

 

「そうか....ごめんな、遅くなっちまって。

でも安心してくれ、援軍を連れてきた。

 

こっちは─────」

 

紹介している暇など、何処にあるのか。

後ろの惨状を思い出し、校舎に背を向けた。

 

「悪い説明してる暇はこっちにもなかった。

 

ヒマリとリオは残って作戦本部を設置、モモイ達は護衛してくれ。

 

美甘達は俺と一緒にホシノに合流だ。」

 

 

気合いが入っているのか、やる気満々の美甘がそこにはいた。

(パシッ!)

 

「いいぜ、今回はあんたの指示に従ってやるよ。

ちょっとヤバそうだしな。

 

行くぞお前ら。」

 

「「了解」」

 

 

色んな方の先生作品で「桜花絢爛お祭り騒ぎ」を見かけます。いかがでしょう。読みたいですか?

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