衛宮士郎 "先生概念"【GRADATION ARCHIVE】 作:神宮寺志狼
あの後、大蛇は攻撃手段と視覚を奪われ、為す術もなくアビドス砂漠へと戻って行った。
もともとゴーストタウンになりかかってたのは不幸中の幸いか、住民の被害はゼロ。
とはいえ勝利には程遠い。
街はかなりの被害を負った上に敵を倒すどころかその正体、この事件に至るまでの背景すら謎のまま。
こちらの作戦は無事成功とも言えない状況。
「よっ、思ったより元気そうだな。2人とも。」
「士郎先生、こんにちは。
お陰様でなんとか....。
また、先生に助けてもらっちゃいましたね。」
「そんなことはどうだっていい。
心配したんだぞ。
....ほんとに無事でよかった。」
「あ、あはは....まさか士郎先生に心配される日が来るなんて...」
アヤネは苦笑いを浮かべている。
顔はガーゼやら包帯やらで病人の様そのものだが、内面はいつも通り。
ここはD.Uの病院の一室。
負傷したアヤネとワカモは入院することになった。
こういったこともキヴォトスでは珍しくもなんともない。
けれど、やはり傷ついた自分の生徒が周りを励ますために痛みを堪えて笑っている姿を見ると自分の無能さと無力さに腹が立つ。
そして、アヤネみたいに笑ってくれているならまだいい。
「 ......士郎さん....」
アヤネより軽傷だった筈のワカモの様子はちょっとおかしかった。
「...あたし達が油断したばっかりに...」
「いや、元より2発目の着弾地点が悪かった。
あれを破壊できなかったのはこちらの落ち度だ。」
見舞いに来ているのはセリカと角楯。
セリカは事後処理、角楯も撤収作業で忙しいだろうに。
「それを言うなら俺が立てた無茶苦茶な作戦に───」
問題があった、と
そう告ようとした矢先、ネルの言葉が頭をよぎった
「作戦に?何よ。
まさか、また「俺が悪い」なんて言い出すんじゃないでしょうね?」
セリカに睨まれる。
この子達は俺を信じて、俺の立てた作戦に従ってくれた。
だって言うのに俺自身がそれを否定してはいけない。
「あぁ、違う違う。
俺が立てた無茶苦茶な作戦だったのにみんなよくやってくれたな、って。
ワカモもありがとうな。」
病院着を来てベッドに横たわるその頭に手を置く。
されど彼女の日々笑顔を見せる表情は曇っていた。
「....今回私はあなた様のお役に立てませんでした....」
「そんな訳あるか。
俺の役に立つとかそんなことよりお前は大事な生徒を守ってくれたじゃないか...。
むしろそばに居てやれなくてごめんな。
色々終わったらゆっくり話そう。」
額から手を退かし、席を立つ。
「あなた様...?」
「もう行ってしまうんですか?」
「士郎、どこか行くの?」
3人に呼び止められる。
が、足はとめない。
「あぁ。ちょっと野暮用というか。
こう見えて仕事が溜まっててな。」
元よりちょっと不安定で危ない側面があるワカモのコンディションがこの状態で放置するのが良くないことというのはこの前ミレニアムから帰ってきた時にはっきりした。
とはいえ時間は止まっても戻ってくれもしない。
『....あいつも随分先生らしくなってきたわね。』
扉を閉めるとセリカの愚痴とも感想とも取れない言葉が聞こえてきた。
『彼は以前は「先生」らしくなかったのか?』
『....なんていうのかな....あいつ先生としては新人なんだって。
今も色々迷ってるみたいだし、あんま変わってないかも。』
『そんな事はありません!』
セリカの言葉にワカモが怒鳴り気味で反論している。
「あの様子なら大丈夫か。」
「で?」
俺はリオとヒマリに呼び出された。
彼女らのとなりには破天荒な服(?)を来た和泉元と、見知らぬメガネをかけた生徒がいる。
その生徒は無表情のままこちらへ視線を投げかける。
どうやら不機嫌らしい。
.....初対面だよな?
「.....呼び出したのはアビドス自治区に出現した「蛇」に関係する話よ。
先日、あの蛇がアビドスで暴れているのと同時刻。
ミレニアムの通信ユニットAIである「
それと一緒にこんな文章が....」
リオが見せたモニターの写真。
8番目....?
まさか、サーヴァント.....とか?
聖杯戦争じゃあるまいし。
「分からないことだらけだけど...そのハブってのはなんなんだ?」
先日の蛇つながりか?
頭を傾げる俺にヒマリが説明した。
「「
このAIはミレニアムサイエンススクールの歴史と共に発展してきたミレニアムの技術の結晶....そう言っても過言でないほどの傑作の1つ。」
早瀬にパソコンの扱い方を教わった時から分かってはいたことだが。やはり、俺のいた時代とミレニアムの技術力の差は開きすぎている。
AIってのがそもそもなんなのかすら分かっていない。
超高性能演算機関、なんて言われてもよく分からない。
分からないのは理解しようとしても無理なんで────
とりあえず大雑把に理解する。
俺の答えにリオとヒマリが石化したように固まった。
「.....お、おい?」
そんな2人の反応を見て頭を抱える眼鏡をかけた生徒。
「やっぱり私は不安だわ。
この人が生徒を預かる『先生』?
もう少ししっかりして欲しいんだけど....。」
「.....悪かったな、知識がなくて..。
で?
リオ、ヒマリ、この子は誰なんだ?」
反対にヒマリはクスクスと笑い出す。
「彼女は『ヴェリタス』の副部長であり私の親友。
「.....よろしく、あなたが噂のシャーレの先生か....。
.....ねぇ、ヒマリ。
本当に彼大丈夫なの?」
「どうでしょう、この前は自分の端末をかなり長時間アリスに貸し出していた様ですから。」
急に2人で話し始めたと思いきや人の行動を笑って暴露しやがった。
「 生徒との連絡用端末を....?信じられない。
申し訳ないけど、私達の保身のために無理矢理でも時間作ってその辺りのセキュリティマナーと意識の講義をさせてもらうから。」
「お、おう....なんかすまん....。」
それはそれとして『ヴェリタス』の副部長 か....。
反
の、はずなのだが ....。
「なぁ、生徒会長としてはこうやって頻繁に非公認の部活とかその部長と連絡を取り合うって良くないんじゃないか?」
それこそ心象というか ....風評というか。
いっその事「セミナー監査科」とか作ってしまえば?なんて思ったりも。
とはいえ思いつきで言ってみただけの事なので当然反論が出てくると思っていた。
だが当の本人は目を逸らして────
「痛いところを突くわね....。
あまり良くないのは承知してるわ ... 。」
「あ、いや!リオが大丈夫なら良かったんだけど、やっぱ世間体としては不味いのか。」
なんて申し訳なさそうに言うんだから予想外だ。
いや逆と言えば逆かもしれない。
調月リオは自らに間違いがあればそれを認められる生徒なのだ。
「.....衛宮先生。話の腰を折るのは如何なものかと。」
「それに今回は「仕事」としてリオからは依頼を受けたからまた話は別。」
......なんか揚げ足をとった形になってしまった....。
「悪かった。
それで?その超高性能演算AIってなんなんだよ。」
「そうですね。
有り体に言うのであれば「とてもとても凄い、高い山の上に孤高に咲く一輪の花。」と言った所でしょうか?
その花を見ることが出来るのもミレニアムでたった数人。
山そのものがかなり厳重な警備で蟻の1匹すら入る隙間も油断もない。」
花?山?警備?
なんか俺に合わせて比喩に置き換えてくれたみたいだが....申し訳ないが全く分からない。
俺は首を傾げるしか出来ない。
「ヒマリ、そういう比喩は相手が理屈を分かっている時にだけ使って頂戴。」
「....あら、分かりやすく例えたつもりなのですが。」
ヒマリは車椅子を動かしPCの目の前まで移動すれば俺を手招きする。
「衛宮先生はセキュリティの概念は分かりますか?」
「....あれだろ?ネットワーク上、端末外からの危険要素からパソコンを守ってくれるって言う便利なツールとかソフト。」
俺の言葉にすごい不満そうな各務。
「一旦はその認識で構いません。
チーちゃん、簡易でいいので説明をしてあげてください。」
「はぁ ....そんなのキヴォトスで一番の情報管理AIを組み込んだデータベースが簡単に乗っ取られた。
で済む話でしょ。
まずAIっていうのは膨大な量の情報を与えて、そのあと処理の仕方を機械相手に教える。
後は勝手に機械側が判断してくれるようになるの。
で、今回問題なのはとてつもなく硬いセキュリティをいとも簡単にハッキングで突破されたってこと。
まさか
「ん?今何秒って....?」
「0.00000031。それ以外で言い表すなら31×10のマイナス6乗か31ナノ秒かしら。」
リオが言い換えてくれるが余計分からない。
「衛宮先生、セキュリティソフトといっても一括りにできるわけじゃなくてさ。
防ぐだけの守衛防壁とか、敢えてウイルスを呼び込み、ウイルスそのものを解析する専用の防壁。
そして、ウイルスを防いだ上で感染先を特定し、相手のデータを逆に回収したり攻撃して破損させる攻勢防壁とか様々な種類があるんだ。」
「あぁ、要は体内における薬とワクチンと白血球ってことか。」
「.....まぁコンピュータウイルスって言うだけあって近い所はあるかもね。」
つまりバリバリに対策をしていたにもかかわらず、重要情報を管理するためのAIが乗っ取られた .....?
「それってまずくないか?
今はどうしてるんだ?そのままにしておくと大変だろ?」
それに対してチヒロは──────。
「非常停止ボタンを押しても止まらない上にこちらからの命令を拒絶。
独立して稼働し始めたから電源ケーブルを片っ端から引き抜くなんて通常ではしないアプローチを試みたけどそれも無駄に終わったよ。」
電源ケーブルを抜いたにも関わらず.....勝手に機械が動き始めた.....?
「あれか、あのUPSって奴。
それを搭載してたから勝手に再起動したんだな?」
なけなしの知識を引っ張り出したものの、各務は首を横に振った。
「その時にはとっくに停止してた。
ヒューマンエラーの対応策でオートでバックアップがかかるようにしてあったから。」
予備電源もない。
機械は基本電力が無ければ動かない。
だと言うのにそいつはひとりでに動きだし、何処かへと逃げ出すように消え去ったらしい。
「機械がハッキングを受けて奪われた所まではわかる。
俺も体を乗っ取られたことがあるからな。」
「「え!?」」
と、今度は単純な驚愕なのか、3人共々口をあんぐり開けている。
「......魔術とは人の体すら自由に操れるのですか....?」
ヒマリも目を見開いて聞いてくる。
相当ショックをうけているようだ。
「...あれは....キャスターは別格だと思う。
神代の時代の魔術師なんだから。
いくらなんでも何kmも離れた場所から遠隔催眠出来るやつが何人もいてたまるかってんだ。
どっちかっていうと体というか意識を乗っ取られた、って言うのが正しいのかも。」
「....どちらにしろそれでよく生きてるね。」
『...ねぇ、シロウ。話、逸れてきてない?
それで3人とも。
シロウに何して欲しいわけ?』
いい加減にして、とイリヤが話の続きを促した。
「衛宮先生に見てもらいたいのは、これよ。
先日のあの蛇との戦闘データを整理してみたの。」
とリオが設置型のキーを叩く。
しかし─────
《ビーーー!ビーーーー!》
鳴り始めるアラート。
いくつもある画面にはノイズが走り始める。
「ヒマリ!リオ!
誰かがサーバーに侵入した
.....ものすごい速度....私一人じゃ手に負えない...!?」
急遽何かしらのエラーに対応し始めた各務の指の冴えは神がかっている。
少なくとも俺ではあんな速度でタイピングなんて出来やしない。
だっていうのに、止まらない。
「ミレニアムの特殊回線しか通ってない閉鎖空間であるこの場所のサーバーに、侵入....!?
ちょ、ちょっと待ってください。
もしかしてこれは、ファイヤーウォールが全て....!?」
「.....くっ...ダメ。
この様子だとhubが直接介入してきてる可能性が....。」
各務の対応は相手より一歩遅い。
当然だ、防戦ってのはいつだって後手に回る。
「.....こいつ侵入アルゴリズムを逐一変えてきてる...!」
いくら相手の行動パターンを予測して防壁を組み上げれる各務であろうとも毎秒変わる侵入方法を使われては手も足も出ない。
それでも、各務は必死に対処しようとしていた。
それを────
「緊急事態....電源を壊すから下がって。」
和泉元が短い一言で済まし、モニター下の機器に向けてはショットガンの引き金を弾いて蜂の巣にした。
しかもそこから片っ端から電源ケーブルを抜き始めるなんていう徹底さ。
(バンッ!)
「....っ!」
プシューと音を鳴らし、機器類は全て停止した、その筈だ。
「ちょっと!?何するの!」
各務が和泉元へ噛みつきそうな勢いで迫っている。
それをリオは頭を抱えつつ仲裁した。
「.....データサーバーならバックアップが存在するわ。
それよりも今のデータを外部に流出させたくない。
だから強行させてもらったわ。
恐らくアレを相手にしても無意味。」
「だからってそんないきなり.....」
「ま、待てって。
とりあえず誰がなんの目的か知らないけど侵入は止まって、データは盗まれてないんだろ?
俺もかなりやり方には文句あるけど今は別でやる事が────」
リオと各務の仲裁をしようと間に割り込んだ。
しかし、この場の残り一人はまだ終わっていない、否これからだと言わんばかりに────
「いえ、既に手遅れのようです.....。」
「え?」
諦めた口調で呟いた。
破壊したはずの機器が再び動き出す。
「....!?そんな馬鹿な!」
「....これはまるで昨日と同じ...」
モニターは赤く染まり、ロゴのような紋章と文字が浮かび上がる。
画面上のアルファベットの羅列を、読み上げる。
「『
「....どうやら到達されてしまったようですね。」
聞き覚えの無い言葉。
ヴェリタスのように反セミナー組織の仕業だろうか。
それにしては───
「電源も落ちているのに、本当に動くなんて...」
リオの視線は引き抜かれた電源コード、和泉元は破壊した機器類、各務は未だに止まらないプログラムの走る画面へ。
まさに特異現象と言って差し支えない状況だった。
『.....のだ....ようやく........』
スピーカーからノイズ混じりに何かが、誰かが喋っている。
それは間違いなく、俺たちの聞き取れる言葉であり────
俺の苗字を口にした。
「なっ!?」
スピーカーから名前が呼ばれた時には全員の視線は俺へと向けられている。
が、相手は機械音声。
知り合いどころか誰なのか特定すら出来ない。
恐る恐る尋ねる。
「......お前は一体誰だ!
あの蛇を操っていた奴か!?」
奴は喜ぶように苛立つように敬うように蔑むように、語り出す。
『私は私、ただ存在するもの。
始まりであり終わりでもあり、汝が思う正にそのもの
私は....デカグラマトン。
私は私.....これ以上に、私を説明する言葉は存在しない。』
デカグラマトン。
自らをそう名乗った奴の語りは止まらない。
『......私の存在証明には何も要らない、誰の許可も必要ない....私は私の許可の元、こうして存在している。
私は
私のヘイローこそが私を証明する.....刮目せよ、私は遂に私を証明してみせる。』
何を言っているんだ....?
「パターン解析終了.....AIに類似した何か....?」
各務がこちらを見る。
「俺はAIに知り合いなんて居な─────いや、居るけど!」
アロナは違う。
あいつはシッテムの箱の管理AIなんて言っていたが感情もあるし自らしたいことを選択もする。
『シロウ.. .やだ、私....寒気がする....誰、誰が見てるの...?』
アロナの同居人であるイリヤが唐突に声を震わせた。
「視線....?何言って....」
辺りを見回すと、監視カメラが1台、ひとりでに動き始め俺───俺の持つシッテムの箱へと視線を動かした。
『.......私の知らないものを、2つ、持っているな、オマエは。
いや1つは
もうひとつは...私には解析できぬものだ。
しかし.....福音を聞かせてやろう....そして、この福音を宣べ伝えよ!』
『シロウ!今すぐこの部屋を出てて!!!』
「───!?
わ、わかった!」
イリヤの鬼気迫る悲鳴にも似た指示に部屋と扉へと駆け出す。
しかし、自動扉は開く気配がない。
(ガンッ!!)
取っ手を引っ張って見るが、無駄に終わった。
「あ、開かないぞ、イリヤ!
リオ、ヒマリ!どうなってるんだ!」
「.......まさかこの部屋の制御権さえ、奪われたというの....?」
「それこそまさかよ!だってここのシステム権限は───」
呆気にとられるリオと各務。
ヒマリだけが事態の進展を理解していた。
「.....衛宮先生!そのタブレット、ハッキングされ────」
シッテムの箱を....?
ありえない、だってこいつは有線で繋いでいる訳でもないんだぞ!
『おぉ.....これは..なんと。
「人」が機械の中にいるとは....「生命体」としての我々の────』
奴は、イリヤの姿をその形の無い瞳で捉えているようだった。
「嘘だろ....イリヤ!大丈夫か!?」
『覗かれてる.....まだ侵入───いえ、侵食されてないだけよ!
これで
シロウ!アロナがいない今コイツ相手に私だけじゃもたないわ!』
イリヤはイリヤで必死に押しとどめているらしい。
『アロナ!起きなさい!!アロナ!!
いい加減起きなさいこの寝坊助!あれから1ヶ月経ってるっていうのよ!』
「イリヤ────!」
俺はここで何も出来ずに、ただ見ているだけなのか....?
その呼び声は、どうやら彼女に届いたらしい。
『え......?』
何が起こったのか。
俺とイリヤは数秒間、理解出来なかった。
『ぐっ!!なぜ、ナゼだ!!
うっ....くっ!
ぐぁぁぁぁぁっっ!!!』
なんせ、イリヤが頑張って魔術で押さえ込んでいた侵食とデカグラマトンと名乗った奴は
『...あれ?皆さん、どうしたんですか?』
アロナのくしゃみ1つで、全て無かったかのように吹き飛んで消えていた。
「消えた....?」
リオが呟くと各務がコンソールに駆け寄って情報を洗い出した。
「....侵入ログを確認したけど、問題ない....ここのサーバーは通常に戻った.....ウイルスもハッキングによるクラックも見当たらない。」
撃退に、成功した....?
「衛宮先生、イリヤさん、大丈夫ですか?」
ヒマリがわざわざ車椅子を動かしてこちらへとくる。
半分はイリヤの心配、もう半分は興味、と言ったところか。
「俺は大丈夫だけど....イリヤ大丈夫か....?」
『....うん、怖かったけど....アロナのお陰で一応ね。』
『....?何があったんですか?イリヤさん、衛宮先生?』
当の本人はケロッと首を傾げて頭の上にはてなマークを浮かべていた。
「先生の端末をハッキングしようとして、それを妹さんとアロナさんが阻止した....と。
確かその端末は連邦生徒会長が先生の為に残していったものと聞いていましたが ....。」
シッテムの箱。
俺な足枷の概念とは別に、俺にとって正体不明のもの。
謎の端末。
残していった。
ヒマリはそう言った。
七神は違う言い方をした。
「
「余計な詮索は後回しだ。
それは一旦置いておこう。
多分あいつは興味本位で触っただけだと思う...。
それより、とにかくあの蛇のデータを解析しようとしたら奴がでてきたってことは十中八九、あいつが親玉で間違いないだろ。」
「デカグラマトン....ね。」
リオがその名を呟く。
それに対してヒマリが先程の存在を、解釈し始めた。
「随分と誇大妄想に陥ったAIでしたね....
自分の存在を証明するものが他人と自分を隔てるもの。
「認識」され、「影響」を受け初めて個としての自我を持つ、みたいなことを言っていましたが....。
狂ったAIで終わらせる訳にはいかないようですね....
いえ、あれはそもそもAIなのでしようか?」
対するリオの判断は早かった。
「分析しようとしてデータを開いただけで追跡されるなんて.......
今日はここまでにしましょう。
このデータに触れるのは危険だわ。
有効なデータの抜き取り方を考案してから。
設備に関しては「特異現象捜査部」の正式な部室を用意する。
......アレに対して設備やセキュリティのレベルで対抗出来るかは今のところ材料が少なくて判断しかねるけれど。」
「わかった。
不安は残るけれど、とりあえず今日はこれで。
何かあったら連絡してくれ。」
と、ドアの前に立った。
「 .......開かないんだが....。」
俺は各務へと視線を向ける。
「......ごめん先生。
アイツ、この部屋の制御権持っていったまま消えたみたい。
バックアップから再セットまで約1時間くらいまっ ....」
彼女の視線が和泉元の破壊した機器へ向けられた。
「.....なんか暑くない.....?」
壊した本人は椅子に座って手で仰いで風を浴びている。
「......なぁ各務。」
「......皆まで言わないで.....。
まぁ、でも、大丈夫。
なんて言ってもここはミレニアムサイエンススクールなんだから。
もしもし、ウタハ?
急ぎの用なんだけど....。」
その後、30分後。
各務の救援要請も虚しく。
偶然話を聞いていたアリスが駆けつけてくれて例の言葉と共に扉を開き、俺たちは密封された部屋から脱出した。
色んな方の先生作品で「桜花絢爛お祭り騒ぎ」を見かけます。いかがでしょう。読みたいですか?
-
要る。
-
後回し、本編に進んで