TERRE ~穢レタ世界ノ黙示録~   作:河本AKIRA

27 / 77
我々は『恐怖』……『支配の象徴』

オレはその頂点に立つ者

オマエたちは、オレの手となり足となりて

オレに従い、尽くせ

これより……この世界にはびこる『自由』を奪い去る

そして、この世界に恒久の平和をもたらす……

ここに、我々の『始導』を宣言する

我々の名は……




ヤタガラス




TERRE 第二部 ~開幕~


第二部
第27話 「始導」


「...ティエラ...さん?」

 

「ああ」

 

「そっか、セイレーンでも、やっぱりオリジンには敵わないんだ...」

 

「…そうだな。ヤツに勝つなど、特殊能力者かアシュラ一族でもなければ間違いなく無理だ」

 

「何だよその言い方。まるで本当に戦ってたみたいな─」

 

「ああ、戦ってたさ」

 

「...マジか」

 

そう、ティエラは自身の能力をオリジンに『没収』されてもなお、どうにかしてこの理不尽な世界に報いるため、8年もの間、”仲間たち”とともにオリジンと戦ってきたのだ。

予想外の回答に少年は驚きを隠せない。

 

しかし...

 

「じゃあ、今は何をしてんの?」

 

「...放浪だ」

 

「え」

 

「さっきも言っただろう。ヤツに勝つなど不可能だ。だから...」

 

「あきらめた…そういうこと?」

 

「改めて言われると刺さるな...」

 

ティエラは鼻で笑いながらそう言った。

そうだ、彼自身分かっている。

彼は諦めたのだ。

勝てない勝負から逃げたのだ。

さっきの鼻で笑ったのも、そんな自分に対しての嘲笑であろう。

 

「そっか...特殊能力者なら勝てるかもしれないんだ...」

 

「そうだな」

 

「なあ、ティエラさん」

 

「なんだ?」

 

「もし、俺が特殊能力者だとしたら...どうする?」

 

「なんだと?」

 

少年は掌に力を伝わらせる。

 

すると...

 

(これは...!)

 

なんと、少年が掌をかざした先に、氷塊が完成していたのだ。

少年は得意げな顔でティエラを見る。

 

「どう?」

 

「.........お前はどうしたい?」

 

「オリジンを倒したい」

 

「!!」

 

少年はさっきまでとは違い、神妙な顔つきになった。

 

「オリジンは、父さんと母さんを殺した。そのせいで俺は今まで独りぼっちだった...だから...!」

 

「仇討ちか」

 

「違う。俺のような思いをする人たちがこれからも増えるのは...イヤなんだ!」

 

「!!」

 

「ティエラさんは、特殊能力者ならオリジンを倒せるかもしれないって言ったな?それなら...」

 

「...それなら?」

 

「俺に特殊能力を教えてくれ!セイレーンだったアンタなら、能力の使い方も完璧に理解してるんだろ!?」

 

「......一つ言う。死ぬぞ?」

 

「死ぬのは怖くない。もう...失うものもないから」

 

少年の目はどこまでもまっすぐだ。

ティエラはそんな少年が少し羨ましく感じた。

 

「.........お前、名は?」

 

「!!レオニード・ジノヴィエフだ!レオでいい!」

 

「分かった。それなら、俺はお前に能力の使い方を教える。限界までお前を導いてやる。覚悟しろ」

 

「おう!!」

 

こうして、レオはティエラの弟子となった。

2人は、かまくらを造り、そこを拠点に修行を積むことにした。

 

翌日...

 

「レオ、お前に一つ聞きたい」

 

「?なに?」

 

「その能力、どこで手に入れた?」

 

「そりゃあ、ここら辺だけど...」

 

「どうやって?」

 

「『実』を食べてからかな...」

 

「『実』...」

 

(なるほど...確かに、アレスはここ周辺で殺された...つまり...)

 

ティエラは思考を張り巡らせた。

 

まず、レオの使う能力は、アレスの能力で間違いない。

そして、『彼女』が言っていたこと...

 

『これはあくまで仮説なんだけど...。特殊能力者は、脳内で特別なエネルギーがめぐってるの。おそらく、それが特殊能力を生成してるんだと思うわ』

 

そして『アイツ』の”証言”…

 

『アタシは...2人のセイレーンを、頭に種子をぶち込んで、木ィ生やして殺した...。今考えると、頭おかしいよな...。やっぱ狂ってたんだよ...あんときのアタシ』

 

つまり、T・ユカの能力によって、アレスの頭から生えた木は、アレスの脳内にある特殊能力を生成するエネルギーを吸収しながら育ち、実を実らせた。

それを食べたレオの脳内には、その特別なエネルギーが宿り、アレスの能力が発現するに至った、ということだろう。

 

「ティエラさん?」

 

「…ああ、いや、少し考え事をしていただけだ。気にするな」

 

「それじゃあさ」

 

「?」

 

「俺はさっき自分自身のことを話したんだ。だから聞かせてくれよ。ティエラさんの『いままで』の話」

 

「...長くなるぞ?」

 

そして、ティエラはレオに自分の過去を隠さず話した。

レオは、ティエラの話を真剣に聞いていた。

 

そして...

 

話し終わったころには、日は沈みかけていた。

 

「確かに、長かった...」

 

「だから言っただろう...」

 

「でもさ、絶対無駄にならないと思うよ。俺にとっても、ティエラさんにとっても」

 

「!!」

 

「やっぱり、諦めちゃだめだよ。ティエラさん」

 

「...いくつだ、お前」

 

「え?13」

 

「ガキには分からんこともある」

 

「なんだよそれ」

 

「あるんだ」

 

「分かったよ...」

 

これ以上追及しても無駄だ、とレオは思った。

 

そしてその翌日...

 

「レオ、お前に課題を課す。それができるようになれば、俺に教えられることはない」

 

「課題?」

 

「そうだ。ズバリ、課題は、『雪だるまを作れ』だ」

 

「雪だるま!?」

 

「無理だと思えば一生できんぞ。いいか、お前自身を自由にしてやるんだ。自由意志は自分を高める最大の糧となる」

 

「...よし」

 

こうしてレオは、雪だるまを作ろうと、掌を前に出した。

 

しかし...

 

「...うわ、なんだこれ」

 

そこにあるのは不細工な氷塊の積みあがった何か。

しかも数秒後、頭(?)がバランスを崩して地面に落ち、割れてしまった。

 

「...やはりな。お前に足りないものは入力、制御の2つだ」

 

「どういう意味?」

 

「自分で考えろ。どう考えるかは、お前の自由だ」

 

「うへぇ...」

 

こうして、レオの修行は始まった。

それからというもの、レオは雪だるまを作る日々になるのだった。

 

 

 

 

一方その頃...

日本国...京都府にて...

8人の集団がぞろぞろと歩いている。

 

「なあ連、京都についたはいいけどよ、これからどうするんだ?」

 

大男が連(レン)という名の青年にそう話しかけた。

 

「戦力を探す」

 

一言そう告げると、連は足を止めた。

 

連の向く先には、いくつもの鳥居が並ぶ幻想的な神社...稲荷大社があった...。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。