日本書紀演義・斑鳩炎上(いかるがえんじょう)   作:TKF

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592   崇峻暗殺
592 崇峻暗殺 その① 出兵宣言


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日本書紀にいう

 崇峻四年(591)八月 崇峻天皇は群臣に尋ねた。

 「自分は任那を再建したいと思うが、お前達はどう思うか。」

 群臣は答えた

 「皆、陛下の思し召しと同じです。」

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591年8月、ヤマト王国にて――

 

 このころの日本には、まだ統一国家というものは存在せず、各地に大小さまざまな王国が点在していた。

 これらの王国は、ヤマト王国を盟主として国連(国家連合)を形成し、相互尊重と不可侵を誓い合っていた。まるで現代の国連のように。

 この国連による秩序は「和」と呼ばれており、この「和」が保たれることによって西日本エリアでは数百年にわたり、概ね秩序と平和が保たれていた。

 

【挿絵表示】

 

 

 しかし、朝鮮半島エリアでは状況が異なっていた。

 このエリアが国連に加盟したのは比較的新しく、また海を隔てた地域にあるため、国連独特の「和」や協調の精神が十分に浸透していなかった。

 そのため、各国とも勝手気ままにふるまい、約束を破り、戦争をして領土を奪うといった行為が繰り返されていた。

 

 こうした「和を乱す」行為に対して、国連は幾度も外交圧力をかけたり、国連軍を派遣したりしたが、なかなか十分な成果を上げることができなかった。

 これが加盟国にとって長年の頭痛の種となっていた。

 

 

 8月のある日、ヤマト王国の宮殿にて、臨時の国連総会が開かれていた。会場が緊張感に包まれるなか、盟主・ヤマト王国の崇峻大王が口を開く。

 

「余は朝鮮半島問題を解決するために、北九州に強力な軍勢を派遣し、新羅に圧力をかけることとした。各国は速やかに準備をせよ。」

 

傘下各国の代表がざわつく中、ヤマト王国の大臣である蘇我馬子が急いで前に進み出た。

 

「大王よ、なりませぬ。各国とも最近の疫病により疲弊しております。それに今の半島情勢は…」

 

「ひかえよ、臣下の分際で無礼であろう!」

 

 馬子は驚いた。崇峻にこのような口の利き方をされたのは初めてであった。その馬子の背後から、さらに数人の代表が進み出て、こちらも反対意見を述べた。

 

「だまれ!これは亡き父、欽明(きんめい)大王のご遺言でもあるのだ。もうよい、お前らには頼まぬ。出て行け!」

 

 馬子が崇峻をにらみつける。崇峻も目をそらさなかった。群臣達は身動き一つできなかった。馬子がばっと背中を向けると、その前にさっと道ができた。馬子は大股で会場を後にした。反対意見を述べた数人の代表達も後に続いて出ていった。

 

残った者達は顔を見合わせ、ため息をついた。

 

「あいつらには構うな。お前達の意見はどうか。」

 

崇峻の言葉が響き、出席者たちは慌てて振り返った。

 

「陛下のお考えに従うまでです。」

 

 

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日本書紀にいう(再掲)

 崇峻四年(591)八月 崇峻天皇は群臣に尋ねた。

 「自分は任那を再建したいと思うが、お前達はどう思うか。」

 群臣は答えた

 「皆、陛下の思し召しと同じです。」

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(その②「崇峻と馬子の対立」につづく)

 

 

 




補足・解説
崇峻(すしゅん)(560年ごろ生―587年即位―592年被殺) 第32代に数えられる天皇。生年は不明だが、推古(554年生まれ)より年下と考えられるため、560年ころの生まれとした。この章のころは30歳くらいとなる。591年に任那復興を目指して九州に大軍を派遣するが、592年に蘇我馬子によって暗殺された。

大王(オホキミ・ダイオウ) ヤマト王国の国王。他の国の王と区別するために、特別に“大王”と称されていた。なお当時の日本語ではオホキミと言ったらしいが、現代人ががんばって無理してオホキミと言ったところで、どうせ当時の人々とは発音が違うはずなので、無理にオホキミと呼ぶことにあまり意味はなく、筆者としては現代風にダイオウと読めばいいと思っている。大臣も同様にダイジンと読んでもらいたい。

蘇我馬子(そがのうまこ)(生年不明―572年大臣就任―626年没) この当時のヤマト王国における実力者。572年以降、大臣の位についている。



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