日本書紀演義・斑鳩炎上(いかるがえんじょう)   作:TKF

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595 厩戸修業時代 その⑤ 帰国

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日本書紀にいう。

 推古四年(596)冬十一月、法興寺が落成した。馬子大臣の長子善徳臣を寺司に任じた。この日から慧慈、慧聡二人の僧が法興寺に住した。

 この二人の僧が仏教を広め、併せて三宝の棟梁(仏教の統率者?)となった。

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<帰国>

 596年冬、厩戸はヤマトに帰り、推古女王に帰国のあいさつを行った。推古の目からも、厩戸は元気に、そしてたくましくなっているように見えた。

「皇太子よ、1年ぶりですね。無事元気に戻ってきてなによりです。西日本の状況はどうでしたか?」

「はい、伊予にてため池を作っていました。」

推古は驚いた。

「ため池・・・?、政策はどうするのですか?」

「これから徐々に考えていくことにいたします」と、厩戸は一礼して出ていった。

推古は馬子に尋ねた。

「研修旅行ではなかったのですか?」

「慧慈、慧聡法師の二人は、ヤマト最高の頭脳でございます。あの二人がそうさせたのならば、それが研修なのでございましょう。」

 

 

<改革開始>

 都の生活に体を慣らした厩戸は、ヤマト王国および各国に以下のような布告を行った。

「制度をちょこまかといじって改革を実施したつもりになるのは簡単である。だが、どのような制度でも、最終的には数多の人々の手によって実行される。よって、その制度が人々に理解されなければ改革は実行されず、また理解はされても納得されなくては実行されることはない。

 ゆえに全ての改革は、まず人々の意識精神を育て、一つにすることから初めなければならない。改革を単なる制度改革に終わらせないためにも、最初の十年はこれに集中することにする。

 仏教を奨励せよ、僧を保護せよ。新しいヤマトは仏教精神によって運営されることになるであろう・・・」

 

 当初、十年で国力を回復し富国強兵を実施する、と意気込んでいた厩戸にとっては、大幅な路線変更であった。目に見える改革を捨て、目に見えぬ、穏やかではあるが根本的な改革を目指す意志が述べられた。

 

 この布告に基づき、まず実施されたのが寺院の建築であった。この時代の仏教寺院は単なる信仰の拠点ではない。哲学、文学、教育学、心理学、歴史学・・僧によっては工学技術まで含め、様々な学術・文化の伝承・研究・発信地としての役割を担っていた。

 

 厩戸はヤマト王国の財を使って寺院を建てると同時に、各有力氏族に対しても寺院を建てることを奨励した。明治時代で言うならば、国立大、私大をつくらせた、ということだろうか。

 

 この年の冬、飛鳥の地に法興寺(現代の飛鳥寺)が完成すると、厩戸はここを仏教振興の拠点と定め、馬子の長子・善徳を学長とし、慧慈・慧聡を教授として、指導者となるべき僧の育成にあたらせた。

 

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日本書紀にいう。(再掲)

 推古四年(596)冬十一月、法興寺が落成した。馬子大臣の長子善徳臣を寺司に任じた。この日から慧慈、慧聡二人の僧が法興寺に住した。

 この二人の僧が仏教を広め、併せて三宝の棟梁(仏教の統率者?)となった。

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さらに厩戸自身は豪族達の子弟の中から見込みのある少年を選び出しエリート教育を施した。ここで育成された人材が、後に時代を作っていくことになる。

 

 

 同じ頃、宮殿では推古が馬子に話しかけていた。

「皇太子はいろいろ頑張っていると聞きます。」

「伊予での研修がよい成果を生んでいるようです。」

「あれは伴の者に詳しく聞いたところ、土木作業をしてきただけと言うではないですか。皇太子ともあろうものが農民らと共に泥にまみれるなど・・・」

と、推古は言いながらはっと気づいた。昔も同じような事を言ったことがある・・・

「そういえば大臣も昔・・・あれもそうだったのですか?」

「さて、何のことですかな。年をとって昔のことはすっかり忘れましたわい。」

 

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日本書紀にいう。

 敏達一年(572)、蘇我馬子、大臣に就任する。(このとき馬子20~25歳ぐらいか)

 敏達三年(574)冬十月、蘇我馬子大臣を吉備国に遣わして、白猪(地名)の屯倉と田部の農民を殖やされた。(=入植・開拓作業を手伝わせた。)

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(595厩戸修業時代――完)

 

 

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