アズサを登場させたいのにまったく出来ないという悲劇。
訴えるよ?
ブォォォン
何の変哲のない町中で、一つの高級車が道路を我先にと走行していた
ここはD.Uシラトリ区。治安は良くないがキヴォトスの中だったら比較的マシだったりする
もしゲヘナで俺が乗ってる車が走ってたら高確率で銃弾や手榴弾が襲いかかってくるが、ここでは殆ない__いや、あっては駄目なのだが
ここには他の学園と同様にあらゆる施設が揃っている
__もっとも、ゲヘナのように野蛮ではないし
トリニティ綺麗で華やかではない……言ってしまえば何の変哲もない都会だ
当然ここには居住者も多く、ヴァルキューレ警察学校もあるから必然的に犯罪が他所より少ない
聞いた話によると先生の住居もここにあるらしい__最近は働き詰めでシャーレのオフィスと自宅のどっちが家かを忘てしまったらしいけど
「いや〜〜〜、ハイドリヒ様ありがとうございますぅっ!」
「やめてください先生__みっともないです」
助手席では先生がまるで俺を救世主かのような目つきで見てくる
そんなに書類仕事が嫌だったのか?
「はぁ…私だって先生だしさ、書類を片付けなきゃいけないのは重々承知だよ?でもさ、生徒たちと一緒にいるほうが楽しいし___」
「人間としては百点満点超えですが、先生としては50点といった所ですね」
「ふふんっ!私はナイスばでぃーなお姉さんだからね!」
「ギャグセンスも百点ですよ」
「あはは………え?」
ずっと思ってたけど…先生って人間性やばいよな
死ぬほど最高な人だと思うんすよね…アホだけど
今もこうして付き合ってくれてるし…最高っす!
「……てか本気?」
「まじですけど」
先生は一瞬だけいつもは見られない真剣な表情になる
「私はあんまり詳しいことは知らない。でも…絶対に潰さなきゃいけないことなの?」
「勿論です。悪い芽は早めに摘む事が望まれますからね」
「………」
横からの視線が痛い
ちくりと俺の頬を刺すような感じだ
「…先生は、嫌ですか?こうして生徒に手を上げるのは…今回が最初ではないでしょ」
「でも嫌だよ。更生が必要な子だっているのは勿論分かってる。
__それを力だけで直そうとするのはもっと間違ってるはず…そうじゃなきゃいけないんだ」
「私はそう思いませんよ。子供にも大人にもそれぞれ責任が付き纏います。
それをまっとう出来ないような人間は生きていくべきではありません」
「それは違う。誰にも幸せになる権利があるはずなんだ」
「幸せになる権利?幸福追求権ですか?それはたった今奴らに犯されてるため対処せねばなりません。
___結局のところ、全員が全員幸福を追い求めるわけないんですよ」
「……私の考えは…理想論だろうけど__いや、理想論だからこそ追い求めなきゃいけないんだよ」
「…じゃぁ………」
俺の母を殺したやつも許せってのか?
__なんて言葉は出てこない
「…そうですか。しかし、ある程度の力は必要ですからね」
「それもそうだねぇ……あれ?あそこが目的地?」
「えぇ。すでにヴァルキューレが展開してます」
車を目的地である公園の側に静かに停める
そして車から降りて一直線にとある警官の元に向かうのだ
「局長!第二陣、全滅したとの事です」
「なんだと!?__くそ、もう残りの警備局だって少ないっていうのに……生活安全局で何が出来るっていうんだ!?」
「お疲れ様です」
俺はさも当たり前かのように労いの言葉を投げかける
もっとも、彼女にとって今はそれ以上に欲しいものがあるだろうが
「あぁん?誰だこんな忙しい時に……って!しゃちょ_ハイドリヒさん!?」
カンナは振り向きざまに俺の顔を見て驚愕に包まれる
__そりゃそうか
「あれ?ハイドリヒとはどんな関係なの?」
「貴方は………」
「シャーレの先生ですよ。それくらいご存知かと勝手に想像してました」
「す、すみません……」
「ちょっいいから!私とか知らなくても!」
先生は両手をわちゃわちゃして慌てふためく
一応説明しとこう
我々株式会社フロリアン・ガイエルンとヴァルキューレは業務提携を行っているのだ__けっして防衛室と提携してるわけじゃぁないがな
ヴァルキューレとは古くからの縁で何かと繋がりが深い。
聞いた話によると、会社の創設者の次の次の代くらいから繋がってるらしい
特に密接に関わってるのは__武器の提供という所だろう
我々がヴァルキューレに
勿論!融通を効かせてもらってるからな
「さて、今の状況は?」
「…………は?」
カンナはつい咄嗟に腑抜けた声を漏らすが、すぐさま先程のことを謝罪する
「す、すみません……っ!」
「まぁまぁ落ち着いて…ほら、私の美形な顔見て落ち着こ?」
「何処ですか」
「え?」
「た、只今の状況を報告させてもらいます……」
カンナの口からポロポロと現在状況がこぼれ出る
「たった今警備局の大半が全滅しました」
「は?」
「……続けて」
「はい。午前9時45分の第一次総攻撃で公安局と警備局の大半が負傷……先程、午前10時20分の第二次総攻撃にて残存警備局の大半が負傷し、たった今作戦に投下出来るのは数名の警備局しか……」
「……でしょうね」
こんな短時間で大量の負傷者…まぁ、これは別にカンナさんが悪いってわけじゃない
___てか特殊部隊に向けて総合撃ってなんだよ間抜け
「状況は理解できました」
「大変申し訳ございません……全て私の責任です」
「責任を取って腹でも掻っ捌いてくれるんですか?泣き言より腕を動かしてください」
「す、すみません……っ」
「私も参戦します」
「はい…了解しましt___今なんて?」
「ですから、私が直接出向くんですよ」
「……………」
未だにカンナは理解できていないようだ
「えと…ハイドリヒが直接行くってこと?」
「ずっとそう言ってるでしょ__難聴だったら救護騎士団に連絡しますよ」
「やめてね?」
↑
この前検査に引っかかった人
「さて、作戦を立てますよ」
「りょ、了解しました……」
その場に集まったのは主に三人
「カンナさん、残存戦力は?」
「はい__私と、後ろにいる警備局が8名、そしてハイドリヒさんだけです…先生は直接的な戦闘は行いませんのでカウントしませんでした」
「……そこの二人は?」
「わ、私ですか?」
俺はカンナの後方で突っ立っていた二人に視線を向ける
すると、彼女は胸を張り綺麗に敬礼をして答えてくれた
「本官は生活安全局の
「……面倒くさ」
「なるほど、キリノさんと”面倒くさ”さんは生活安全局ですか…彼女らにも参戦してもらいます」
「本気ですか!?」
うるっさ
「彼女ら生活安全局などという平和ボケした者どもにこの作戦が遂行できるなどわけが___」
「だったら弾除けにでも使用します。
__なに、彼女らだって警察の一員ですから本望でしょうし」
「しかし……」
「…本人に聞いてみたほうが早いのでは?_キリノさん」
「は、はい!」
緊張しているのだろうか、少しだけ声が裏返りながらも彼女は元気に返答する
「貴方はこの作戦に投入される意思はありますか?」
「勿論です!本官の使命は市民を守ることにありますので、大変光栄に思います!」
……素晴らしいね
「素晴らしい心意気です。きっと貴方の担当する地区では毎日が比較的穏便に過ごされているのでしょう」
「え、えへへ………」
「………」
多分この会話をトリニティ生徒が聞いたら、皮肉だと思われるだろう
___そんなことよりも
「それで…”面倒くさ”さんはこの作戦に投入されます」
「……あれ?私に選択肢は?」
「頭にゲヘナ生徒でも飼育しているのですね。きっと彼女は前線で弾除けに使うのに向いてますよ」
「辛辣ぅ〜〜〜」
「こらフブキぃ!!!」
「すみませ〜ん」
こいつはフブキと呼ぶのか……
面倒くさいから「お団子デカデカ丸」でいいな
「さて、敵の配置は?」
「…全てが謎に包まれています_使用武器については…ハイドリヒさんの会社の物なので貴方のほうが詳しいかと」
「えぇ!?そうだったの!?!?!?」
先生めちゃ驚くやん
「ええ__だとしたら、ヴァルキューレの装備で勝つのはとても厳しくなってきますね」
ここだけの話しだが
ヴァルキューレ警察学校に向けて売っている銃器はあんま性能の良い物ではない
そりゃあ良い代物を渡したいけどさ?お金がね?弾薬だって最近あんま購入してくれないし…資金の横領でもあんのか?
それに比べてSRTの装備はピカイチだ
最新式の物や市販では手に入れることの出来ない物は当たり前
_特殊な弾薬にありとあらゆる場所に対応できる装備
一目で分かるくらい装備の差は開いている
「…厳しい戦いになるでしょう」
「うぅむ…どうにかして説得出来ない?」
「先生それは難しいです。私達は何度も行ったのですが……返事は弾丸で返されました」
「まじ?……こっちに装甲車はないの?」
「第二次総攻撃で全て破壊されました」
「…………」
状況を確認しよう
・残存兵力はギリ二桁
・装備は貧弱
・装甲車や戦車等といった兵器は破壊された
・相手は特殊部隊
__これだけを見たら絶望的だ。誰がどう見ても絶望的だ
しかし策はある
「まずこの状況を覆すにはこっち側の戦力を増やす以外に道はありません」
「そうかな?なんとか頑張れば……」
先生が言うと説得力が違うな
確かに先生の指揮があれば恐らく制圧する事はできるだろう
「………」
だがそれじゃぁ意味がない
先生が指揮をするのも悪くはないが…徹底的に叩きのめすには先生の指揮だけじゃ心もとない
「…いえ先生、ここはより確実な手で戦いましょう」
「へ?そんなのある?」
「勿論先生には指揮をお願いしますよ。私とヴァルキューレ警察学校と___
我々フロリアン・ガイエルンPMCの軍人を」
「「……………は?」」
私結構生活安全局の二人好きなんすよね。でもなんでこんな雑な扱いにぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!