忠誠こそ我が名誉inトリニティ   作:もりもりバナナ

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お久しぶりです。

今回からぼちぼち再開します。



誘拐のパート2ってまじすか?

 

コンクリートの壁に背を向けて、段々と呼吸を早くさせる

 

部屋は薄暗く、空気にはなにやら”ただならぬ雰囲気”が漂っているように感じた

 

「う、うーん………知らない天井だ……って、ここどこ?」

 

彼女が目を覚ましたのは廃墟だった

 

以前もこのような経験はあった、数日前_酒によって廃墟で爆睡したのだ

 

しかし今回はそんなチャチな問題じゃなかった

 

「………っ!?」

 

動かない手足

 

痺れてるんじゃぁない、手足が縄で縛られてるのだ。きっとコレを通常だと思ってるやつは紛れもなくMだろう

 

「くっ…」

 

縄に縛られて何もできなくなった先生は、気を失う前の記憶を辿る

 

カンナから話を聞いて_コンビニで食べ物とか弾とかを購入して…公園に向かう途中で記憶が途切れている__

 

あからさまに記憶が一部分だけ無くなっていた

 

「……はぁ」

 

慣れない状態に嫌でもため息が溢れ出るがそんな事してる場合じゃない

 

「な、なんとかこの縄を解かなきゃ……えい!____えいっ!」

 

当然、キヴォトス人でもない先生はちょっとの荒縄でさえ敵わない

 

(…う〜ん…とても頑丈だぁ)

 

なんてことも考えているが、現実はそんなに優しくない

 

てかそもそも明らか誘拐された状態なのにもかかわらず落ち着いていられるのもおかしな話なのだが__

 

 

 

 

「ようやっと目を覚ましましたねっ!」

 

「ん?」

 

ハキハキとした声が部屋を響かせ、先生は音の元に目を向ける

 

そして、そこに立っていた男こそが犯人であろうと特定したのであった

 

「私の名前はデカルト!有せずとも実なる福を探す集い、略して所確幸のリーダーです!

敬意を表してデカルトさんと言っても構いません!」

 

「………はぁ」

 

やたらと耳をつんざくように大きな声で叫ぶ彼こそ、先生を誘拐した張本人、デカルトである

 

「所有せずとも確実なる幸福を探す集い」とかやけに正当化するような事言ってはいるが…要するに浮浪者集団がただ名前を変えただけだ

 

「で、あなた達はなにが目的なの?お金?それならもっと狙うべき人がいるでしょ」(てか私給料すぐ使い果たすし)

 

それも事実、キヴォトス内にてシャーレの先生よりも給与の多い人間など沢山いるのだ。その中でもこれ(先生♡)を狙うなど、あまりにもリスキーなのである

 

「お金?権力?ふふっ_そんなの目じゃありませんっ!」

 

「はぁ?お金は大事だろ」「権力もほしいなぁ___」

 

周りがひしめき合う中、デカルトはゆっくりと口を開く

 

「貴方は重罪を犯しました……それも大大大重罪をっ!」

  ↑

互いにアホ

  ↓

「えぇ!?大大大重罪を犯しちゃったの!?」

 

「その通り!」

 

やたらと自信満々なデカルトに少し怖気づく先生_

 

(うぅん…今まで生徒の間違いを叱ってきた方だから、逆に叱られるのってなんか新鮮だなぁ)

 

「貴方が……我々のコンビニ弁当を奪ったのです!!!」

 

「_____は?」

 

勢いづいたデカルトは、勢いに乗って言葉を続ける

 

 

「そう、あれは私がいつも通り腹を空かせていた日でした……」

 

「ちょ、なに始めようとしてんのさ」

 

「私は見たんです。貴方(先生)があの女子高生達に廃棄弁当を分け与えてるところを__その廃棄弁当はあのエンジェル24からの廃棄弁当ですよねっ!?」ズイッ!

 

「っ?」

 

「あれは我々、所確幸が命からがら繋げてきた生命線(ライフライン)っ!そんな事を知ってか知らずか貴方は断ち切りました!これは我々に最後通牒を突きつける……いや、喉元にナイフを突きつけていると同義っっっ!!!」ズイズイッ!!

 

「っ???」

 

(まじで何の話!?)

 

デカルトは頭を熱くさせながら先生に語りかけるが、先生自身これらの事に身に覚えが無いためめちゃ混乱している

 

「えっと……エンジェル24の廃棄弁当ってことは_もしかしてラビット小隊のことかな?」

 

「ラビット小隊ぃ……た、多分それです。ほら、コンビニの廃棄弁当譲ってたじゃないですか」

 

「あ、ラビット小隊だね…で、それがなんで悪いの?お腹へってたんだしさ」

 

「そこです!奴らと貴方が、本来我々が貰えるはずだった廃棄弁当を横取りしたんですよ!」

 

「…………ふぅむ。でもそれって正式なのじゃないよね」

 

「」ギクッ

 

「コッチは正当な許可と依頼で譲ったんだからさ、別にとやかく言われる筋合いは無いよ」

 

「そ、それは………」

 

皆さんに分かりやすくするために私が要約させていただく

 

要するに、彼らの主張はこうだ

 

 

先生<「お腹空いてる生徒にコンビニの廃棄弁当を渡した!」

 

デカルト<「それは我々が貰ってたやつ!横取りすんな!許可?知らん」

 

ラビット小隊<「廃棄弁当おいしー」

 

 

こんな感じだ

 

先生は廃棄弁当を生徒に渡し、それを元々貰っていた(無許可)所確幸が怒り、先生を拉致したのだ

 

どこをどう見てもデカルトが悪いのは明らかである

 

__しかし

 

 

「えと…なんで拉致したの?」

 

 

事態は悪い方向へと進んでいた

 

先生はキヴォトスの大半で影響力を持つ人間である…例えば万魔殿(ゲヘナの生徒会)ティーパーティー(トリニティの生徒会)セミナー(ミレニアムの生徒会)

 

__キヴォトス三大学園の全ての生徒会が先生の味方なのだ。それ以外にも先生は皆に愛されているのである

 

そんな重大な事を知ってか知らずか………

 

「ふんっ!今からその生徒に直接電話で廃棄弁当を奪い返します!」

 

デカルトは人質作戦に出るようである

 

「先生のスマホから電話をかけ、脅し、取り返すんですよぉっ!」

 

スッ

 

「あ、私のスマホー!」

 

「このモモトークで……あった、これが生徒ですね_ミヤコ、確かこの生徒が略奪者の一人でしたよね」

 

プルルルルッ

 

ワンコール

 

プルルルルッ_プルルルルッ

 

ツーコール、スリーコール

 

ピッ

 

少しだけコール音が鳴った後、電話越しに相手の声が聞こえてくる

 

『_先生、もうあれだけ連絡してこないように言ったはずですよね。忙しいので切ります』

 

「待ちなさい!私は所有せずとも確実な幸福を探す集まり、通称所確幸のデカルトです。それで私は貴方に_____」

 

ピッ

 

味気ない機械音とともに電話が途切れ、その場でなんとも言えない微妙な雰囲気が漂う

 

唖然とするデカルト

 

気まずそうな先生

 

現場はカオス

 

「えっと…もしかして間違い電話だと思われました?私」

 

「それ固定電話だけの話でしょ」

 

「え?じゃぁ生徒にめちゃくちゃ嫌われてるって話じゃ_「うっ!(急死)」えぇ……」

 

「まぁ……ちょっと嫌われてるかも…ははっ…」(蘇生)

 

「死んだり生き返ったり忙しいですね。まぁもう一つ下の生徒も同じラビット小隊だったはず_名前はサキですか」

 

プルルルルッ

 

ピッ

 

『忙しいから切るぞ』

 

ピッ

 

「…………」

 

「…………」

 

「……先生……」

 

「は、はい_」

 

貴方どれだけ嫌われてるんですかっ!!!

 

「ち、違うよぉ!」

 

「違いません!電話に出た瞬間”忙しいから”って電話切るのは流石に嫌われてるんですよ!」

 

「私嫌われてなんかないもん!た、ただ何人かの生徒には……いや…うん」

 

落ち込んでしまう先生。実際大半は先生のこと大好きだから安心してほしい

 

(早く諦めてくれないかな……あ、ミヤコ達に高級役肉弁当があるって嘘付けば来てくれるかも?)

 

「ねぇ____」

 

「いいです。では作戦を変えます…私はラビット小隊に固執しすぎました。

違う生徒に……お、このラインハルト・ハイドリヒって生徒にしましょう」

 

「っ!?」

 

今まで楽観的だった先生だが、ここに来てようやく焦りを見せ始める

 

「だ、だめ!彼は…その…」

 

「お、その反応は…きっと大金持ちって事ですね!隠さなくても大丈夫ですよ〜〜〜っ!」

 

「違うから!いや、違くないけど……ほんとにだめなの!」

 

「えぇ、そんなに大切にするってものなら相当な大金持ちに違いがありませんっ!」

 

プルルルルッ

 

先程とは打って変わって必死に止めようと叫ぶ先生

 

__しかし、それはデカルトに彼はお金持ちだという事への確信を強めるだけであった

 

 

ピッ

 

通話マークが光ると、その奥では聞き覚えのある男子生徒の声が響いてきた

 

『おお先生ですか、今私も電話をしようと___』

 

先生の身柄は私、デカルトが預かりました!!!

 

やっとまともな生徒に電話出来たデカルトは、つい声を荒げてしまう

 

『……失礼、どちら様で…?』

 

「驚くことなかれ、私は所有せずとも確実な幸福を探す集まり、通称所確幸のデカルトです!」

 

「や、やめて__」

 

だまりなさいっ!

 

『……なるほど、デカルトさんでしたか…ご要件は』

 

「ふふ、素直で助かります……私の目的はただ一つ、食料の確保です!

達成されなければどうなるかなんて_もちろん分かりますよねぇ_?」

 

『……………ふむ。承知しました。ではそちらに向かいたいので場所を教えてください』

 

「ええ!場所は小ウサギ街第三廃倉庫____」

 

 

 

(最悪だ)

 

(またも_ハイドリヒに迷惑を…いや)

 

(事態はきっとそれだけじゃ収まらないかもしれない_きっとこれで勘定されたかな)

 

(……もう…見放すかな___)

 

 

 

 

(最悪だ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

くそっ、最悪だっ!

 

「ハイドリヒ…大丈夫?」

 

ベッドではアズサが心配そうに首を傾げながら俺を見てくる

 

「……はい_」

 

場所はアズサの部屋

 

ほぼ無臭な部屋の中、一人の男が悶えていた

 

「先生…デカルト…くそっ」

 

 

完全にしくじった

 

こうなるなら食料も奴ら(所確幸)に供給すべきだったか…いや、今になってはどうしようもない

 

そもそも奴らに食料を供給しなかったのには理由がある

 

第一に、決して満足させないこと

第二に、いつでもストレスを与えておくこと

第三に、暴発させやすくさせるため

 

所確幸は来たるべき日のために備えていた鉄砲玉だったんだ、カイザーと取引させていると信じ込ませ、あえてストレスを与え、そして少しの着火剤でカイザーもろとも爆破させるのが作戦だった

 

___だが

 

それが水の泡になっただけでない。先生に刃を向けてしまった

 

大誤算…この作戦は即座に中止になると同時に、俺は再び先生に……先生に酷いこと…

 

くそっ

 

くそっくそっくそっくそっ!!!

 

またかよっ!!!

 

なんでこうなるんだよ!!!

 

この__クソ共めがぁっ!!!!!

 

 

 

どうする、奴らをとっ捕まえて拷問するか?

 

それとも今からミサイルでも打ち込んでやろうか…

 

いや、爆撃機で小ウサギタウン全てを爆撃し____

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バギィッ!!!

 

「ぐふっ!?」

 

瞬間、ハイドリヒの頬を貫く拳

 

 

「ぐへっ!」

 

倒れるハイドリヒ

 

ファイティングポーズのアズサ

 

 

「あ、アズサさん……いったいど、どうしたんですか!?」

 

「___ハイドリヒ」

 

「は、はぃ______」

 

 

ドゴォッ!!!

 

「っっっ!!!」

 

今度はみぞおちを貫くアズサの拳

 

ハイドリヒ、ダウン

 

 

 

「あ、アズサさん…いったいどうして………」

 

「……頼ってよ…」

 

「__へ?」

 

「頼ってよ!!!」

 

「っ」ビクッ

 

「さっきまでハイドリヒは私を頼るって話した!それに一緒の空も見たいとも!幸福も絶望も一緒に味わいたいって!」

 

「あ、アズサさん…」

 

「だったらさ、私はここにいるから!

 

「………」

 

私は勉強中も、食事中も、戦闘中も、高校を出た後も、その先も!全部一緒にいるんだ!

だから____」

 

 

 

頼って…お願い………

 

「…アズサさん…」

 

 

今俺の眼の前には、少しばかり目尻に涙を蓄えている少女が必死に声をかけている

 

他の誰にでもなく、この俺に__

 

__そんな彼女を無視してたのかな………

 

 

ふふっ

 

 

そうか

 

 

頼っていいんだ

 

「えぇもちろん。これからは頼りっぱなしにしますからね」

 

「うんっ!」

 

「勉強中も、食事中も、戦闘中も、高校を出た後も、その先も_ぜ〜んぶ、アズサさんに頼りますからね!」

 

「私もハイドリヒに頼るから、安心して!」

 

__あぁ

 

 

そうだもんなぁ

 

 

 

 

「__ふふっ」

 

 

 

 

俺には頼れる仲間は

 

すでに沢山いたんだった

 

 

 

 





ハイドリヒ、覚醒っ!?
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