別に病気ではないです
比喩表現です
「………」サッ
真夜中の森の中、普段なら誰も入らないほど薄暗く不気味だ
絶対にこの時間だったら誰も来ない___私以外
今日、合宿場から抜け出してとある森に来ている
カチカチカチ
手に持ったライトを3回転灯させる
「………」
ザザッ
奥の茂みが一瞬左右に揺れる
熊か、蛇か、イノシシか……いや、違う
私には分かる
「……今日も報告に来た、サオリ」
すでに何度目かの工程を終える
「………」
「対象に変化は見られない、こちらの目的を察知してる気配もない」
「__流石だ、こちらも依然として作戦の準備は怠っていない。安心するといい」
「了解した。報告は以上だ」
「……最後に一つだけ、マダムから目標が追加された」
「…?」
目標?ティーパーティーの壊滅以外になにかあるのか?
「アズサなら難なく遂行できるはずだ」
「…それで、目標は?」
「_____ハイドリヒを殺害しろ」
……………は?
いや、よく考えればなにも疑問に思うことはない。彼はトリニティの重要人物であり、また重要人物を護衛する最高責任者でもある
「武装親衛隊の長官だ
以前ハイドリヒが補習授業部の顧問になった先生の補佐官になったらしいな?」
「……うん」
「殺害するのはナギサの後でいい」
「___ほ、ほんとうに殺害するのか?」
「ああ、どうした?」
「いや…別に殺さなくてもいいんじゃないか?…そ、それほど重要人物なのか?」
「そうだ…それにアズサが気にすることじゃない。
いいか?この世はVanitas Vanitatum, et omnia Vanitas。
全ては虚しいんだ」
「__バニタス………」
「では、ここを誰かに見られたらまずいからな…もっとも誰にもつけられてはいないが」
「………」
__________
「………」
時刻はもう1時、どうやら日をまたいでしまったようだ
「__早く帰らなきゃ」
「そうですよ、何処ほっつき歩いてたんですか」
「!?」ザッ
「なにそんなに身構えてるんですか、探してたんですよ?」
「は、ハイドリヒ……なぜここに?」
隣にはまるでさも当たり前かのように
「なぜって……決まってるじゃないですか、アズサさんを見つけに来たんですよ」
「私を?」
「そうですよ、もうこんな時間です」
「別に私なんて気にしなくても___」
「そういうわけには行きません、いいですか?我々のだれか一人でも合格点にいけなかったら全員が……いえ、これは言うべきじゃありませんでしたね」
「?」
「いえ、気にしないでください……てかこんな夜中まで何してたんですか!?皆心配してますよ!!」
「皆が心配?___無駄なことだ」
「なぜ?」
ハイドリヒは聞き返す
「この世の真理はVanitas Vanitatum, et omnia Vanitas、たとえどれだけ人を信用しようとも全ては虚しいんだ」
「ほう、あれだけの点数だったアズサさんからそんな難しい言葉が聞けるとは思いませんでした」
「だから……心配なんて………」
「はいはい、帰りますよー」
そう言ってハイドリヒはアズサの手を引っ張る
「そんな事言ってないで早く帰りますよ」
「………そんな情はいらない」
「皆心配してるんです、帰りますよ」
「だから心配なんていらな「うるさいです」」
「私達が勝手に心配してるだけです、口出ししないでください」
あまりにも暴論、しかし彼女は何も言い返せない
「………」
「もうこんな時間ですからね、先生も怒ってます」
「…ずっと探し続けてたのか?」
「当たり前でしょう」
「……あたりまえ…か………私にはよく分からないな」
「そのうちアズサさんにも分かりますよ」
「…………そうか」
「………はい」
「……」
「……」
しばらくの沈黙が流れ、気まずい空間が生まれる
「……なにをしてたんですか」
その沈黙を切り裂くように、ハイドリヒが話しかける
「特に……なんでもない」
「なにか悩みがありませんか?私で良ければ相談してください」
「………」
『_____ハイドリヒを殺害しろ』
「………っ」
「…言いにくいですか」
「……」コクッ
「そうですか……」
「……すまない」
「………」
「………」
「……私、親がいないんです」
「え」
あまりのも唐突なカミングアウト
「父親は生まれた時にはいませんでした、母親は中学生に上がった時に殺されました」
「……」
「家族が……誰一人として消えて亡くなったことに私は悲観しました。心から反吐が出ました」
ハイドリヒはどこか悲しく、力なく話しかける
「しかし、それでも絶対に確証してることがあります」
「なんだ?」
「全ては虚しくありません
心配することは無駄ではありません」
「……そうか」
「もし、もし本当に挫けそうになった時は相談してください」
「検討する」
「ふふふ、ありがとうございます
……………アズサさん」
「ん?」
「少し…悪いことしませんか?」
「わ、悪いこと?」
(こんな事言う人間じゃなかったよな……)
「ちょうどこの近くにペロログッズ販売店があるんですよ。しかも24時間営業」
(それ儲かるのか?)
「そこに美味しいクレープが売ってるんです、食べましょう」
「い、いや…お金もってな___」
「私が奢ります」
「それにこんな時間___」
「大した変わりませんよ」
「お腹空いてな」グウゥゥゥゥ
「……ふふふ、そこは正直なようですね」
「わ、忘れてくれ………///」
「じゃあ行くと決まったなら早く行きましょう!」グイッ
「わっ」
ハイドリヒは引く力を強めて二人で駆け出す
「………」
「ほら早く!」
「ああ………!」
__________
_______
____
「はぁ……はぁ………」
走る
少しばかり破壊された道を駆け出す
「はぁ……っ!」
「どこだっ!」
「どこにいるんだ……!!」
探す
ミサイルが着弾され、無常にも引き裂かれた場所を見渡す
「………!」
見つけた