作戦とは自己犠牲を前提としない物を作戦と呼ぶのである
………
「はぁ」
何度目だろうか
あまりにも寝不足であったため不意にため息がこぼれ出る
顔にはまるで「僕を見て!」と言わんばかりにうっとおしい太陽光が差す。
それに当たりに行くかのように豪華に貼り付けられた窓の側に立ち、すでに上がっている日の目を見ながら思いにふける
初めて見た豪邸
初めて会ったライバル
初めて使った銃
初めて作った親友
初めて就いた役職
……初めて死ぬ気で守りたいと思ったもの
「………はぁ」
すでに何度めかのため息が出る
また朝が明けた
この会議室の中でぶっ通しで作戦を練っていたから寝不足だ。
___まぁそんな事言ってる暇は無い
「とうとうこの日が来ましたね」
外ではまだアリウスからの攻撃が続いている。レジスタンスは全員排除に成功したがまだまだ油断はできない
情報によるとアリウススクワッドと呼ばれる精鋭部隊がいたらしいが、敗走していったようだ
行方不明になっていたアズサの保護も出来たらしい
「…………」
率直に言わせてもらおう、アリウスは強い
ユスティナ聖徒と呼ばれる無尽蔵の兵力に、普通の人間だとは思えない精鋭のアリウス生徒。
そして良く分からない巨大な敵。
まともに戦ったら勝てっこないのは明らかだ
だから、作戦を練ることにした
こんなチートみたいな奴らを返り討ちにするために、予想できないような作戦を
普通の作戦だったら勝てっこないのは分かりきっている
犠牲が出るのも覚悟している
「…………」
「いいですか?誰しも作戦の成功のために行動してください。失敗は許されません」
場は静まり返っている
「……長官、先生の位置が判明しました。
どうやら正義実現委員会の本拠地にいるようです」
「了解です」
「ミサイル部隊、いつでも動けます」
「分かりました」
「………追撃部隊の配置が完了しました」
「ありがとうございます」
「長官、ベアトリーチェの確認が出来ました。会場に向かっています」
「…………はい」
これまで予想通りだ
「では、行きます」
隊員からの返答は聞こえない
__________
「……ふぅ」
(未だにアリウスからの攻撃は続いているけど……なんとかなりそうな気がする)
先生はこう考えているが、内心はとても不安だった
(止まらないアリウス……なにか、なにか打開策を打たないと………)
その時
「先生」
「…あ、ツルギにハスミじゃん」
「こんにちは。だ、大丈夫ですか?その……傷は……」
正義実現委員会の委員長が現れた
どうやら傷の心配をしてくれているようだ
「まったくだいじょーぶだよ!」
できるだけ元気に振る舞おうとする先生
「………よかった…」
「うん!これから大変になるだろうけど一緒に頑張ろうね!」
相変わらず先生は生徒を元気づける為に明るく振る舞う。しかし、その内心をツルギはとっくに知っていた
すると
「こんにちは先生、武装親衛隊の者です」
背後から物々しい雰囲気を醸し出している生徒が現れ、
挨拶をする
「こんにちは」
「突然ですみません、先生には人質になってもらいます」
「おけー人質ね………え?」
(え?今この娘なんて言った!?)
先生は一瞬耳を疑う
普段なら何気ない冗談として笑い合うのだが、今回は別物だ。
”眼”が違う。まるで獲物をしっかりと見つめている猛獣のような目つきだ
「え?」
「はい」
「…………は!?」
どうやら聞き間違えではなかったようだ
(だけど、場所が悪かった)
「……おい」
「聞き捨てなりませんね」
(そう!ここには正義実現委員会が沢山いる!
みんな私を守ってくれぇ!)
「………」
しかし、相手も悪かった
「…………」
「いいですか?先生を独りz……人質になんてさせませ__
ドドドドドドドォン!
「「「「「!?」」」」」
「」ビクッ!
「……全員下がってください」
「長官からの命令です。我々は容赦しません」
隊員は地面に向かって数発、威嚇射撃をする
「ちょ!さすがにそれは冗談がすぎr「容赦しません」………」
あまりの武装親衛隊の気迫に、とうとうこれがお遊びではないということを気づき始める
「…何が目的だ」
「ツルギぃ………!」ウルウルッ
「目的などありません、ただこの場から全員動かないでくれるとありがたいです」
「それって目的じゃ「ドドドォン!」うへぇ!
み、みんなその場から動かないで!」
「!?」
ザワザワッ
部室はざわめきで埋め尽くされ、視線は先生に集中する
「こ、こんな事してもなんにもならないよ!?」
「………」
「くそう!先生を解放しなさい!」
「………」
「先生を離せ」
ツルギが普段不良に対してしか表さない威圧感を出す
しかし
「駄目です、これは命令なので」
(どうやらそうとう本気のようだね……)
「命令?あのハイドリヒの命令か?」
「はい」
「あの人が!?くっ!これは実質クーデターですよ!大問題ですよ!?そこんとこ分かってますか!?」
「落ち着けハスミ、あの武装親衛隊の長官のことだ。分かってるに違いない」
(それな
___え?じゃあ本気でクーデターしようとしてるの?)
「そういえば………今は武装親衛隊がティーパーティーの護衛をしているはずです………まさか!?」
「………」
隊員からの返答はない
「…動かないでください。我々は本気です」
「そうか、もし少しでも先生に危害を加えてみろ。おろし大根と同じ運命にしてやる」
「そうですか」
(ツルギがこんなに威圧してるのになんでこんなに冷静でいられるんですか!?普通腰が抜けますよ!)
「それよりも!ハイドリヒさんは何処ですか!?」
「………広場です」
「広場ぁ?そんなのたくさんあるじゃないですk「まてハスミ」…」
勢いよく言い放つハスミに向かってツルギは静止させる
「……武装親衛隊が言う広場といえばヘルマン広場しか無いだろ」
「たしかに。あそこが一番親衛隊にとって馴染み深い広場ですからね」
(……何言ってるのかまったく分からん)
「それで!結局何が目的なんですか!?」
「それは_____」
「独立です」
「「「「「は?」」」」」
__________
「………お待ちしておりました、ベアトリーチェ殿」
由緒あるトリニティの貴族として礼儀正しく、そして美しく迎える
これは彼ら、彼女らにとって基本中の基本である
場所はヘルマン広場、武装親衛隊創設の地でもある
武装親衛隊の前身であった組織の集会場がここだった所でもあるので、めっちゃ俺達に結びつきの深い場所の一つだ
「……おや?貴方一人ですか?」
「はい。他の者には色々とレジスタンスの処理に手こずっており、私一人で来させてもらいました」
「___まぁいいでしょう」
そう言っている彼女の後ろにはユスティナ聖徒をはじめ、多種多様な…と言えるほどの兵器数ではないが、大人数のアリウス生が列をなしていた
「このような歴史的な機会に人員をあまり配置できずに、
申し訳ございません」
「気にしないでください…ところで、例の先生は?」
「………今捕らえております。条約の締結後速やかに身柄を引き渡す予定です」
「そうですか……さすがあの男の息子ですね。期待を裏切りません」
………!?
「___私の父をご存知で?」
俺でさえまったく知らない存在を知ってるなんて……なにか関係性がありそうだ
「ええ、昔は仲間でした……とてもおちゃらけた男でしたが、約束は守る男です。とてもおちゃらけてましたが」
大事なことなので二回言ったのか?
「まぁそんな話は後でだって出来ます」
「___そうですね」
「では____
私はここに、ラインハルト・ハイドリヒ率いる『騎士団領ブルグント』を正式な学園として認め、友好条約を結ぶことを宣言します!」
ベアトリーチェはそう声たかだかに宣言する
「では独立を記念して握手を」
スッ
かつて執務室にて行ったように、この時も彼女は手を差し伸べ俺の手を握ろうとスタンバイしている
その手を俺は………
「……………」
ギュッ
握り返した
「………長官からの攻撃命令を確認しました」
「了解、すぐに知らせます」
__________
場所は変わってゲヘナにて
「………」
(風紀委員会の大半をかき集めた、多いとは知ってたけど……この数は予想外、委員長としてもっと自覚を持たなきゃ)
校門前にて風紀委員会の委員長であるヒナは、大群を揃えていた
何故かと言うと………
「部長、本気ですか?」
「ええ、そうよ」
「い、一応万魔殿の許可を「必要ないわ」は、はぃぃ」
「そもそもあの狸共のせいだから、自分の物は自分で拭い去らなきゃ」
「了解しました」
「…アコ、全実働部隊に伝えて」
「____これより、私達はトリニティへ進行する」
とゆうのも昨日
___
______
_________
「………」
(トリニティ……アリウス……謎の幽霊……)
「はぁ」
すでに何度目か分からないため息をこぼす
(………大丈夫かしら)
その時
ブッブーブッブー
スマホから独特な振動音が聞こえる
どうやら電話のようだ
「………?
ハイドリヒ?」
(そういえばあの時連絡先交換したんだった……)
スチャッ
「もしもし?どうしたのこんな夜中に……」
『ああすみません、心苦しいのですが折言ってお願いがありましてですね……』
「?」
『アリウス分校、あるじゃないですか。そのリーダーと接触したんd「詳しく」……』
(……アリウス分校と言ったら先生を傷つけた奴ら……絶対に許せない)
ヒナの心は復讐心に燃えていた
『それでですね。これから言うことを聞いてほしいんですが……』
「分かったわ」
_________
______
___
「…………絶対に許さない。みんな、行くよ」
ヒナ率いる風紀委員会は前進を開始した
………だがしかし
邪魔が入る
「キーッキッキッキ!おいおい何処へ行こうとしているんだ?こんな大群を連れて!」
いつも通りバカマコトがヒナの前に現れた
その後ろには万魔殿の戦車が並んでいた
「………邪魔、消えて」
「そういうわけにはいかないなぁ!?なにせこのマコト様はゲヘナ学園のトップだ!部下の行動を監視する義務が存在する!」
(ここぞとばかりに___)
「いいからどいて、もしどかないなら今度こそひき肉にする」
「キキキッ!そんな事ができるかなぁ!?この戦車の前でも!!!」
相変わらずうっとおしい女である
「それにしても何処へ行くつもりだ?
___まさかトリニティに行こうとしてるんじゃないだろうなぁ」
「だったらなに」
「そうはさせないぞ!このマコト様が阻止してy「何か知られたくないことでもあるの」………」
そう、彼女はとっくに知っていた
マコトがトリニティの反学園組織とアリウス分校と繋がっていると
「そ、そんなわけなかろうなのだぁ!」
口調もおかしくなっている
「その慌てぶりが証拠よ。邪魔だからどいて」
「そ、そうはいか「ドガァ!!!」ギャッ!」
バタン
突然、まるでメジャーリーグでバットに剛速球が当たった時のようにどでかく鈍い音と共にマコトは地面にひれ伏す
「うぅぅぅ………」
「…ありがとね、キョウカ」
「いえいえ!それよりもうちの姉貴がどうもすみません!」
後ろには少し赤色が付着している金属バットを持った少年がいた
名を羽沼キョウカ。
殴られた女の弟である
「どうぞ通ってください、この件に関して我々は何の手出しもしません!」
「時すでに遅し………」
「あはは!………では戦車部隊!直ちに戻れ!!!」
キョウカの掛け声と共に一斉に待機していた戦車軍団が後方へ音をたてて戻ってゆく
「では、流石に我々万魔殿が出向くとまずいので。
いってらっしゃい」
「うん、行ってくるわ」
やっと風紀委員会は出撃を再開するのであった
____________________
「では独立を記念して」
「………」
やっとか
ギュッ
俺は作戦の成功を願って相手の手を握り返す
思えばいい人生だった。二度ももらえたし
「………はぁ」
また、もうはくことの出来ないかもしれないため息をこぼす
「_____」
ふと、人間が生まれる目的について考えることがある
はるか昔から__ありとあらゆる哲学者は考えてきた
あんま哲学とかは詳しくないから何も言えないけど
ぶっちゃけ生まれてくることに本当に意味があるのかは分からない
だから俺はそんなの無いんだと思ってる
_______じゃあ、無いならどうするのか?
人間は昔から何もなかった
火がなかった。まともな社会制度がなかった。家がなかった。服がなかった。ご飯がなかった
でも、今はある
火を焚き。政治を行い。家を建て。あらゆる素材から服を制作し。畑や家畜を育てて安定したご飯を供給した
人間は無いものからこれほどの物を作り上げた
…そして、人間はそれぞれ生まれてくる意味さえも創った
ある人は幸せに生きるために
ある人は家族を守るために
ある人は生徒の青春を守るために
ある人は復讐をするために
______じゃあ俺はなんだ?
親の仇を討つため?____違う
美味しいものを食べるため?____いいや
幸せに生きるため?____そうじゃない
大切な物を護るため?
_______きっとそうだ
この世界に転生したのもそうゆう理由があるんだ
だから
俺はたとえ死んでも守りきる
「……どうしました?」
そのために、こうするしかなかった
「あ、あれは!」
遠くからはミサイルがこちらめがけて向かってきている
ガシッ!
「なんですか!?離してください!!」
駄目だ
この機会を逃さなんとばかりに強く相手の手を握る
「くっ!最初からこれが目的だったんですね!?
クソガキがぁ!!!」
「___そうですね」
すみません、先生。約束は守れそうにありません
「こっの……離せクソ野郎がぁ!!」
あぁ、もうちょっと一緒に居たかったなぁ
はっ
ははははっ
あははっはははははっ!
「ふふふ____」
「地獄でお会いしましょう」
ドッガアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァンンン!!!!!!!!!!!!!
_______________
「___ねぇ」
「はい?」
「いつまでこうやって拘束されなきゃいけないの?」
「………まだです」
「さっきからずっとそうじゃん……いい加減足が疲れたよー」
「………」
(はぁ、こんな事態なのに
……こうして拘束されてる場合じゃないんだよ!?)
「くっ!先生を開放しなさい!」
(ハスミは相変わらず説得しようとしてくれてる……やっさしー!)
……その時
ドッガアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァンンン!!!!!!!!!!!!!
「!?」
遠くの方から凄い大きな爆発音が聞こえる
「な、なんの音なの!?」
「………っ」
(この方向から爆発音……あれ?ハイドリヒって……!)
「ねぇ教えてよ、ハイドリヒはどうなってるの!!??」
「この爆発音……まるで調印式の時のようです___」
「………すみませんでした、先生」
スッ
「?」
武装親衛隊は先生から銃をおろして謝罪する
「………っ!」ダッ
「あ!逃げましt「違う」………へ?」
「___追うよ」
嫌な想像をしてしまう
「っ!」
「ちょ!先生!」
だから走る
確かめるために
私の想像は外れたと確認するために
____________________
「はぁ……はぁ………」
走る
爆発音が聞こえた
まるであの日と同じようだった
その音が聞こえた瞬間、嫌悪感が私の体を支配した
だから走る
少しばかり破壊された道を駆け出す
元アリウス生であった白州アズサは瓦礫を超えて走る
「はぁ……っ!」
ダッダッダッ
「はぁっはぁっ!」
着弾地点からは近かった。
こればかっかりは不幸中の幸いだろう
少し走ったらすぐに着いた
辺り一面は火の気がはびこっている
「どこだっ!」
「どこにいるんだ……!!」
探す
ミサイルが着弾され、無常にも引き裂かれた場所を見渡す
「………!」
見つけた
大事な
私の大事な人間が
腕は曲がってはいけない方向にひしゃげていて、
足からは何やら白い物体が飛び出ていて、
頭からは生気が感じ取れない目が二つ見えた
ガシッ
すでに生きているかもわからない男を担ぐ
いや
「はいどりひぃ!」
目元に溜まっていた水が嗚咽とともに流れ出る
いやだ
背中からは弱々しい鼓動を感じる
いやだよぉ
「もう………大事な人にいなくなってほしくないよぉ………!」
一人の少女のか弱い声がこだまする
その言葉がハイドリヒに聞こえているかどうかなんて、神でさえ分からなかった