結局雷帝ってなんなんだよ………
「……」
(くそう!やりやがりましたねぇ……!)
腹部からの止まらない出血を片手で抑えながら、ベアトリーチェは黒服からもらった装置を使いゲートを作成する
「はやく……はやく入らねば……!」
遠くにはなにやら黒い軍服を着た連中が、
前から、後ろから、左右から……四方八方から迫ってきているのが見える
「こ、これが作戦……ですか!?」
ベアトリーチェは驚愕する。
今までアリウス分校の生徒の犠牲を前提とした作戦は何度も行ってきたし、それが普通だと思っていた。
しかし、この男はトップである自分自身の犠牲を前提として作戦を遂行しているのだ
(正直、この精神力には驚愕しました。
__部下を一人も連れてこなかったことを考えるに…一人で犠牲になろうとして、私を殺そうとしたのですね……しかし、それも無駄に終わりましたねぇ)
「では、さらばです」
ブゥン!
そう言い放つと、ベアトリーチェは黒い渦の中に吸い込まれるように消えてゆく
多数のアリウス生を残して___
「__いてて……」
「…………あぁ」
張り裂けるような爆音の後、無惨な姿のアリウス生だけが残っていた
「痛い!いたいよお!」
「め、めめ目がぁ!」
「ぐおぉ……」
現場は阿鼻叫喚
「おい!さっさとずらかるぞ!」
「助けてくれぇ!腹に、はらに裂け目が!」
「………」
様々な生徒に大小それぞれ傷が付けられている
その中の軽症の部類の生徒が重大な傷を負った者を運び、なんとかその場から逃げ出そうと努力する
まぁ努力で終わるのだが
「に、逃げ…ろ………「ドドドォン!」ぎゃ!」
「…!?」
突如として一人の生徒が銃弾をその身に受け、気絶する
(………え?)
ドドドドドドドォン!!
「うおおおおお!」
「殺せ殺せ殺せえ!!!」
すでにボロボロな状態のアリウス分校に対して武装親衛隊が追撃を開始。一瞬何が起こったのか理解できていなかった生徒の順に銃で撃たれ、銃床で殴られ、首を絞められ、ナイフで傷を更にえぐられる
まるで死体に群がる蝿のように俊敏に的確にアリウスに対して攻撃を加えていくその様は考え抜かれた作戦だということが一発で分かるほどだった
「うわああああ!」
「くそ!応戦しろ!」
ズガガガガガガガガガガガガガ!!!
「ギャッ!」
「ぐわっ!」
「喰らえぇ!」
ポイッ
ドガアアァァン!!!
「っ!!」
「おらぁ!」ドゴォ!
「ギャフッ!」
ドドドドドドドォン!
「撃ちまくれ!誰一人として逃がすな!」
「うおお!!!」
ドドドドドドドォン!
キュラキュラキュラキュラ!
ドォン!
戦車砲が火を吹く
その行く末には足が動かず仲間におぶってもらいながら逃げている生徒の背中に直撃し、爆発四散する
「グレネード!」ポイッ
ドガアアァァン
「しねぇ!」
「オラァ!」
ブォォォォォォォォォォォォォォ!!!
空からは攻撃ヘリによるガトリング掃射が始まる
「ひ、ひぃぃぃ!」
「長官ばんざーい!!!」
ドドドドドドドォン!!
「退避!たいひーー!!」
その場には逃げ出そうとするアリウス生で溢れかえっているが、何人たりとも武装親衛隊の攻撃からは逃げ切れないのは明らかだ。
陸からは歩兵に戦車の大群が群れをなして襲いかかる。
空からはガトリング砲からの容赦ない弾幕が襲いかかる。
誰も彼も慈悲なんて言葉は口にしない
「や、やめ………」
「…………ふんっ!」
バギィ!!
一人の隊員が銃床を勢いよく顔面にめり込ませる
相手からは言葉の代わりに顔面から生暖かい血がしたたり、銃床を濡らす
「…………」
(おいしそう)
れろっ
怪物は止まらない
__________
「………武装親衛隊より報告、作戦成功だそうです」
場所はトリニティの廃墟群の中。風紀委員会は無断侵入していた
「分かったわ……貴方もいい加減吐いたら?情報を」
グリッ
「うぅ………!」
愛銃であるデストロイヤーを頬に押し付け威嚇する
彼女の名は空崎ヒナ、ハイドリヒからのSOSを受け取ってこのトリニティに訪れていた
………いや、訪れていたという言い方は違うかもしれない。
戦闘行為を行っていたという方が正しいだろう
彼女の後ろには破壊された戦車に大砲、未使用の砲弾が点在していて、もちろん使い主であったアリウス生徒もみんな白目をむいて倒れていた
その中でもまだ意識のあった生徒に対して尋問をしている最中である
「こっちも時間がないの、アリウス分校はどこ?座標は?」
「だ、だから知らないんだ!本当だって!」
「………」
「さっきからずっとあの調子ですね……そうとう忠誠心が高いようで」
少し離れた所で、ジョジョに出てきそうな奇抜な服装をした彼女の名は天雨アコ。
これでも行政官だ
「………実は本当に知らないだけじゃ?」
いかにもツンデレ属性な見た目の彼女の名は銀鏡イオリ。
風紀委員会の切り込み隊長だ
「そんな事ありますか?だって隊長格の人物ですよ?」
ズドドドドドド!
「あ、撃たれた」
どうやら風紀委員会にとって価値のない人物だと判断されたらしい。ヒナによって頭頂部にデストロイヤーを撃ち込まれる
「………行くわよ」
「え?行くってどこに?」
「ここにいる理由はもうなくなった、後は武装親衛隊に任せとけばいいわ」
「な!?なぜトリニティの連中なんかに任せるんですかぁ!?これは我々の手柄ですよ!!!」
しかし、それを
「元々これは武装親衛隊からの要請だった、それに私達が無断でトリニティ内部に侵入するのは色々とよくない。さっさとずらかるわよ」
「で、でもぉ!」
「またアビドスの時みたいにしたいの?」
「………」
「帰るわよ」
風紀委員会。
帰投!
__________
「………」
「はぁ………くっそ!」
「いたい………いたいよぉ」
皆はもう分かっているだろうが、ここは病院の中だ。すでに多数の患者を入れている
「包帯はありませんか!?」
「くっそ!血液が不足しております!だれか献血にご協力お願いします!」
「大丈夫ですよぉ……この薬を打てばきっと良くなりますよ」
現場はもう崩壊状態である
だがしかし、そんな病院にも一筋縄の光が見えてきたりするもんである
「包帯届きました!!」
「献血ありがとうございます!」
「………落ち着いたようですね」
少しづつ、しかし着実に良くなりつつある
「このまま行けば……なんとか……」
救護騎士団の団長である彼女はそう安堵する
(まだまだ沢山救護対象はいますが、なんとか捌き切っている現状……しかし、このまま順調に救護していけば崩壊だけは免れますね)
………しかし、ここで新たな問題に直面する
ガラッ!
勢いよく病院の扉が開くと、見知った顔があった
「た、大変だ………!」
息遣いが荒く、目の焦点は定まっていない
「どうされました………か…………!!!」
彼女の背には重症を負った男が背負われていて、その男からまだ温かい血が滴り落ちて地面にちっちゃい水たまりを作っている
その瞬間、彼女は確信する
「………この前よりも酷い事態ですね。
優先的に救護させてもらいます」
「ハイドリヒがぁ!はいどりひがぁ!!」
(…酷い精神状態、ひとまず落ち着いて貰う必要がありますね)
「安心してください。彼は我々救護騎士団が責任を持って治療させてもらいます」
「………あぁぁぁ」
「ハナエ、アズサさんも救護してあげてください」
「りょうかい」
「では早急に手術します」
そう言い、ゆっくりとアズサからハイドリヒを受け取る
いざ触ってみると人間独特の温かみがほとんど感じられなかった
目はまるで彫刻のように生気がなく、その瞳の中には精神が感じ取れない
(正直言って助かるかは分からない。
でも、ここで諦めたら誰も出来ない)
そしてミネは再び手術室に入ってゆくのであった
なんか今回は助からなそうな気がしますよね