ᓀ‸ᓂ<今回は私が主役だ!
「私には今、悩みがある」
「それは別にテストでいい点数を取れないとかじゃない」
廊下の中央でアズサは虚空に向かってそう話しかける
端から見たら頭がおかしいと思われてしまうのは防ぎようがないだろう。
いや、喋らなければいいとか正論言わないでください
「私の悩みとは………そう、この気持ちだ」
「あ、アズサちゃん?独り言大きくないですか?」
「このモヤモヤ感、言い表すことの出来ないこの状態について一刻も早く回答がほしい」
「へ?どうゆうことですか?」
「そのためにこの私、白州アズサは彼女の元へ向かうのであった………」
「本当にどうゆうことですか?」
__________
タッタッタッ
妙に早い足取りで見慣れた廊下を前に前に進んでゆく。まるで何かに急かされているかのように
「………」
「どうしたんですか?なんか今日早足ですし__「ピタッ」それでいて急に止まっちゃって……あれ?ここって………」
アズサは急にとある教室の前で立ち止まった。どこか見覚えがあり中からは聞き覚えのある声が二つ聞こえてくる
「懐かしいですね〜。補習授業だった時沢山入り浸りましたよね___でも急になぜここに?」
「………ヒフミ、この音が聞こえないか」
「え?…………あ、なんか部屋から声が聞こえてきますね…ちょっと覗き見してみましょうか」
「………」コクッ
サササッ
素早く物音が聞こえる教室のドアに接近し、覗き込むようにそっと動く
「………」
その中には二人のピンク髪が口論していた
「だからこれは没収品だって言ってるでしょ!?わ、私がエッチな本なんて読んでるわけないじゃない!」
コハルがそう言い放つ
「うふふ❤️でも先程までねっとりと読んでいましたよね?私物じゃないんですか?」
「ち、違うわよ!これは___そう!確認作業よ!これも大事な正義実現委員会の業務よ!」
「___では、この付箋は?」
スッ
ハナコはまるでヘビのように指を動かし、コハルの持っているエ駄死本に挟まれている明るい緑色の付箋を指差す
「これ?えっと…ぼ、没収した相手が付けたんじゃない?た、たぶん絶対にそうよ!」
「へぇ……」
予想通りな反論されたハナコは、次にコハルの筆箱の方に指を運ぶ
(うふふ_ビンゴ❤️)
「……話は変わりまずが、コハルちゃんの筆箱は可愛い色をしていますよねぇ…ピンク色で……」
「あ、ありがと___どうしたのよ急に」
「ほんとに可愛いですね………」
ガサガサ
「あ、ちょ!」
ハナコはコハルの静止を無視して筆箱の中を漁る
「…………あ」
スッ
中に入っている鉛筆や消しゴムを無視して、一つの蛍光色のある物を取り出す
「……これとか可愛いですねぇ…明るい緑色の付箋❤️」
「あ、そ、それは____」
ハナコはエ駄死本についている付箋とまったく同じ色をして、まったく同じ大きさの付箋を取り出す
___なぜこの付箋がコハルの筆箱の中に入ってるのかって?
そんなのもう聡明な読者様方なら理解できているであろう
「あれあれあれぇ?この付箋……見覚えがありますよねぇ?」
「ち、違うわよ!!!た、たまたまだから!!この本の持ち主がたまたま付けてたってだけよ!!!」
「おや?私はまだこの本と同じだなんて言ってないじゃないですか〜〜〜ねぇ!?」
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
ガバッ!
コハルはそのちっちゃい体でエ駄死本に覆いかぶさる
「見ないでぇぇぇぇ!」
「うふふ❤️❤️」
「………なにやら荒ぶってるな」
「そ、そうですね……あはは………///」
「?」
(なぜそんなに顔を赤らめてるんだ?)
「そろそろ行くか」
ガチャッ
「だから違うんだってーーー!」
「うふふ❤️………あら、アズサちゃんにヒフミちゃんじゃないですか。お久しぶりですね」
「はい、今日も今日とてお二人仲がいいですね……あはは」
「だからこの本はーーー!……あ、ヒフミじゃない、アズサもいるのね」
「ああ、久しぶりだな。
今日はハナコに会いに来たんだ」
「あ、そうだったんですね」
ヒフミはここに来て初めてアズサがここ、補習授業部の部室に来た理由を知った
どうやらアズサはハナコに会いたかったようだ
「へぇ…私になにか用ですか?アズサちゃん」
「ああ、ちょっと相談があって。ハナコなら分かってくれると思うんだ」
「あら?そうですか?
____じゃあお聞きしても」
「」コクッ
_____
「それでだ、相談したいことがあるんだ」
「なるほど」
教室の席を挟んで二人、ハナコとアズサは話し合いをしていた
「それで、何かあったんですか?」
「うん……この前病院で傷だらけのハイドリヒと会ったんだ」
「あぁ…確かミサイル直撃で重症を負ったんでしたよね」
どうやらけっこうこの噂は広まっているようだ
__まぁそれ以前にハナコだったら知り得ているだろうが
「それで、色々とお話したんだ。それに約束とかも色々とした___例えば危ない時は私を呼ばせるようにしたり、今度デートに行って可愛い服を買ってもらう事になったんだ」
「なるほど、それは妥当な案ですね」
「それで……さ、最後の時に…………///」
「?」
急に話の途中で顔を赤らめながら言葉を詰まらせる。
その顔はまるでさっきまでのコハルみたいだ
「えっと………あうぅぅぅ____」
「ヒフミさん、一体何があったんですか?」
すかさずハナコは代わりにヒフミに問いかける
「えっとですね……た、確かあの時アズサちゃんが『可愛い服を買ってもらう!』って言ったんですよ」
「ふむふむ、さっきの約束の続きですね」
「はい、それでアズサちゃんがそう言った後ハイドリヒさんが『そのままでもアズサさんは十分可愛いですよ』………と」
「///」
「!?」
「なんと、それはそれは………」
「それでエッチしたの!?」
「してませんよ!?………それで、アズサちゃんが爆発して病室から飛び出しました」
「エッチ!?」
「だからしてませんって!」
「分かりましたありがとうございます、だいたい理解できました」
「流石ハナコだ、相談して良かった」
どうやらこの少ない言葉だけでアズサの心を理解することが出来たようだ。
流石はサクラコからシスターフッドを任されただけある
もし彼女が武装親衛隊に入隊していたらほぼ確定で重役につけていただろう
「つまり……アズサちゃんはハイドリヒさんが気になるんですよね」
「そう……なのか?確かにハイドリヒの事を考えると心がモヤモヤするんだが……」
どうやらまだ理解が出来ないらしい
しかし、彼女が今まで過ごしてきた環境を思い返してみればそれも当たり前であろう。
そもそも
「う〜〜〜ん………そう…なんだな………?」
「そうですね、じゃあ分かりやすく例えてみましょう。
アズサちゃんはモモフレンズが大好きですよね」
「ああ、可愛いからな」
「今アズサちゃんにはハイドリヒさんに対してそれと似た感情を持ち合わせているんです」
「でもいっつも寝る時にペロロ人形を見つめるが……特に心臓の鼓動が早くなることはないぞ?」
「あぁ……はい、今ので確証しました」
「アズサ……あんたそれって」
「はい、絶対にそうですよね」
「?」
「「「恋ですね(ね)」」」
「こい?」
アズサは恋という概念を理解できていないのか、首をかしげる
「恋……?」
「はい、アズサちゃんはハイドリヒさんに対して恋してます」
「おぉ……これはエッチなの?」
「あはは……アズサちゃんも乙女ですねぇ」
「なんなんだ”恋”って?」
「そうですねぇ____言葉で表すのはとても難しいのですが…例えばアズサちゃん。もしかして皆で話している時も自然とハイドリヒさんに視線を持っていっていたりしてません?」
「…………自分ではよく分からないな」
「してますね。この前一緒にモモフレンズショップに行った時もペロロ様じゃなくてハイドリヒさんに視線を向けてましたよ」
「そ、そうだったのか?」
「そりゃああの変な鳥なんて見たくないわよ……」
「あはは」
「!?」
彼女自身は気づいていない、つまり無意識でハイドリヒを見つめていたということだ。
もう一度言おう、”無意識で”ハイドリヒを見つめていたのだ
「それ以外にも、他の女性が彼と話していたらその感情とはまた違ったモヤモヤが出てきたりしませんか?」
「ああ、よく分かるな」
「やっぱ恋ですね」
ハナコは再びそう断言する
「恋か………つまり恋ってなんなんだ___」
「難しく言えば恋とは特定の人や物に強く惹かれる感情、または恋愛そのものを意味します__例えば特定の人間と一緒に過ごしたい、とか一緒の時を送りたい___とかですかねぇ。
すみません、なにぶん私もその経験が薄くて……あまり力になれませんでしたね」
「いいやありがとう。少し心が軽くなった気がする」
「それは良かったです……」
(まさかハイドリヒとアズサが……あれ?エッチじゃない?)
相変わらずピンク髪エッチ小僧はよく分からない事を考えている
「じゃあ行ってくるよ。ごめんヒフミ、今日はこの辺で」
「はい……どこに行くんですか?」
「そりゃあ決まっているだろう」
「?」
「えっと……どこですか?」
「……………」
「ハイドリヒの所にだ」
「「え」」
「………」
「善は急げ!ハイドリヒが言ってた!」
ダダダッ
「あ!ヒフミちゃん!」
恋する乙女は今日も走る
「…………」
「ん?どうしたのよハナコ、さっきまでの元気はどこ行っちゃったの?」
俯いているハナコの顔を覗き込むように首を動かす
「…………いえ、私は友達ですからね」
「はい?」
「……ふふふ。私も軽い女ですねぇ」
今回の主人公はアズサだけどまだ筆者はアズサをお迎えしておりません。
アズサ親衛隊の皆様には大変ご迷惑おかけします。
うん?なんか外が騒がしいな______
ぎゃああああぁぁぁ!