信じられるか?これってトイシェン作戦から3日しか経ってないんだぜ
「……なぜ窓から?」
落ち着いて聞いてくれ、今俺の目の前に懐かしい不審者が立っていた
いや、懐かしい不審者ってなんだ?
「クックック……見てましたよ」
「話を聞いt……な、何をですかっか!?」
「そんなに興奮しないでください」
慌てふためく俺に対して
「大丈夫ですよ……いやぁ、青春ですねぇ。あの人と先生が守りたいと願っているのも理解できます」
「そ、そうですか………」
「それにしても、告白ですか」
「い、いえ!きっとあれですよ!動物とか友達とかに対する愛情表現です……ぜったい」
「ほう、ではそうしときますね」
黒服は顎に手を当てながら近くの椅子に座り、そう言い放つ
そしておもむろに話題を変える
「それにしても素晴らしい神秘ですねぇ………超自己治癒能力に超耐久力」
「ネーミングセンスなんとかならなかったんですか」
「これの名前を決めたのは私じゃありません」
どうやらこのどっかの会長が付けたようなダサい名前は黒服が付けたわけじゃないらしい
「では一体誰が?」
「………いずれ知ることになりますよ」
もったいぶんなよ___
「貴方も罪な男ですよねぇ……あんな可愛い娘をあんなんにして」
「はぁ?私ってそんなにおかしいですか?」
ハイドヒリは頭上に疑問符を浮かべながらそう問いかける
「はい。
他人は最大限助けようとするくせに自分の命は全くと言っていいほど興味がない。それにゲヘナが嫌いだという仕草をするくせにどこかゲヘナ生徒にも優しさを醸し出す……そして誰に対しても優しく接して相手を惚れさせておいては、放置をする。
控えめに言ってもやばい男です」
「全部私の良いところじゃありませんか」
「…………」
「あと惚れさせてなんてありませんよ」
↑
超鈍感
(嘘でしょう!?これだけ醸し出されて惚れさせていないだって!?!?相手の顔みれば一目瞭然でしょ!)
「そ、そうですか………あはは…」
「所で、私の事を褒めにきたわけじゃないでしょう?」
ハイドリヒはベッドから半身を起こしながら黒服の目を見つめる
まるで獲物を見つけた鷲のように
「……………貴方の前では隠し事が出来ませんねぇ…彼とおんなじです」
___なるほど、だいたい察したわ
「私の、父親ですね」
「御名答」
正解だった。
だが、ハイドリヒには一つの疑問が浮かべられた
「なぜこのタイミングなんでしょうか」
そう、言えるタイミングだったら何時でも有ったはずだ。現にこうやって俺の護衛を掻い潜りながら面会することが出来ているのだから
それか武装親衛隊内で内通者がいる
「クックック………彼との契約です」
契約?
「『息子が他人のために命を張れると分かったら
「へぇ……で?どんな人間だったんですか?」
ハイドリヒは興味津々だ
「そうですね……では最初から話しましょうか」
黒服はどっしりと来客用の椅子に座り直し、淡々と昔話を始めた
_____
__________
_______________
____________________
それはとある真夏の夜
息がしにくいほどのむさ苦しさで、とてもじゃなければ研究になんて手が付けられませんでした
そんな私は夜風で体を涼ませようとしたのは言うまでもないでしょう
この選択が、彼との対面を誘導したのかもしれません
『………』
空を見上げれば満月がおしとやかに輝き、その光が私の火照った体を照らしてくれました
___ええ、本当に気持ちの良い夜でしたよ
もう少し涼んだら戻って睡眠にしよう……そう頭の中で考えた
その瞬間
『やあ』
後ろの方から男性の声が聞こえました
私は当時驚きましたが、なんとかそれを感づかれないように振る舞ったのはいい思い出です
まぁバレていましたけどね
その男はこう続けました
『驚かすつもりはなかったんだ。ちょっと君とお友達になりたくてね』
『……クックック。なるほど、私と初対面だけど友人になりたいと』
『うん』
しかし、私は当然のごとく拒否しました
『ここは小学校の入学式ですか?こんな大の大人がなんの挨拶もせずに交友関係を気づこうとするなんていかれてます』
『じゃあ契約をしようよ。君の十八番だろう?』
この時は本当に驚きましたよ。なにせ私の本性が知れ渡っていましたからね
『………貴方はいったい何者なんですか?』
『
”オーディン”とでも名乗っておこうかな?』
自分の名前をオーディンと名乗る男は、背格好は私と同じくらい。モスグリーン色のトレンチコートを纏っている。
顔は
『なるほど、オーディンさんはなぜ私と友人になりたいんでしょうか…教えてもらえますか?』
『君ってさ、ほんっとうに面白い事を研究してるよね』
別に隠しているわけじゃなかったんですが……まさかこれまでバレているとは
『……貴方はどこまで知ってるんですか』
『君……いや、黒服君がゲマトリアって名前のグループを作って生徒の体に宿る神秘を研究してるのは知ってる。逆に言うとそれ以外はあまり知らないんだよ』
『ほう』
怪しさマックスでしたね
『黒服君…君ってさ、忠誠心って分かるよね』
いきなりなんの脈絡もない事を言い放たれました
『……もちろん知っていますが』
『そうだよね。いきなりこんな事を聞いたのはさ、私が忠誠心と神秘について研究してるからなんだよ』
この瞬間、私の脳内で好奇心と興味が溢れかえったのが実感できました
『……おっと、もうこんな夜だったんだね………じゃあまた明日。明日また来るよ』
『………ええ、その時はお茶でも用意しときますね』
『ふふふ、楽しみにしてるね』
ブォン
そう言って彼は作り出された深淵の中に消えていったのでした
____________________
_______________
__________
_____
「……嵐のような人間ですね」
まじかよ…俺のお父さんって一人称が気持ち悪い変人じゃん
しかも”オーディン”¹って………厨二病属性も兼ね備えてんのかよ
「オーディンって…私の父は厨二病だったんですね」
「残念ながら」
黒服があっけらかんにそう答える
とにかく……なんでこんな男が母と結婚できたのだろうか?
「ここでハイドリヒさんは『なぜこんな男と母が婚約を結べたのか?』と思ってるでしょう」
「______はい」
もしかして思想が盗聴されていた!?アルミホイルを頭に巻かなきゃ!²
「そうですね………それはあれから少し経った真夏の夜」
真夏の夜じゃなきゃ会えないの?
_____
__________
_______________
____________________
彼ともある程度仲良くなった当時、ゲマトリアに歓迎しました
それからも彼は面白い研究を我々に紹介してくれたり___たまに彼が作った物を拝見することがありました
こんな日がまだまだ続いてゆく……そう思っていたんです
それは突然でした
『子どもが出来た』
『………………………は?』
その時、私は手に持っていたコーヒーが入っているマグカップを勢いよく地面に落とし、床をコーヒーで濡らしました
だが、そんなどうでもいい事にかまっている暇はありません
今はこの男に根掘り葉掘り聞かねばならなかったのです
『できちゃった❤️』
『ま、待ってください………嘘でしょ!?貴方のような人間が!?!?』
ええ、今になって気付かされましたがその時はけっこう酷いことを言っていましたね
『いやぁ〜元気な女の子だってさ!』
『あ、ああぁぁっぁ(唐突な嗚咽感)………なるほど』
彼は目に見えて浮かれてましたね___いわゆる親馬鹿のような感じでしt_____
「ちょっと待ってください」
はい?
____________________
_______________
__________
_____
「どうしました?急に話を遮って………」
「今……女の子って言いました?」
俺は言わずもがな男だ__つまり
いや?ただの言い間違えか?
___それもそうだよな、間違えちゃっただけだもんな
「ええ、貴方の姉に当たる人物ですね」
「なるほど」
「それで話は戻しまs「ちょっと待ってください!!!」……どうしました?」
衝撃情報をさらっと流された俺は、目をはち切れんばかりに見開きながらそう叫ぶ
「あ、言い忘れてましたね……すみません」
ふざけんなよ…てかそれは初めて会った時に言えよ
___待てよ?てことは婆やとか皆知ってたってこと!?
「そのうち会わせますよ」
「待ってください」
おいこら、まてよこの黒豆
「簡単に言うと腹違いの姉がいます。以上」
「________________はぁ?」
ちょまって…俺の生涯で一番の驚き情報なんだけど。トリニティの内戦よりも驚いたぞ
「ちなみに貴方は不倫で生まれた子どもです」
待ってくれそんな事実知りたくなかったんだが!?
ハイドリヒは口をあんぐりと開けていて、もはや驚いていることを隠そうともしない
___つまり、
俺には父親が一人、母親が二人、そして血の繋がりがない姉が一人いる。
しかも俺の父は不倫していて、そんで生まれたのが俺
ついでにもうすでに死んでいる……。
俺の母も亡くなってるからあっちでリンチされてるな(確信)
「あと母親が二人とも他界しているので今生き残っている家族はお義姉さんだけですよ」
「…………」
やっべ…頭がパンクする
「ち、ちなみに……お義姉さんはなんてゆう名前の方なんですか?」
「ああ、それは口なs_____
黒服が名前を言おうとした
その時
ガラララッ
「ハイドリヒ元気〜〜〜!?」
「「あ」」
病室の扉が勢いよく開けられ、大人の女性が満面の笑みで入室してくる
だがしかし、この
「……………ねぇ」
「は、はい…………?」
あ、終わったな
「なんでお前がいるの?」
「「ヒィッ!」」
「殺す」
次の瞬間、先生は近くにあった果物ナイフを手に取って目にも止まらない速さで黒服に接近する
「逃げますっ!」ガラッ
「逃さん!」
「うわっ!」
侵入してきた窓から逃げた黒服を捕まえるべく、先生はつい先日まで銃撃で寝込んでいたとは思えないほどの走りで黒服を追ってゆく
その姿は、まるでトムとジェリーの殺意高め版のようだったとさ
「あ、こけた」
この後めっちゃ先生に心配されたのは、また別のお話で