すみません。風邪ひきました。多分また投稿が遅れると思います。
開始の合図とともに、双方ともにぶん殴ろうと相手に近づく__と同時に俺は少しだけ右足を宙に浮かしておく
「っ」
ドゴォ!
「ふっ!」
ミカはハイドリヒから繰り広げられた渾身のキックをなんとか両手を用いて防いで見せる
(……明らかにさっきより強くなってる)
ほう?俺のローキックを上手く防いだようだな
「呆けてる場合かぁ!喰らえっ!」
「きゃっ!」
ハイドリヒが一瞬にしてミカの前でしゃがみ込み右手を支柱にして今度はミカの右足に向けて蹴りを入れる。
そうすると案の定、彼女は前に倒れ込むように体を傾けた。それを好機と見たハイドリヒは更に追撃を重ねようとする___が
そう上手くはいかない
「……っ!」サッ
避けr___
ドガァァァン!!!
「あはっ☆バレちゃった」
ミカの拳の下には明らかに人間単体が作りだせないようなクレーターが広がっている。あそこに留まっていたらと思うと、ハイドリヒは背筋に何か冷たいものが通る感覚に襲われた
「チッ」
「ちょっと〜〜〜聞こえてるよ?」
「聞こえてないように努力したつもりです」
彼女はただ転んだんじゃない。
「………」
多分頭で考えたんじゃないだろう。ミカ自身の闘争本能だ
___だがな
こっちだってただ地面にしゃがんだだけじゃないんだぜ
俺は握っていた拳を思いっきり、まるでプロ野球選手が投球するかのようなフォームで右手を前に押し出し
そして拳を開く
ザバッ!
「っ!」
すると、拳の中から勢いよく
「うわっ!」
ミカは目に砂利が入る前にその瞳を閉じる
__それが俺の狙いだ
「くたばれぇっ!」
目潰しをしたそのままの勢いを殺さずに今度は左拳に力を入れ、ミカの懐に入り込む。
そして、俺は勢いづいている拳を上に持ち上げ腹にクリーンヒットさせる
「カヒュッ!!!!」
ミカの口からは息が強制的に吐き出される音が聞こえた。どうやら相当効いてるようだ
___だが
ブンッ
ズゴォ!!!
「っ____!!」
その瞬間、俺は胸部に鋭い痛みを感じると同時に一気に後ろにふっ飛ばされた。それを頭で理解するにはもっと時間がかかった
ズザザザーーーッ
「カッ、、、カハッ!」
俺もミカと同じように、口から__いや、肺の空気が外から押し出され一気に酸欠になる
「はぁっ………はぁっ………ふぅーーーー」
「うふふっ、効いてるみたいじゃんね」
「___殺す」
俺はつい反射的にそう返答してしまった__が、すぐに俺の過ちに気づく
「………」
つい、つい怒りが込み上げてしまって「ぶっ殺す」なんて言葉を使ってしまった。
この言葉はぶっ殺した時までにとっとかねぇとなぁ〜〜
なぁ?お前もそう思うだろ__ミカ
そんなくだらない考え事をしていると、俺の目の前に一つの拳が迫ってきていた
ガッ!
「__へぇ、やるじゃん」
俺はミカの拳を受け止めながら、どうやってこいつをぶん殴ってやろうかと模索する。
場所は何の面白みもない平坦なアスファルトの上での戦闘、必然的に障害物で相手を翻弄するという選択肢は消え失せる
見ての通り彼女はパワーゴリラ型、つまり近距離パワー型だ。そして俺も近距離パワー型
__つまり
「殴り合うしかありませんねぇぇぇぇ!!!」
「あはっ☆」
ブンッ
ドガァァァン!!!
「!」
俺とミカの拳が衝突した瞬間、凄まじい風圧とともに爆音が響き渡る
その風圧に負けたミカの長い髪が後ろにたなびく姿がなんとか目視できるほど、凄まじい激突だった
(やば………受け流そ)
サッ
「オラァッ!」
「!」
その隙を見逃さず、俺の左拳を前方に押し出す
その時、「ドガッ!」という気持ちの良い音と共に拳がミカのこめかみにクリーンヒットする___のだが
ガシッ
「っ!!!」
「えへへっ………つーかまえた」
この時を待っていましたと言わんばかりに、ミカが俺の左手首を握りしめ___思いっきり投げ飛ばされる
「うぉぉぉぉぉおおおお!?」
いきなり視界が反転したもんだから情けなく絶叫してしまった
ガッシャーン!!
「ぎゃあ!」
俺はまるで三下みたいな悲鳴をあげ、建物の中に盛大に突っ込んでいくのであった
__いや、これはチャンスか?
地面と背中がくっついた瞬間、俺は行動を再開した
ガシャン………ガシャン
「どこ〜〜〜?」
ゴリラが地面に散らばっているガラスの破片を踏み荒らしながら、建物の中に侵入してきた
キョロキョロ
(__ひっどい散らかり具合……あ、私がやったんだった)
ミカの足元には砕け散ったコンクリートをはじめ、ガラスや雑貨、弾丸まで散らばっている
(一階にハイドリヒ君の姿は見当たらない………かといって二階があるわけじゃない)
(でもここだけでもかなりの物が置いてある。ロッカーにタンスになんかのガラスケース……うん?)
ミカは視線を上にあげる
「___あはっ☆」
そこには。明らかに
それを見た瞬間彼女は確信し、近くに置いてあったコンクリートの破片を掴む
「そんな所に隠れちゃって……私にバレないとでも思ったっ!?」
ブンッ
ドガァァ!!!!
ミカが投げたコンクリートが壁に当たり、ダクトの奥側が顕になる
___だが
「…………いない」
「このお間抜けさんがよぉ〜〜〜」
「!?」
驚いて後ろを振り向いた__
次の瞬間!
「なんでそこにi____
ドガァァァァァァン!!!
「っっっっっ!!」
おっしゃ作戦大成功!
俺は建物の外……いや、建物だった瓦礫の外で高笑いしている
いやぁ…まさかあんなに分かりやすい餌に食いついてきてくれるだなんて思わなかった。
それに俺の思惑通りちゃんと爆発してくれて助かったぜ
__ん?お前手榴弾なんて持ってたかって?持ってないよ
じゃぁ何を爆発させたのか………それは。
弾丸だ
弾丸をあらかじめミカが侵入してくるであろう場所に撒き散らしておいた。
知っての通り俺は銃で弾丸を撃ったらまるでロケットランチャーでも撃ったかのように爆発させることが出来る__じゃあ撃たなくても爆発をさせることは可能じゃないか?……と気づいた
それでぶっつけ本番でやってみたが結果は予想通り大成功。てかそもそもこんな場所に使用されていない弾薬が転がってること時点で気づくよなぁ、何かしらトラップがあるって
そんな事を考えられなかったお前の負けd______
「よいしょっと☆」
「……………」
何もなかったかのように瓦礫から重たいコンクリートを押し出してミカは俺の眼の前に姿を表す
「チッ」
「もう隠そうとさえしないじゃん」
俺が舌打ちをするとミカは怪訝な表情になるが、そんなの俺にとってはどうだっていい
なぜこいつはこれだけの攻撃を受けても__いや、そういや武装親衛隊の一斉射撃でもビクともしなかった女。たかがこんな攻撃だったら効かないのも納得だ
うっわこの女面倒くさっ
「………」
見た感じまだまだ余力はあるだろう、それは俺も同じだ。このまま引き続き戦闘を続行するのは容易い__だが
それ以上に早くサオリ達に合流しなければならなかった
「………もうやめにしませんか?」
「へぇ、負けを認めるんだ」
うおっこいつ絶対に友達少ないだろ
「それは違いますが__考えてもみてください。これ以上戦っても私達になんの利益があるのでしょうか?いえ、きっとありません」
「ふ〜〜〜〜ん」
「しかも私を攻撃すればするほど貴方の罪は比例するように重くなります。引き返すのであれば今が最も良いでしょう……少し遅いかもしれませんが」
「はいはい」
__駄目だ、まったく聞き入れてもらえてない
「ミカさんを待ってる人もいるんじゃないですか?」
「…………」
この一言でミカは完全に黙ってしまった
「…………いない」
「いやいるでしょ?……ほんとは秘密でしたがセイア様はご存命ですしナギサ様だっています、その他沢山のトリニティ生徒がミカさんの帰りを待っていまs「分かってる!!!___」
ミカはさっきとは打って変わって顔を下にうつむき、泣きそうになりながら話しはじめる
「分かってるよ……もう、もう私には帰る場所なんてない………そのセイアちゃんが生きてるってのは多分ほんとうだろうけどさ…もう皆と一緒にいれることがないことなんて分かってる」
「きっとセイア様にナギサ様は許してくださりますよ」
「で、でも……………
ポタッ
「…」
ミカのまだ綺麗な瞳から一つの滴が重力に抗えず頬を伝って落ちてゆく。
それが地面に落ちた瞬間、悲しい音がその場で響き渡った
「わ、私は……ハイドリヒ君が必死に守ろうとした、トリニティの裏切り者で…ポタッ…
……何度もセイアちゃんに他の皆を傷つけようとした魔女だから………………………
私に帰る場所なんてないっ!……ポタッ……ナギちゃんにも、大切な人たちにももう会えない………ポタッ……だって私は魔女なんだし
生徒じゃなくなったら、せ、先生だって私なんかとは会えなくなっちゃう………そんなの嫌!__でも
私に幸せが来ないことなんて分かってる」
その言葉は、絶望と同時に諦めを意味していた
___あぁ
だが、俺はこの話を聞いてやっと理解できた
ずっと分からなかった。なぜ俺はミカにこんなに憎悪しているのか
___それももう過去の話だ
「羨ましかった」
いつの間にか一つの言葉が俺の気持ちに追従するかのように口からこぼれ出た
「___へ?」
「きっと私はミカさんが羨ましかったんです。ようやく納得できました」
それに対してミカが反論する。まるで意味の分からない物と接しているかのようにオズオズと聞き返す
「………なんで?」
たった一言、しかし、それには沢山の意味が込められているんだと思う
「貴方には帰る場所があります___いえ、決してミカさんが考えてるようにトリニティはミカさんを見放したりなんかしません」
「……でも私はハイドリヒ君のほうが羨ましいよ。地位も名誉もお金もある。噂だったら次期ティーパーティーになれるらしいじゃん?」
ミカは困ったような顔をしてそう話す
「母が死にました」
「えっ」
「__いえ、ずっと前に私を残してこの世を去ったと言ったほうが良いでしょう」
「な、なんでそんな話をするの………?」
確かにミカの言っている事も分かる。お前には関係ない話だもんな
___だが
「だからこそ羨ましいんです。まだ帰りを待ってくれてる人がいるのに”帰れない”と贅沢言う人間が。
だから必死なんです。これからは大事な人を失いたくないと思ってるから
__だから守りたいんです。私の、私の大事な大事な唯一無二の仲間を」
「…………」
いつの間にか、辺りは静寂に包まれる
それを切り裂いたのはミカだった
「……そっか、そうだよね。私は帰る場所も、大切な人も残ってるもんね」
「……………」
「うん。ごめんね?ハイドリヒ君」
「……はい_____
「ま、許すかどうかは別の話ですよこのメンヘラゴリラ」
「雰囲気ぶち壊しじゃないかな!?」
何故かハイドリヒはさっきまでのシリアスムードをぶち壊し、ギャグ路線に戻そうとしてくる__いや、元々ギャグだったか?
「さて問題です。私達が次に考えなきゃいけない事ってなんでしょーっか?」
「急すぎない?え、えーっと……「不正解!」まだ何も言ってないじゃんね」
沈黙が答えだと読み取ったぜ!
__じゃなくて
「私。ミカさんを武装親衛隊に通報したんです。位置情報とともに」
「ほうほう」
「多分あと少しで
「……めんどうだね」
こいつは面倒くさいくらいにしか考えてないが…本質はもっと厄介だ。
あいつら俺絡みになるととことん面倒くさくなる…なぜだ?(鈍感侍)
だから
「いい案があります」
「ん?二人でぶち壊すの?」
「違います。まず私が精一杯苦しんだフリをします」
「ふ〜〜ん」
「そしてミカさんがそんな私を抱きかかえて、『大変だ!ベアトリーチェにやられた!』と大声で叫んでください。こうすれば二人共仲良く
「………なるほど」
どうやら理解してくれたようだ
「でもさ」
「はい?」
「___なんで私のためにそこまでしてくれるの?」
ミカはただ不思議そうにハイドリヒにそう問いかける
「…もう貴方と戦うのは面倒だと思ったからです」プイッ
「へぇ〜〜〜ふぅ〜〜〜〜〜ん」ニヤニヤ
おいなにニヤニヤしてんだ殺すぞ
「じゃあなんでそんなに照れてるのかなぁ?」
「…照れてません」
言えない。「もう貴方とは戦いたくない」だなんて口が裂けても言えない
「ふ〜〜ん、私と戦いたくない……ねぇ?」ニヤニヤ
「……エスパーですか」
「口に出てたよ」
「うわあああああああ!!!!」
「あははっ!おもしろーい」
だからなにニヤニヤしてやがんだ殺すぞ!!!???
__と、その時
キュラキュラキュラキュラ
「お、これはキャタピラの音…ほら!早くしてください」
「オッケー☆」
ガシッ!
俺はミカの両腕に抱きかかえられるように倒れ込み、白目をむく
「おいっ!いたぞ!ミカだ!」
先頭車両に乗っている師団長が叫ぶ
「__あれ?長官!どうしたんですかっ!?」
「ハイドリヒッ!!!」
どうやらアズサまで来てくれたようだ。完全に予想外だったが……今だ!やれっ!
(了解☆)
「う、うわーー。ベアトリーチェがハイドリヒ君をボコボコにしていったなーー。大丈夫?ハイドリヒ君」(棒)
「な、なんとか大丈夫ですよーっ。あのベアトリーチェめ、許さんっ」(棒)
ドチャクソに下手くそな演技。だが二人はこれで満足そうである
「…………」
「…………」
どうだっ___
「なにっ!?マダムがハイドリヒをこんな状態に!?絶対に許さん!!!!!!!」
最初にアズサが食いついてくれた
「そ、そうです……」
「でも目立った外傷はないな___」
やばいっバレるか!?
「よかった」
よしっ!純粋無垢でよかった!
__しかし、師団長は止まらない
「よくない!こんなにも長官の顔が青白くなっている…今にも死にそうじゃないか!!!」
「た、確かに……」
それは仕事の過労だバカタレ
「__それにしても、なぜミカがハイドリヒを抱きかかえてるんだ?」
「そ!それは…………
「ミカさんが私を助けてくれました」
「「「なにぃ!?」」」
「っ!」
「なるほど__ありがとう。感謝する」
「え、えっと………」
「さっすがミカ様だ!さっきは『パテルの高圧洗浄機』だなんて言って悪かったな!」
「そんな事言われてたの?」
なんとか丸く収まった__一時はどうなるのかとヒヤヒヤしたぜ
__まぁ、昔の話はどうでもいい。大事なのは今だ
「未来はもっと大事ですね」
「ハイドリヒ?」
「アズサさん、ベアトリーチェがどこにいるか知ってますか?」
「あ、ああ。数回だけ行ったことがあるからな___なるほど」
「了解ですぜ。長官」
「え?なんの話?」
おいおいマジかよ。このゴリラだけ理解できてねぇじゃん
「私を、アズサさんを、先生を、ミカさんを、そして武装親衛隊の全ての隊員を傷つけた張本人___
_____ベアトリーチェをぶん殴りに行きましょう」
宣戦布告だぜ
風邪がつらたん。