最悪だ
まさしくここは地獄だと言えるだろう
唯一無事なのは私の家と地下研究室だけだろう
それ以外の場所ではなにかしら、どこかしらの人間が大小問わず傷を負い。中ではもう目覚めることの出来ないモノさえ現れた
この私は研究者だ、それに発明家でもある
だから___人々を救おうとした
「………ゴホッ」
タイムリミットは少ない
これまで人々を救うためにありとあらゆる事を決行した
仲間だった人間達と人工生命体を作った__まぁそれは結局なんか理解しがたい事をされたけど。あれは私が作った
彼女は王女なんかじゃない。私の娘だ
しかし、それでは解決できないと悟った
次に、兵器を作った。誰にも真似できない、素晴らしい破壊力の兵器を
だがそれを稼働させるための物は今現在作ることは出来ないと気づいた
それはあまりにも人道に反すると思い直すと、体の筋が冷える思いだ
___そして、最後に人を強化させる薬を製薬した
それは一回注射すれば、遺伝子レベルで受け継がれる
これだ
これこそ、人類を救う道標になるはずだ
「…ゴホッ…………ゴホッ」
相変わらず胸の奥から鉄の錆びついた味が込み上げてくるが、私はこれを薬以外で無くすことは出来ない
そんな事もどうでもいいと感じてしまうほど、夢中になっている自分が、いた
「……………」
まず私はありとあらゆる場所で、数人にこの薬を注射した
「………っ」
するとどうだろうか、彼女は一瞬目が白目になったかと思うと_バタッとその場で気絶してしまった
失敗だ
私はそう確信した
___しかし、運命は常に味方してくれていたのだ
翌日、彼女は何もなかったかのように私の目の前に姿を表した
頭に光り輝くリングを浮かばせて
私は歓喜した
とうとう成功したのだ!
私はそのリングを『ヘイロー』と名付け、その場を後にした
そのヘイローを持った人間の強化ぶりは素晴らしく。
肉体強度は勿論のこと_個人差はあるが固有の技まで持っている人間も現れた
私はその注射を何人もの人間にした
「…ゴホゴホッ…」
しかし、それと同時に絶望した
唯一、これだけは運命に見放されていたのだ
「………んっ」
今日も薬を飲み、症状を緩和させるが__もう長くは持たないことは分かる。多分私の周りの人間にも感づかれていただろう
悔しい
悔しい___
この私が、この呪に遮られて、これからの未来を見ることが出来なくなるのが…たまらなく悔しかった
___だが
ここで終わるのは私じゃない
もう手は打ってある
運命が見放すのなら、こちら側から迎えに行けば良いんだ
「……………」
試験さえ出来ていないが、ぶっつけ本番というところだろう
私は機械に乗り込み、作動させる
ガクンッとゆうなんとも不安になる音を聞き流しながら、私は自然に目を閉じて、己の生末を託した
ゴウンッ
鈍い音とともに、意識が戻りはじめる
窓からは土煙しか見えず、即急に外に出る必要がある__まぁそんなのぬきに外に出るけどね
ガチャッ
扉の取手に手を掛け、勢いよく押し出す
___すると
透き通る世界が私を祝福とともに出迎えてくれた
やった!よっしゃぁ!!!
無事出来たんだ!
そう思ってた
私が作った薬、その結果は様々だった
少なくとも『成功』とはあまり言いにくいだろう
薬の効果は凄く現れていた__が、その反面、人間たちの危機意識が無くなってきていた
人々は銃を携え。様々なコミュニティを作り。あらゆる存在と敵対し。戦争が始まる
違う
違うんだ
作りたかったのは、こんな世界じゃない
私は後悔した
あのまま、あの時の人間たちと一緒に同じ時を過ごしてれば、こんなことは避けれたはずだ
___だがもう戻れはしない
「ゲホッ、ゴホッ」
運命がそれを許さない
だがやるべき事は同じだ。
運命が見放すのなら、こちら側から迎えに行けば良い
私はその場で出来ることをなんでもした
まず当時の物知り君と接触した
__彼らといれば何か分かると信じて
それから……これが重要だと思う
愛する人と希望、を残した
一人はかつて私の家や研究所が存在していた場所で出会った
まるで厳しい環境の砂漠に咲く向日葵のような人だった
二人目はお嬢様、一目惚れだった
よく不倫は駄目だと言われるが私はどちらとも愛せていたらオッケーだと思う
まぁこれも自分の罪への言い訳に過ぎないけどね
__でも、楽しかった
思えば波乱万丈な人生だ
いきなり知らない所に移送されたと思えば科学者になり、そして今こうして朽ち果てる
二つの世界線を生きた人間なんて私くらいじゃないかな?__まぁ今になったらそんな事どうだって良い
この世界線なら大丈夫
きっとうまくいく
なにせ、
そのイレギュラーが存在するだけで、その世界は
ほら、君も分かるでしょ?
うん、そうだよ。画面の前の君だよ
この
君も読んでるでしょ?他のストーリーを。生徒たちの青春を__
そんなつまんない物を君達は見てるんだよ
あはっ、そうだね。私みたいな登場人物ふぜいにこんな事言われたくないよね
___でもさ、ほんとにそうかな?
君も同じじゃないかな?
この小説を描いてる筆者もそうじゃないかな?
その画面の前の世界も、また
君もオルガンに沿って踊るだけの登場人物じゃないかな?
君が認識できない
それが運命じゃないかな?
_____答えは私には分からない
だけどね
…………………
あはっ
あーあっ、私もそっちに行きたいなぁ
私も、読む側になりたいなぁ
ねえ
ねえ
______ねぇ
いつかそっち側に行くね