ハイドリヒ「淫夢?聞いたことがありませんね」
アリス「!!」
モモイ「アリスやめなって!」
「…………」
殆ど土地勘のない光り輝く機械都市を一台の高級車が走行している
周りの車は大体が利便性を重視したものばかりなので一層ハイドリヒの乗っているリムジンが目立ってしまっているのだ
キィィィ!
甲高い音とともにリムジンは信号機の足止めにあってしまう。ふと窓の外に視線を移してみるとおそらくミレニアムの学生だろうか、大きな丸メガネを掛けた少女や赤髪の丸いツインテール?の髪型の少女がこちらを覗いてきた
どうやらここら辺に
「…………」
スッ
リムジンの中、ハイドリヒは思い出したかのようにスマホを取り出して何処かに連絡する
そのモモトークの画面には”ユメ”と記されていた
『ん?どしたの?』10:45
やっべ、ここで急に「妹が出来た」なんて言ったら驚くだろうな_どうしよっかなぁ。
てか俺が姉がいるって言われたのも唐突だったしここは流れに沿ってストレートに言葉を投げつけるか?それもいいけどなにか…面白みが無いっていうか___
でもこんな重大な事をウケ狙いで言っちゃっていいのか?さっき『大事な話』って言っちゃったしなぁ_てか既読早すぎだろあの人
かといってメッチャ真面目なのもちょっと堅苦しい気が……
う〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん………
__まぁいいや(面倒くさい)
『やった!いつか会いたい!!(>▽<)』10:55
「………」
「どうかされました?」
運転手がハイドリヒに問いかける
「いえ、ただユメ姉さんが単純で良かったな〜と」
「可愛らしいお姉様ですね」
コレほど身内が単細胞で嬉しかったことなんて無いだろう
なんだ?俺の姉可愛すぎでは?
てか俺が10分位悩んでたのに一瞬で終わったじゃん
はぁ、よかった____待てよ。
俺はアリスになんて言えば良いんだ?
確かにユメ姉さんとアリスの性格は殆ど同じだ、恐ろしいほど純粋っぷりだから案外聞き入れてくれる……わけないか
「………っ」
ハイドリヒは再び葛藤する
「どうかされましたか?お坊ちゃまは車酔いではないはずでしたが__」
「いえ、これからアリスさんと会った時にどのように妹だと伝えればよいのか考えてまして……」
「お坊ちゃま、なにかご家族であるという証拠なるものはありませんか?」
あるけどそれ血液なんだよな〜〜〜
「ある分にはありますが、少し難しいもので」
「なるほど…ま、時間をかければいずれ分かるのが家族愛です」
「それもそうですね」
そんな気持ちを胸に、リムジンは街を走り抜けてゆくのであった
__________
「ようこそミレニアムサイエンススクールへ!歓迎するわよ」
「ありがとうございます」
校門らへんでユウカが腰に手をかけ出待ちしてくれていた。その手にはかすかに赤い液体が付着しているが…見なかったことにしよう
どうせコユキだろ
「今日はちょうどネル先輩の任務が入ってなかったからハイドリヒのボディーガードになってもらってるわ」
「……そうですか、それでそのネル先輩はどちらに?」
キョロキョロと当たりを見渡してみるがそれらしき人物は見当たらない。辺りにいるのは
「なるほど、ネル先輩はきっと本校に着いたらお見えできるのですね。早速行きましょう」
「え、えっと…………」
俺がそう問いかけると、ユウカはバツが悪そうな顔でそっぽむいてしまった__なぜだ?
「おい」
___ん?
はるか下の方から呼び声が聞こえてきた
「貴方は………どちら様でしょうか?」
「紹介するけど_この人が貴方が探してるネル先輩よ」
………………は?
「おうこらテメェいい度胸してんじゃねぇかっ」
そこには笑いながらも何処かブチギレている背の小さい先輩の姿があった
彼女の名前は
キヴォトスではトップレベルの実力者であったりもするが__そんな人間をハイドリヒは怒らせてしまったのである
この草も生えない状況で、彼はどのようにして乗り切るのであろうか……!
「え…えと………その………」
「あぁぁん!?ナメてんじゃねぇぞボケっ!!」
「ちょっ!ネル先輩ストップストップ!相手はトリニティのお偉いさんで____」
「だぁぁぁ!!そんなの関係あるかっ!」
ユウカはその体をフルに使ってなんとかネルを止めようと奮闘している
__そこにハイドリヒから一言
「えっと__すみません」
「あんだぁ?」
「つい小さかったので小学生と見間違えてしまいました¹」
「……………」カチン
「あ___」
果たして彼はどうなったのであろうか?___おそらく穏便には済まされなかったのだろうが、我々はそれを想像に頼ることにしよう
もし文章にして明文化してしまったらハイドリヒの惨劇を目の当たりにするはめになるからだ……それは双方ともに苦痛であろう
__そうだ、今回は違うものでも考えて気を紛らわそう
例えばユウカのパンツの柄とk
__________
いたい
特に頭頂部らへんがメッチャ痛い
「あたしの本気のげんこつで気絶しなかったのはお前が初めてだ__やったな」
「嬉しくなんかありませんけど!?」
「男だろ。文句言うんじゃねぇ」
それって今の時代アウトだろ……
「酷いです…貴方って一応私のボディーガードですよね?ボディーをガードする人ですよね?あんまりじゃないですかこんな仕打ちは___」
「うっせ」
ぴえん
どこかしらの狼さんならちゃんと守ってくれるかもしれないが、彼女は違った
普通に護衛対象に暴力を振るうヤバいヤツだったのだ
「てか初対面なのにあんなこと言うのが悪いだろ。これでもトリニティのお坊ちゃまなのかっ!」
「えへっ」
「たくっ………てかまず何処に行きたいんだ?名前さえ言ってくれれば大体の場所は分かるが……」
「そうですか…じゃあ___!」
ハイドリヒに電流走る
そういや何て言うかまだ決まってねぇじゃん!!
___どうしよ。このまま行ってもなぁ
「オススメとかありますか?」
「おすすめ?う〜〜〜ん__あ、『ゲーム開発部』とかどうだ?あいつらの作ってるゲームは良く分からんが面白いぞ」
ゲーム開発部?なんか面白そうな部活だなぁ
「案内お願いします」
「うっす」
アリスに会うのは最後らへんにしよ
ハイドリヒはこんな事を考えているが、ハイドリヒの脳内にゲーム開発部にアリスがいるという情報は何一つとして無かったのだった
__________
ミレニアムの廊下にて
「まじかよ…あたしより年下なのにもう社長さんなのか」
「総資産がミレニアム以上ですねぇ__まぁ社長とゆうのは名ばかりですよ。実際業務のほぼ全ては部下がやってますから」
「そうか。でも憧れるなぁ……もう金に困ることなんてねぇんだろ?そいつは一度でもなってみてぇなぁ……!」
「ははは………」
言えない、親の七光りだなんて口が裂けても言えない!
「そういやこの前ユウカが50万の物壊したけど立て替えてもらったって喜んでたけどさ__」
「ああ、あのワインですね」
「すっげぇ!」
「でしょでしょ?もっと褒めてくれても構わないです_____」
ドガアアアアアァァァン!!!
なにぃぃぃ!!
歩いていると、突然壁が勢いよくその場から飛び立つ
「チッ、あいつらか!」
「爆発…敵襲ですか?」
「いいやいつものことだ」
まじか。ゲヘナじゃん
内心驚愕しながらも、ネルは俺を置いて爆発した壁に侵入していく
まるでこのようなことを何度も体験したかのようにその姿勢は慣れていた
「おいっ大丈夫か?」
「………!」
ビシッ!
謎の機械の瓦礫の間から、まるでターミネーター2かのようなグッドサインが飛び出してきた
「ほら掴まって……」
「………!」ガシッ
ズズズズズ___
「やぁ。はじめましてだね」
「……そすね。大丈夫ですか?」
腕を引き上げると同時に紫色の髪をした少女が笑顔で登ってきた
「おや、私を助けてくれたのがハンサムなんて今日は運がいいね」
「あ、ありがとうございます……?」
「おいハイドリヒが困ってるぞ。やめとけ」
ネルがこいつのダル絡みを止めてくれた…こいつがエンジニア部か?
「貴方がエンジニア部の?」
「おや知ってたのかい」
「エンジニア部はミレニアムの花形の部活ですからね。有名です」
「ふっふっふ……そうかい」
どこか嬉しそうな顔つきで顔を緩めるその姿は、どこまでも余裕そうな雰囲気を感じる。まるでセイア様のようだ
「なにがあったんですか?すっごい爆発でしたけど……」
「ああ、開発途中の掃除機が大爆発してしまってね」
掃除機が爆発!?
「そんなことあんのかよ」
「それがあるんだなぁ…今度C&Cに郵送してあげようか?」
「いらねぇよそんなの」
ネルはキッパリと断る
「__それでなんだが、この人は一体?」
「こいつはハイドリヒっつうんだ。ミレニアムに見学に来たトリニティのお坊ちゃまだと」
「なるほど」
「はじめまして。
ラインハルト・トリスタン・オイゲン・ハイドリヒです。長いのでハイドリヒだけで大丈夫ですよ」
「うん、ハイドリヒ君ね。私の名前はウタハだ。今日はなぜこんな学校に訪れたんだい?」
「いえ、ちょっと見学ですよ。これからゲーム開発部に向かう予定です」
「おっそれは本当かい?」
ウタハはゲーム開発とゆう単語に反応する
「それならここに呼んできてくれないかな?持っていってほしい物があるんだ___」
そう言って彼女は俺から視線をそらして奥の方に向ける
___ん?
「なんですかあれ」
「気になりますか!?」
うおっびっくりしたぁ〜〜〜
「こらコトリ、やめなさい」
ウタハの静止も聞き入れずに、この女はペラペラとコレについて話しはじめる
「この武器の名前は『スーパーノヴァ』、光を圧縮して遠くに飛ばすエネルギー兵器です!本体だけの基本重量で140kg以上ありまして、ここに光学照準器・バッテリーほか必要な装備が付くため実際の重量はさらに重いんです!元は宇宙戦艦を作ろうとして出来上がった産物でありこの重さはそもそも船に乗せるために度外視にしていたためその様になってしまいました!反動も大きくとても人間が使えるような物ではありません!結局宇宙戦艦を作ることは叶いませんでした。なぜならこれに70%ほどの予算を吸われたからです!ですがロマンは素晴らしいものになっております!!!!!」
ふ〜〜〜ん(聞いてない)
__じゃあさ
「そうか。じゃあ行こうか__ハイドリヒ?どうしたんだ?」
「…………」
「よいしょっと」
グッ
「「「!?」」」
お、やっぱこんなに大きいからその分重たいなぁ
「さて、行きましょう」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!」
「はい?持っていけば解決では?」
何だお前ら、化け物を見るかのような目で見てきやがって
「重くないんですが?」
「う、嘘だろ………」
あ?重いに決まってるだろ。こんなに大きいんだぞ?
「まぁまぁですね___では行きましょうか、案内お願いします」
「あ、あぁ………」
そう言い残して、ハイドリヒ達は入ってきた壁の穴からまるで何事も無かったかのごとく出ていったのであった
「………あれ確か140kgくらいありましたよね」
「そのはず」
__________
えっほ、えっほ
「ここが開発部の部室だ」
ネルは一つの扉の前に立ち止まった
その扉は何の面白みもなく、派手な装飾の多い学校に通学しているハイドリヒにとってそれはとてつもなくつまらない物だったのだ
「では失礼します」
ガチャッ
とは言ったものの、両手が塞いであるからネルに開けてもらうのであった
扉が開いた瞬間、俺は絶句した
薄暗い部屋の中でひときわ目立つゲーム画面
薄汚れたカーペット
部屋の隅に追いやられた段ボールの山
散らばっているポテチのカス
騒ぐちびっこ
現場はカオス
「おいチビ共!お客さんだ!あと部屋は明るく綺麗にしろ!!!」
隣ではネルがまるでお義母さんのように怒鳴っている
___ん?
ここで俺はあることに気がついた
ちびっこ達の中に、見覚えのある人物がいたからだ
「あ!お久しぶりです!」
そう、アリスだ___なんでぇ!?
くっそ!こうなるんだったら最初からどうすべきか考えとけばよかったぞ!クソがぁ!!!
「お、お久しぶりですね……あはは」
「あ!ハイドリヒはアリスの
「まぁ、はい。遊びに来ました」
とっさに嘘をついてしまった
すると、アリスはまるで真珠のように輝いている目を更に輝かせながらこちら側にすり寄ってくると__
「パンパカパーン!ハイドリヒがパーティーメンバーに加わった!」
「え?」
すると、横にいる赤いのが騒ぎはじめる
「よっしゃ!じゃあ早速ゲームしようよ!ハイドリヒ!」
「ま、マジすか」
「アリスボコッボコにします!」
くぅ!言えねぇ!
「__分かりました。受けて立ちましょう」
「「わーーーい!!」」
俺は流れるままに床に座り、コントローラーをこの両手でしっかりと握りしめるのであった
「ネル先輩…この人は何者なんですか?」
「__分からねぇ…が、チビの武器を持てるくらいだ。怪力だということには変わんねぇだろうな」
結局このあとレースゲームで20連続最下位をとったハイドリヒは、この日を二度と忘れないという
睡眠って大事ですよね。