忠誠こそ我が名誉inトリニティ   作:もりもりバナナ

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うん?もしかして腹に穴が空いたくらいでハイドリヒが死ぬとでも思ってるのかい?



混沌と忠誠心

 

「…………」

 

見慣れた部屋で備え付けられてあるテレビをじっと眺める

 

いつも物騒な事が報道されているクロノススクールだが、今日は一際物騒だ

 

 

『こちらクロノススクールです!今トリニティでは緊迫した空気が流れております!』

 

 

「………大変だねぇ」

 

横でユメ姉さんがそう呟く

 

ほんっとに大変だ。比喩ではない

 

 

『現場では多数の武装親衛隊が集団で群れを作ってます!

その姿はまるで自分を大きく見せようとするシマウマのような………へ?殺されるからやめとけって?いやでも私は__了解しました』

 

 

懸命な判断に内心ほっとしながらも、どこでやらかすかとヒヤヒヤしながら見つめる

 

 

『おや?おやおやおや!』

 

 

「………やめときなさい」

 

 

『あれは戦車じゃありませんか!それも第一SSなんとかの?』

 

 

おいだから近寄るなって。あとなんだよその「第一SSなんとか」ってやつは

 

さっき普通に武装親衛隊って言えてただろ、装甲師団くらい出てきてくれ

 

 

『こんにちは、私クロノススクールの川流シノンと申し上げま___』

 

『なに撮ってんだてめぇ、パレードじゃねえぞ!』

 

『い、いえ……ですが我々には情報を伝達する権利と義務があります!』

 

『じゃあ私は自分自身を守る権利があるからテメェをぶっ殺す!』

 

『あ、ちょっ、やめ________

 

 

 

 

ピーーーーーーーーー

 

 

 

 

『ただいま大変お見苦しい映像が流れてしまったことを深くお詫び申し上げます』

 

砂嵐が流れたと思ったら瞬時に場面が変わり、コメンテーターが謝罪している場面に変化する

 

 

「………だいじょうぶ?」

 

「まったく」

 

またもやあのバカ(戦車バカ)がやらかした所を見て、心身ともに疲弊していく

 

「ハイドリヒ君のところっていがいと過激だったんだね……お姉ちゃん心配になっちゃった」

 

「___何も言い返せないです」

 

 

 

 

事件はミレニアムで起きた

 

 

ある日、外遊に来ていたトリニティのティーパーティー直属の武装組織(トリニティ武装親衛隊)のトップである俺が襲われたのだ

 

 

襲われたと言っても軽症だ……軽症か?

 

 

__まぁキヴォトス感覚で行くと普通だろ

 

 

腹に複数個穴を開けられて気絶しただけだ

 

 

それだけならまだいい__いや良くはないが。それだけでは当然終わらない

 

 

勿論この事はメディアが大々的に報道、きっといい視聴率稼ぎになっただろう。

先程のクロノススクールだけじゃなく他のメディアも我先にと殺到してきた

 

 

その他にも事件の舞台であるミレニアムの生徒会(セミナー)の生徒達は説明責任を果たしている最中

 

 

トリニティの中では武装親衛隊が今にもミレニアムに侵攻するかの勢いで結集している。

それを防ぐために正義実現委員会はすぐさま監視すべく出動を余儀なくされているのだ

 

 

治安を維持する組織が軍隊を抑制しようとしている、面白い構図になっている

 

 

 

 

『貴方がたはミレニアムに攻め込むのですか?』

 

テレビの中のレポーターが一人の親衛隊員に問いかけている

 

『さぁ?しかし命令さえあればすぐさま目標を達成するでしょう』

 

『……………殺す気ですか』

 

レポーターがなかなか度胸のある一言を放つ

 

『それも目標のうちかもしれませんね』

 

隊員はあっけらかんにどこか違う所を見つめながらそう返答する

 

『駄目ですか?』

 

『…………きっと我々は黙ることが出来なくなるでしょう』

 

『驚きました、貴方がたにとって害虫を駆除することさえ罪なのですね』

 

今度はしっかりと目を見つめ、返事をする

 

 

 

『親衛隊は敵地を進みます』

 

 

ピッ

 

 

 

「…………」

 

見ていられない気持ちで俺はそっとボタンを押す

 

 

 

武装親衛隊はこんな有り様だ

 

 

誰しもが復讐を心に刻み各々が忠誠心を見せようと躍起にななっている。

きっと俺が命令すれば足を揃えて心中しに行くだろう

 

 

聞いた話だがミレニアムの非常事態宣言を出しているとのことだ

 

 

今攻め込めば多数の犠牲は必須になるだろうが…………彼女らはとどまることを知らない

 

 

すでに何度か武装親衛隊の戦闘機がミレニアムの上空を飛び去っていくのが確認されている

 

 

地上での侵犯行為はまだ確認されていない…それも時間の問題かもしれない

 

 

ヴァルキューレの警察も警戒態勢を維持、ゲヘナではまるで嵐の前の静けさと言わんばかりに問題児共が黙り込んでいる

 

 

更には連邦生徒会の防衛室でさえ緊急事態を説いていた。今は無きSRTさえも動いていると聞く

 

 

__混乱の渦は学生に留まらず、俺の会社であるフロリアン・ガイエルンもなにかの準備(・・・・・・)をし始め、カイザーの動向も怪しい

 

 

もう引き下がれないであろう場面まで進んでしまった……この責任は果たさねばならないと考えると古傷が痛む

 

 

「………はぁ」

 

 

久しぶりに心の底からため息がこぼれ出た

 

 

 

コンコンコン__ガチャ

 

 

「失礼するよ」

 

そう言って病室に入ってきたのは先生だった

 

「どう?傷は痛む?」

 

「もう全部塞がって痛くもなんともありませんよ」

 

※お腹に穴が空いたのは昨日です

 

「凄いねトリニティは、ここまで来る道に沢山親衛隊の生徒とすれ違った」

 

「私も!お姉ちゃんだって証明するもの持って来るの忘れちゃったから大変だったよ……」

 

それは持ってこいよ

 

「それに学園内に入った瞬間デモ隊に親衛隊、それに正実が睨みあってる__なんなのこの状況?」

 

ユメ姉さんが懐疑的な目で俺を見つめてくる

 

「…………」チラッ

 

 

「ミレニアムは謝罪しろー!」

 

「長官殿ばんざーい!」

 

 

「…………」

 

疑問から逃れるように窓の外に視線を移すが、そこでも武装親衛隊がはびこっていてなかなか現実逃避が出来ない

 

「何がやばいってこれ全部私の命令じゃないことでしょうか」

 

至るところでの武装親衛隊の軍事行動は、全て独断によって行われたものだ

 

うん、眠りから目覚めたらこんな事態に陥っててめちゃびっくりしたわ

 

てかあのバカ共はどこまで行くつもりだ。責任取るのは俺なんだぞ?

 

「………アリスさんは?」

 

「……………なんとか自我は取り戻した」

 

それだけ言うと、先生は力なく視線を落とす

 

その姿はなんとも悲壮感が漂っていた

 

「…………」

 

「あ、アリスちゃんか___」

 ↑

ここで初めて名前を聞いた

 

 

「……今はよく分からないけど、この事態が収拾したらアリスのいる場所に行ってほしい」

 

「うん、私も行くよ」

 

腰に大口径のハンドキャノンを携えた姉さんは胸を揺らしながらそう決意を固める

 

「ハイドリヒ………「先生」うん?」

 

 

 

 

 

「今行きます」

 

 

「へ?」

 

腑抜けた声で返答する先生

 

「だ、だけどさ?このままだったら恐らく十中八九_いや十中十の確率で戦争起きるよ?」

 

「すでに手は打てます。あとは行動に移すだけです」

 

流石と言うべきだろうか、ハイドリヒはこの事も予期してすでに対策をしていたようだ

 

「えっへん!お義姉さんとして鼻が高いよ!」

 

「では行きましょうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、行く途中に褐色館とセイア様の所に寄り道しますね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

__________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『こちらが武装親衛隊の長官がいるとされている病院です!頑丈な警備がされてますね〜〜〜』

 

 

『私共も先程死にかけたので近寄りたいとはとても思いませんが、納得は全てに優先されます!早速突撃しましょう!』

 

 

「…………」

 

テレビからは相変わらず好奇心豊かな報道者がマイクを手に持ち興奮気味に喋っているのが映っていた

 

 

『すみませ〜〜〜ん、私達クロノススクールの___』

 

 

『関係者以外は立入禁止となっております。どうぞお引き取りください』

 

 

『で、ですが私は報道する権利と義務がありまして………』

 

 

さっきも同じような事を言って死にかけていたのに__きっとこうゆう人間は死んでも変わらないんだろう

 

 

『関係者以外は立入禁止です。二度目の警告です』

 

 

『どうしても!どうしても長官さんに取材したいんです!お願いしまs___

 

 

『お前、敵だな』

 

 

『…………へ?』

 

 

『てめェ、さっきから私の周りをミツバチみてーにブンブンと回りやがって……敵だろ?』

 

 

『い、いえ…けっして私達は危害を加えようとだなんて………』

 

 

『やかましいぞ!このドぐされ下乳野郎がッーーーー!!!ナメてんじャァねえッッッ!!』

 

 

『や、やめてーーーー!!!』

 

 

『どうせてめェらは私達の事を知性のあるトリ畜生ぐらいにしか思ってねェくせによッーーーーッ!!!』

 

 

『うわッーーーーー!!!』

 

 

 

 

ピーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

『ただいま大変お見苦しい映像が流れてしまったことを深くお詫び申し上げます』

 

「………」

 

ピッ

 

見てもつまらないばかりのテレビの電源を、取材班の無事を祈りながら落とす

 

「……私だったら入れるかな」

 

そんな淡い期待を胸の奥にしまいながらも、スマホを握りしめて毛布に包まる

 

「…………」

 

 

おかしい

 

 

 

”何か”がおかしい__いや、その”何か”は頭の中ではもう分かってる

 

 

 

行きたい

 

 

 

行きたい

 

 

 

行きたい

 

 

 

今すぐハイドリヒの所に行って、思いっきり抱きしめたい

 

 

 

でも叶わない

 

 

百合園セイアは「それは不倫じゃない、誤解だ」と言ってくれた

 

 

「…………」

 

 

私もそう思おう

 

 

うん、今思えばちょっとあの時は決めつけてしまった

 

 

それが一番悪い…決めつけは本来ある視野を狭めてしまう

 

 

そうだっ、実際に会ってお話をしよう。私なら通してくれるはず

 

 

会って、話して、謝って……よし

 

 

「…………」

 

 

 

 

動かない

 

 

足に力が入らない__それどころか、少しだけ震えている

 

 

___どうして?

 

 

 

「…………」

 

 

会いたい

 

 

 

 

会いたい

 

 

 

 

 

会いたい

 

 

 

 

 

 

会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい

 

 

 

 

 

 

 

「……………」

 

 

 

恨んでないかな?

 

 

 

「………何の話」

 

 

 

元といえば貴方達、アリウス分校の生徒によって起こされた悲劇でしょ?

 

 

 

「……違う、それはマダムの_____」

 

 

 

誰がそう決めたの?

 

 

 

「……………」

 

 

 

ティーパーティー?シャーレの先生?正義実現委員会?シスターフッド?__それとも愛しの武装親衛隊の長官様?

 

 

 

「………そ、それはトリニティの皆が決めた………

 

 

 

違うよ

 

 

 

ぜんぜん違う

 

 

 

決めたのは私、白州アズサでしょ?

 

 

 

「…………違う」

 

 

 

きっと長官は許しちゃくれないだろうね

 

 

 

なぜか?そりゃあ私のせいだからだよ

 

 

「……違う」

 

 

違うって…罪は消えないよ、きっともう私の事なんて

 

 

……いや、最初から、嫌いだっt________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちがう!!!!」

 

 

 

…………………

 

 

 

「お願いだから……違うからぁ………」

 

 

ドサッ

 

 

力なくベッドの上から冷たい冷たい床に転げ落ちる

 

 

それはまるでアズサの精神状態を表しているかのようだった

 

 





アズサの会いたいラッシュ!
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