忠誠こそ我が名誉inトリニティ   作:もりもりバナナ

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一応この小説ではいろいろな伏線とかがありますからそれを探してみてください。

ちなみにハイドリヒに二人姉妹がいる伏線もありました。



不協力

 

「……とのことです…ナギサ様」

 

「…………そうですか」

 

以前会議にて胃に穴が空きぶっ倒れたナギサは今、病室にてお付きの人から報告を受けていた

 

「な、なぜなんですか…?なぜ図書委員会は協力してくれないんですか!?」

 

「__僭越ながら申し上げますと、どうやら”前”武装親衛隊長官の辞職を重く受け止めてるようです___」

 

「ど、どうゆうことですかっ!?」

 

「以前の報告で、『ティーパーティーが長官を辞職に追いやった』という噂が出回っているとお話したでしょう?」

 

コクッとナギサは率直に頷く

 

「値も葉もない噂ですが…図書委員長はそれを信じきっているように見えました」

 

「………………は?」

 

「ショックだったんですって」

 

「なっなんですかそれ……まるで図書委員長はハイドリヒさんに好意を寄せていたみたいじゃないですかっ!!!」

 

「…………」

 

(てかそもそも武装組織でさえない図書委員会に参戦を求めるのっておかしくね?)

 

モブは口に出しそうになったその言葉を、そっと胸の中にしまうのであった

 

 

「_そ、そうだ!エデン条約があるじゃないですか!!」

 

少し考えた末、ナギサは突拍子もない事を話し始める

 

「エデン条約ですか?あのゲヘナとの条約?」

 

「はい!上手く行けば風紀委員が来てくれるかもしれませんよ!」

 

 

エデン条約

 

それはトリニティ総合学園とゲヘナ学園という三大学園の2つが互いに「戦争をしない」や、「もし両方の学園の生徒が争うようであれば、すぐさま制圧する」という事を約束した条約だ

 

それをナギサは利用しようとしている

 

「それは本気ですか?」

 

「はい、このような非常事態…トリニティ存続の危機ですからね……きっと来てくれるはずです」

 

ナギサの目は決意と期待の目に変わる

 

「さ、早速電話しましょう…電話」

 

「こちらに」

 

どこからか持ってきた高級感のある黒電話を持ち、ナギサは受話器に耳を当てゲヘナの万魔殿に電話をする

 

プルルルル

 

 

ワンコール目

 

 

プルルルル

 

 

ツーコール目

 

 

プルルル__ガチャ

 

スリーコール目で、ようやく電話が繋がったようだ

 

「もしもし?ご無沙汰しております。ティーパーティーの桐藤ナギサです」

 

『キキキッ!イブキ!冷蔵庫のプリンを食べてなさい……ああ、万魔殿の羽沼マコトだ___トリニティ内の暴動についての話だな?』

 

「お話が早くて助かります!」

 

どうやらマコトは最初から電話が来ると知っていたようだ

 

「このトリニティの危機…もしかしたら滅亡の可能性さえあります__ですから、貴校の風紀委員会を_____

 

『悪いがその話は聞けない』

 

一瞬で却下されてしまった

 

「な、なぜですか!?」

 

『なぜかって?それは……そもそもETO(エデン条約機構)内での紛争はそれぞれの学園の治安維持部隊が兵を出し合って解決するはずだ』

 

「ええ…ですからっ!」

 

『紛争は我々が解決する…だが、万魔殿はこの事態を紛争と認めない(・・・・・・・・・・・・・・・・)

 

「______は?」

 

『ではっ!せいぜい頑張ってくれたまえ!…イブキーーーッ!一緒にプリンを食べよu「ガチャン」』

 

「………」

 

「…ナギサ様…………」

 

力なく、それでいて勢いよく受話器を元に戻す

 

「し、しかし……よく万魔殿と風紀委員会は不仲だと耳にします。も、もしかしたら味方してくれるかもしれませんよ?」

 

「………」

 

「気を強く持ってください。私はいつでもナギサ様のお隣にいますから」

 

「……………んにゅ?」

 

「………へ?」

 

急に腑抜けた声が病室に反響する

 

「ど、どうされました?ナギs………」

 

「あのね!あたしね!ナギサっていうの!あなたのお名まえは?」

 

「!?」

 

「ねぇねぇ、お名前は?」

 

「わ、私はモブ子ですけど…………」

 

「あたしの名まえは桐ふじナギサってゆうの!よろしくね!モブ子ちゃん!」

 

「は、はぁ………」

 

「あたしね、ロールケーキが好きなの!たくっさん食べたいな〜〜〜♪」

 

「え、えと………どうされました?」

 

足をバタつかせ、妙に子供じみた口調と雰囲気を身に纏うナギサ

 

そんな彼女にモブ子は驚きを隠せないでいた

 

「__激務に上手く行かない政治_とうとう頭がやられてしまわれましたか……ど、どうするんですか!?」

 

幼児退行

 

それは端的に説明すると、あまりのストレスに見舞われた人間がなる自己防衛の一つだ。

人間は眼の前に信じられない事実を突きつけられた時、それを脳が一瞬拒んだり理解できないようにして精神的に自己防衛をする。

それと大体同じような仕組みだ…一般的に幼児退行は弟や妹が出来た2〜3歳くらいの子供がなるもんだがそれ以上でもなったりする。だが普通は大人になるにつれてそのような現象は見られなくなってゆく。

安心できて楽しかった当時に戻ろうとして幼児のような行動を取る、その結果幼児退行してしまうのだ

 

「うん?どーしたの?」

 

モブ子は何処までも能天気そうに反応するナギサに少しだけ怒りを滲ませるが、それと同時に悲しみに襲われた

 

「あの聡明なナギサ様が……私も武装親衛隊に入隊しよっかな」

 

否、忠誠心は皆無だったようだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

__________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

万魔殿にて

 

「ほらほらほら〜〜〜!今日は特別な日だ!2つプリンを食べていいぞ!イブキ!」

 

「わ〜い、やった〜〜〜!」

 

ゲヘナでは珍しく高級感が漂っている部屋で、二人の生徒が走り回っていた

 

「キキキッ!一泡吹かせてやったぜ!」

 

特に議長であるマコトは一段と嬉しそうだ

 

 

「…今日のマコト先輩、なんだかいつもより嬉しそうですね」

 

「そうですよね。姉貴がこんなに嬉しそうなのは……嫌な予感がします」

 

「右に同じく」

 

いつにも増して不安感に襲われる二人

 

「…一応あの特殊合金バットを持ってきといてください」

 

「了解です」

 

 

「聞いて驚け!素晴らしいことが起きた!」

 

「聞いてないです」

 

突然汚らしい笑みを浮かべたマコトが、二人にどっと近づいてきた

 

「…はぁ、また面倒くさいことやったんだろ。ヒナさんに迷惑かけるなよ?」

 

「キキキッ!その逆だ!不本意だがアイツの仕事を減らしてやったんだ!」

 

「おいなんだ不本意って」

 ↑

風紀委員会に入部希望だった奴

 

「ふんっ!お前みたいな弟風情は黙っとけ!」

 

「あんだとテメェ___

 

 

「おにーちゃーん、イブキと一緒にプリン食べよっ!」

 

「勿論だっ!!!」シュバッ!

 

弟は目にも止まらぬ早さでイブキが座っているソファに急行する

 

彼にとって姉は食べ終わったアイスの棒くらいの価値しか無いのだった

 

 

「………」

 

「なに辛気臭い顔してるんですか先輩……」

 

「……まぁいい。それ以上の事が決まったのだからな___」

 

「それ以上のこと?弟に見向きもされなかった事以上の事が?」

 

「……それ言うなよ」

 

「はいはい……」

 

「まぁいい、イロハだけでも聞け…このマコト様はキヴォトス史に残るすんばらしいことをしでかしたのだ!!!」

 

「な、なんなんですかそれは……」

 

「ふふふ、聞きたいだろう?しょうがない!この聡明なるマコト様が教えてやろう」

 

(…めんど)

 

「それはな_______

 

 

 

 

 

 

 

 

 

__________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

褐色館にて

 

「しっかし驚いたなぁ……まさかこんな日が訪れるだなんて」

 

「ええ、しかし、これで不穏分子がまた一つ破壊されました」

 

会議室にて武装親衛隊の様々な師団長が会議を開いていた

 

その空気はこの前とは違って重々しくは無く、少しだけ澄んでいた

 

 

「まさかゲヘナと相互不可侵条約を締結するとは予想してませんでした__」

 

「秘密条約だけどな」

 

 

相互不可侵条約

 

現実世界では独ソ不可侵条約が有名だろう。

以前バカマコトが褐色館に秘密裏に訪れ、そして秘密裏にこの条約を締結したのである

 

___これが意味すること、すなわち武装親衛隊を新たなトリニティの指導者として認めたということだ

 

 

「ゲヘナは我々を正式なトリニティの首脳陣として受け入れる覚悟があるってことですか…腐っても列強、無碍には出来ませんね」

 

「…これで風紀委員との戦闘の心配は無くなった……」

 

「まぁ条約だなんて紙同然だけどな!」

 

誰かが言った、「条約が有効な期間は、我々にとって有功な期間だけである」……と

 

これが意味することは…言わなくても分かるだろう

 

 

暗く湿った会議室にて、誰かが言葉を発する

 

「___なぁ、もくてき…は、なんだ?」

 

「目的ですか?」

 

サオリが誰かに急かされるわけでもなく、問いただす

 

「我々の目的は、現総合学園生徒会の転覆、打破、殲滅です」

 

「……そのために何人もの無垢な生徒を傷つけるのか?ただ己の私利私欲のため………」

 

「おいっ!なに言ってやがるサオリぃ!てm___

 

血気盛んな隊員が大声で怒鳴るがすぐさま止められる

 

「まぁまぁ、落ち着いてください……サオリさん、これは復讐です。

いいですか?過去というのは消えずに纏わり付きます。それから己の身を解放するのが復讐です」

 

「決して褒められた行為ではないでしょう…よく復讐は何も産まないと言いますからね。でも、人々はうざったるい過去から逃げるため復讐をするのです」

 

長官代理は力を込めて話すがどれもサオリには届かない

 

「……私もこの学園に入るまではそう思っていた…いや、思うことさえ出来ていなかった。ただ”復讐”という言葉だけを胸に戦闘してきた___だが、終わってみたらどうだ?」

 

「…………」

 

「私達の馬鹿みたいな復讐劇は無事失敗に終わったが、成功してたらどう変わっていたんだ?苦しい苦しい過去から解放されて幸せに過ごせる日々は来なかったはずだ」

 

「……そうですか」

 

「決して復讐なんかで過去から解放なんかされない。そもそも復讐を胸に誓った人間なんかに幸せは…来ない」

 

「なるほど」

 

「い、今からでも遅くないっ、すぐさま部隊を戦闘態勢を解かせて____

 

 

「サオリさん」

 

冷たく、端的な言葉がサオリの耳の奥に劈く

 

まるで真冬に季節違いな蝉の音が鳴り響いてるような感覚だ

 

「復讐は、目標の過程にすぎません」

 

「…他に理由があるというのか?」

 

「はい……それは____」

 

 

 

 

新たなる秩序(The new order)を作ることです

 

 

「………は?」

 

乾ききった声が会議室の壁に反響する

 

「トリニティ内に存在する様々な不穏分子を抹消し、新たなる学園を作り、我々が主導となって生まれ変わるのです!!!」

 

「…なるほど、その学園(ハリボテ)のトップになるのが目的だったんだな……」

 

静かにサオリのギリッという噛みしめる音が聞こえてきた気がした

 

___だが

 

「私が?その新しい学園の生徒会長に?__ふふっ、違いますよ。私はただの”代理”なのですから」

 

「_____まさか!」

 

「ええ、ハイドリヒ長官に就いてもらいます♥️」

 

「だ、だが彼は退学していて……」

 

「退学?………あぁ、ティーパーティーが出した嘘の事ですか___あんなの嘘に決まってるでしょ。第一、長官が私達を置いて行くはずないじゃないですか」

 

さも当たり前かのように、さも常識を話してるかのように端的に話すそのさまはイかれてるとしか説明がつかない

 

「いいですか?これは試練です、長官は私達に試練を与えているだけなんですよ___」

 

「…………」

 

もちろん!サオリさん達もご協力してくれますよね?仲間なんですから……ね?

 

「…私はただ従うだけだ」

 

サオリはただ黙って俯く

 

その姿はまるでアリウス分校にてマダム(ベアトリーチェ)から指令を受け取っている時と酷似していた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

__________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………」

 

帰り道、まだ夕日で明るく照らされている歩道を闊歩している

 

「…………止めねば」

 

(あの代理…ずっと自分のことを代理だと自称していたのはそういった理由があったからなのか……)

 

「あの……さ、サオリさん………」

 

(もはや忠誠心と呼ぶにはおぞましい程にまで膨らんでいるあの感情……誰が受け止めてやれると言うんだ?)

 

「わ、私は…私のこと覚えてます?……てか、聞いてます?」

 

(武装親衛隊のトップは圧倒的なカリスマ性が無いと務まらないと聞いたが…いや、そうであったから…か。居なくなったらこうも墜落してしまう)

 

「ず、ずっと無視するのは酷いですよぉ……サオリさん………っ」

 

(このままいけばきっと溢れ出る憎悪はこのトリニティ全体を燃やす事になるだろう……絶対に、絶対に姫達を守らねば……もう二度とあんな体験はごめんだ…)

 

「きっと私はゲヘナの行政官並みに忌々しい存在なんですね……だから無視されるんです」

 

(そうなる前にまず私達で武装親衛隊を打破するべきなんd____

 

 

ゴチンッ!!!

 

「っ!」

 

後ろからした物音に反応し、サオリは銃に手を添えながら振り向く

 

 

 

「いてて……」

 

そこには、眼鏡を掛けていて少し頼りなさそうな少女が地面に座り込んでいた

 

どうやら転んでしまったようだ

 

「……お前は………親衛隊の者か?」

 

「あ、そ、そそうですっ!え、ええっと……サオリさんですよねっっ!?」

 

「落ち着け…ほら、立てるか?」スッ

 

「あ、ありがとうございます………」

 

差し伸べられた手を握り、勢いよくその場に立ち上がる

 

___そして

 

「……………」

 

「………どうした?」

 

「あ!その…えと………」

 

「立ち話もなんだ、そこにベンチがある、話はそこで聞こう」

 

「は、はははいっ!!!」

 

(なんなんだこの生徒は……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二人してベンチに座る

 

「……ありがとうございます」

 

開口一番、彼女が発したのは感謝の言葉だった

 

「礼はいらん__さっき転んだのは私がお前に気が付かなかったから…だろう?」

 

「そ、そうですが…その……ありがとうございます。これは言わせてください」

 

「___そうか」

 

「ずっと話したかったんです。この人ならちゃんと話し合ってくれると思って……」

 

「……?」

 

サオリは少しだけ頭上に疑問符を浮かべる

 

「サオリさん…彼女たち、どう思いますか?」

 

少しだけ悩んだ後、サオリはこう答えた

 

「……そうだな。彼女らは恩人であり、仲間であり、脅威だ」

 

サオリはそう言い切る

 

「ですよね…でも私はそう思いません」

 

それに対して彼女はキッパリと言い返す

 

「___なぜだ?」

 

「サオリさん、人を幸せにする二つの物って何だと思います?」

 

「人を幸せにする二つの物?…う〜〜〜ん…家族と……………可愛いものか?」

 

「ふふっ、それもあながち間違いじゃないんですよ」

 

「?」

 

「人を幸せにする物……それは安心刺激です。人はそれらを求めて日々を生きてるんです」

 

「___なるほど」

 

「人によってどちらのほうが大事かはそれぞれです…でも。今あの人達は”安心”を求めてるんです___長官の側に立ちたい、褒めてもらいたいという……」

 

「……お前はそう思わないのか?」

 

「すごく思いますよっ___中学の頃からの憧れの人でしたから…」

 

「__ですから……否定しろとは言いません、その逆も言いません。もっとも尊重せよとも思わせません………ただ」

 

 

 

 

 

「正しい道に戻してあげてくれませんか?」

 

「………」

 

彼女の目には、薄っすらとどこか熱いものが滲んでいた

 

「貴方の声は似てるんです_」

 

「ハイドリヒとか?全くそう思わないが………」

 

「いえ、間違ってるものを何が何でも変えさせようとするその声、すっごく似てます___ですから」

 

「言わなくていいぞ」

 

「っ」

 

「もとよりその気でいた」

 

「っっっ!!!」

 

パァッと顔が一瞬にして明るく照らされる

 

「___その時は、お前も手伝ってくれよ?」

 

「も、勿論ですぅ!!!」

 

「ふっ」

 

サッ

 

「?、_____!」

 

 

 

この夕日で照らされる帰り道、二人の乙女は硬い硬い握手を交わした

 

その眼には熱い決意が燃えたぎっているのが、よく見えた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

__________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃

 

びえええええええええええっ!!!

 

「な、泣き止んでくださいっ!」

 

「これは……くっ!これは…救護が必要ですか!?」

 

「ミネ団長も落ち着いてくださいよぉ!」

 

場所はトリニティのとある病室、一人の幼女?が暴れていた

 

「分かりましたっ!ロールケーキ持ってきますからっ!」

 

「」ピクッ

 

ロールケーキという単語に反応するナギサ

 

__しかし

 

「駄目です、さっき食べたでしょう」

 

「」ピクッ

 

「も、もう一本くらい……」

 

「駄目です!人には適量というものがあって___

 

 

びええええええええええっ!!!

 

ティーパーティー、桐藤ナギサ

 

幼児退行したため脱落

 





武装親衛隊万歳。
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