そろそろ病院生活も飽きてきたよね。
執筆から逃げるなぁぁぁぁぁっぁぁぁぁ!!!
目覚めたら、病院でした
「………」
サラッと辺りを見渡す
点滴は_繋がっていない
生命維持装置もない
「まぁ、いたって普通の病院って感じですね」
トリニティのように綺羅びやかな内装ではなく効率性が重視された内装を見るに、ここはミレニアムの病院なんだろう
「…………」
………病院……………
は〜〜〜〜〜ぁあ
↑
クソデカため息
俺ってか弱すぎじゃね?まじで
あの弱々しい先生でさえ多分一回くらいしか入院してないぞ?なのに俺ときたら__
これで3回目?やっば
俺弱々じゃん、カスじゃん、雑魚じゃん
くそう_たかがの麻酔¹ごときでダウンするだなんて………一生の不覚!
「くるっそ〜〜〜私はいつまでもこんな男ですよ〜〜〜っ」
麻酔から覚めたばかりだろうに何故か動く足を横に投げ、スリッパを履いてドアを開く
ガチャッ
廊下が広がっている…当たり前か
「……さーて、どこに行きましょうかねぇ」
ハイドリヒは歩みを進める
___読者の皆様はおかしいとは思わないだろうか?
普通病院のベッドで起き上がったらまずやることと言えばナースコールを押して眠りから覚めたことを知らせるだろう
誰だってそうする、勿論私だってそーする
しかし
今のハイドリヒは若干だが麻酔の影響もあり、頭が正常に働いていないのであった。
分かりやすく言えば深く考えることが出来ないでいるみたいな感じだ
もし、その人がいなくなっている病室を発見されたらどうなるだろうか?
__どうなると思う?
「………」
「……いないね」
「…いないよね」
「ふつーここにいるよね」
「ふつーね」
先生とユメの眼の前には、無造作に置かれている布団があった
「………」
「どこ行ったぁぁぁぁ!!!」
「ひぃんっ!?」
瞬間、先生はその場が病院であるにもかかわらずどデカい声で叫ぶ
病室にはお年寄りも、生まれたばかりの赤ん坊もいるだろうが
叫ぶ
アホかこいつは
「C&Cに伝えて!大至急ハイドリヒを捜索するように!まだ遠くには逃げてないはずだから!」
「わ、分かった…ネルちゃんに伝えとくねっ」
「ちくっしょーーー!早くアリスと感動の再開にさせてあげたかったのにぃぃぃぃぃ!」
「どうしたんですか?先生」
「ハイドリヒが消えたんだよ!せっかく重大報告とともにアリスと会わせてあげようと思ってたのに!」
「へぇ、私が消えたんですか__それは災難で」
「ほんとだよ………はぁ、ハイドリヒは悪い子ってわけじゃないんだけど_ちょっと思い切りが良すぎるっていうか_違った意味で手に負えないっていうか___」
「へ〜、では私は眠いので寝ますね」
「うんごめんね。ハイドリ_ヒ____」
「?」
「おやすみなさい____
「待てぇぇぇぇぇぇ!!!!」
「っ!?」
違和感に気づいた先生はとうとうその場で叫んでしまう
ここは病院である
「まてまてまてまてまて_まって!?」
「待ちます」
「待ちますじゃなくて_なんでいるの!?いやっいるのは悪くないんだけどーーーっなんていうか___」
「すみません」
「いや謝んなんくていいけど___「先生」_ん?」
「きっとハイドリヒ君は寝ぼけてるだけなんだよ!麻酔打たれたって聞いたし……それが関係してるんじゃない?」
珍しく的を射た発言をするユメ
「な、なるほど……」
「とりあえずアリスちゃんを呼んでくるね!」
ダッという効果音が聞こえるほどの力で扉を開け、爆速でアリスのもとに向かってゆく
ここは病院である
二人だけになった病室で、先生が問いかける
「……ねぇハイドリヒ。聞こえてる?大丈夫?」
「_____ん_______あれ?あ、先生。お久しぶりですね」
どうやらやっと意識がハッキリしてきたようだ
「はぁ…よかった…トキが『結構エグめの麻酔使いました』って言った時はすごく驚いたよ……」
「まじすかあの女」
まじかよあの女。イカれてんじゃねぇの?
「…結局あの後どうなったんですか?アリスは?会長は?」
「まず落ち着いて欲しい、アリスは無事……リオは今も行方不明って感じ?」
「撮り逃したんですか」
「ごめんて」
……あのクソ女は逃げたのか_そのうち絶対にぶっ飛ばす
___だが
「それ以外で誰か傷ついたのは?」
「ちょっとネルの骨が折れちゃったけど__皆は元気だよ」
俺はその知らせを聞いた瞬間、胸をスッと撫で下ろした
__よかった
ほんとうによかった
「ふぅ___よかったですねぇ」
「…………」
「先生方が無事で何よりです。先生はヘイローのない身でありますし、私だけの犠牲で済んで__
「そんな事言わないで」
静かな病室で、先生の透き通った声が鼓膜をくすぐる
「自己犠牲を正当化しないで。それは私が許さないよ」
「………」
「うん、ハイドリヒが思ってることは正しいんだと思う。皆に幸せになってほしいって願望があるんだよね」
「例え自分がどんな苦境に立たされようと他を思いやるその気持は__ほんとに素晴らしい事なんだ」
「………っ」
「誰だって幸せになりたいよ_でもさ、ハイドリヒはそれを他に優先した」
「本来は大人の責務を、ハイドリヒは度々やってみせた___だからさ」
「ありがとね」
「………」
一筋の涙が、ハイドリヒの頬を伝って滑り落ちる
「…あれ?泣いちゃった?」
「泣いてませんっ!」
まるで子供のように、眼からは涙がボトボトと溢れ出る
「ほらっ」
ギュッ
先生は優しくハイドリヒを包容する
体格差は圧倒的にハイドリヒのほうが上だが、今だけは先生のほうが大きく見えた
「……うっ……んっ………」
「…よしよし。ハイドリヒは頑張ってるよ___」
まるで
この場でたった二人だけの、甘い時間が流れたのであった
「おまたせ〜〜〜!!!」
「「!?」」ササッ
いきなり現れた梔子ユメ
彼女の登場により一気に甘い空気は消え去ってしまった
「連れてきたよっ!!!」
そう言い放つ彼女の後ろには、可愛らしい少女が佇んでいた
「お兄様!!!」
「__あ、アリス………?」
そう、アリスだ
病室に大声と共に乱入してきたアリスはハイドリヒに駆け寄り、そして勢いよく抱きつく
なぜお兄様呼びかと言うとそりゃあゲームの影響だよね
「お兄様っ、大丈夫ですか!?」
「……もちろんです」
「よかった___っ!」
アリスは少しだけ眼に涙を滲ませながら抱きつく力を更に強める
「ふふっ、私には『お姉様』呼びしてくれたもんね!」フンス
なんだこのデカパイ、そこで張り合うなよ
「その…アリス……大丈夫でしたか?あのリオに痛いことされてませんか?」
「はいっ!アリスの体力はMAXです!」
俺の心配とは裏腹に、アリスは満面の笑みで答えてくれた。
それだけでも安心するのは俺だけじゃないだろう
「……ふぅ」
俺は安堵の息を溢すとともにアリスは更に強く抱きしめてきた
ちょっと痛いけどそれも愛情の証だと考えるとちっとも苦痛ではない
「はぁ〜〜〜〜♡」
それに呼応するかの如く俺もアリスを抱きしめる
そこには、仲睦まじい兄妹の感動的なシーンが流れていた
_____はずだった
ブゥンッ
「…………」
サッ
「…………?」
なぜか、急にアリスはハイドリヒに抱きつくのを止めてしまう。もっともそれでもハイドリヒは止めはしないが
「ど、どうしたんですか?」
急なことに少しだけ不気味さを感じたハイドリヒは、彼女に問いかける
「この手をどかしなさい」
「っ!?!?!?」サッ
返ってきたのは、あまりにも端的てあまりにも冷えきった言葉だった
「アリ…ス………?」
__いや、違う
いつか何処かで見た光景だ___あ
思い出した
その彼女の眼は、アリスに似れども似つかない”赤い”眼をしていた
「あ、貴方は__私と戦ったアリスですか?」
「___御名答」
どうやら正解してしまったようだ
「…先生、姉さん。説明が欲しいです」
考えたって分からないため俺は年配の方を頼る
先生が答える
「えと………この子の名前は『ケイ』、アリスのもうひとつの人格って言えば__分かりやすいかな」
……俺の父さんはなんちゅうもん作ってんだよ
「あー……アリスは二重人格だったってことですか?」
「その汚らわしい手で神聖なる王女の身体に触らないでください」
性格真反対じゃねぇか!
しかも王女!?お前何言ってんだ!!!!
「あの…は!?王女って……え!?」
「ハイドリヒ君が混乱するのも分かるよ、私だって分からなかったもん」
姉さんは分からんだろうけどさ
すると、アリス?は先生たちの変わりに端的に説明してきてくれた
「__先程紹介してくれましたが、私の名前は『ケイ』。王女であるアリスを守る存在です」
「なるほど」
「貴方とは一応血縁上は同じです。同じゲノムや染色体が入ってます___ですが、私は貴方を脅威であると判断しました」
「なるほど」
「私がアリスの日常風景を通じて閲覧している情報からは、貴方と関わるべきではないという結論が出ています」
「なるほど」
「なぜなら貴方には王女や私に勝るほどの腕力、権力、などを保持しています。それをもし悪用するのであれば私は王女を守りきることは困難になるでしょう」
「なるほど」
「__ですから、今後一切王女の近くに寄り付かないでください」
「分かりました」
「分かっちゃったの!?」
「は、ハイドリヒ君!?!?」
俺の了承の声に他の二人は驚きの声を隠せないでいる
「_____つまり」
「ケイも私の妹ですね!」
「_______________は?」
ケイはまるで今まで見たことのない人種を見ているかのような眼で俺を見つめてくる
その姿さえ愛おしい
「ほ〜らよしよしよしよしっ、可愛いですねぇ__」
「ちょっ、子供扱いしないでください!手を離せ!」
いいね!
明るくて少しばかり天然で元気なアリス
少し暗め、だけどデレる時はしっかりとデレるケイ
なんて可愛い妹達なんだ!
__と、俺は内心感心する
「ギュ〜〜〜〜!」
「止めなさい!離して_ちょっ、先生!コイツを引き剥がすの手伝ってください!」
「え〜〜〜?どーしよっかなーーー」ニヤニヤ
「くそっ!バカタレ胸無し先生が……ユメさん!コイツを放り投げてください!」
「え〜〜〜?私は『ユメ姉さん』なんだけどなーーー」ニヤニヤ
「くそっ!脳無しデカパイ女が……っ!」
「ねぇなんで私胸無しって呼ばれたの?」
「反抗期ですか〜〜〜?ほらほら〜〜〜www」
ギュッ!
「んんっ!」
俺は更に抱きしめる力を強くする
__もう一生離れないように
「やめろ〜〜〜〜〜っ!!!」
トリニティの何処かにて
『こちらクロノススクールです!私は今話題沸騰中のトリニティ総合学園に潜入しております!許可は取ってません!』
『私達には皆様に報道する義務と権利がありますので大丈夫です!』
『いやーーー、それにしてもここ最近、まぁ機能の夜くらいから武装親衛隊の姿は全く見えなくなりましたね。目に映るのは一般生徒に正義実現委員会の方だけです』
『…………どうゆうことでしょうか?彼女たちが怖気づいたのでしょうか?』
『どっちにせよ、睨み合っていた状態が解消され、一段また一段と良い方向に向かっていってるのは間違いないでしょう____
プツン
「………ふふっ」
やかましく流れていたテレビを嬉しそうに消す
「その通りですよ_『良い方向に向かっていってる』んですからね」
「__お迎えの準備もしなきゃ、ふふっ、こんなに心が踊るのは長官に羽をとかしてもらった時以来です」
「…待っててくださいよ、長官♪」
アリスにお兄様呼びさせたかった筆者の欲です
食欲、睡眠欲、性欲、アリス欲