劇場版
クソボケVSヤンデレ
始まるぜぇ!
拝啓 アリスさんへ。
お元気でしょうか?最近は滅相会えなくてとても寂しい思いをしています。
__さて、近々貴校と御校の交流会があるという話を耳にしました。
勿論私はそれに立候補しましたよ、なにせ、ゲーム開発部も何か出し物をするようですからね。
私の上司である百合園セイア様もゲーム開発部に興味があるとのことで、どうやら見に行きたいと仰ってました。
なので最低限、部室内は綺麗に保ってくださいね?この前みたいにポテトチップスのカスだらけとかやめてくださいよ?
この前だってミドリさんと二人で片付けしたんですから___おっと失礼。つい説教をしてしまいました。
それと、いつか実家に皆で集まりましょう。一家水入らずの時と言うものを味わいたいのです……まぁ、お友達を連れてきても構いませんからね。
言いたいことはまだあります……私の現状をお話しましょう。
この手紙を書いている今、左腕に代理ちゃんがしがみついております。書きにくいったらありゃしません……それに全く剥がれません。
それほど尊敬されてるってことですよね。相手を敬うことは素晴らしいことであることは事実、素晴らしいことです。
__ですが、時には自分自身も敬う事が必要だでしょう。自分自身を敬うのは一見簡単に見えてそうではありません。
自分が敬えるだけの素晴らしい人間にならねばならないのです。勉学面も、健康面も、仕事面も、戦闘面も。
最近またテストで赤点を取ったと聞きました。赤点は悪いというわけではありません、ですが、それは努力の現れです。アリスさんも自分自身を尊敬できるように頑張ってくださいね。応援してますから。
仕送りは足りてますか?ご飯は食べてますか?ゲームばっかしてませんか?友達とは上手く付き合えていけていますか?………まぁ、ケイがいれば問題は無いでしょうが。
ケイも友達を大事にしてくださいよ。あ、ゲヘナの糞野郎どもとはあまり関わらないようにしてください。この前風紀委員長とアリスのツーショットが送られた時は泣き叫びましたからね__風紀委員は良いですが、万魔殿とは関わらないように。
もし議長と出くわしたら「F◯cking B◯tch」と言いなさい。勿論ケイがですよ?アリスに言わせてはいけませんからね。
____では、また会える日を願って。
敬具 貴方の最高の兄、ハイドリヒより。
「___こんなもんですかね」
ペンと置き、文章全体を眺めてみる
__なんか面倒くさいおっさんみたいな文章だが、気にすることはない
一番気にするのは………
「………誰ですかアリスって…しかもケイとかいう女……誰です?ねぇ、無視しないでくださいよ長官」
この横にいる代理ちゃんだ
彼女の名前は
俺は15歳だが彼女は16歳、一年生と二年生の関係だ¹
「長官?女……なぜ?長官に纏わりついて良い女は私だけなのに……」
「……違いますけど?」
「?」
「”?”じゃありませんから」
なぜだかは知らないが、少しだけヤンデレ化しているのだ!
「………この世の中にはなぜこうも邪魔ばかりする女が多いのか__」
「貴方もその部類でしょ」
「………」
ハイドリヒの一言に、オトは目元を暗くしてヤンデレモード全開にする
「長官?もう一度言ってみてください」
「貴方もその分類でしょ」
「………っ」
オトはその自慢の翼を思いっきり広げて、ハイドリヒを覆うように被せ²静かに囁く
「長官…私の事をそんな人間だと思ってたんですね…ずっと」
「最近になってからですけどね」
「っ………そう、なんですね………」
「はい」
「っっっっっっっっっっ」
「?」
こんな風景をドアの隙間から監視している目があった
「うわぁ………さいってー」
「最低…ですが、これが無自覚だなんて…更にタチが悪いじゃないですかっ!」
「__そうなのか?」
「あひぃ………いっそ船の上で逃げられないように固定させちゃえば……///」
そう、師団長達だ!彼女らも一応年頃な恋する乙女なのである
「ほら見ろよ。今日こんな熱いのに湿気で窓ガラスが曇っちまってるぞ」
「なんなら部屋の上に雲が出来ちゃってますからね」
「そのうち雨でも降るんでしょうか?」
「うわっ、なんかジメジメし始めましたね」
「………………はい」
「大丈夫ですか?顔色が悪いっていうか__ジャガイモみたいな色してますよ」
「っ____」
「…そうだ、この後用事があるので私はもう帰りますね」
「あ…………」
「では、お先に失礼します」
オトを全く見もせずに颯爽とハイドリヒは執務室から出ていった
ガチャッ
「「「「!?」」」」
「お疲れ様です」ペコッ
「お、お疲れ様です___」
ハイドリヒがサオリの横を通って廊下を通り抜ける
「………まったく、あのクソボケは……」
「副長官!」
師団長の一人がオトの元に駆け寄る
「__くそっ!駄目です…気を失っています!すぐに医務室にっ!」
そこには、長官の机に突っ伏しているオトの姿が無惨にもそこにあった
コツコツコツ
どこまでも優雅でどこまでも美しいトリニティに廊下を進む
__これも久しぶりな事だということに途中で気づくが、どうでもいいのですぐに頭から消す
「………」
途中でティーパーティーを護衛している生徒に出会い何度も答礼を行う
これも既に慣れてしまった
相手も随分と慣れているようで颯爽と通り過ぎていく
コツコツコツ
___ピタッ
一際高級な扉の眼の前で足を止めると、そこに向けて拳をコンコンコンと、三回ノックしドアノブに手をかける
そして、ゆっくりと開けるのだ
「トリニティ武装親衛隊長官ラインハルト・ハイドリヒ、只今到着しました」
眼の前にはいつもの三人が椅子に座りながら、笑い合いながら出迎えてくれた
「やっと来た〜〜〜!!!おひさ!ハイドリヒ君っ!」
この元気なゴリラな聖園ミカ様
「ミカさん………ティーパーティーたるもの、いつ何時でも冷静沈着でいるべきです」
この
「やめないか」
このたった一言だけで全てが分かる狐は百合園セイア様
「あ〜もうっいいじゃん別にぃ!だって何日ぶり!?公聴会が終わって、退学して、戻ってきて、そしてここまでが〜大体8日くらい?」
「10日とおよそ4時間です」
「ナギサ、君が一番待ち遠しかったんだろうね」
「なっ!!!」
「あーナギちゃんったら顔真っ赤www」
「違います!これは……暑くて___」
「ここは適温になるようにしてあるはずだがね」
「…………ふっ」
三人が仲良く会話している風景をまた見ることが出来て広角が少しだけ上がる
___ところで
「本日はどのようなご要件で?」
「ああすまないね。今日はレッドウィンターの親衛隊と、ミレニアムとの交流会についてのお話をしようと…ね」
なるほど。なんか久しぶりだなこんな会話
「まずミレニアムですが…今のところは順調に進んでいます。あっち側も既に用意は整っているとのこと」
「次にレッドウィンターですが___「選びたまえ」………は?」
「この三人の中から選ぶんだ」
「______は?」
急に序盤のオー◯ド博士みたいなことをいうセイア様に俺は動揺を隠せない
「選べ…とは?」
「なぁに、レッドウィンターに行くホストは誰にするか話し合っていたんだが__どうせなら君に決めてもらおうかと」
なるほど?
「まずミカ様は無しで」
「なんでぇ!?」
ミカ様は椅子から勢いよく立ち上がり困惑した表情をする_あれ?今思ったけどミカ様ってすごい可愛くね?
「そりゃあ暴れられたら困りますもの。節度をもった行動を心がけられる人物でなければ」
「むぅ…金髪の野獣に言われたくないよ」
そいつはどうも___あれ?もしかして俺二年生になったら『金髪の◯獣先輩』って言われるの!?
「次にセイア様は……ミレニアムがありますしね」
「___そうだね」
あれ?なんかガッカリしてるけど行きたかったのかな?
「で。ナギサ様」
「おほんっ、そ、そりゃあ私になりますよね。それもそのはずこの聡明なるトリニティの代表として行くには私のような生徒が一番危害や不安が少ないでしょうし、いえ、決してお二方を卑下するような意味ではなくてですね。いえ、私とハイドリヒさんがお似合いだっていう見解も__な、何を言っているんですか私は///!?あーもう!違います。違うんです…いえ、私みたいに騒がしくない人間が「ナギサ様もなしですね」___は?」
「あっちだったら紅茶凍っちゃうんじゃないですか?」
「別に私そこまで紅茶命じゃありませんけど!?」
うわっ!びっくりした
「まぁ、あっちで◯後の紅茶買えば良いじゃんね」
「「「はぁ!?」」」
俺達はミカ様の衝撃の一言に、体の芯から震え上がる
「み、ミカさん__い、今なんて?わ、私の耳には今午◯の紅茶って聞こえた気が___」
「え?美味しいじゃんあれ」
「なぁっ!?ミカ…よく聞きたまえ、君はティーパーティーなのに午後◯紅茶を飲むのかい?」
「うん、最近財産の制限がかかったり屋根裏部屋に住むようになってから近所のスーパーで買うようになったんだーーー」
「っ!?み、ミカ様__せっかく生き永らえる事の出来たティーパーティー人生を、午後の◯茶を飲み破壊するのですかっ!?」
「えぇ!?だって美味しいしお手頃価格だし飲んでて飽きないからさ。別に良くない?」
「嘘でしょ……」
「……はぁ」
「理解し難い」
「な、なんで皆そんな目つきで見るのぉ………」
午後の紅◯を紅茶だと認識していない三人はミカを責める。それに対抗するようにミカは鋭い言葉を言い放つ
「もー、そんな事くらいでワーワー言ってたら将来結婚出来ないよ?」
「!?」
↑
親友にこんな事言われるとは思いもしなかったナギサ
「っ」
↑
久しぶりにパンチの効いた言葉を返され唖然とするセイア
「………」
↑
自分の事をモテない男だと思いこんでいるクソボケ
「し、しかし…まだ決まったわけじゃないっていうか…そう!この学校は出会いが少ないんですよ!」
「実際私らはお見合いや紹介などの結婚が多いのだろう。まぁ、自由恋愛が禁止されているわけではないが__ね?ハイドリヒ」
首だけをハイドリヒに向け、体を少しだけ浮かす
うぐぅ!セイア様も俺がモテないことを馬鹿にしてきやがる!
「そ、そうですね……」
「は、ハイドリヒさんはこの学園内でそういった事に興味は沸かないんですか?」
お?無自覚な煽りかな?いや、この人はトリニティのお嬢様だし分かって言っているに違いない!
「ありますよ。でも私、生憎ながら周りから異性の対象として見られていないもんですから___」
「じゃあ私が貰おうかな?」
ピタッ!
その瞬間、周りに電流走る
「せ、セイアさん……?い、いいいったい何を言って___」
「簡単な話さ。私t「セイアちゃんとハイドリヒ君が恋人同士になるってこと!?」__そう」
「……………え?」
衝撃の一言に、更に電流が走る
「セイア様……」
「どうだい?君とて悪い話じゃないだろう」
た、確かにそうかもしれない……いや
状況をよく見るんだハイドリヒ…これは違うんだ!
「せ、セイアさん!?えと…上司と部下という立場上そうやって交際していくのは難しいかと……」
まずセイア様の特徴をなぞらえてみよう。セクシーな狐であると同時に優しいお方だ
「セイアちゃーん?まさかこのティーパーティーで抜け駆けする気ぃ?」
きっとこんな俺を哀れに思ってそう言っただけかもしれん__いや、待てよ?セイア様は俺を信用してくれてる_つまり
「抜け駆け?言っている意味が分からないね。既に_じゃないか」
これはセクシージョークってこと!?
ま、いずれにせよ本心じゃないってことは明らかだな……よし
「セイア様」
「うむ。まず二人で過ごせるような家を建てよう_いや、マンションを借りるという選択肢もあるのではn「ありがとうございます」___」
「「はぁっ!?!?!?」」
その瞬間、セイアの顔が目に見えて明るくなっていうのが分かる
「そうだね。君なら断らないと思っていた___「ですがセイア様にはもっと良い男性がいるはずです」____________は?」
乾いた言葉が部屋の中をこだまする
「私は大した取り柄もないような人間です。そんな男を生涯の伴侶にしようとだなんて考えてはいけませんよ?もし、言われたのが私でなく別の誰かだったら本気にしていたかもしれませんからね」
「本気にしてくれても良いんだぞ」
セイアは椅子から勢いよく立ち上がり、しっかりとハイドリヒを見て言う
(あれ?ハイドリヒ君って付き合うことを結婚することと同一視してない?)
「…………はぁ…」
椅子にゆっくりと座ったセイアは目線を落とし、肩の力を思いっきり落とす
「もう言ってくれてもかまわないよ」
「承知しました。では、失礼します」
扉が開き、最後に一度敬礼をして出ていく
その後姿をセイアはただ黙って見送るのであった
「…………いずれ…………」
「………」
いつもの変わらない足取りで建物から出る
「ふぅ、今日はもう暇ですね」
特にこれと言ってすぐに遊べるような友達はおらず、ただ虚しくもなんともない雰囲気に陥る
__あ〜〜〜あ、あいつ元気かなぁ。家柄とかなんとかで百鬼夜行に行っちゃったって聞いたけど、そのうち会いに行くか
なんやかんや中学校以来だから驚くだろうな?……ふふっ
「さーて、帰り際にケーキでも買いましょうか__________
「ハイドリヒ?」
音のした方向にゆっくりと視線を向ける
………そこには、
__出会っちゃいましたねぇ(ニチャァ)。