忠誠こそ我が名誉inトリニティ   作:もりもりバナナ

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ティーパーティーのストーリーでセイア様がバイクに乗るということを知った__。



自然淘汰

 

世の中には『自然淘汰』という言葉がある

 

自然淘汰を端的に説明すると_生物の生存に要らない機能は段々と世代を積んで無くなってゆくというものだ

 

実際これは理にかなっている。効率の悪い機能を排除し、日々を生きる為に必要な能力を揃える

 

絶対にこうした方が生き残れる確率は高い

 

____しかし

 

なぜ親切心は自然淘汰されないのであろうか?

 

よく考えてみて欲しい__もし狩りをしていてやっとの事で獲物を捕まえることが出来たとしよう。それをなぜ他人に分け与える?

 

一人で食べきった方が生き残れる確率が上がるのではないか?

 

もっと分かりやすい例であげるなら…子育てこそ親切心の塊であろう

 

なぜ危険を犯してまで、自分の食料や時間、お金をかけてまで育てるのか?それはなぜ自然淘汰されないんだ?

 

一体なぜなのか……それは

 

短期的には損かもしれないが、長期的な目で見れば得なのだ

 

狩りに失敗しても、日頃から他人に分け与えていればその他人から分けてもらえるように。

子育てがいくら厳しくて辛くても、将来の社会の為や老後の面倒を見てもらうためなど_最初は苦しかろうが後々返される可能性がある

 

その他にも人は道徳的に「親切=善」と教え込まれていたり、親切をすると脳内でオキシトシン・エンドルフィン・ドーパミンなどが分泌され、幸福感や安心感を得られるらしい

 

___まぁつまり

 

 

 

人が他人に親切にするのは、結局は自分の為なのだ

 

 

「………」

 

薄暗い廊下の中、俺の前を先導して歩くネル

 

彼女は俺に何を求めているんだ?

 

ここに来る前に彼女は俺に「許してやれ」と言った

 

__俺はその願いを聞き入れる事が出来るのかだなんて、俺にさえ分からないのに……

 

「………」

 

息を潜めながら不意に彼女の後ろ姿を見つめる

 

美甘ネル、彼女は情に厚い一面がある__いや、彼女を構成している殆どがそれだろう。口より先に手が出るような性分の彼女

 

そんな人間は扱いやすい

 

頭で考えられない奴は結局されるがままだからだ___そのはずだった

 

物事には必ずと言っていいほど例外が存在する。それが彼女だ

 

本当に一時の気持ちだけで動いているのか?もっと、もっと奥深い思考が張り巡らされているのではないか?それは彼女は気づけているのか?

 

__分からない。しかし___

 

誰よりもアリスが拐われた事に憤慨してくれた彼女は……今は落ち着きを払っている

 

それだけだけでもう答えが分かる

 

 

「なぁ……ハイドリヒ。まだ怒ってんのか?」

 

決して俺の方へ向いたりはしないが、表情はなんとなく分かる

 

「………アリスはなんと」

 

「まだチビに会ってねぇ」

 

お前も大概だろ。という言葉は心にしまって、俺は静かに短く話す

 

……たしかに、殺そうとした相手だし直接会うのは想像より難しいだろう

 

もっともそれを言い訳にしちはいけないのだが

 

「誠実さが大事です」

 

そうか_と、ネルは相変わらず振り返りもせず答える

 

その様はまさに美甘ネルらしい

 

 

横で歩いているセイア様は勘が鋭い

 

だからだろうか、これから起きるであろう事が全て分かってるかの如く冷静だ

 

 

 

 

 

 

 

 

数分、たった数分無機質な廊下を歩くと__前方に一つの扉が見えてきた

 

__ったく、歓迎のお茶も無しか。トリニティじゃぁ考えられんな

 

「この先に…いるんですか」

 

特に何も考えもせずドアノブに手をかけ、思いっきり回す

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………」

 

「…逃げなかったんですか」

 

「……その方が、合理的だと考えた末よ」

 

逃げもせず、隠れもせず、迎撃さえもせず__いやそれはゲヘナか

 

とにかく彼女は机にもたれ掛かったまま俺を出迎えてきた

 

「………っ」

 

ジロリと冷たい目線で彼女を見透かす

 

若干震えているその瞳に写っている俺はどんな姿だろうか

 

悪魔?獣?少なくとも良いものには見えないだろう

 

「………」

 

「………」

 

チラッ

 

横を見てみる

 

すると、ゴミ袋を始めとして沢山のゴミが済に目立たないように貯められているが__どうしても目に入ってしまう

 

うわぁ………家事くらいしろや

 

___じゃなくて!

 

「何かこの私に言うべきことがありませんか?」

 

「っ」ギクッ

 

俺は気まずきなった空気をどうにかしようと話を進める

 

「ほら言えよ。度胸見せろや!」

 

「初対面で悪いが……早く言う事を進めるよ。この後のことも考えると__ね」

 

「………」

 

すると、彼女はついに諦めたかのように息を吐き_まっすぐに彼を捉える

 

 

「えっと……この前は………ほんとに、悪かったわ。ここで謝らせてちょうだい」

 

ペコっと腰が90°に曲がるほど綺麗に直角で頭を下げるリオ。

誰がどう見ても誠心誠意の謝罪であることは間違いないだろう

 

その先にはハイドリヒが見下すように__いや、彼女を見透かすように視線を移している

 

そして………

 

 

 

 

 

「許します」

 

「っ!?」

 

「………ふふっ」

 

ハイドリヒの一言に、リオは鳩が豆鉄砲を食らったかのような表情になる

 

「ちょ、ちょっと待ってちょうだい………『私は許してない』って言ったのはなんだったの……!?」

 

「もう許してますよ_てか私って意外と貴方に感謝してるんですからね?」

 

「か、感謝?」

 

驚いているリオを尻目に俺は説明する

 

「そもそも貴方にアリスを殺す勇気さえ無かったというのは知ってます_貴方はあの時、すぐに殺せたであろう命を生き永らえさせた……でしょ?」

 

「こいつは意気地なしだからな。そんな事出来るわけねぇだろ?」

 

「ふふっ、それもそうですね」

 

「………」

 

「…それ以前に」

 

「?」

 

リオは頭を傾げる

 

「アリスを私と会わせてくれた事に…とっても、感謝してるんです」

 

「…慣れないわね」

 

彼女はそっぽ向いて少しだけ顔を赤らめる

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

「状況は大体理解したわ__いえ、先にミレニアムの事件に巻き込んでしまった事を謝罪するべきかしら」

 

「私達は全く分からn「セミナーには知らせたのかい?」………」

 

「普通ならそうすべきでしょうけど__今回はそうもいかないわね」

 

俺の会話を無視してセイアはリオに問い出すと、リオはため息混じりにそう答えた

 

「裏で動いている『何か』の正体が分からない限り下手に動けないわ。もし知らせたらEXPOは停止されるでしょうし…それは望ましくない」

 

「それは我々武装親衛隊g「だが他に手はあるのか?」………」

 

「それに、君たちは水際作戦で食い止めてるようだね」

 

「EXPOはミレニアムにとって重要行事の一つ。多少無理しても遂行しなきゃいけないのよ___準備期間中に不審なデータの流出が見つかったの」

 

「………」

 

あれ?それアプヴェーア(トリニティ武装親衛隊情報部)じゃね?__いやいや、あいつらはちゃんと後始末してるし…………ん?

 

「…おい」

 

ハイドリヒが一人で勝手に焦っていると、ネルに部屋の隅に連れて行かれる

 

 

 

「……おいハイドリヒ…まさかテメェん所のじゃねぇよなぁ?

 

ま、まさか!そんなわけないじゃないですか……ははっ

 

てめぇ、あの地下で『情報部をミレニアムに何度も差し出した』つってたじゃねぇか!!!

 

ち、違います!あれは…その………えっと………

 

「………ま、いいか」

 

いいんだ

 

 

「よし!取引成立だ」

 

背後からセイア様の元気な声が聞こえてくる…取引?え、今商談やってたの?

 

「セイア様どうされましたか?」

 

「…フッフッフ…ハイドリヒ、喜ぶんだ」

 

「喜ぶべきかは理解し難いわね」

 

な、なんなんだよ…勝手に話し始まって終わってるし

 

 

 

 

「今回、情報を流出した犯人を追う作戦に____」

 

 

「私とハイドリヒも参加することになった♪」

 

「………」

 

「………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「はぁ!?!?!?」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

オマケ

 

彼女の名前は歌住サクラコ

 

虎をも殺せる程の殺気を持っているやばい人間だ

 

そんな生きる伝説は今、とある場所にいる

 

「……ここは……」

 

薄暗い

 

そこは最近は殆ど使われていないからだろう、ホコリが薄っすらと被さっている。

乱雑に置かれた段ボールやガラクタには統一感が見れない

 

__そう地下道だ

 

ハイドリヒやセイアがこの前訪れた、地下道だ

 

そんな大した面白みのない場所になぜ彼女は来たのであろうか?

 

それは__

 

 

 

「……道に迷いましたねぇ」

 

そう、道に迷ったのである!

 

てかどうやったらここ(地下道)に来れるんだよ

 

「ま、まずは出口を探さなければ…………はっ!」

 

サクラコに電流走る

 

 

(いつか聞いたことがあります…迷路を確実に脱出できる方法を!!!)

 

かれこれ30分彷徨っていたサクラコは、とうとう以前マリーから伝授された方法を試すことにした

 

 

(……右の壁に沿って歩けば、必ず脱出できるはずです!!!)

 

そう、結構メジャーな奴だ

 

「思い立ったが吉日ですねっ!」

 

サッ

 

サクラコは右手をひんやりとした壁につけて歩み始める

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タッタッタッタッ

 

「やっべー、あそこに忘れ物しちまったよ」

 

「アホじゃねぇの?ったく、早く忘れ物取って帰るぞ」

 

「へへっすまんね」

 

二人の不良が地下道の中を走っていた

 

そう、あの交渉していた不良どもだ

 

 

一人の不良がいきなり話し始める

 

「なぁ知ってっか?ここの噂話」

 

「なんだよ藪から棒に……聞かせて」

 

どうやら何処にでもある噂話のようだ

 

「聞いた話によるとさ……この地下道には右手を横に出しながら歩いている少女が出るんだってよ」

 

「はぁ?なんそれ」

 

「聞いた話によるとさ……昔、ここらへんで殺された少女が地下道に逃げて息絶えたらしいよ…その少女が幽霊になって、右手を横に出しながら彷徨ってんだって」

 

「おいおい怖ぇなぁ。てかなんで右手出してんだよ」

 

「聞いた話によるとさ……指し示してるらしいよ、出口の方向を

 

「えぇ?そりゃまたなぜ?」

 

「聞いた話によるとさ……逃げるよう促してんだって。敵から」

 

「なるっほどーーー」

 

そんな他愛のない話をしながら、彼女らは十字路を左折する

 

 

 

__すると

 

 

 

 

 

「あ、すみません……」ゴゴゴゴゴゴッ!

 

「!?」

 

「っ」

 

見つかった

 

「お、おい…あれって……」

 

逃げるぞ!!はやく!!!」

 

「わ、わわわかった!!」

 

ダッ!!

 

「あっ」

 

瞬間、尻尾を巻いて逃げる二人組

 

見届けるサクラコ………

 

「………」

 

ダッ!

 

サクラコはクールに去った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、そこの方。ここからの出口をご存知でしょうか?なにせ道に迷ってしまって……あちらですか?ありがとうございます!助かりました……」

 

 

 

 





ワイルドハント芸術学園とトリニティ総合学園って結構似てるよね?

ちなみにここにハイドリヒの友達がいるという伏線がありました。
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