訓練場で何度も刃が交わりを繰り返し、鈍い音が響き渡り、同時に激しく火花が舞い散る。
鍔迫り合いを重ねるは、赤き海賊の戦士『ゴーカイレッド』が姿を変えた勇猛な騎士、『リュウソウレッド』と、恐らくヘルカシア大陸随一のスキルの保有者にして実力者のアリナの肉体を乗っ取った、意思を持つ鎧『ガイソーグ』。
両者一進一退の鍔迫り合いの末、競り勝ったのはリュウソウレッドだった。
「オラァ!!」
リュウソウケンを力任せに押し込み、ガイソーグを後退させる。その僅かな隙で無防備になったガイソーグを、リュウソウレッドは容赦なく斬りつける。その後、ゴーカイレッドの姿に戻ると、右手でゴーカイガンを器用に回転させて、お得意の連続射撃を炸裂させる。
精密な射撃技術は、ガイソーグに回避することを一切許さず、全弾見事に命中した。
「フン、あの頃の俺とは違うんでな」
「待ってくれ、あの鎧の中にはアリナさんが……」
「あ?そんなこと、俺が考えていないとでも思ってんのか?」
連続攻撃に押されるガイソーグを前に、取り込まれているアリナのことを心配して声を荒げるジェイド。しかしそこは歴戦を駆け抜けてきた宇宙海賊の長。
腰に装着された黄金のベルト、『ゴーカイバックル』の天面が押され、中央部分が回転、新たなレンジャーキーが出現し、ゴーカイレッドはその1本を手に取る。
「ゴーカイチェンジ!!」
モバイレーツにレンジャーキーが装填され、モバイレーツの先端が、海賊の紋章を思わせる猪狩のような形へと変化する。
『シーンケンジャー!!』
ゴーカイレッドの真正面に陽炎の如く揺らめき燃える文字が出現。浮かび上がる文字は「火」。
文字はそのままゴーカイレッドの顔面へと迫ると、その後に全身を覆う。烈火を想起させる猛々しいモヂカラが、ゴーカイレッドを天下御免の赤き侍へと変化させる。
「また姿を変えたか…その力で我に勝て!!」
「言われなくても、ここで決めてやる!!」
ゴーカイレッド、もといシンケンレッドを眼前に見据え、勢い良く地を蹴って迫るガイソーグ。
対するシンケンレッドは然程焦る素振りは見せず、携帯デバイス『ショドウフォン』を取り出し、筆の形へと変化させると、空中に文字を描く。瞬く間に書き終えた文字を、ショドウフォンの筆先で反転させ、左手に収まるブランク秘伝ディスクの中にモヂカラを収束。
その後、その秘伝ディスクをシンケンマルへと装填完了すると、シンケンレッドは秘めたモヂカラをシンケンマルの刀身へと集中させた。
「これで決めるぜ、シンケンマル『祓いの舞』!!」
刀身が青白く炎のように滾るシンケンマルの柄を力強く握り締め、シンケンレッドも駆け出し、ガイソーグへと肉薄する。
両者相対した時間は一瞬。されどその一瞬で勝敗が左右される。振るわれるガイソーケンとシンケンマルの刃。打ち込まれたのは……。
「な、何…だと…⁉︎」
「言ったろ?あの頃の俺とは違うってな……」
シンケンマル、シンケンレッドの刀だった。刹那、シンケンマルの刃文を通じて『祓』のモヂカラがガイソーグの全身を駆け巡る。アリナを束縛するガイソーグの呪いが、シンケンレッドの渾身の一撃によって浄化されてゆく。
「ば、バカな…ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
憑依を維持出来なくなったのか、ガイソーグの鎧は四方八方へと飛び去り、取り込まれていたアリナが解放された。意識を失い、そのまま身体を預けるアリナを、シンケンレッドは空いている左腕でしっかりと受け止めた。
「アリナ!!」
「アリナさん!!」
ギラとジェイドは、一目散にシンケンレッドの下へと駆け寄り、アリナの無事を確認する。幸い呼吸はしており、命に別状もなさそうである。
「ったく、世話の焼ける受付嬢様だなぁ」
「あはは、まぁ否定は出来ない…かも?」
「そうだな、ギラさん」
愚痴を零すシンケンレッドに、ギラとジェイドは苦笑いを浮かべながら、眠るアリナを任された。その後、シンケンレッドは再度辺りを見渡したが、ガイソーグの鎧は何処にも見当たらず、また新たな宿主を求めて彷徨い始めたのかと額に手を当てた。
「面倒なことになりそうだな、アイツの言う厄災ってやつも…」
変身を解いたマーベラスは、これからまた一悶着起こりそうな状況に、眉間に皺を寄せて気難しい顔を作るのだった。
タイトルはリュウソウジャーとシンケンジャーを意識しております。
ゴッドネスさんの出番はもう少しお待ちください。