「成る程、四谷みこの懸念していた相手は百合川ハナではなく、此方の幼子だったわけだな」
ハルヒコくん、その子は君より年上だよ。
私の内心のツッコミなんて聞こえていないハルヒコくんはトンネルに入り、死神の鎌を振って、くっきりとシルエットが見えて現れる前に浄霊してくれる。
すごく助かるけど。
刃物をそんなに振り回さないで!
「(ひぃぃぃっ!目の前横切ったよ!)」
「こことか写真取れますよ!」
「うん!みこー、被写体して!」
「え、わ、わかった」
私がピースを作る隣で、鎌が幽霊を刈る。
刈って、刈って、怖い。
「100円!」「10円!」「3円!」と刈るたびに値段を叫ぶハルヒコくんは「おれの借金返済のために、動かないでくれ!」と私に叫んでくる。
やっぱり、怖いよハルヒコくん!
「逃がさん!」
私達の目の前を横切る、ハルヒコくんはあの子には見えておらず、黒猫の声も、ニャーニャーと鳴いているようにしか聞こえていない。
ニ暮堂ユリアちゃん、この子も見える人なんだろうけど。ハルヒコくんは見えていないし、黒猫の声も聞こえていない。
私とは毛色?が違うんだと思う。
「ハルヒコ様、大物です!」
「俗称『ドラム缶詰め込まれ男』だな。お前の魂を頂戴する!」
ジャララララ!!とハルヒコくんの鎌に鎖が巻き付き、綱引きみたいになる最中、ハナはインスタントカメラを使い、ずっと写真を取っている。
なんでなの!?
なんで、これで気付かないの!?
「ぐうっ、まさかコイツは集合霊の類いか!?四谷みこ、渡していた『浄霊粗塩』を霊が寄り付かないように振り撒いてくれ!」
「(む、無理!絶対に無理だよ!?)」
じりじりと引きずり込まれるハルヒコくんと、カバンの中の小袋に入った粗塩を握り、悩みながらもバッ!と塩を撒いてしまった。
「き、浄めの塩!?」
「ち、違うよ!粉タイプの清涼剤だから」
ユリアちゃんの呟きに違うと言いながら、私は鎖を切り裂いて、ドラム缶の幽霊を刈り取るハルヒコくんの背中を見詰める。
「いい加減にっ、浄霊しろ!!」
「やりました!」
霧になって消えるドラム缶の幽霊を無視し、汗を掻いて死神の鎌を握るハルヒコくんに小さな声で「今日も助けてくれてありがとう」と伝える。
そして、出来れば押し付けないでほしい。
もう、あんなことはしたくないよっ!
「みこーっ、いっぱい取れたよ!」
「……そっか」
喜んでいいのかなと悩みながらも私はハナとユリアちゃんと一緒にバス停に戻ることにした。ハルヒコくんは、大丈夫だよね?