とある掲示板で発生した謎概念、『ヒロインが絶対負けない異世界ハーレム』

で、性格ドブカスなヒロインを襲撃したせいでいつの間にか子分にされていた元盗賊団のおっさんを主役にしたスピンオフです。



キャラの解釈違いにはご留意下さい。

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くたびれたおっさんが可愛い女の子に振り回されるお話は好きですか?






おっさん探偵は依頼を断りたい(断れるとは言ってない)

 ここは冒険者の街アニマン。

 王国最大のダンジョンを中心に発展したこの街には一流の冒険者が王国どころか大陸中から集まってくる。つまり金を持った冒険者(脳筋)共が何もしなくても集まってくる訳だ。

 血の気の多い連中が集まれば当然だが喧嘩なんて日常茶飯事で、そうじゃなくても揉め事なんて道で歩けば3歩でぶち当たるくらいありふれていやがる。

 

 

 まあそんな街だから俺みたいな小悪党も稼ぎには困らなかった訳で、学の無い連中をだまくらかして金を巻き上げたり、ひよっこ共を脅して金を巻き上げたりと子分達と一緒にそれなりに愉しい悪党ライフを送ってたんだ。()()()()()()

 

「どうしましたおっさんさん、死んだ目で天井を見上げてますが?」

「あー…ちょっと昔の自分の所業を顧みてたんだよ」

「そうですか。そんな事より、今回の依頼ですが」

 

 俺の感傷など無視して、テーブルの対面に座る女が俺の前に依頼書と前金の入った袋を置いた。

 書かれた依頼内容を熟読し、俺は自分でも分かるくらいどんよりと落ち込んだ声で依頼主であり、俺がこんな場末で()()()()()なんてものを開くきっかけになった女に確認する。

 

「なあ()()()()、なんで俺がお前さんの()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()…?」

「フッフッフ、おっさんさんにこの格言を贈りましょう。『敵を知り己を知れば百戦危うからず』!!」

「いや味方!! エルフも魔法使いもヒーラーもお前さんの味方だろ!?」

「ええ、彼女達は主人公さんとその妻である私の大切なパーティーの仲間です。そして全員、主人公さんの一番を狙う泥棒猫です。そんな彼女たちの弱み…じゃなかった普段の素行を調べるのは正妻である私の大事な仕事です」

 

 真顔で言い切りやがったぞこの女。

 

 依頼主、このアニマンで最強…いや最凶の冒険者パーティーのリーダーである主人公の自称正妻「自称じゃないです!!」「心読むな!!」、まあサブリーダーで一番信頼されてるのがこのヒロインだ。

 銀髪碧眼で容姿端麗、スタイル抜群、頭脳明晰、器用な上に戦闘能力も高いがドブカスな性格が全てを台無しにしているこの女に俺は逆らう事は出来ない。何故なら──

 

「そもそも姫様を脅sじゃなかった、お願いして貴方の前科(冤罪)を揉み消して事務所まで見つけてきたのは私ですよ? つまりおっさんさんにノーと言う権利はありません」

「そうだけどよぉ…」

 

 これバレたらこの街で最強クラスの連中に恨み買うって事じゃねえかな。

 

「ご心配には及びません。ちゃんとおっさんさんに危険が及ばないよう()()を用意しました」

「ナチュラルに地の文読むのやめてくんない?」

 

 俺の抗議を無視して、ヒロインは無駄に様にある仕草で指を鳴らす。

 

「…」

「……」

「………あれ?」

 

 ヒロインの奴がキョロキョロと事務所の中を見回す。

 

「おかしいですね、私がカッコよく指パッチンしたら天井から颯爽と現れるよう頼んだのですが」

「誰を呼ぼうとしたんだよ…?」

「護衛ですよ、とっても頼りになる」

「…いないぞ?」

「変ですね…おーい()()()()()()()()さーん」

 

 ヒロインが首をかしげながら心もとなげに呼びかけると──

 

「昼飯はまだかのう?」

「「うわびっくりした!?」」

 

 いつの間にかヒロインの隣に白髪の女の子が座っていた。どっかの屋台で買ったであろう串焼肉をパクパクと食べながら。

 

「何!? 誰だこいつ!?」

「あーもーのじゃロリババァさん、ご飯は今食べてるじゃないですか。というかどこ行ってたんです?」

「モグモグ…ここはどこかのお?」

「おっさんさんの事務所ですよ! もお、本気で気配消してたら私でも何処にいるか分からなくなるから加減してくださいっていつも言ってるのに…」

 

 俺もそれなりに修羅場を潜って来た自負がある。だがそんな俺でも、声を聞くまでこの女の子が座っていることすら気づかなかった…。何者だコイツ?

 

「おっさんさん、このお方はのじゃロリババァさん、私達の新しいパーティーメンバーです。こう見えても私達よりも遥かに年上なんですよ?」

「さよか…」

 

 確かに髪は婆さんだと言われても信じられるくらい見事な白髪たが、それ以外はどう見ても子供だ。なんか腰に物騒な刀を佩いているがそれ以外はその辺で遊んてそうな子供だ。

 

「見ての通り彼女は超一流の剣術家で気配を消すのもお手の物、尾行のお供にピッタリです!」

「…そうだな」

「ちょっと物忘れが多いですが、頼んだ事はしっかり聞いてくれますし、時々勝手に悪い人を斬り捨てる癖以外は付き合いやすい人ですよ?」

「待てやコラ」

 

 今とんでもねえ爆弾ぶっ込んできたぞこのドブカス女。

 

「何か私に失礼な事をおっしゃった気がしますが、まあ良いでしょう。一応おっさんさんを斬らないよう言い含めておきましたので、仲良くして下さいね?」

「遠回しに俺のこと悪人って言ってねえか?」

「………」

「なんか言えよ!!」

 

 腹立たしいくらい可愛い笑顔で誤魔化しやがった!!

 

「あ、ご飯時になったらちゃんと食べさせてあげてくださいね。一人だと食べるの忘れちゃって、私達が会った時も空腹で倒れてましたので」

「なんでお前のパーティー変な奴しかいないの?」

「不思議ですよねえ…」

 

 類友…いやこれ以上はよそう。

 

「ではおっさんさん、期限は一カ月、一週間毎に定期報告をお願いしますね?」

 

「分かった…」

「では、私も忙しいですので失礼しますね!」

 

 そう言ってヒロイン()は去った。ロリババァ(爆弾)を残して。

 

「はぁ……田舎に帰りてえ」

 

 取り敢えず煙草吸おう。あ、ライターの油切れてる…。

 

 

 俺はまだ知らなかった。この依頼が、この街を半壊させるのじゃロリババァと酒乱龍神娘との怪獣大決戦の火種になるということを。

 

 


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