ダンジョンが異世界と繋がりそうなんだけどどないしましょ? 作:caose
「アニスフィア王女殿下、此度のパーティーは楽しんでおられておりますか?」
そう言って現れた男性を見て・・・アニスはこう言った。
「あら・・・『スプラウト』騎士団長ですか?」
目の前にいるのは『スプラウト』騎士団長
パレッティア王国の近衛騎士団長である。
深緑色の頭髪
淡い緑の瞳を持つ穏和な感じがするがその鍛え抜かれた体は武人でありある意味
戦士としては完成した存在である。
「・・・いつ見てもその言動は普段を知っておられる我々からしたら違和感しか
ありませぬなあ。」
「何でイリアやお父様だけじゃなくて騎士団長までそう言う事言うんですか!」
アニスはそう言いながら・・・普段口調に戻っている事に気づいておっとと言うと
ああ大丈夫ですよと『スプラウト』騎士団長がそう言うとこう続けた。
「今私の部下が魔法で無音にさせております、其れにしてもまたドラゴンを
相手取るとは。まあ独断専行は許せませぬが其れは其れ、これはこれでございますから。」
それを聞いてアニスはアハハと言う中・・・『スプラウト』騎士団長に向けて
こう聞いた。
「・・・申し訳ありません『スプラウト』騎士団長、この度は犠牲者が」
「アニスフィア王女殿下、貴女が謝る理由はありませぬ。あの時死んだ者達は全員
この国を守るが為に既に覚悟を決めておりましたのでその言葉は・・・死んだ者達に対する侮辱として受け取る事と同義です。」
「・・・相変わらず手厳しいですね。」
「こう見えて既に15の愚息がオリますが故に、まあその愚息は今回のユフィリア嬢の
婚約破棄に関わっておりましたので今は謹慎中ですがしかしまた・・・未だ14歳の子が
ドラゴンの右目を穿った噂を聞いて子を持つ騎士の連中はそれはまたと羨ましがったり
娘を持つ者は一度見ておいて損は無いんじゃないかと思う者もおる次第でございます。」
「あははは・・・ベル君も人気者だなあ。」
「ええまあ、其れで2つほどお聞きシタイノデスガ宜しいでございましょうか?」
『スプラウト』騎士団長がそう聞くとアニスは構いませんと答えると
『スプラウト』騎士団長はこう聞いた。
「ではまず一つ、ドラゴンについてですがその力は如何ほどに?」
そう聞くとはいとアニスはこう答えた。
「強い・・・正にこの一言に事尽きました、魔女箒が完成していたとはいえ
危なかったでス。」
「そうですか・・・矢張り現場急行と飛行能力を持つ魔物に対して魔女箒は
有効でしょうがやはり量産については?」
「其れがもう一つですね?・・・未だ褒められたものではないですし何よりも
増産体制に移すには時間と資金がかかりますね。」
「・・・陛下も頭を悩ませているのでございましょうがこれは仕方なきことですな。」
『スプラウト』騎士団長はアニスの言葉を聞いて矢張り貴族の頭でっかち共かと蟀谷を指で押していた、近衛騎士団長としての地位故か政治にも敏く現状の把握は
グランツに次いでいる。
そして『スプラウト』騎士団長はアニスに対してこう言った。
近衛騎士団長と言う立場故に阿多尚行いを手放しで称賛する事叶わずですがこれだけは忘れないで下さい・・・貴女がこの国にいて良かったです。」
『スプラウト』騎士団長はアニスに対して頭を下げるとこう締めくくった。
「貴方がいなければ多くの人命が失われていた事でしょう、貴方の事情は
知っておられますがそれでも貴女が表舞台に上がってくれる日を一日千秋の想いで
待っております。」
それを聞いて立ち去る『スプラウト』騎士団長にアニスはほっとしていると音楽が
変わりそうな感じがしてさっさとバルコニーに向かって行った。
「社交界は苦手だなあ。」
アニスは何時もの様な表情でそう言った、今迄自分がやっていたのは最終的に
自分の為であり今回のドラゴン討伐もその一環でしか無いのに
何でこうなっただろうなあと思って居ると・・・背後から声が聞こえた。
「ああアニス様、此方にいらしたのですか?」
「ひょえ!?」
突如として素っ頓狂な悲鳴を上げたアニスは顔を向けるとそこで目にしたのは・・・
ユフィであった。
どうしたのと聞くアニスに対してユフィはこう答えた。
「・・・あれだけアニス様にダンスを仕込んでおいて情けアリマセンが男性と
触れ合うのがちょっと息苦しくて・・・。」
「ああねえ・・・じゃあベル君は?」
アニスがそう聞くとユフィはそうですねと言って・・・こう答えた。
「・・・実家にいる弟の様な感じですかね?何だか危うげで目を離したら何をするかと思うような手合いですかね?」
「ああねえ・・・確かに、ベル君って何だか目を離すと無茶しそうだよねえ。」
それを聞いて互いに笑い合うとアニスはユフィに対してこう聞いた。
「ねえユフィ!踊ろ!!」
「え?アニス様とでしょうか?」
ユフィがそう聞くとアニスはだって勿体ないじゃんと言うのを聞いてユフィは
目を大きく見開いていた。
この時代ダンスは男女一対で踊るべしというのが暗黙の了解となっている中
其れを真向に破るアニスにユフィは今迄の常識はこの人といるのならば
捨てるべきなんだろうなと考えてこう言った。
「では・・・1曲。」
宜しくお願いしますというとアニスは分かったと答えて互いにダンスが始まった。
星々が煌めき夜の鳥の鳴き声が響く中ユフィはアニスに対してこう言った。
「アニス様。」
「?」
「あの日・・・アニス様が私を連れ出してくれなかったら私は壊れていました・・・
全部が嫌になってどうにでもなれと思ってしまってたかもしれません。」
「・・・・・うん。」
「だけど貴女が私を連れ出してくれた、今ならはっきりと言えます・・・
・・・・・私は嬉しかったですアニス様、何もかも失敗して失った私にチャンスを
与えてくれたことに心から感謝しています。」
「・・・うん。」
「ドラゴン討伐だけではありません、貴方はこれからも幾つもの
無茶をしますし社交の場はいやでございましょうから私が・・・『私たち』が
埋めます。」
「『私たち』。」
「はい、私にイリア、お父様に国王陛下に・・・ベル・クラネルが貴方を
サポート致しますので・・・だから。」
そう言って其の手をアニスに搦めさせるとユフィはこう言った。
「如何かこれからもお側に置かせてくださいアニス様。」
その言葉にアニスはこう答えた。
「これからも宜しくね・・・ユフィ。」
その光景をベルは・・・うわあああと赤面しながら眺めていたのであった。
次回は第2巻から。