ツーターン・スリーターン   作:ジェレミー

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ジャパンカップ(3歳以上 GⅠ)



(チラシの裏にジャパンカップの騎手、冠名実名化エディットを行った馬柱を投稿しております
https://syosetu.org/novel/374368/2.html )


急展開

 谷地オーナーと井野調教師がニヤニヤしながら厩舎の前で顔を突き合わせていた。

「井野よ、御主も中々ワルよのう……」

「いえいえ、馬主様ほどではございません」

 ちょうどコースが閉まる直前の調教に出発しようとしたジェルディサヴォアが、横からスッと咥えていた黄金色の寝藁を差し込もうとしたので、コウヘイが、

「いいから行くぞ」

と曳き綱を引いた。

 

「井野センセイの読みはピッタリでしたね。1週早めることなど造作でもないでしょう?」

「どっちにしろレコードの目標は有馬なので、7,8割の出来にはなると思いますが」

 谷地と井野は、ジェルディサヴォアのダート転向が失敗に終わった場合、得意の中山2500mで行われる有馬記念でジェルディサヴォアとシビアレコードの兄弟対決を目論んでいた。

 

 そしてその前哨戦としてシビアレコードは鳴尾記念を予定していたのだが、進藤が先週31勝を達成したことにより、晴れて進藤とのコンビでGⅠに出られるとなれば、1週早めてジャパンCへ舵を切ったのだ。

 

 今年のジャパンCはやや穴場気味である。

 ジェルディサヴォアもアンベストネヴァーもおらず、リヴェッティにも距離は長い。

 コンティルミエールは香港へ行っており、中長距離のスペシャリストが不在だった。

 なんならマカロフィ兄弟がフランスから連れてくるデームカルティスロットですら上位人気に収まりそうな状況で、シビアレコードは叩きだとしても上位入賞が狙えそうな面子であった。

 

 しばらくマイルを使っていたシビアレコードであるが、京都新聞杯やセントライト記念も勝っており、2ターン、そして2000mを超えるレースへの適応は十分。

 なんならまだ短いので、このままいけば有馬記念でジェルディサヴォアより上位の人気になるのではないかという評判である。

 

「賞金順でもほぼ間違いなく出走可能だとは思いますし、何よりレーティングがありますからね」

 サセックスSで6馬身差をつけたシビアレコードのレーティングは国際競馬統括機関連盟(IFHA)より125ポンドを与えられており、リヴェッティの122ポンド――宝塚記念で破ったアンベストネヴァーが凱旋門賞を圧勝したことによりかなり盛られた――より上で、出走予定馬としてはトップランカーであった。

 

 シビアレコードが出走を1週早めたことにより、井野厩舎の人員にも余裕ができた。

 阪神競馬場で行われる鳴尾記念であれば前日輸送は確定だが、翌日には中京競馬場でジェルディサヴォアが出走するチャンピオンズCが行われるため、中村厩務員を阪神へ送り、コウヘイこと宮国助手を中京へ、そしてリンガスマイセッサをはじめとする自厩舎の馬は他のスタッフに預けるとなれば、リンガスマイセッサの機嫌が悪くなるのは必定だったのだ。

 リンガスマイセッサはさらにその翌週、阪神JFへの出走も控えているので、体調を崩すわけにはいかなかった。

 

 シビアレコードの出走を1週前倒しにしたことで中村や進藤騎手を阪神に送る必要がなくなり、土曜日の東京メイン、キャピタルSにシングルベルを出すこともできるようになった。

 

 だがそれはそれとして、天栄で間隔調整ができる馬もおらず、預託頭数自体も少ない井野厩舎で出走予定馬が重なると調整は難しい。

 ジェルディサヴォアは調教では基本的にマイペースだから誰と併せてもよいのだが、出走予定が2週間ズレているシビアレコードとリンガスマイセッサの2頭は結構意地っ張りなので、我慢を効かせないとオーバーワークになりかねなかった。

 

「あの外厩も頼りにならねえしなあ……」

 井野が寺尾をの隣でため息をついた。

()()オーナーの外厩っスか。なんつーか……戦前の競馬場って雰囲気でした」

「設備もイマイチだけど、ノウハウがまだ()えのよ。スタッフも半人前だしな。どっちかっちゃ併せて訓練をする、馴致場みたいなもんなんよ」

 リンガスマイセッサや、今年他厩舎に入厩した数頭も含めて4割が未勝利から脱却できているのは成功と言えるのかもしれないが、実際のところほとんどがジェルディサヴォアが“馬同士”で躾をした結果であり、スタッフの腕とは言いにくいのである。

 

「で、結局このコンビっスか」

 今日の追い切りは1週後のジャパンC週に出走するシビアレコードとシングルベルが坂路で併走、2週後のチャンピオンズCへ向かうジェルディサヴォアと、3週後の阪神JFに向かうリンガスマイセッサがDコース(ウッド)で軽く流していた。

 

 因みに坂路ではシビアレコードが先行である。

 シングルベルを先行させるとシビアレコードにワザと捕まりにいく癖が出てしまうので、追わせた方がいいという判断であった。

「順調っスね」

 寺尾がタイム表示を見て素早くメモを取った。

「だな。といっても、シングルベルもシビアレコードもまだ叩きの状態だから。あっちの横綱とお嬢様はそろそろ仕上げに入るよ」

 

 

【全スポ 11/24 10:15】

~ジャパンカップ主な出走予定馬と評価~

 

・リヴェッティ(天皇賞秋1着)

能力S 距離B 馬場 B 調教 A

 秋古馬3冠へのチャレンジを公言しているリヴェッティが、菊花賞以来となる2400m以上のレースに臨む。

 昨年の菊花賞は距離の壁もあり8着に終わったが、2400mのダービーではアンベストネヴァーの2着に入るなど、距離は十分対応可能と言えるだろう。

 

・ジェリーホーネット(京都大賞典2着)

能力S 距離S 馬場A 調教 S

 実力は折り紙付き。やや相手と展開に恵まれずGⅠへ届いていないものの、距離は最適の2400m、初の東京で自慢の瞬発力を見せつけるはずだ。

 

・リッチセレクション(天皇賞秋3着)

能力A 距離A 馬場A 調教C

 GⅠでも堅実な走りを繰り返す実力はあるが、他馬の末脚に屈するパターンが多いのも事実。1週前追い切りでは坂路で半馬身遅れとややフットワークに不安が残る。

 

・シビアレコード(セントライト記念1着)

能力A 距離B 馬場C 調教C

 距離は問題なしと見えるが、血統としては東京競馬場での相性は悪い。2度のローテ変更をしており、調整が難航している可能性も。

 

・パルトアプルーヴド(天皇賞秋5着)

能力B 距離B 馬場A 調教A

 前走はスタート直後の不利によりやや不完全燃焼といったところ。デキ落ちはなく、最終週の荒れた馬場も気にならない。

 

・ネベルメナース(京都大賞典1着)

能力S 距離C 馬場C 調教C

 長距離一筋で天皇賞秋はパス。有馬記念での決着を目指し、ジャパンカップはまだ一叩きといった印象。

 

・メイビーナッシュ(2036年 クイーンエリザベスⅡ世C4着)

能力C 距離S 馬場A 調教B

 昨年の香港QEⅡのあと屈腱炎により長期休養、1年半ぶりの出走となる。結果問わずこのレースでの引退を表明しているが、やはり影響は大きく1週前追い切りでは3勝クラスを相手に半馬身遅れ、タイムも上がらず。

 

・ジュライロンド(日本ダービー2着)

能力B 距離A 馬場A 調教C

 骨折回復明け1戦目ということで、あまり強い調教が出来ていない。成長分もあるが馬体重は20キロ前後の増加となりそう。

 

・マスキングヘロド(ジェフリーフリアーS1着)

能力B 距離B 馬場C 調教A

 早くからジャパンカップ一本に絞っての出走を希望し、招待を受託。本質的には長距離、後方からの競馬をするタイプだが、早めの競馬でスタミナ勝負に持ち込む可能性も。

 

・デームカルティスロット(凱旋門賞2着)

能力A 距離S 馬場C 調教B

 東京競馬場への適正は未知数も、瞬発力勝負では上々の成績。大外一気の末脚には要警戒。

 

~関西TM 六角・関東TM・笹山~

 

11マスキングヘロド牡5差し――△―適正不安

2ギャラールブルー牡5逃げ――――逃げるが

23シビアレコード牡3差し―▲―△仕上らず

4ホワイトファイン牝5先行――――どこまで

35ジュライロンド牡3追込―△――成長見せ

6ジェリーホーネット牡4追込〇◎◎〇好材揃う

47オートプラトン牡4差し――――流れ込む

8セッツビッグバン牡5先行――――展開厳し

59サラノサイクロン牡6差し△△――距離は良

10リッチセレクション牡4追込――▲▲追えれば

611リヴェッティ牡4先行◎〇〇◎ロス無く

12オーロレガーメ牡5差し――――折合えば

713デームカルティスロット牝4追込△―△―末脚光る

14メイビーナッシュ牡6追込――――長休明け

15インターツインズ牡6差し――――調教は良

816パルトアプルーヴド牡6差し▲―――惑星注意

17ペルフェリーチ牡5先行――――外枠苦し

18ネベルメナース牡4追込―――△やや短い

 

 

 ジャパンカップの数日前、都内の割烹料理店で谷地がマカロフィ・ファミリーを饗していた。

 レース後には弟のサムエル・マカロフィ氏が何やら商談もあるとのことで、懇意にしている谷地とマカロフィ・ファミリーが顔を合わせられる機会は少なかったのだ。

 

『メルボルンCは残念でしたね』

『ご覧になっていましたか。モーリッシュもだいぶ衰えてましたからね。3着はもう十分ですよ』

『モーリッシュは種牡馬に?』

『何年かはするつもりです。長距離系ですが、父のグランタレットはダート馬でしたし、地方では多少は需要があるはずです』

 モーリッシュは高齢の長距離馬ということで、芝系種牡馬としての需要は初めから見込んでいない。

『なんならアイルランドから2頭ぐらい連れてきましょうか。レパーズダウンには障害レースがありますから、上手くいけばグランドナショナルなどにも』

『ハハハ、その辺はこちらからは何とも……。種付け料は高くても30万円程度でしょうし、予約が埋まることもまずないでしょうから、いつでもお待ちしておりますよ』

 

 日本酒が飲みたい、というマカロフィ兄弟のリクエストで選んだ料理屋だが、ファミリー達も楽しんでくれているようだ。

 

『そういえば、ジェルディサヴォアは本格的にダートになるんでしょうか?』

 兄で調教師のアーネスト・マカロフィが心配そうな顔で聞いた。

 ジェルディサヴォアがフランス遠征をする際にはシャンティイにあるマカロフィ厩舎に預けていることもあり、ダート路線になれば欧州に遠征する理由もなくなるのだ。

『いえ、むしろ欧州中心にすることも考えています。日本の芝は硬すぎて走りづらそうですが、ダートは左回りですからね。アメリカの硬いダートではなおさら本末転倒ですし』

 そうですか、とアーネストがすき焼きを摘み、酒を含んだ。

 地方交流のレースになれば右回りもあるが、賞金も低いので今の段階ではわざわざ地方への遠征、転籍は考えていない。

 

『デームカルティスロットはどうです?東京競馬場で走っているようですが』

『芝には十分対応はできると思います。あとは日本のレースそのものについていけるかですね。フランスと違って全員後ろに控えるわけでもないですし』

 今年のレース展望としてはギャラールブルーの単騎逃げ想定であり、軽々しく大逃げを許してしまえば逃げに定評がある十和田衣織騎手は怖い存在である。

 宝塚記念ではホワイトドミニオンに先手を譲ったが、彼は香港Cに出走するため不在。

 鈴を付けに行くのはリヴェッテイの役目になるが、2冠がかかる中ではリスクが大きいものであった。

 

 

 悪い意味で“誰が勝ってもおかしくない”といわれている今年のジャパンカップは、1番人気は3.9倍のリヴェッテイ、2番人気4.4倍でジェリーホーネット、3番人気6.1倍のリッチセレクションと続いて、以下デームカルティスロット、シビアレコード、パルトアプルーヴド、ネベルメナースの9.7倍まで、10倍を切るオッズの馬が7頭もいる大混戦。

 各競馬紙の予想も割れており、全体的に印が厚いのはジェリーホーネットとリヴェッティである。

 

 例によってシビアレコードが蹄鉄を叩きつけてパドックに入場し、驚いたギャラールブルーとジュライロンドが大きく嘶いて暴れたこと以外は特に大きな問題もなく、パドック周回が進んでいった。

 GⅠ開催日ということで、栗東所属のトップジョッキーも選び放題の中、いくら減量恩恵があるとはいえ2kg減となった進藤には平場でも仕事はなく、今日の騎乗は1Rの未勝利とメインだけという一番辛いスケジュールになっていた。

 1Rでは高橋厩舎の馬で勝ったので、もしこのジャパンカップで勝てば進藤で始まり進藤で終わる1日となる*1

 

 周回停止の号令がかかり、進藤がまず谷地に挨拶に行くと、隣に来ていたシビアレコードがすぐ進藤に鼻面を寄せて甘え始めた。

「これでもうレコードは下級クラスでモゾモゾする必要もなくなったからね。

進藤君、記念すべきGⅠではあるけど、ここは確実に着を拾うだけでいいから。来年になったらもっと大きなところもいけるから、サセックスの時みたいに慌てて、オーバーワークにならないように頼んだよ」

 谷地が進藤の肩を軽く叩いて、他の陣営に聞こえないよう小声で言った。

「え?ええ。わかりました」

 進藤は釈然としない様子である。

 先んじてイギリスのGⅠを勝っているとはいえ、谷地がシビアレコードを“贄”としてまで進藤に31勝を急がせたのはこの時の為ではなかったのか。

 進藤にとっては晴れ舞台である。

 そのGⅠの舞台で、しかも相棒・シビアレコードのレースでありながら、着拾いで済ませろと言われては不満であろう。

 

 他方、谷地にとっては進藤とのベストパートナーであるべきなのはリンガスマイセッサであり、シビアレコードは進藤が乗る前にはすでに3人の騎手が跨っていた馬。

 シビアレコードは進藤の実績を上げるために踏み台にさせていたに過ぎず、31勝を達成しGⅠに自由に乗れるようになった今、進藤が他の馬主や調教師とのコネクションを広げていくためにも、簡単に減量を卒業されては困るのだ。

 これは上田秋信騎手を贔屓するあまり、見習い時代の上田を谷地が独占し、直近はジェルディサヴォアでGⅠを何度も取っているにもかかわらず未だに上田の仕事(乗り鞍)が少ない原因を作ってしまったことへの反省でもある。

 ヘマをしても進藤を降ろさないと約束した手前、シビアレコードとのコンビはこれからも継続させるつもりだが、今年はだいぶコンスタントに出走させてきたこともあり、来年はレース間隔をあけての出走にしようと井野と話はついていた。

 

 府中は快晴。

 ジャパンカップデーは特別なタイムテーブルとなっているので、最終12Rであっても発走時刻は通常のメインレースと同じ、15時40分であり、まだ日没まで30分以上はある。

 ゲート入りも順調に進み、大外18番のネベルメナースが主戦・大迫春寿を背にゲートに収まると、すぐゲートが開いた。

 

 (ハナ)を主張する馬はいないので、ギャラールブルーが楽に先手を取り、いきなり4馬身のリードをつけて1コーナーに突入していった。

 ギャラールブルーが唯一の逃げ馬で、人気どころはほとんど後方に位置していることもあり、徐々に馬群がばらけていく。

 向こう正面に入ってすぐ、十和田以外の全騎手が、

(だれか行かないと逃げ切られるぞ)

と、舌打ちをしていた。

 

 しかし前述したとおり、実力がある馬はこぞって後方待機なので、直線での脚を残しておかなければ、ギャラールブルーを捕まえたとてその後ろから差されるのは間違いなかったのである。

 3コーナーに入っても10馬身のリードがあり、後方の隊列もほとんど変わらない。

 最初に仕掛けたのはリッチセレクションの中村春貴騎手だった。

 しかし一気に促したわけではなく、前を走るシビアレコードの外から被せ、ハミを緩めたまま手だけを動かしたのである。

 

 シビアレコードの進藤誠紅はまだ経験が浅い見習い騎手。

 ベテランの中村兄に先に動かれ、遅れるわけにはいかないとシビアレコードを促し、一気に先行集団の外からマクっていった。

 シビアレコードが急加速で動いたことにより先行勢が刺激され、特に人気薄の騎手達もとにかく先に抜け出そうとペースを上げた。

 そんな中で、最も早め先頭での押し切りを目論んでいたイギリスのマスキングヘロドが真っ先にギャラールブルーを捕まえ、予定通り直線入口で早々と先頭に立った。

 

(やってしまった)

と、進藤が後悔したのは4コーナーに入ってすぐだった。

 3コーナーからのロングスパートなど、いくらシビアレコードでも無謀というものであり、現に動き始めたはずのリッチセレクションは遥か後方に残っている。

 

 騙されたと思ってももう後の祭り。

 

 先行勢も動き出したことで彼らのさらに外を回すルートしかなくなり、5,6頭分の不利を受けながら強引にポジションを上げていく。

 一度ペースを緩めようかと思い後ろをチラッと見ると、ネベルメナースの白い馬体が大迫力で押し上げてきており、脚を緩める余裕はなくなった。

 

 シビアレコードは兄のジェルディサヴォアほどコーナーワークが上手いわけではないので、加速しながらのカーブではなおさらスタミナを消耗することになった。

 しかもまだ800mも残っている。

 進藤は已む無く作戦を切り替え、リンガスマイセッサのように行くだけ行かせて粘れるだけ粘ろうと、さらにハミを詰め、手綱をしごきだした。

 

「持つわけねえな、ありゃ……」

 馬主席では谷地がため息をつきながら双眼鏡を覗きこんだ。

(オーバーワークになったら有馬もパァなんだよ。わかってんのかなあ)

 他の馬主たちが自分の馬に声援を送っている中、谷地は逆にさっさと諦めろと願っていた。

 

 直線に入るとすぐ、シビアレコードの馬体が沈み、一完歩ごとの衝撃が軽くなった。

 マスキングヘロドを交わし、坂の手前で馬場の外から先頭に立つと、まるで離陸するように坂を駆けあがる。

 このまま突き抜けるかと思ったが、200mの標識を過ぎたあたりで徐々に反動が戻り、進藤の右ムチが飛んだ。

 

 内からはひたすらに我慢した柳裕則とリヴェッティがばらけた馬群を縫って前に迫り、外に持ち出したジェリーホーネットが宜保裕也のムチに応えてギアを上げ、リッチセレクションめがけてデームカルティスロットとの末脚争いを開始した――。

 

 

<晴天に恵まれました東京競馬場。今日は最終12Rがメインレース。ジャパンオータムインターナショナル第3戦、ジャパンカップGⅠ。

今年の外国馬はイギリスのマスキングヘロド、そしてフランスから凱旋門賞2着、デームカルティルロットが出走しております。

 

偶然番号の枠入り、2番のギャラールブルー。前のレースから十和田衣織に手綱を戻しまして、先手を主張するのかどうか。

長い休養明け、これがラストランのメイビーナッシュ。14番ゲートに誘導。最後の手綱は初騎乗清水和成。

最後は18番ネベルメナース。大迫春寿を背に、収まります。

 

スタートしました。

リヴェッテイもいいスタート。

さあ行きます逃げ宣言。ギャラールブルー十和田、馬(なり)のまま先頭を奪います。

2番手4番ホワイトファイン、外から17番ペルフェリーチが並びかけて、緑の帽子11番リヴェッテイがインコースから4番手、8番のセッツビッグバンが先団外目。

その後ろ、1番イギリスのマスキングヘロド。メイソン・ロメロ早目の競馬で1コーナー。

 

その後ろ2馬身空いて7番のオートプラトン、ロドリゴ・ウッズ。さらに1馬身差、9番のサラノサイクロンです。

内でしっかり抑えている12番オーロレガーメ嶋田、半馬身差外に戸木とパルトアプルーヴドで2コーナーに入ります。

 

逃げます2番ギャラールブルー十和田衣織、すでにリードは4馬身から5馬身。

単独2番手4番のホワイトファイン渋谷蓮、3番手は17番ペルフェリーチ大城佳史(よしふみ)

1馬身差内に控えて11番リヴェッティと柳裕則。並んでその外、松井龍飛(たつひ)と8番セッツビッグバン。

外国馬の一頭、1番マスキングヘロド、鞍上メイソン・ロメロが前目につけて、1馬身差で9番サラノサイクロン早川晶一(しょういち)、追走していきます。

 

各馬バックストレッチに入って、12番オーロレガーメ嶋田良一、折り合いはどうか。

外にピンクの帽子16番パルトアプルーヴド戸木慎一郎。

1馬身差オレンジの帽子インターツインズ有田琉希(りゅうき)、外に3番のシビアレコード進藤誠紅(まこう)

その後ろ1馬身差でジュライロンドとハリル・ルードルフ久々の競馬。

それを見るようにリッチセレクション中村春貴。

 

最初の1000mは1分4秒フラットで行きました。ゆったりしたペース。

2馬身離れたところにフランスのデームカルティスロット凱旋門賞2着馬、騎手はライリー・シラク。

並んで14番メイビーナッシュ清水和成ラストラン、さらに2馬身差で最後方6番ジェリーホーネット宜保(ぎぼ)裕也。こんな隊形で各馬3コーナーに入ります。

 

リードが開いていく2番のギャラールブルー。

後方勢どうか、2番手ホワイトファインとペルフェリーチ、まだしっかりと抑えている。

外から一気に上がっていく3番シビアレコード、先団外目につけて、内からはマスキングヘロドにロメロの右ムチが入って内を抜けて2番手に上がるか、3コーナーと4コーナーの中間。

リヴェッティは馬群の内抜ける道はあるか。

 

一気に馬群が詰まってきて4コーナーに入ります。

ギャラールブルーのリードが無くなってマスキングヘロド、外からペルフェリーチも並びかけてくる。

ホワイトファインとリヴェッティ、外をマクってシビアレコードで4コーナーから直線。

 

マスキングヘロドが単独先頭に立って2馬身のリード、ムチが入っているホワイトファイン。

そして堂々先頭に替わった3番のシビアレコードで400の標識。

坂を迎えてリヴェッティ内から3頭目前に迫ってくる。

後方勢大きく広がって、馬場の真ん中パルトアプルーヴド、外に切り替えてジュライロンド。

その外から追い込み態勢リッチセレクション。

 

さあ先頭は3番のシビアレコード、進藤が懸命に追っているが、外からリッチセレクション並んできた。

内で頑張っている11番リヴェッティ、200を切った。

馬場の真ん中13番のデームカルティスロットが伸びてくる。そして6番ジェリーホーネット纏めて捕らえるか。

 

先頭10番リッチセレクション、内からもうひと伸びリヴェッティ馬体を併せて、外から2頭デームカルティスロットとジェリーホーネットが凄い脚で迫ってくる。リヴェッティは頑張った。

先頭はリッチセレクション、ジェリーホーネット二番手までか。

リッチセレクション先頭でゴールイン!2着はジェリーホーネット、3番手はリヴェッティか外のデームカルティスロットか。

 

長い直線を全開で駆け抜けた10番リッチセレクション。ジェリーホーネットも最後懸命に追ってきましたが、それを振り切りました。

勝ち時計2分24秒4。

そしてきわどい3着争いは、わずかに外デームカルティスロット、差し切ったか。

天皇賞勝ち馬リヴェッティは最後まで粘りましたが、2冠ならず。

 

着順掲示板1着10番、2着6番、3着4着写真判定です。

確定までお待ちください>

 

 

 ばったりと脚が止まって7着でゴールしたシビアレコードの上で、進藤が頭を抱えて項垂(うなだ)れていた。

「切り替えろ。あのオーナーなら大丈夫だ。自分の反省点でも馬の問題でも、何かしら見つけて持って帰れ」

 インターツインズに乗った有田騎手が進藤の背中をバンと叩いた。

 有田はもともと谷地の主戦だったこともあり、谷地や井野の性格はよく知っているのだ。

 

「バカ野郎が。ここはまだ叩きの状態だってお前もわかってたんだろ?」

 検量室前に戻ってきた進藤が下馬するのを手伝いながら井野が目を剝いた。

「すみません……」

 進藤は頭を下げっぱなしだ。

 パドックで谷地にかけられた言葉に、ムキになってしまった結果がこれである。

 追い切りも含めてずっと乗っているのだから、シビアレコードの状態を一番把握していたのは間違いなく進藤なのだが、進藤が手綱を握ってから無敗ということもあり、この程度のデキでも十分勝てるだろうと高を括って相手を過小評価してしまったのだ。

 

 井野は後ろで苦笑いをしている谷地に軽く目をやると、フッと顔を緩めた。

「経験よ経験。オーナーもこうなるだろうって読んでたんだわ。

――あんまりフルゲートは経験してなかったもんな。勝負に出たときの中村一族は凄えんだ。ただ人のいいお兄ちゃん達じゃないんよ」

 

 反省会は火曜日な、と井野が進藤の頭をポンと叩いた。

*1
ジャパンカップは12R




次回投稿は未定

ちょっとメタい話ですが、リッチセレクションの血統(父馬)がまだ定まってません。
2033年生まれになるので、2019年生辺りが限界ですが、それっぽい候補あれば感想に書いてみてください。
(多数決とかではないので気楽に)

セスナやフォルジュオンのように、来年再来年辺りにデビューする架空馬に任せてもいいけどそれはそれであんまりオリジナル出しまくるのも面白くなくて。

最初ベラジオオペラやジャスティンミラノ辺りをイメージしていたんですが、ミュージカルレースの方がそれっぽい成績だし、中長距離戦線となると足りんなあと。
ドウデュース辺りが無難だけど、アーバンシック……種牡馬なれそうかな?
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