タイトルまんま。名作のホロメンパロ。

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リハビリに書きました。読みづらいのは仕様です。


走れみこち

 みこちは激怒した。必ず、かの愉悦暴君きーつねをギャフンとさせないと決意した。みこちには政治はわからぬ。みこちは、しけ村のえりーと巫女である。法螺貝を吹き、角巻じゃんけんをして暮らしてきた。けれども、笑顔に対しては人一倍に敏感だった。今日未明みこちはエリトラで村を飛び立ち、海越え島越え、遥か離れたこのフブキングダムへやって来た。みこちは女児の、圧の強い妹と二人暮らしだ。この妹は、近々、アクアリウムを築くことになっていた。辺境の、まして鄙びた農村でしかないしけ村に、洒落な資材などありはしない。みこちは、それゆえ、アクアリウムの建材やらを買いに、はるばる都会にやってきたのだ。先ず、その品々を買い集め、それから大路地をぶらぶらと歩いた。

 みこちにはビジネスフレンドがあった。すいちゃんである。今は此のフブキングダムでオシャ建をしている。そのビジフレを、これから訪ねてみるつもりなのだ。久しく遭わなかったものだから、訪ねていくのが楽しみである。姉街が作るカレーも、楽しみである。

 歩いていくうちにみこちは、王国の様子をあやしく思った。しけてんにぇ。もうすでに日も落ちて、街が暗いのは当たり前だが、夜のせいばかりではなく、王国全体がさみしい。えりーとなみこちも、だんだん不安になって来た。路で逢ったすこん部をつかまえて、何かあったのか、二週間まえに此の国に来たときは、夜でも皆がギャンブルにふけて、国は賑やかであった筈はずだが、と質問した。すこん部は、首を振って答えなかった。しばらく歩いてFriendsに逢い、こんどはもっと、語勢を強くして質問した。Friendsは答えなかった。みこちは片手でFriendsの首根っこを掴み吊り上げからだをゆすぶって質問を重ねた。Friendsは、あたりをはばかる低声で、わずか答えた。

「王様は、人を地下労働に送ります」

「なんで送んの?にぇ?」

「ギャンブルに負けた罰ゲーム、というのですが、誰もそんなギャンブルばかりやっていません」

「たくさんの人を送ったんかッ!?て!」

「はい、はじめはパン屋のころねさまを。それから、かわ余なお嬢さまを。それから、姉君のおかゆさまを。それから、皇后のミオさまを。それから、賢人のルイーシュさまを」

「恐ろしいで…。フブさんは乱心かよ」

「いいえ、乱心ではございませぬ。敗者は、茶葉挽き奴隷じゃい、というのです。このごろは、臣下にギャンブルを、ふっかけるようになり、応じない者には、人質ひとりずつ差し出すことを命じて居ります。きょうは、六人送られました。もう、誰もが恐れて、ギャンブル出来ません」

 聞いて、みこちは激怒した。「呆れた王さまだにぇ。みこちゃんがぶぉっこぶぉこにしてやんよ」

 みこちは、PONな女であった。大荷物を、背負ったままで、のそのそ王城にはいって行った。たちまち彼女は、巡邏の警吏のミテイルに捕捉された。隠れようと慌ててすっ転び、手にしたマグマバケツを、その場へとぶち撒けた。溢れ出たマグマが、石畳を焦がしながら飛び跳ね、その背に負うエリトラへと燃え移る。「あっちゅ!あっちゅ!あっちゅ!」堪らず、みこちは、ぐるんと両手を振り回して、ねずみ花火の如く駆けずり回った。駆けめぐる火の玉相手に、警吏は誰一人近づく事ができない。招かれざる珍客は、そのまま城内へと入り込む。背よりこぼれ落ちる火の粉が、花弁の如く舞い、白亜の城を焼き焦がしていく。それでも、煌々と燃え盛る炎は微塵も弱まることはない。風だ。風が足りない。圧倒的な強風さえあれば、この火を絶やす事が出来る。みこは、なんとしても消してやんよ。いまはただその一言だ。走れ!みこち。

 「白上のお城が大変な事になってる!?」見よ、目の前の城を。来る者の目を楽しませた庭園は、マグマ溜まりに沈み、堅牢なる石造り城壁は煤にくすみ、開け開かれた窓から濛々と煙が立ち昇る。荘厳だった白亜の城など最早、見る影もない。己が居城のあえんびえんな惨状に、フブキングの悲痛な叫びが谺する。ああ、偉大なるカエラ神よ、白上がいったい何をしたというのですか、ちょっとばかり国民からふっかけて奴隷送りにしただけなのに、フブキングは力なく蹲り女泣きに泣きながら神へと哀願した。

 あまりにも無惨な有様に、天上の神も哀れんだか、ぽつりぽつりと雨が降り出し、やがてフブキングの心の内を表すかの様に、大粒の雨が降り注いだ。轟々と降り注ぐ雨はやがて、燃え盛る炎を鎮める。かくして、フブキングダム城を襲った未曾有の危機は、収束を迎えることとなった。

 「危なっ!危うくみこちゃん、現世からバッバイするとこだったにぇ」身を焦がす火が消え一息ついていたみこちはそのまま警吏に引っ立てられ、王の前に引きずり出された。

 「みこさん、みこさーん、なーんでこんなことしちゃったのかなー」フブキングは静かに、それでも圧を持って問い質した。その王の顔は蒼白で、額の青筋は、溶接したが如くしかと浮かび上がっていた。

 「フブさんがとんでもねぇことしてるって聞いたから、笑顔を取り戻すために、みこは立ち上がったんだにぇ」

 「白上の笑顔が真っ先になくなってるんじゃろがい!」明らかに、それ以上のPONをやらかしている不届き者の弁に、フブキングは蒼白だった顔を紅に染めた。

 「すいまっせん」あまりもの迫力に、みこちは反射的に土下座の姿勢を取る。怒ったときがホロライブの最期と謂われる剣幕は、まさに、一つの世界の終焉を思わせる程のものであった。

 「みこさんには、茶葉挽き奴隷じゃなく、オーガー奴隷をやってもらいます。お城の修繕資材全部」深い溜息を吐き、フブキングはみこちに沙汰を通達した。

 「流石に、ここまでやっちゃったらしょうがないにぇ。みこは奴隷になる。ただ──」と、言いかけて、みこちは足元に視線を落とし躊躇い、「──ただ、みこに情をかけたいなら、3日ください。妹にオシャ資材を届けないといけないんですわ」

 「みこのことを信じられないならば、すいちゃんがいる。あれを、人質として置いておく。みこが逃げたら、すいちゃんを好きにしていいよ」

 それを聞いてフブキングは、心の内でにやりとほくそ笑んだ。これは思わぬカモだわ、すぐ近くでmiCometてぇてぇ摂取してやろう。「みこさんの代わりに、すいちゃんを人質にするから、三日目の夕方まで帰ってきてよ。遅れたら、すいちゃん共々、白上の奴隷になるから」miComet過激派の邪心をおくびにも出さず、フブキングは威厳高く告げた。

 ビジネスフレンド、すいちゃんは、深夜、王城に召された。暴君フブキングの面前で、ビジフレとビジフレは、二週間振りに相逢った。

 「すいちゃん、眠いんだけど。くだらないことで呼んだなら56すから」

 みこちは、ビジフレに一切の事情を語った。すいちゃんは笑顔で頷き、「すいちゃんのこと巻き込んでんじゃねーバカヤロウが!」王城一ぱい鳴り響くほど音高くみこちの右頬を殴った。「いって!あにすんだお!」みこちは腕に唸りをつけてすいちゃんの頬を殴ろうとした。「あにすんだお、じゃねー!4ねっ!」すいちゃんはひょいと、からだを折り曲げ、飛鳥のごとく襲いかかり、手にした斧で、「私の平穏の為に4んでみこち!」と猛然一撃、またたく間にみこちを追い詰めていった。「おい!武器ありは反則だろうがよ!こうなったら、みこちゃんもエリートソードで…」南無三、とばかりに頼りになる愛剣に手をかける。しかし、その手は空を切るばかり。虎の子の名剣は、オシャ資材と共にマグマ溜まりに沈み、消し炭へとなっていた。「みこの装備、全部ないなったにぇ…」「全ロス乙。ねぇ、これで何回目?」みこちはがくりと、力なく肩を下げる。すいちゃんはそんな様子を、さも可笑しいとばかり煽った。「でゃまれ!おめーも、みこの初代エリートソード、パクってなくしただろーがよ!ちょっとぐらいみこの身代わりになれよ!」「そんなん割に合うか!だいたいあんた、毎回毎回、私の家でご飯食べてるでしょ」「あんだお!」「あんだお!」殴り合いは、額を合わせるほどの距離での言い合いへと変化していった。気心を知れた親友同士の応酬に、ハラハラしていた聴衆も次第に落ち着き出し、てぇてぇ、やっぱmiCometなんすね、てぇてぇってことですわ、と二人のやり取りを温かい気持ちで見守っている。

 「いやーやっぱり、えー…miCometてぇてぇ!」

 王は、ひどく愉悦した。





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