便利屋部業務日誌   作:とざっく

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月見トウマと連邦生徒会・前編

 今日は連邦生徒会に顔を出そうと思う。アホ会長からの手紙の件を七神さんに伝えなければならないからだ。

 

 「ほんと、めんどくさいもの残していきやがって」

 

 と、アホ会長に文句を言いながら連邦生徒会のあるサンクトゥムタワーに向け足を進めた。

 

 ……七神さん、大丈夫かな。アイツ(会長)がいなくなった分の仕事や責任に押し潰されていないか心配だ。俺に手伝える事があればいいんだがな。

 

 

 

 

 

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 暫く歩いていたらサンクトゥムタワーに着いた。……にしてもやっぱりデカイ。この建物全体が連邦生徒会の本部だって言うんだからすごいよな。

 

 「ほへぇーいつ来てもやっぱりでけぇー」

 

 天までとどくんじゃないかと思う程のタワーをアホ面しながら見上げていると。

 

 「ここに来る度、同じことを言いますね」

 

 綺麗な声で語りかけられたのでそちらを見る。

 

 「おはようございます。トウマさん」

 

 黒髪ロングの眼鏡をかけた女性、いや女子?どう見ても高校生とは思えない彼女、七神リンさんがいた。てか絶対アホ面してるとこ見られたな。

 

 「おはようございます。七神さん。相変わらず……とは言えなさそうですね」

 

 「えぇ、お恥ずかしながら」

 

 今の七神さんの状態をオブラートに包まないで言えば『酷い』に限るだろう。髪は乱れ、目の下には真っ黒な隈ができている。

 

 「髪の乱れを直す時間すらなくて」

 

 「あぁ……」

 

 コメントしづらい。

 

 「誰かに見られる前に早く中に入りましょう!」

 

 俺は七神さんの背中をおしサンクトゥムタワーに入る。通行人に見られたら大変だからね。

 

 

 

 

 

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 「今回は、これを七神さんに」

 

 「拝見します。……これは、シッテムの箱と一緒に置いてあった手紙、差出人は……!連邦生徒会長!?」

 

 連邦生徒会のロビーに移動し、早速七神さんにアホ会長からの手紙を渡す。恐らくだが七神さんはこの手紙の差出人が誰か知らなかったのだろう。その証拠に差出人の名前を確認した七神さんは驚愕の表情を浮かべている。

 

 七神さんは手紙を読み始める。

 

 手紙を読んでいる七神さんはどこか悲しそうな顔をしていた。

 

 

 

 

 

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 「……ありがとうございます。トウマさん、会長からの手紙しっかりと確認させて頂きました」

 

 やがて手紙を読み終わった七神さんは感謝の言葉を伝えてきた。

 

 「えぇ、それで七神さんに相談がありまして」

 

 「SRT特殊学園の全権限が今トウマさんにあること、でしょう」

 

 「はい、アイツの無茶ぶりには慣れているのでいいんですけど、こればっかりは七神さんと相談したほうがいいかなと思いここに来ました」

 

 「はい……ごめんなさい、トウマさん。会長の面倒事に巻き込んでしまって」

 

 「いえいえ、さっきも言いましたけどアイツの無茶ぶりには慣れているので」

 

 (それは、慣れてもいいものなのでしょうか?)

 

 「それで七神さんには、学園の運営に必要なものだったり知識を教えて欲しくて。……学園の運営なんてやったことがなくて不安で。あぁ、勿論七神さんが時間が無い場合は別日に変えますけど」

 

 「いえ、大丈夫ですよ。元はと言えばこちら側がトウマさんに迷惑をかけてしまっているので」

 

 「ありがとうございます」

 

 「お礼を言うのはこちらです。ありがとうございます」

 

 その後、七神さんに学園の運営に絶対に必要なものや要点、知識を教えてもらい、資料に纏めてもらった。

 

 

 

 

 

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 「と、だいたいこんな感じでしょうか」

 

 「ありがとうございます。それと、わざわざ資料に纏めてもらって」

 

 「大丈夫ですよ。これも私の仕事ですから」

 

 仕事で思い出したが。

 

 「七神さん、俺に手伝える事はありますか?」

 

 「え?」

 

 「だって七神さんどう見たって休んでないでしょ?」

 

 「えぇ、まぁ、少し」

 

 「……何日休んでないんですか?」

 

 「…………四日と少しです」

 

 「それを少しとは言いません!」

 

 驚いた。まさか四日とは、そりゃあ髪も乱れて真っ黒な隈も出来るわけだ。

 

 俺だって最近は()()()()徹夜してないぞ!

 

 「俺にできる仕事はやっておきますので、今すぐ休んでください」

 

 「いいえ!‎そんなことはできません!」

 

 「何故です?」

 

 「今でさえトウマさんには迷惑をかけているのに。私の仕事まで押し付けるわけには!」

 

 本当にこの人は真面目だな。たまには我儘を言っても許されるだろマジで。

 

 七神さんに近づき言う。

 

 「迷惑かどうかは俺が決めます。それにそんな状態で動き続ければ間違いなく倒れてしまいます」

 

 俺も倒れたことあるし。いや〜経験談って大事なんだな。

 

 「今七神さんが倒れたら、連邦生徒会は混乱するかもしれません。七神さんのためにも、連邦生徒会の皆さんのためにも、今は休んでください。……大丈夫です。次、目覚める時はある程度落ち着いているはずですから」

 

 「でも───」

 

 「でもじゃないです!」

 

 「!」

 

 「七神さんはいつも頑張っている。むしろ頑張りすぎって言える程に」

 

 事実この人は頑張りすぎだ。アイツがいなくなってからはそれ以上に。

 

 七神さん両肩を掴みながら言う。

 

 「頑張ることと、無理をすることは全然違いますよ。あなたはロボットじゃない。"七神リン"という一人の"人間"なんです」

 

 「!」

 

 「この場は俺に任せてゆっくりと休んでください」

 

 「……ごめんなさい、トウマさん」

 

 「こういう時は謝罪の言葉ではなく、感謝の言葉を言ってください」

 

 「ッ!…………ありがとうございます、トウマさん」

 

 「はい!──っと!」

 

 俺の言葉を聞くと七神さんは涙を流し倒れる様に眠ってしまった。肩を掴んでいてよかった。でなければ今頃地面に顔面を強打していただろう。

 

 「よいしょっと」

 

 七神さんを背負う。……軽いな、もしかして食事もまともに摂っていなかったのか?……忙しいのは分かるが食事はしっかりと摂ってほしい。

 

 ……女性の体重だったり食事に関して言うのは失礼か。

 

 とりあえず仮眠室に運ぼう。

 

 ……七神さん、こんなになるまで無理して。……アイツが帰ってきたら長時間の正座と説教は覚悟してもらおう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……今気づいたが、割と大声で話していたせいで他の連邦生徒会所属の方たちにすんごい見られてる。視線が痛い。

 

 

 

 

 

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 七神さんを仮眠室のベッドに寝かせ、仕事に取り掛かる、が。

 

 「多すぎだろ」

 

 とても人間一人でやる量ではない。なんならデスクからこぼれ落ちている物さえある。

 因みにだがちゃんと俺のような部外者がやっても問題なさそうな書類だけ片付けている。

 

 「えーとこれは、弾薬の請求書か。んでこれが、指名手配中の生徒の名簿?なんでこれが連邦生徒会に?普通はヴァルキューレの仕事だろ」

 

 まさか連邦生徒会は指名手配中の生徒の捕獲もやってるのか?ヴァルキューレにでもやらせとけ。……そしたら尾刃さんの負担が増えるな。それにこれ、SRTの仕事でもあるのか?

 

 「……?なんだこれ、環境改善に火炎放射器が必要?これ書いたやつ頭沸いてんじゃねぇのか」

 

 なんだこのふざけた内容は。一応知り合いに火炎放射器持っている人はいるが。……まぁキヴォトスっぽいと言えばキヴォトスっぽいか。

 

 ……今のところ真面目な書類九割、ふざけた書類一割といったところだ。ふざけた書類がある時点でどうなんだ連邦生徒会。

 

 「大変そうだねートウマ」

 

 俺が連邦生徒会に心の中で愚痴っていると声をかけてくる人がいた。

 

 「おー、由良木さんお久しぶりです」

 

 「おひさー」

 

 声をかけてきたのは連邦生徒会の交通室所属の幹部、由良木モモカさんだった。

 

 「またお気に入りの明太子チップスを食べてるんですか」

 

 「まぁねー……言っておくけどあげないよ」

 

 「いやいりませんよ……てかあなた仕事は?」

 

 「…………それじゃあねトウマ、私忙しいから」

 

 「おいなんだ今の間は、それと忙しいは絶対嘘だろ」

 

 とまぁこんな感じでこの人は隙あらばサボろうとする。連邦生徒会が大変だって時によくサボれると思うよホント。

 

 連邦生徒会所属の人間がサボり、他校の人間が連邦生徒会の仕事をしているというなんとも奇妙な構図が出来上がっている。

 

 「サボらないで仕事してください」

 

 「えぇー、後でやるよー」

 

 「今やってください」

 

 髪色といい言動といいなんだか黒崎さんに似てるな。でも仕事は仕事だ、サボろうとするのなら無理矢理にでもやらせよう。

 

 「とりま仕事やりますよー」

 

 「やめろぉー!!HA☆NA☆SE!!」

 

 こうして俺はサボろうとする由良木さんを引っ張り無理やり仕事をさせるのであった。

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