便利屋部業務日誌   作:とざっく

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月見トウマと連邦生徒会・後編

 あの後なんとか由良木さんに仕事を再開させた。

 

 「……」

 

 「……なんですかその目は?」

 

 「べっつにぃー」

 

 「?」

 

 仕事を再開させられたのがそんなに嫌だったのか?

 仮にそうだとしても、仕事をサボる方が悪いと俺は思う。

 

 別にサボることが悪だとは言わない、適度にやるべきことをやり適度に休む、これが大事なのだ。

 

 つまり、『()()()()()()()()()()()()』のである。(迷言)

 

 だが由良木さん、彼女はサボりが多い気がする。ていうかよくこれで連邦生徒会の要職でいられると思う。

 

 「由良木さんはやればできる子なんですから、頑張ってください」

 

 「そんなのは私が一番知ってるよぉ〜だ」

 

 「なら尚更頑張ってください」

 

 文句を言う由良木さんを無視して俺は仕事を再開した。

 

 

 

 

 

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 ぐぅ〜と空腹のサインが鳴る。仕事に集中しすぎて今が何時かもわからないため壁に掛けてある時計を見る。

 

 今は午前十一時半、タワーに着いたのが八時を少しすぎたあたり、七神さんを寝かせたのが八時半丁度ぐらいで、その後すぐに仕事に取りかかったのでだいたい三時間はぶっ続けで仕事をしていたことになる。

 

 「由良木さんは……おっと」

 

 「……むにゃ……うへへ〜……」

 

 ふと気になり由良木さんが使っているデスクの方を見る。

 すると由良木さんは目を閉じスヤスヤと夢の中へダイブしていた。

 

 デスクの上にはそびえ立つ書類の山、どうやら自分の仕事はキチンと終わらせているようだ。

 

 「やればできる子なんだから、普段から頑張ればいいのに」

 

 デスクに近づき由良木さんの頬を人差し指でツンと突く。ぷにぷにしていて突いた指が頬に埋もれる。

 

 「……むにゅう……うにゃ〜……」

 

 くすぐったそうな顔をする彼女を見ているとなんだか悪いことをしている気分になる。

 

 「……トウマ〜……むにゃ……」

 

 名前を呼ばれてビクッとするが由良木さんの目は閉じたまま、ほっと胸を撫で下ろす。

 

 「俺の方も大方片づいたし、帰るか」

 

 使わせてもらったデスクを軽く掃除し帰りの準備をする。

 

 「あ、そうだ」

 

 寝ている七神さんと仕事をしてくれた由良木さんに何か軽い食事を作っていこう。

 …………その前に由良木さんが寝る直前まで食べていたであろう明太子チップスを回収する。ご飯の前は間食は控えましょう。

 

 

 

 

 

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 「なにを作るべきか、ホントになにをどう作ればよいのか」

 

 失礼だが勝手に冷蔵庫の中を拝見させてもらった。そしたらあら不思議、まともな食材がひとつもないではありませんか。

 

 (連邦生徒会って食堂以外で料理してる場所ってないのか?)

 

 『食材がない』それ即ちなにも作れない。一応米と調味料はあった。

 

 「…………おにぎりでも作るか」

 

 さっきまで張り切っていたとは思えない声のトーンで俺はそう呟いた後おにぎりを作り始めた。

 

 

 

 

 

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 「よし、こんなもんか」

 

 とりあえずおにぎりを七神さんと由良木さんの分と、他の連邦生徒会に所属している人たちの分も作った。

 

 (ここまででだいたい三十分ってところか)

 

 目の前にある大量のおにぎりにラップをかけ付箋に『みんなで食べてください』と書き貼り付ける。

 

 「よし、帰るか」

 

 その前に一度由良木さんを見る。

 

 「……むにゃ……」

 

 まだスヤスヤと寝ている彼女に微笑み俺はその場を後にした。

 

 

 

 

 

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 「……おや?」

 

 「あら?」

 

 部屋を後にしてすぐ、連邦生徒会のメインロビーへ向かった俺の前にいたのは、連邦生徒会財務室長の扇喜アオイさんだった。

 

 「今帰り?」

 

 「えぇ、用事も済んだことですし」

 

 「そう、気をつけて帰るのよ」

 

 短い会話を交わし扇喜さんの横を通り過ぎようとする。

 

 「……トウマ」

 

 「はい?」

 

 急に呼び止められた。

 

 「リン行政官のこと、ありがとうね」

 

 「いえいえ、俺としても見過ごすわけにはいかないかなと思いましてね。……余計なことだったかなと思っていますが」

 

 「そんなことないわ、私としてもリン行政官は働きすぎだと思っていたから」

 

 「ならよかったです」

 

 「…………ねぇ、トウマ」

 

 「どうしました?」

 

 扇喜さんはどこか顔を赤らめモジモジとしている。

 

 「……時間ができたら……どこかに……出かけない?」

 

 途切れ途切れだったがしっかりと聞こえた。

 これはあれか、友達同士で遊びに行く的なあれだな。

 

 「えぇ、いいですよ。楽しみにしていますね」

 

 「ッ!えぇ!」

 

 扇喜さんはとてもいい笑顔を向けてきた。

 

 (遊びに行くのがそんなに嬉しかったのか?)

 

 彼女は責任感が強い、財務室長という役柄もそれに拍車をかけている気がする。なので彼女が笑顔になっているところはあまり見たことがない。

 

 (遊びに行くってだけなのにこんなに笑顔になってくれるとは)

 

 正直驚いたし嬉しかった。彼女の笑顔を見れたのだから。

 

 「それじゃ、俺はこれで」

 

 「えぇ、日程が決まったら連絡するわ」

 

 「はい、お仕事頑張ってください」

 

 「ふふっ、貴方もね」

 

 「あっ、そうだ」

 

 「なにかあったの?」

 

 「おにぎりを作っておいたのでよかったらみんなで食べてください」

 

 「おにぎり?わかったわ。貴方の料理は美味しいから」

 

 「ただのおにぎりですよ。ではほんとにこれで」

 

 「えぇ、また」

 

 俺は連邦生徒会を後にした。

 

 その後由良木さんのモモトークから『私の明太子チップスは?』という文章と共におにぎりを食べている七神さんと扇喜さんの写真が送られてきた。

 

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