便利屋部業務日誌   作:とざっく

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特異現象捜査部って癖強いなとか考えてる今日この頃。

あと今回も前編と後編(もしかしたら中編も入るかも)に分けます。


月見トウマと特異現象捜査部・前編

 今日はとある人に呼ばれたので、その呼び出し人がいる部屋へと向かっている。

 

 「にしてもいきなりだな、最近はモモトークでしかやり取りしてなかったのに」

 

 今日の分の依頼をあらかた片付け、りんごジュースを嗜んでいたら急にモモトークの通知音が鳴ったため確認したら『私の元に来てください』と短い文章だけが送られてきた。

 

 そして今に至るという訳だ。

 

 「最近は忙しくて皆と全然話せてないな」

 

 今言ったように最近は依頼が多く、部室に籠るか依頼で外に出ていることが殆どだった。

 

 「まぁ、これもキヴォトスのためになってるって考えればいいか」

 

 気持ちを切り替え歩みを進める。

 

 

 

 

 

──────────

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──────

 

 

 

 

 

 着☆い☆た☆

 

 

 …………キモイなやめよう。

 

 

 

 「えーっと、普通に入っていいのか?」

 

 (にしても久しぶりに来たな)

 

 扉を軽くノックし到着したことを告げる。

 

 「……?返事がない」

 

 ただの屍のようだ。なんちゃって。

 

 「いないのか?いやでもモモトークがきたってことはいる筈だよな?」

 

 (うーむ、どうしたものか。いないのなら日を改めるか)

 

 俺がそう考えていると。

 

 

 

 「あれ?トウマ、どうしたの?」

 

 声がした方向を見ると、そこには十人いれば十人全員が振り返るどころかガン見するであろうすごい格好をした人、和泉元エイミさんがそこにいた。

 

 「和泉元さん、こんにちは」

 

 「うん、こんにちは。それで、ウチに何か用があるの?」

 

 「明星さんに呼び出されましてね。ここまで来たんですけど、ノックしても返事がなくて、今日明星さんはお休みですか?」

 

 「いや、今日は部長はいる筈だよ。待ってて今扉を開けるから」

 

 そうして泉本さんは扉のロックを解除し中に招き入れてくれる。

 

 「部長ー!トウマが来たよー!」

 

 「……」

 

 和泉元さんが大声を出しても返事はない。

 

 「いないのかな?」

 

 「日を改めましょうか?」

 

 「うーん、それはなんか申し訳ないかな。部長が呼び出したのに回れ右して帰れなんて」

 

 「とりあえず、明星さんを探しましょうか。いなければ今日のところは失礼させてもらいます」

 

 「うん、じゃあ探そうか」

 

 「そうですね…………?誰かいますね」

 

 明星さんを探そうと視線を向けた先には白の特徴的な車椅子に座った白髪の少女。

 

 「あ、部長いたんだ。部長、トウマが来てくれたよー」

 

 和泉元さんが明星さんに声をかけるが反応がない。

 

 心配になり近づくと。

 

 

 

 

 

 「……すぴー……」

 

 「……和泉元さん、これ」

 

 「うん。部長、寝てるね」

 

 そこにはミレニアムが誇る『超天才清楚系病弱美少女ハッカー』の明星ヒマリさんが気持ちよさように眠っていた。

 

 「部長ー、起きてー。トウマが来てくれたよー」

 

 「……?エイミ?おはようございます……」

 

 「うん、おはよう」

 

 「おはようございます、明星さん」

 

 「…………?……トウマ?」

 

 明星さんは寝起きでどこかポヤポヤした状態で俺の名前を呼んだ。

 

 「はい、月見トウマです。呼ばれたので来ましたよ」

 

 「…………!?そ、そうですか……あぅぅ……」

 

 ……?なんか顔赤くね?

 

 (部長、トウマに寝顔見られて恥ずかしいんだね)

 

 「と、トウマ?」

 

 「はい?」

 

 「……見ましたか?」

 

 「……?なにをです?」

 

 「そ、その、えーと…………わ、私の寝顔を……」

 

 「えぇ、気持ちよさそうに眠ってましたね」

 

 「う、うぅ……」

 

 俺がそう答えると明星さんは真っ赤な顔を両手で覆ってしまった。……なぜ?

 よく見ると耳まで真っ赤になっている。……なぜ?

 

 (トウマはトウマで、なんで部長が真っ赤になってるのか気づいてなさそうだね)

 

 明星さんが真っ赤になってるのって……まさか…………怒っていらっしゃる!?

 

 (いやいやまてまて、明星さんを怒らせる様なことをした覚えはない落ち着け俺……でも確認の為に一応聞いておくか)

 

 「……部長、ヨダレ出てるよ」

 

 「はい!?」

 

 和泉元さんの指摘を受け明星さんはすごい勢いで口元を拭いた。

 

 「……あの、明星さん?」

 

 「はい、どうかしましたか?」

 

 「……俺、もしかして明星さんを怒らせる様なことしてましたか?」

 

 「……はい?」

 

 (違うそうじゃない)

 

 「明星さんの顔が凄く赤くなっているので俺がなにか怒らせる様なことをしたのかと」

 

 「いえいえ!!違います!!……これは、その……寝顔を見られたのが恥ずしくて……

 

 後半部分に何か言っているが声が小さくてよく聞こえなかった。

 

 「明星さんの気に障るようなことをしていたのなら謝ります……」

 

 「ホンッッッとうに!!ホンッッッとうに怒ってはいませんから!!」

 

 「そ、そうですか……」

 

 (部長の勢いがスゴすぎて若干たじろいじゃってるじゃん)

 

 「エイミからもなにか言ってください!!」

 

 「えぇ、めんどくさ」

 

 「エイミ!!」

 

 「もー、しょうがないなー…………トウマ、とりあえずおっぱいでも揉んどく?

 

 「ヴェ!?!?」

 

 「エイミ!?!?」

 

 急になに言い出すんだこの人!?

 

 

 

 

 

──────────

────────

──────

 

 

 

 

 

 あの後なんとか落ち着くことができた。

 

 今は和泉元さんは席を外し俺と明星さんの二人だけ。

 俺は椅子に座り向かい側に明星さんがいる。

 

 「んで明星さん、今日はどう言ったご要件で?」

 

 「そうでしたね。まぁなんと言いますか、簡単なカウンセリングのようなものをしようかと」

 

 「カウンセリング?」

 

 「えぇ、貴方がミレニアムに入学してから早くも二年目になります。なので今までのこと、例えば嬉しかったことや悲しかったこと、楽しみなことや不安なことなど、貴方の思い、感じていることを聞き少しでも貴方の助けになれればと」

 

 「なるほど……でも俺は、いつも明星さんに助けられてますよ」

 

 「そ、そうですか。……コホン、それでは一つ目の質問から。『キヴォトスでの生活』はどうですか?」

 

 一つ目の質問、『キヴォトスでの生活』について。

 

 「楽しいし嬉しいです。友人がいて、頼れる人がいて、苦楽を共にする人がいて、俺の……『月見(つきみ)トウマ』っていう一人の人間の居場所が見つけられて、すごく"幸せ"です。」

 

 「ふふっ、そうですか。それはなによりです……因みにその"頼れる人"とはこの"超天才清楚系病弱美少女ハッカー"である私も含まれていますよね?というか私が一番ですよね?」

 

 おぉぅ、急に圧が……。

 

 「一番かどうかと聞かれたら難しいですが、明星さんをとても頼りにしているのは事実です」

 

 「そうですか、ならもっと頼ってください」

 

 「えぇ、そうさせてもらいます」

 

 

 

 

 

 「二つ目の質問です。『楽しみなこと』はありますか?」

 

 「『楽しみなこと』ですか。んー…………。あっ!もう少しで休みが"取れそう"なことですかね」

 

 「そ、そうですか……。(ブラック企業勤めの会社員みたいなことを言いますね……"取れそう"ということは完全に休みとはまだ決まっていないんですかね?)……追加の質問をしますね。休みが取れたらなにをしたいですか?」

 

 「それはもう決まってて、新しい服を買いに行こうかなと」

 

 「なるほど、予定が決まったら教えてください」

 

 「はい…………え?明星さんも来るんですか?」

 

 「えぇ!この私の服選びのセンスを見せて差し上げましょう!」

 

 「ふふっ、なら休日が更に楽しみになりました」

 

 

 

 

 

 「三つ目の質問です。今『不安なこと』はありますか?」

 

 「『不安なこと』ですか。……明星さんは、ゲヘナとトリニティ間で行われる"条約"のことは知ってますか?」

 

 「えぇ勿論、『エデン条約』のことですよね」

 

 「はい」

 

 『エデン条約』それは長年対立してきたゲヘナ学園とトリニティ総合学園での不毛な争いをなくすために連邦生徒会長(アイツ)が発案した不可侵条約。

 

 まぁ、簡単に言えば『これからは憎しみ合わず、お互い手を取り合って仲良くしていこうね』っていう条約。

 

 

 ("楽園(エデン)"の条約、ね)

 

 「そのエデン条約の調印式の会場である古聖堂と周囲の道路などの整備を便利屋部が請け負っているんです」

 

 まぁ、正確に言えば()()()()も同時進行で行ってはいるが……それを使わないに越したことはないな。

 

 「それも知っています……あぁなるほど、貴方の言いたいことが分かりました」

 

 「流石ですね、調印式当日に多分というか確実に俺も呼ばれると思います。なので無事に式を終えられるかどうかが不安ですかね」

 

 そう、『ゲヘナ(地獄)』と『トリニティ(三位一体)』の調印式。

 

 『ゲヘナ』と言えば、このキヴォトスで一番世紀末してる自治区。

 毎日どっかしらは爆破されてるし、銃撃戦なんてそこら中で起こっている。

 なんだよ自由と混沌を校風とする学園って、聞いたことねぇよ頭ゲヘナかよ……。

 

 対する『トリニティ』は争いこそ少ないがお嬢様学校といこともあり思想の違いやら確執やらで生徒たちの中で陰湿なイジメが起こっている。

 なんならゲヘナよりもヤバい学園かもしれない……。

 

 

 総じて俺が何を言いたいかと言うと……正直、調印式には行きたくない。

 

 誰が好き好んであんな世紀末学校と陰湿学校のためだけの条約の調印式に行きたがるんだよ。んなもん勝手にやっててくれ。……まぁ首突っ込んだの俺なんだけど。

 

 勘違いがないように言っておくが、俺は"ゲヘナとトリニティで起こっている事"が嫌いなだけであってそこに通う人たちのことが嫌いな訳ではない。

 

 (だとしてもいやだぁー!いきたくねぇー!でも、行かないと色んな人たちに怒られるんだろうなぁ〜)

 

 「……行きたくないのなら無理に行く必要は無いんですよ?」

 

 顔に出ていたのか、明星さんが優しく言葉をかけてくれるが……。

 

 「ありがとうございます。……正直に言えば調印式には行きたくないですね……でも、これも俺の"やらなければいけないこと"のひとつなので」

 

 ───と、答えるのだった。

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