おーい羂索! 夢バトルしようぜ夢バトル!   作:空吉

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なおGQuuuuuuXシャア

使おうと思っていた歌詞が使えなかった時、頭を抱えがち


第7話 赤いガンダム、白いガンダム、そんなの人の勝手。本当に強いパイロットなら、好きな機体で勝てるよう頑張るべき

 場所を河川敷に移し、俺と悠仁は吉野順平への聴取を行うことにした。腰を落ち着けて少し経つと、ズズンと地面が揺れたので、七海さんと真人の戦いは原作通りに進んだ……のだと思う、確証はないが。

 

「さて、えーと、聞かなきゃいけないこと……あー、こないだオマエが行った映画館で人が死んでるんだけど、なんか見なかった? こういうキモいやつとか」

 

そう順平に問いかけながら捕まえている蝿頭を示す悠仁に、俺も一言付け足す。

 

「あと──()()()()()()()()()()とか」

「! ……いや、見たことないな。見えるようになったのも最近だし」

「そっか! なら聞くことねえや」

「──……()()()()

「えっ、もう?」

 

──嘘をついたな、順平。ここに俺がいなければ誤魔化せたのかもしれないが、まあ俺の【魔眼】は当然、彼の過去を読み取れるので、実質嘘発見器になる。まあ原作知識…‥この辺りはうろ覚えだがそれも参照できるし。

 順平は真人によって、すでに術式が使えるようになっている。「見たことがない」なんてのは、はっきりと嘘だと分かる──だが、ここでは深く突っ込まない。

 

 そして、そこから始まる悠仁と順平の映画談義。俺は側に座って時折相槌を打つだけだ。だって俺、映画はそんなに詳しくないから……。悠仁が映画見てる間は呪術関係の資料読み漁るので忙しかったし。

 しかし『ミミズ人間2』がなぜ面白いのかを話している順平には素直に感心したので、少し口を挟んでみる。

 

「順平の分析、こう、視点がすごいよな。俺が尊敬してる漫画家も分析しながら映画見てるらしいし」

「あ、もしかして、荒○先生!? 先生の著書の映画論は僕も読んだよ。先生に倣って、分析ノート書いたりもしてるんだ」

「マジ? 偉すぎる。俺はあんまり映画見ないから、他の映像作品見た時にやってみたんだが、中々……見てるうちに内容に気を取られて書き留めるの忘れるんだよな……」

「あはは……気持ちはわかる」

「あの先生そんな著書出してんの!? 知らんかった、俺読んで分かるかな……紫苑今度貸して」

「おー、いいぞ」

 

と、順平が意を決したように俺へ話しかけてきた。

 

「……あ、あの! 紫苑、くん……その、失礼なこと聞くかもなんだけど……男性、でいいんだよね?」

「ん? あーそうそう、分かりづらくてごめんな〜。ほら、俺って顔が可愛いし? 完全に趣味で分かりづらくしてんだ、全然気にしなくていいぞ」

「そ、そっか……本当にごめん、正直、最初は女の子かと思って……」

 

それを聞いた瞬間、条件反射的に脳内でPlazmaが流れ出し、例のカミーユになりかけたが、俺にとっては「女の子みたい」は褒め言葉なので強制キャンセルだ。

 いつか様式美として殴ってみたくもあるけど、そういう時が来るのかどうか。

 

「良いってことよ、むしろそう思ってくれて趣味の腕前に自信がついたぜ、ありがとな」

「俺も初めて見た時三度見したもんなー、紫苑は趣味にかける熱量がエグい」

 

ははは、あまり褒めるな。まあなんというか、オタクだからね、俺は。

 その後、順平のお母様がやってきて夕飯に誘われた。悠仁が腹の音で快諾したので、少しの間ご厄介になることにする。伊地知さんには連絡を入れた。

 ……あ、思い出した。そうか、このお母様が確か……。そんで何か、どうやったのか分からないけど自宅に【宿儺の指】を置かれてしまうんだっけな。……どうにか、できるか???

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

「母ちゃん、いい人だな」

「……うん」

 

夕飯をご馳走になり、団欒を楽しみ。最後の方は、順平のお母様はお酒が入って眠ってしまっていた。

 それにブランケットをかけてやりながら、順平は「人を殺したことがあるか」と問いかけてくる。

 あ、これ確か有名な問答だな。選択肢が生活に入り込んでくるやつ! 前世でミーム化していたが、端的に分かりやすい概念だと思う。一度やってしまったことは心理的ハードルが下がるのだ。

 そこは覚えていた記憶の通りに悠仁が答えるのを聞きながらウンウンと頷いていると、「……紫苑君はどう?」と水を向けられる。

 

 そりゃあ……改造人間を処理したのは俺なので、ある、と答えることは簡単だが、それはそれで……。というか、普通に悠仁のあのいい答えの後に、相応の話が出来るわけがない。が、答えないわけにもいくまい。

 内心苦虫を噛み潰しつつ、高速で頭を回転させる。

 

「ああ……ええと。幸いなことに、ない。だけど、たとえその機会があっても多分やらない。それは、今の世では法に照らして『悪』だからだ。

 それに……まあ、これは好きな映像作品からの受け売りなんだけどな。『嘘つき、卑怯者……そういう悪い子供こそ、本当に悪い大人の格好の餌食になる』 ──俺は結構信じてるんだ、これ」

 

だから自ら進んで悪い子になるような真似はしないのだ、と。

 それを聞いて、答えを咀嚼するように考え込む順平と、「そんな言葉は初めて聞いたな」というような顔をする悠仁。テレビっ子だけど、ニチアサは見てないかな? この機会に、みんなも、仮面ライダー鎧武、見よう! 

 

「あれ? ……でも紫苑君、その、暴力は……」

「ははは。こやつめ、ははは」

 

穴を的確についてくるじゃねえか……やるな順平。コンプラが厳しくなったからね。修正修正。カミーユも「暴力はいけない」って言ってた!

 ……しかし正直、俺の座右の銘として、『暴力は全てを解決する』もあるのは内緒だ。

 

 その後、玄関先まで見送りに出てくれた順平に別れを告げつつ、「お母様を守ってやれよ」と一言添える。不思議そうな顔をしていたが、頷いてくれた。

 その後、離れたところで待つ伊地知さんの車に乗り込み、発車する前に情報交換をした。

 そこで七海さんが負傷したこと、これから合流予定であることを確認し、こちらも吉野順平の聴取結果を報告する。

 

「吉野順平ですが、七海さんと交戦した『改造人間を作る術式を持つ呪霊』と接触していたことを【過去視】で確認済みです」

「……!! けど順平、見てないって──……嘘、ついたのか、あいつ」

「まあ、……仕方のないことだ。会話ができる呪霊と接触しているなら、俺たちのことは敵と教えられていてもおかしくない。

 でも、彼は今のところ、誰にも危害を加えていない」

 

教師相手には悠仁が偶然にもナイスタイミングで割って入ったし、俺が先に手を出したので未遂だ。

 

「しかし、今後も接触がないとは限りません。俺は術式を吉野順平に明かしてはいないので、彼は情報を抜かれたことにも気づいてない。また呪霊と接触する可能性がある。

 ですから、1つ提案があります。吉野順平の監視をさせてください。たった今から」

「い、今からですか!?」

「今からです。俺がやりますから──伊地知さんはこのまま悠仁を連れて七海さんと合流してください。七海さんの治療が最優先です」

「しかし、七海さんにも一度報告を……」

「こちらもそう時間がないかもしれません。俺の【未来視(術式)】がそう言ってる」

 

正確には原作知識でもあるが、某実力派エリートの台詞を引用する。室内に入ってから外したまま、ポケットに下げていたサングラスに触れた。

 そうだ。俺の目的は、()()に間に合うこと。可能ならその仕込みを妨害すること。

 あの人を、【宿儺の指】に集まってきた呪霊に殺させやしない。あんな惨い死に方をさせてはいけない。

 それは俺のエゴが一番の理由ではあるが。順平のためにも──彼から母親を奪わせない。そして、『本当に悪い大人』……羂索一派の餌食にはさせない。

 特級と思われる呪霊が来ることを今確定させたら、絶対に行かせてもらえない。七海さんと合流後ならと言って、その前にきたらおしまいだ。だから今すぐ行かなきゃならない。心は逸るばかりだ。

 すると、ぐっと肩を掴まれた。いつの間にか身を乗り出していたらしい。ストンと座席に腰を下ろす。

 

「待てよ紫苑、俺も行く。何が見えたのか分からんけど、急ぐんだろ? 人手もあった方がいい」

 

悠仁が、俺の目をまっすぐ見つめてくる。……正直その通りだ。ひとりでなんとかできるとは流石に思い上がれない。悠仁は真人の天敵だと原作のお墨付きがあるので、戦力には数えたい。だが【宿儺の指】が原因であることを考えると……。しかし……。

 

「……わかった、頼む。じゃあ伊地知さん、いつも我儘聞いてもらってありがとうございます。七海さんをよろしく」

「……何かあったら本当に、逃げてください」

「もちろん。無理はしません(大嘘)。……まあ言うなれば保険ですから。【未来視】も絶対じゃないし。何かあったらすぐに連絡します」

 

ちょっと嘘である。俺の【未来視】は型月で言う『予測』型の未来視だが、精度は結構なものだ。言わないけど。

 ああ伊地知さん、ちょっと泣きそうな顔してら。七海さんにも怒られちまう可能性あるしな。

 何より、心配してくれている人に対して、俺は本当に申し訳ないことをしている。その程度の自覚はある。

 降車してドアを閉めると間もなく、車は離れていった。

 

「で、どうする? 紫苑」

「うん、順平にも気づかれちゃいかんし、とりあえずは隠れてなきゃだよな」

「……この住宅街で??」

「…………こっそり順平の家の屋根の上にでも登っとくか。視界もいいし。雰囲気も伝奇っぽいし(?)。五芒星の中心に立って迎え撃ってもいいけど」

「…………工藤?」

「嘘だろ悠仁これは知ってんの???」

 

などと会話をしつつ、夜に飛び込んでいけ、という感じだな。気分はまさに運命の夜だぜ。別に運命と出会う予定はないのだが。真人は俺の運命じゃねーし! 悠仁くんにはぁ……頑張ってもらう方向でェ……。

 

 

◇◆◇

 

 

 今日は月のない夜だった。電灯はあるが、チカチカと今にも切れそうに点滅しているところもある。住宅街から少し離れた路地裏は、都会とはいえ、整備が間に合っていないのか、それとも────そばを通った呪霊の影響か。

 そんな街灯が照らす下で、俺はその存在と相見(あいまみ)えた。

 普通の人のように道を歩き、角を曲がってこの場所に辿り着いたそいつ──真人は、さすがに邪魔が入ること、または待ち伏せされていることは予想外だったのか、目を丸くしていた。

 しかし真人が来たか、羂索だと思ってたな。俺の情報を漏瑚から聞いて、俺の前に現れるのは避けているのか……。

 まあそれは正直、どちらでもいい。真人でも羂索でも、【直死】も【泡影】もまだ会得していない俺が勝てる道ってどこ? って感じだから。今回は本当に、死力を尽くして相手の邪魔をするだけだ。

 

「やあこんばんは、いい夜だねぇ。これからどこに行こうとしていたのかな」

 

……ちょっと台詞をミスったな。俺が鬼みたいじゃねえか。

 

「……なんだ呪術師か。今日はもう別の奴と一回戦ってるんだけど」

「まあまあそう言わずに。お前のやろうとしてることはまるっとお見通しなんだから、やらせるはずないだろ」

 

錫杖を正眼に構える。真人は何を考えているのか、視線を逸らして思案顔だ。今のうちに〝帳〟を下さなくては。

 

「闇より出でて闇より黒く、その穢れを禊ぎ祓え」

 

と詠唱を終えるか終えないか、その瞬間。

 真人はぱっと踵を返して、元来た道を駆け戻り、〝帳〟の範囲から出た。そのまま〝帳〟は下り切り、真人は完全に俺の目の前から消えた。

 ………………。は? 逃げた? え? マジで言ってる? え? ちょっと【未来視】……えっ本当にいねえんだけど!?

 

「に、に、逃げた!! 逃げた悠仁逃げた、まひ…………呪霊が逃げた!!!! 追ってくれ!!」

「応!!」

 

せっかく2人がかりかつ挟み撃ちで、なんとか攻撃を凌ぎつつ時間を稼ごうとしていたのに!! 

 思わず無惨戦の炭治郎になりながら、防音効果のある帳の内側で叫ぶと、少し離れたところにいた悠仁は〝帳〟を抜け、人並外れた身体能力を以て真人を追う。

 俺も下ろしたばかりの〝帳〟を即解除しながら、順平の家の方に向かって駆け出した。まさか〝帳〟を下ろしたり上げたりする練習がこんなところで役に立つとは……。いや、感慨深くなっている場合じゃないな。

 鳥にでも形を変えたのか、それとも脚の速い動物にでも変化したのか。地上には真人の姿は見当たらず、それを追う悠仁の姿も夜の闇に溶け込んでしまって捕捉できない。速杉内(はやすぎない)

 それにしても、俺の想定も甘かった。立ち去るにしても、実力的にあっちの方が当然上なのだし、俺のことを殺してから目的地に向かうものと……。

 間に合ってくれよと思いながら、俺も夜道をひた走るのだった。

 

 


 

 

 真人が逃げたのは、単純に戦うのも時間の無駄だなと思ったからだった。

 チカチカと点滅する街灯の光を受けて浮かぶ影、それは不可思議な色に輝く瞳を持った呪術師。夏油と漏瑚から聞いていた【魔眼】の術師に違いない。

 僅かな残穢も残さないようにしている夏油が、少しでも情報を渡す可能性を減らそうと、その呪術師の目の前に出ることを控えた。

 だからこうして、夕方に戦闘を行ったばかりの真人がわざわざ出向いて来たのである。

 そんな呪術師を前にして、まあまず殺せるだろうとは思ったが、そんな手間をかけずとも、さっさと目的地である吉野順平宅に向かえばよい。

 だから呪術師が〝帳〟を下ろそうとした隙をついて方向転換し、来た道を引き返すようにして、一旦呪術師の視界から逃れた。その後は【無為転変】で自らの形を鳥と変え、目的地まで飛んでやって来たのだ。

 降り立ったのは、庭に面した大きな窓のある部屋の前だった。外から見ると、カーテンは閉まっていて電気も消えている。人の気配もこの部屋(リビング)にはない。好都合だ。

 低級呪霊ではない真人には壁抜けはできないから、自らの手を変形させて鋭くする。音を極力立てぬよう、鍵付近の窓ガラスだけを小さくくり抜き、そこから鍵を外してカラカラと窓を開け、部屋の中に侵入した。

 部屋の中ではテーブルに突っ伏して女が1人眠っていた。真人はそこに近づくと、テーブルの上に【宿儺の指】を無造作に置く。任務完了だ。

 

 ガチャ、と前触れもなく扉が開く。真人がそちらを振り向くと、

 

「……え? 誰……あれ、真人さん……? 何でここに……」

 

吉野順平が、驚きと困惑、そして少しの疑念が入り混じった表情で、こちらを見つめていたのである。

 




なかなか文字数が伸びない……
文字数そこそこで更新ペースも上げられればいいのですが、悪戦苦闘しています

Q.ところで鬼滅見た?
A.見ました
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