2011・06・06・☀・15:30・稲羽市・八十神高校・自称特別捜査隊の部室の教室。
そして6月に入り、6日が過ぎた日の放課後、久しぶりに学校へやってきた巽と俺たちは屋上で話すことにした。雪柳先生は職員会議中で来れないと、本人から言われた。
「う……うィース!」
何故か巽は敬語で言ってきたのだ。里中が驚いたように言う。
「意外に敬語じゃん」
「や、だってその……先輩だったんスね」
「巽、別にいいさ。俺たちは別に先輩後輩とかにこだわりはないからな」
「別に私たちが先輩だからって緊張しなくて良いからね」
俺と制理がそういった後、巽は俺たちに頭を下げてきた。
「えと、ありがとう、ございました。あんま、覚えてねえけど……」
俺たちは顔を見合わせて、巽に事件を聞いてみることにする。まず天城が切り出す。
「私たち、教えて欲しい事があるの」
「さっそくだが、あの時に会っていた男と何を話してたんだ?」
天城の後に単刀直入に鳴上が巽にそう言った。巽は驚いてはいたが、実際には何もわかってはいないようだ。俺も2度しか会っていないし、分かっていることは探偵であることと、材木座たちの手紙を持ってきてくれたぐらいか。次は里中が巽に聞き出す。
「2人で学校から帰ってたじゃんよ? 何話したの?」
「や、えと……最近変わった事ねえか、とか……ホントその程度で……けど、自分でもよく分かんねんスけど、オレ……気が付いたら、また会いたい、とか口走ってて……」
「男相手に」
里中、それはデリケートな部分だ。口にすべきじゃねえ。俺は巽の方を見る。巽も苦笑いしながら続ける。
「オ、オレ……自分でもよく、分かんねんスよ。女って、キンキンうるせーし、その……すげー苦手で。男といた方が楽なんスよ。だ、だから、その……もしかしたら自分が女に、興味持てねえタチなんじゃって……けどゼッテー認めなくねーし、そんなんで、グダグダしてたっつーか……」
花村と鳴上が頷きながら言った。
「まー確かに、男同士の方が楽ってのは、分かるけどな」
「まあ、俺もわかる。男同士なら馬鹿できるからな」
男同士で馬鹿なことして、仲良くつるむ……俺はそういうことすら稲羽に来るまで分からなかったが、花村とつるんでるうちに楽しいことが分かった。恋人の制理とは別の安心さというか、なんて説明していいのかわからないが、そういう気分になるってことだ。
「……巽、気持ちは落ち着いたか?」
「もう、大丈夫っスよ。要は勝手な思い込みだったって事っスよ。壁を作ってたのは、オレだったんだ。あ、ええと……ウチ、こー見えても代々『染物屋』なんスよ。あ、知ってんのか。親は染料は宇宙と同じ……とか、布は生きてる……とか、ま、ちっと変わりモンで。んな中で育ったもんで、オレ、ガキの頃から、服縫うとか興味あったスよ。けどそういう事言うと、やっぱ微妙に思うヤツもいるみたいで……女にはイビられる、近所からは珍しがるで、一時はもう、なんもかんもウザかったんスよ。で、気づいてみりゃ、1人で暴れてた……ってとこスかね。んだオレ? 何1人でペラペラ喋ってんだ。あー、今のは無しで。……なんかオレ、だいぶカッコ悪りっスね」
俺は巽に言った。
「別にカッコつける必要はない。ありのままのお前でいいんだからな」
「そっスね。先輩らには、もうサラケたし」
鳴上も俺に続いて言った。
「……自分の弱さを認めてこそ、人は強くなれる。俺はそう思ってるし、みんなもそうだ」
「先輩……そうかもスっね。ハハハ、こんなん、人に初めて話したぜ。ま、今までいう相手も居なかったんスけど、やっぱ男だ女だじゃなくて、人に対してビビってたんスかね。なんかスッキリしたぜ」
「意外に純情じゃん……つーか、いい子じゃん……」
里中にいい子と言われて反論した巽。まあそれも照れ隠しに見えるがな。花村が本題を切り出す。
「で、2度目に俺らに会った後の事だけど、何か覚えてる事ないか? ほら、俺らの事、シメんぞーっつって、追っ払った後だよ」
「あ? えっとー……うち戻って……部屋でフネ寝決め込んで……あれ、そういや誰かが来たような……」
巽は誰かが来たことを言った。やはり俺たちと入れ替わりで来たということになるな。俺は巽に犯人の風貌を聞いてみることにした。
「巽、どんな風貌の人間だったか覚えてるか?」
「あ、いや、そんな気がしたってだけで、誰も来てないかも……」
花村や里中は少々怒ったり、ため息をついたりしたが、ある意味仕方がないのかもしれない。天城でも覚えていなかったのだから、巽だってとっさの事を覚えていないのも当たり前だな。そんな中、巽は何かを思い出したと語り始めた。
「あと思い出す事っつや……なんか変な、真っ暗な入り口みてえのとか……気がついたらもう、あのサウナみてえなトコにブッ倒れたっス」
それを聞いた天城と鳴上が言った。
「真っ暗な入り口……それってもしかしてテレビだったりしない?」
「確かにテレビなら真っ暗な入り口に見えなくもないか」
「あ……? あー言われてみりゃ、んな気も……てか、なんでスか?」
「あ、ううん……ちょっと思っただけ」
天城と鳴上が言ったテレビ、真っ暗な入り口というかそんな感じはしなくもないな。花村が何か警察に聞かれたのかと聞いた。巽は捜索願いが出されたから、一応は事情を訊かれたが、今と同じようなことを言ったら、訳のわからない顔をされたようだ。まあ普通はそうなるな。
「あーと……先輩ら、もしかして探偵みてーな事やろうっての?」
「んー、まあ、そんなとこ」
「そうね。私たちで犯人を捕まえようと決めたから」
「完二君、絶対に犯人は捕まえるから安心してね」
里中、天城、制理が巽にそう言ったら、巽も何かを決意したように言った。
「なら、オレも頭数に入れてくんないスか? 酷ぇ目に逢ったのが『誰かの仕業』ってんなら、10倍にして返さないと気が済まねぇ」
「マジ? そりゃいい、スゲー戦力じゃん!」
「巽がいれば百人力だな、なあ、鳴上?」
「いいよね? 鳴上君」
「もちろんだ、完二。これからよろしくな」
「あざっス! 巽完二、先輩らのためにも、命張るっス! 面倒みてやってほしっス!」
「んじゃ、仲間が増えたお祝いに……」
「放課後、ジュネスの『特別捜査支部』行く?」
「それ、まだ言ってたんだ……」
「千枝……雪子はそういうの好きだから」
「まあ……天城がそういうの好きだってことは、アレ以降わかるようになったからな」
俺たちは、ジュネスのフードコート——自称特別捜査のジュネス支部に巽を連れて行くことになった。もちろん雪柳先生には、鳴上がジュネスに行く事をメールで伝えた。
もう一度、アンケートを取ります。鳴上悠のヒロインは誰がよろしいですか?
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1ー里中千枝
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2ー天城雪子
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3ー久慈川りせ
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4ー白鐘直斗
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5ー小沢結実
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6ー松永綾音
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7ー海老原あい
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8ー雪柳綾奈
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9ー麦野静江