レオリオのォ⤴ ちょっといいとこ見てみたい~!   作:佐伯 裕一

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超メジャータイトルに手出しするもんでビビってますが、お付き合いいただければ幸いです(投稿間隔は長めと思っておいてください)。


一 失われた未来と、転がり込んだ燃え滓

 どちらが先かはわからない。世界を揺らすような、とにかく馬鹿でかい衝撃と、爆発的な……たぶん『オーラ』だろう発露を味わう。

 

 衝撃には覚えがあるわ。単車転がしてたら、脇見運転してたランクルと正面衝突したときのヤツ。「あー、コレは死んだな(笑)」とか薄れる意識で思ってたら、九死に一生を得た。医者も奇跡だって言ってたな。

 

 次いで味わう浮遊感と、落下による再度の衝撃の予感が走る。

 

 まあ、現実逃避はいいや。多分、これを食らうと()()死ぬんじゃないだろうか。俺は直感的にできると確信した『念能力』で、ナンチャッテな全力の『堅』を用い、衝撃に耐えた。と同時に、意識が遠退く。そりゃま、()()()にオーラの使用は早えわな。

 

 朦朧とする意識に刻み付ける。

 この途方も無い喪失感と、仇怨ともいえる執念を。

「アイツだけは絶対に許さない」

 

 

 

 

 

 

 

 別に、取り留めて言うこともない人生だった。ほどほどにクソで、「悪くない人生だった」と虚勢を張れる程度のもの。ホント、特徴らしい特徴もない。

 

 ただまぁ、漫画はアホみたいに好きだったな。

 ガキの頃から金を貯めては好きな漫画を買い漁った。新聞配達。家事手伝い。親父の車磨き。級友のランドセル持ち。チャリでの送迎。高校に上がってからはバイト掛け持ち。思いつくことは大概やった。

 パリピった連中とつるむことが多かったように思うが、根っからのオタクなのは間違いない。漫画好きからアニメやゲームにもどっぷりハマってたし。

 

 なまじ社交性があったせいか、飲みの席にはよく呼ばれた。

 俺には話術だとか交渉術だとかって上等なテクは無かった。だから呼ばれりゃどんな席でも顔を出したし、それで女性関係込みの交友を保っていたし、仕事もとっていた。

 

 それがいけなかったんだろうか。会社の健康診断で引っかかったんでデカい病院で再検査してみたら、ガンが見つかった。既に転移も見つかり、詳細に検査すればもっと見つかるかも知れない、とかなんとか。

 医者の、「今はガンも治る時代ですから」という気休めの言葉が妙に残ってる。

 三十ちょい。ガンには若すぎる。進行も早い。

 検査後にはすぐヤバ気な腫瘍だけ取り除いて薬物療法に入ったが、案の定、駄目だった。

 

 堪え性の無いオレには闘病生活なんて保つはずもなく。割とさっぱり諦めて、モルヒネ打って余生を過ごした。

 

 ひらすら漫画読んでたな。いっちゃん読んだのはレベルEと幽白とハンターハンター。てんで性悪はそこまで趣味じゃなかったけど、やっぱ冨樫は天才だよ。何度読んでも面白え。インチキ臭い強さの蟻の王様をどうやって倒すのかわからないまま逝くのは、まあまあ悔いとして残った。

 強い会長ならなんとかしてくれるんだろうか? それともジャンプらしくゴンが覚醒する? でも冨樫ってそういうことするかなあ。……するわ。仙水編の幽助で前科あったわ。でもそれまたやると二番煎じになっちゃうじゃん。オレは違う展開に賭けるね。勝ったら仏壇か墓前に酒でも供えてくりゃれ。ジンかポン酒か蕎麦焼酎がいいな。

 

 

 

 そんで気付いたら、赤ん坊になってた。

 正確に言えば、()()()()()赤ん坊の中に俺の意識が滑り込んでいた。それも、おそらくハンターハンター世界の。

 

 なんでわかるんだって? なんとなくとしか言えねえよ。こちとら異世界転生素人ぞ?

 

 そしてこれもなんとなく。オレの宿主になった子は、赤ん坊の頃から念が使えるとかいうヤバい才能の持ち主だった。それが何の間違いか、チンピラみてえな父親に壁にぶん投げられるとかいう一発レッドカードをかまされて、咄嗟に抗うも健闘虚しくその命を落とした。

 

 どうしてだろうな。多分、生きてたら物語にゴリゴリに絡む強キャラになってたと思うよ。

 そうじゃなくったって、ホントどうしてかな。この子が大きくなって、幸せな家庭を築いて、学術研究でも名を残す未来がなんとなくわかるんだ。

 だってこの子、目もまともに見えてない乳児のくせに、壁にぶつけられるダメージを不完全ながら防ごうとしただぜ? どんな才能だよ。俺がそれを理解できてんのも色々おかしいんだけどよ。

 そんでこの才能を伸ばしていけば、一角の人物になれるのはほとんど既定路線だろ。

 

 でも、死んじまった。誰よりも優れた才能を持って生まれたのに、何も成せないまま終わっちまった。だから原作にも関わらない。この子は、クロロでもヒソカでもジンでもない。素質だけはやたらあった、ただそれだけの、モブだ。

 というか、本当にそれだけガチな天才だった確証すら無い。一度死んだはずの人間が偶然生き続けることになったせいで、わけのわからん念への目覚め方をしたのかもしれない。念能力は結構なんでもアリなところあるからな。

 でもオレが味わった感覚は、妙に馴染んだものだった。多分、この子は日常的にそれを使っていたんだと思う。というか使う必要があったんだ。

 あんま考えたくはないが、この子が自衛のための練や堅のせいでなかなか死なねえから、面白がってどれだけのことをすれば死ぬかと、遊んでたんじゃねえかな。ロクなもんじゃねえ。

 そんで、等々限界を超えちまった。クソみてえな、一人の愚物の軽挙で、潰えた。

 

 何がどうしてオレがその亡き骸に入っちまったのかはわからん。

 でも、何をどうしても絶対に成し遂げなきゃならんことができた。

 この子のあったはずの栄達をオレが代わりに叶える。そんで、こんな幼気な赤ん坊を殺したゴミに復讐する。死に損ない? のお兄さんにはそれくらいしか思い浮かばねえよ。

 

 よく聞くよな。「復讐は何も生まない」って。これ言うヤツ、絶対バカだよ。

 端っから生産性のある行動だなんて思ってねえよ。怒り、恨み、妬み、嫉み、憎しみ、その他諸々。そういう負の衝動を抑えようとすると狂っちまいそうだからやるんだよ。

 体が一つになったからかな。どこかこの子を客観視している自分と、この子自身の思いと同化している部分があるように思う。もしかしたら、知らない内に死後強まる念にオレ自身がもう囚われてるのかもしれない。まあ、それならそれでいいさ。こんな酷え目に遭った子には、それくらいの我が儘を言う権利くらいあるとお兄さんは思うよ。

 つーかオレ自身、もちっと人生ってヤツを謳歌したかったんだ。流石に三十路過ぎで御臨終は早すぎね?

 この子に成り代わってそれを為すのは気が引けるけれど、利害の一致と思って勘弁してもらいたい。

 

 とにもかくにも、目もろくに見えてない0歳児時分から念が使えるとかいうハイスペボディを存分に活かして、精一杯面白おかしく生きてみましょうかね。

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