それでは、どうぞご覧ください。
「ビヨンドバイオロジー!」
「ベイク!」
「はーなるほどねー、こんな感じなんだー」
酸賀はベイクへと変身すると、その感触を確かめるように身体を動かしていた。
「何で……お前……自分も改造したのか……!?」
「絆斗君が実験台になってくれたおかげで、ある程度安全性が担保されたのよー、ありがとね?」
「っ……」
「で、俺が証明しようと思って……これを使えば、2人よりも強くなれるってさ」
ベイクはそう言うと、ヴラムの足元に銃撃を放った。
「さぁ、次は俺が相手だよハルマ君。前々から君には興味があったんだよねー」
「興味……?」
「そ、君ってさ……俺の研究の理想形なんだよ」
「理想形、だと……?」
その言葉に、絆斗は思わずそう反応した。
「まぁ、話すと長くなるからそれは追々……というわけでっ!」
「っ!?」
「俺を倒すつもりで来なよ!」
ベイクはヴラムに殴りかかると……
「さぁ!張り切って参りましょう!ハハハハハ!」
マグナムを連射し、ヴラムに攻撃を仕掛けていく。
「ほらほら!じゃんじゃん行くよー!」
「っ!」
銃撃を避けながら、ヴラムは近くに止まっている車へと身を隠す。
「ちょっとハルマ君、隠れるのはズルいなー、そういうの良くないよー?時間勿体ないじゃん」
ベイクはそう言って、ヴラムが隠れた車の傍を歩き……
「はい、見っけ―――って、あれ?」
隠れているヴラムを攻撃しようと、車の下から銃撃を放ったが、そこにはヴラムの影はなかった……その直後、
「ハァッ!」
「ぐっ!?」
ヴラムはベイクの後ろに回り込んでおり、鎌モードのブレイカーで一撃を食らわせて吹き飛ばしたのだ。
「っ……やっぱやるねー!」
ベイクは立ち上がってそう言うと……
「っ!」
「ほらほらほら!」
次々と車越しに銃撃を放ち、ヴラムはそれを前宙や側転などの動きで避けていく。そして、2人が開けた場所に同時に出た瞬間……
「フッ!」
「くっ……!?」
ヴラムはいつの間にか弓モードに変形させたブレイカーで、ベイクを狙い撃ったのだ。
「ハハハ!いいねいいねー!―――あ、そうだ……こんなのも、ありかなっ!」
ベイクは近くの赤い車を右手で自身の前に引っ張り出すと、ヴラムに向かって蹴り飛ばしたのだ。車は回転しながらヴラムへと迫ってくる。それに対し……
「ちっ……!ハァッ!」
ヴラムは鎌モードのブレイカーで迫ってくる車を両断した……が、
「ベイキング!フルブラスト!」
「ぐっ!?」
そのタイミングで強化された銃弾がヴラムの目の前まで迫っており、咄嗟に防御したもののダメージを受けてしまった。
「フフフ!盛り上がってまいりましたー!」
ベイクはそう言いながら、3発の銃弾をヴラムに向かって放つ。
「っ!」
それをヴラムは、ブレイカーを盾代わりにすることで防いだ。それを見たベイクは、上に向かって3回引き金を引いた。すると……
「あ、こういう風になるんだー……」
空中に『サクッ』という形をしたチョコチップクッキーが現れる。そして……
「これをこうか!」
ベイクは『サ』の形をしたものをヴラムに向かって蹴り飛ばしてきたのだ。ヴラムはそれを避けるが、着弾した瞬間に爆発したのだ。
「さらにこう!」
「っ!」
次に『ク』が飛んできたが、ヴラムはそれを上に跳ぶことで回避していく。
「最後にこうだ!」
最後に『ッ』が飛んでくるが、着地したヴラムは後ろに飛び退きながら弓モードのブレイカーを構え……
「ハァッ!」
それを撃ち落とし、地面や車に当たる前に空中で爆発させた。
「どうしたのハルマ君。もっとやれるでしょ?」
「っ……」
(自分で撃っておいてよく言う……!)
ベイクにそう言われたヴラムは、内心でそんなことを思っていた。
「ゼリーとかっ!」
「っ!フッ!」
「水ようかんとかっ!」
「ハァッ!」
2人は互いに攻撃を受けると、それぞれ反対側に飛び退いた。
「っと……本気出してくれないと、この新システムの強さが絆斗君に伝わらないじゃない」
ヴラムはその言葉を聞き……
「そう……なら―――」
「カップオン!」
「ヨウカンヴラムシステム!」
ヨウカンカスタムへと姿を変えた。
「へぇ……この前俺が渡したやつか」
ベイクがヴラムの姿を見てそう呟くと……
「カップREADY!」
「ヨウカンブースト!」
ヴラムはレバーを操作すると、自身の身体を強化してベイクに駆け出していく。ベイクはヴラムに銃撃を放つが、猛スピードで向かってくるヴラムに当たるはずもなく……
「フッ!ハァッ!」
「ぐっ!?」
接近してきたヴラムの連続攻撃を受けて吹き飛ばされ、地面を転がっていく。ヴラムはさらに追撃を加えようと駆け出すが……
「はいここ!」
「っ!?」
ベイクはヴラムがギリギリのところにまで近づいてきた瞬間にマグナムを向け……
「バーニング!フルエクスプロージョン!」
「ぐあっ!?」
最大威力の銃撃を至近距離で放ってきたのだ。それによって、ヴラムは吹き飛ばされるものの、体制を崩さずに何とか着地していた。
「ヨウカンOUT!」
「「ハルマ!?」」
「おー、中々の威力だねー?」
ベイクはマグナムの威力を確かめるように、そう口にした。すると……
「セット!」
ヴラムはブレイカーにゴチゾウをセットし……
「カップREADY!」
「ヨウカンブースト!」
再びレバーを操作して、ベイクに向かって駆け出していく。
「っ!?」
(さっきよりも速い……!)
先程よりも加速していることに驚きながらも、ベイクはヴラムを狙い撃とうとマグナムを連射していく……が、
「ヴラムスラッシュ!」
「なっ!?」
突然目の前に現れたヴラムの攻撃を受け、ベイクは吹き飛ばされる。
「ぐっ……!」
ベイクは立ち上がろうとしたが、ダメージが大きかったのか、その場に膝を付いた。それを見て……
「っ……お前はここで終わりだ」
「セット!」
ヴラムはブレイカーを弓モードに変形させるとゴチゾウをセットし、ベイクに狙いを定めた。そして、ベイクにとどめを刺すために、矢を放とうとした………が、
「ダメだ!」
「っ!?」
ショウマは大声でそれを止めたのだ。その声を聞いたヴラムは、矢を放つのを止めたものの、ブレイカーは降ろすことなくいつでもベイクに攻撃できるようにしていた。
「なにショウマ君、何で止めちゃうわけ?」
ベイクは不満そうに、ショウマにヴラムの攻撃を止めさせた理由を訊いた。
「あなたが考えてること、知らないと……それに、ハルマに人殺しをさせるわけにはいかない……!」
「……」
ハルマは黙って、ショウマの言葉を聞いていたが……
「おいおいまじか……あーなるほどそういうあれだ……俺が人間だからだ。ショウマ君は人間を守るグラニュートだもんねー?だから俺を倒したくないし、ハルマ君に俺を殺させたくない、と……志が低いなー、目的があるなら何を犠牲にしてでも果たさないと?」
ベイクはゆっくり立ち上がりながら、呆れたようにそう言った。すると……
「俺は今までそうしてきたよ?えーっと……1、2、3、4―――えっとあれがあれだから……8人か。いや、もうちょいいたな」
ベイクは急に、何かの数を数え始めた……。
「それって……今まで、人間を……!」
「……」
それが何を意味しているのかを察したのか、ショウマはそうベイクに訊き、ヴラムも仮面の下から冷めた目つきでベイクを見ていた。
「そりゃそうでしょうよ。絆斗君変身させたり、ショウマ君の偽物作ったり……そんなことが一朝一夕で出来るわけないじゃない。これは、20年以上に及ぶ研究の成果だよ」
「そんな長い間……沢山の人を犠牲にして……平然と……!」
ショウマはそう憤るが……
「待ってよ平然となんてしてないって……実験台のみんなには心から感謝してるよ?あぁもちろん……
餌になってくれた人にもね?」
ベイクは絆斗のことを見ながらそう言ったのだ。
「餌……?」
ショウマはその言葉の意味が分からず首を傾げるが……
「!?……はぁ……はぁ……はぁ……!!」
絆斗はその意味を察したのか、過呼吸になり頭を抱えながら、その場に座り込んでしまう……。
「おい……まさか師匠を……俺を釣るために……お前が……」
「あれ?噓でしょ絆斗君、気付いてなかったの?」
ベイクはショックを受けている絆斗に対し、いつもの調子でそう言ったのだ。
「まぁ、あれは俺って言うか……ニエルブ君に相談したからだけど」
「ニエルブ……!?」
「やっぱり繋がってたのか……」
「そうそう。いやね、実験台に出来そうな有望な人材を見つけたんだけど―――あ、絆斗君のことね?どうやって身体をいじらせてもらおうかなーって考えてた時に、ニエルブ君が僕に任せてーって」
ベイクの話によると、相談を受けたニエルブが自身のエージェントに命じ、バイトのグラニュートに絆斗の師匠を殺害するという極秘の任務を与えた……それによって、絆斗の師匠はヒトプレスにされた後に上半身と下半身を真っ二つにされたことで、殺されてしまった。それによって絆斗に復讐心を植え付け、グラニュートを倒す力を求めるように仕向けたのだ。その事実を知り……
「「……」」
「あー、そんなにショックだったかー……なんかごめんねー?」
ショウマと絆斗は思わず黙り込んでしまう……。
「じゃ、一旦研究室に戻ろっか?」
「はーい!」
ベイクはビターガヴに絆斗を連れて行くように指示した……が、
「はい、早く動―――」
「ヴラムシューティング!」
「なっ!?」
ヴラムは絆斗に迫るビターガヴに矢を放ち……
「ぐあああああ!?」
そのまま撃破したのだ。そして……
「2人とも、1度退くよ」
ベイクともう1体のビターガヴの足元に矢を放ったのだ。
「っ!?」
「うわぁ!?」
それによってビターガヴは怯み、その隙にヴラムはショウマと絆斗を抱え、猛スピードで撤退したのだ。
「さすが……やっぱ速いねー」
ベイクはマグナムのジャッキを開き、変身を解除した。すると……
「……おっさんの身体には負担がでかいかー……」
負担が大きすぎたのか、右手が高熱・乾燥によって干からびてしまっていた。それを見て……
「やっぱり、絆斗君に頑張ってもらわないと……」
酸賀はそう言い、3人が逃げた方向を見つめるのだった……。
読んでくださり、ありがとうございます。
次回と次々回で、ベイク関連の話を終わらせる予定です。
それでは、次回の話もどうぞよろしくお願いいたします。