才能に恵まれすぎたドMが魔法界で百合逆ハーレムを目指す話 作:ひさなぽぴー
「また今年も一年が過ぎた!」
お決まりの言葉から、ダンブルドア先生が年度末のあいさつをする中。
わたしは一人、頭を抱えて顔を伏せていた。
もちろんこれから夏休みって学生がすることじゃないから、周りからは何してんだコイツって顔で見られてる。
「……ねえダフネ、ゼンポウジのヤツどうしちゃったのよ?」
「そっとしておいてあげてくださいまし……結構大きな見落としをしてしまっていたことに、つい先ほど気づいただけですから……」
実際、パンジーは似たようなことをダフネに聞いていた。
その回答だけを聞けば、期末テストで何かやらかしたんだろうなって思う人がほとんどだろう。パンジーもそう思ったようだし、周りの生徒たちも似たようなリアクションだ。
だけど実際のところは違う。わたしは別に、テストでやらかしてなんてない。
むしろ二年連続の単独首席として、称賛されてるまである。ハーミーは苦手科目の占い学が振るわず、満点どまりだったからね。その点数差で勝利したってわけです。
ハーミーは悔しそうにしてたけど、わたしの健闘を称えてくれたし、来年こそは負けないと早くも宣戦布告をもらってる。わたしも受けて立つと答えてる。
……振るわなくて満点どまり、ってのは文字にするとわけがわからないけど、ホグワーツのテストはそういうものなので慣れてくれ。
話を戻そう。
じゃあなんでわたしがこんな、あからさまに頭を抱えてやらかしたって態度をしてるのか。状況だけを書き出せば、ダフネの言った通りではあるんだよね……。
わたしはため息をつきながら、現実を受け入れるために改めて魔眼レベル2を起動する。
その状態でダフネを視れば、その身体には白銀に輝く神聖な色合いの呪いがまとわりついている。魂と肉体を繋ぐ形で貫く細長いドリルのようなものからは、どくんどくんと呪いの力と思しき、これまた神聖さを醸し出す白い光が定期的にダフネの身体に注がれている。
強化された魔眼によってこうして視ることで、魂と肉体がどう繋がっているのか。構造がどういうものなのか。どこに問題が生じているのかが、はっきりとわかる。
おかげでどうアプローチすればいいのか、何が有効なのかが、以前にも増してわかりやすくなっている。あとは単純に、試行回数の問題だと思えるくらいには、色んなものが視えているのだ。
一方で、魔眼レベル2を維持したまま視線を職員席へと向ける。居並ぶ教師陣の様子は様々だ。
遂に久方ぶりの単独優勝をもぎ取ったことで、満面の笑顔を浮かべてるマクゴナガル先生。同じ理由と、それとは別に来年度の教師続投が決まったことで嬉しそうにしてるルーピン先生。
優勝を逃した上に教師続投となった彼を、今にも殺しそうな眼光で睨んでいるスネイプ先生。普段と変わらない様子でニコニコしながら生徒たちを見てるフリットウィック先生……。
……そして、白銀に輝く神聖な色合いの呪いを身にまとい、さらに角の折れたユニコーンの虚像にのしかかられているクィレル先生。
おや? と思ったあなたの想像は、正しい。
だって魔眼レベル2で視れば、一目瞭然なんだ。
呪いの質だけじゃない。ダフネの胸元、魂と肉体を繋ぐ形で貫いているドリルのようなものと、クィレル先生の胸を貫くユニコーンの角も同じ形だ。
違う点は、規模と進行度。規模はダフネのものが台所の蛇口から出る水くらいなのに対して、クィレル先生のはナイアガラの滝。進行度はダフネが3に対して、クィレル先生が10(最大)って感じ。
そう……ダフネが受けた血の呪いは、ユニコーンの血を飲んだことによって生じる呪いと同じだったんだよォーーッッ!!
なんでこれを見落としてたのかと言えば、ルーピン先生の呪いを視ることを優先してたからだ。彼が来年度もいるとは限らない状況だったから、彼のほうを先に視ておきたかったんだよね。
でもこないだのライブ成功を受けて、魔眼レベル2の維持可能時間が伸びた。これなら他にも色々と確認する時間が取れるぞぉ、ってウキウキしながら視てたんですよ。
それで……クィレル先生を調べる余裕もあるから、久々に……と思って視てみたところ……それで……発覚しましてェ……!
一生の不覚! もっと早く、魔眼レベル2が使えるようになった段階で、クィレル先生の呪いを改めて視に行っていれば、もっと早く呪いに対してやれることがあったはずなのに……!
ていうか気づけよォ……! クィレル先生が呪いで受けてる症状、あらゆる病気への抵抗力を失うってものだったじゃん……! それ、ダフネの病気に弱いって状況と一致してるじゃんね……!
ダフネがユニコーンにやたら嫌われてたのも、そういうことに違いない……!
そんなことを、今の今まで見落としてたわけですよ……。これはさすがのわたしも、だいぶ凹んでると……今の状況はそういうわけです。
もちろん、ダフネはこんなことで怒ったりはしないけどさ。でも、それはそれっていうかさ……? ねえ……?
はあ……たぶんだけど、グリーングラス家の先祖……それも恐らく女性の中に、ユニコーンの血を飲んだ人がいるんだろうなぁ。どういう経緯で飲んだかはわかんないけどさ。
だからこそ、グリーングラス家の女性には血の呪いとして、ユニコーンの呪いが現れ続けてるんだと思う。末代まで祟る、とはまさにこのことだよなぁ。
そんなことを考えながら、魔眼レベル2を切る。もう一度深いため息をついたわたしの頭を、ダフネがそっとなでてくれた。すき……。
***
わたしが凹んでたとて、時間は流れていく。ダンブルドア先生のあいさつは終わり、なんやかんやあって、いよいよ夏休みが始まる。
どうにかこうにか気を取り直したわたしは、いつもの四人でホグワーツ特急に乗り込んだ。アストリアはイースターのとき同様、ニコ殿下と一緒にドラコのいるコンパートメントにいる。
「それじゃあ、今年の夏はこのメンバーで日本ね」
「楽しみ」
ハーミーが嬉しそうに言う。ルーナも外国のあれそれに興味津々なようで、目を輝かせてる。わたしもテンションが回復してきた。
なんでそんなことになってるのかと言えば、
「ええ。まさかグリーングラス家よりも重い血の呪いの研究成果に触れられる機会が巡って来るなんて、思ってもみませんでしたわ」
そう、宮様からの招待のおかげだ。あの試合の日、宮様が言ってたことは冗談でもなんでもなく、ほどなくして招待の手紙が届いたんだよね。
ダフネは当然承諾と返信してる。その後やり取りを重ねた結果、自分たちがやってる研究に必要だからってことで、わたしはもちろんハーミーやルーナも一緒に連れてきてもいいよって許可までもらったのだ。
さらには、木寺宮家が保有している牧場で飼ってるユニコーンに会わせてくれるというおまけつき。年度末ギリギリにダフネの呪いの大元もわかったから、ダメもとで聞いてみたんだけど……まさかOKが出るとはねぇ。
まあ、色んな魔法生物と交配してきた歴史がある木寺宮家が保有してる魔法生物の牧場、って聞くと、ちょっと身構えるものがあるのも事実ですけどね。
大丈夫? 牧場の脇とかに、そういうことする用の寝室とか置いてたりしない? 信じていい??
……まあいずれにしても、楽しみは楽しみだ。呪いの情報を交換は当然として、それとは関係ない資料とかも見てみたいところだし。
わたしもハーミーも、この手の文献を読んで知識を蓄えるのが大好きだから、ハーミーが嬉しそうなのも当然だろう。この辺はルーナも同じだ。
ま、だからって滞在中、ずっと研究してるわけでもない。せっかくみんな一緒の日本滞在なんだもん。遊んだりお祭りに行ったりする時間も考えてるから、半分くらいは旅行みたいなものだよ。
にもかかわらず、滞在にかかる費用も宮様のほうで持ってくれるってんだから、太っ腹だよね。なんなら滞在場所まで提供してくれる。至れり尽くせりだ。
それだけ日本魔法界にはびこる血の呪いをどうにかしたい、ってことなんだろうねぇ。
まあ皇室にお泊りします、なんて言ったらうちの両親卒倒しそうだから、日本人の後輩の家に泊まるって伝えておいたけどさ。
ちなみに今のところ予定してる日程は、7月の半ばごろから約一か月ほど。8月にイギリスで開催される、クィディッチのワールドカップは観戦できるように配慮されたスケジュールになってる。
これも楽しみだ。いやクィディッチについては正直どうでもいいんだけど、会場周辺に出る露店に興味あるんだよね。
なんてったって、世界中の魔法族が集まるんだよ? イギリスと日本以外の魔法界からも、だ。そんなところで出る露店となれば、何か掘り出し物とかあるかもしれないじゃない!
他の魔法学校の教科書とか、お古でもいいからほしいなぁ。その国特有の魔法なんかが見れたりしたら、とっても嬉しいんだけどどうかなぁ、あるかなぁ?
一応、原作通りの事件が起こるかどうかってのも、確認するつもりだけどね。デスイーター騒動じゃなくって、クラウチジュニアの動向のほう。
でもまあ、その辺は今考えててもしょうがない。何せこれから楽しい楽しい夏休みなのだ。今はバカンスを目いっぱい楽しむことに専念しよう。
そう思ったところで、ふと気づく。ハーミーがじっとわたしを見つめてた。
「どしたの?」
「また何か難しいこと考えてたみたいだから。でも何か言う前に自分で整理をつけたみたいだし、私から言うことはないわ」
「……ハーミーにはかなわないなぁ」
本当に、よくわたしを見てくれてる。幼馴染の貫禄もあるんだろうけど、それでもやっぱり、わたしの一番はこの子だなぁって気になる。
だからわたしは、ハーミーに身体をもたれさせた。そのまま自分の心に素直に従って、キスをする。
「急にどうしたの?」
「別になんにも。ただしたくなったからしただけー」
「なあにそれ? ふふ、いつでもどうぞ」
そのままイチャイチャし始めたのを、ダフネとルーナがうらやましそうに見ている。
そんな二人を見て、わたしとハーミーは思わずくすりと笑った。それから位置取りをちょっと変えて、二人で二人を手招きする。
するとダフネもルーナも、嬉しそうに笑ってわたしとハーミーのほうに移動してきた。おかげで片側の座席に、四人全員がぎゅうぎゅう詰めっていう偏った構図になる。これはさすがにちょっと狭い。
あとこのままだと、一人わたしに触れづらい場所に来るな……と思ったので、わたしはハーミーの膝の上に移動した。対面でハーミーに向き合いつつ、両手でダフネとルーナを引き寄せる。
こうすれば、三人がわたしを囲めるでしょ? そんな思いを込めてにまっと笑えば、わたしは笑顔と共に三方から抱きしめられた。そのままキスの雨を注がれる。
ああ~~、大好きな女の子たちに囲まれて幸せ~~。憂鬱な気持ちとかそういうのが、根こそぎ洗い流されていく~~~~!
そう思ってるのは、きっとわたしだけじゃない。顔を寄せ合って笑い合うわたしたち、四人全員が同じような表情を浮かべてるんだ。この幸せって気持ちは、みんな一緒なんだと思う。そう信じてる。
だけど、まだまだだ。わたしたちはもっともっと幸せになれる。来年はもっと楽しくて、幸せな一年になる。そうに決まってる。
根拠なく内心でそう断言したわたしは、改めてにこーっと笑うと、三人にキスのお返しをプレゼントしていくのだった。
いよいよダフネの呪いの大元が判明しました。
病気にかかりやすくなる、呪いの様子がやけに神聖、やたらユニコーンに嫌われる、胸に細長いものが刺さってる、などの細かい伏線から予想できてた方はどれくらいいるでしょうか。
もちろんグリーングラス家の血の呪いが、原作で実際どうなのかはわかりません。これはあくまで本作における独自設定ですので、そこのところはあしからずというところなのですが。
これからは日本の血の呪いの情報をまとめつつ、これを解呪していこう・・・と言ったところで、今章は幕引きとなります。
血の呪いは解呪できるのか。アストリアの解呪もえっちが必要なのか。日本魔法界の呪いは。
そして何より、パンジーの性癖は大丈夫なのか。次の章はそこら辺を扱っていくことになるでしょう。
・・・といったところで、ここから先は書き溜め期間ということでまたしばらく更新は停止します。
ちょうど年内最後の更新が大晦日になりましたし、キリがいいと言うところで。
ただ、当面は更新できないかと思います。
というのも現在、5年ぶりくらいに一次創作熱が高まっておりまして・・・2026年はそっちに専念したいという想いがあるのです。
本作を楽しみにしてくださっている方々には非常に申し訳ないのですが、そちらが一段落するまでは更新休止ということになるかと思います。
一次創作のほうも自分の性癖に正直に、TSロリジジイをヒロインに男の娘を仲間枠に据えた現代バトルファンタジーを想定しています。
1月末か2月の頭くらいには、数話くらいうpできたらいいなと思っておりますので、できればそちらも楽しんでいただければ幸いです。
・・・約一年、えっちのことしか考えてないドMと付き合ってきたからか、今のところ浮かぶネタの大半がえっちに寄ってるのはわりと頭を抱えてるところです。
ドスケベをデトックスしないといけない・・・!