明星に誓う   作:広々瀬

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第5話:姉妹喧嘩と、厄介な友人

 

 

 私、飛鳥馬トキを語ることは非常に簡単だ。

 主人である調月リオ。そして、同僚であり、唯一の友人でもある明星ヤヨイ。この2人だけが、今の私の人間関係の全て。

 

 あとは、強いて言うならば……おやつと戦いが他よりも少しだけ好きだ。

 おやつが好きな理由は、簡単に手に入るし、なにより美味しいから。戦いが好きな理由は────、

 

 

「ッ……!」

 

「ハッ!どうした!手も足も出ないってかぁ!!?」

 

 

 周りの人間よりも少しだけ強かったから。

 だから、驚いた。私の弾が当たらないことに。私に当たる銃弾がこんなにも痛いことに。

 

 これ以上生身で戦うのは無理がある。そう判断して、"武装"を起動する。主人風に言うのであれば……合理的な選択だ。

 

 

「"武装"モード2へ移行します」

 

 

 上昇したスピードで、洗練された陣形を掻き乱すために、先輩方の間を駆け巡る。

 

 

「チッ……アカネ!」

 

「はい、そこですね」

 

「……!」

 

「やー!」

 

 

 しかし、アカネ先輩の爆弾と、アスナ先輩の驚異的なまでの感によって私のスピードは失われた。

 やはり、厄介だ。"武装"によって個の力を増したとしても、数の力は覆せない。それに、他校の戦力とも一線を画す連携が、私を徐々に追い詰めている。

 

 

『相手との間に差があるとき?相手を何らかの方法で弱体化させるか、他の何かで差を埋めるかのどっちかでしょ。まぁ私は後者の方が好きだけどね』

 

 

 友の言葉が脳裏に過ぎる。いや、別に過ぎらなくても問題はなかったのだけれど。

 

 渡されていた装置を起動させる。

 

 要塞都市が、動き始めた。

 

 

 C&Cの先輩方を分断した後、私とネル先輩の戦いは……依然としてネル先輩が優勢だった。

 

 

「…………近距離は危険……ッ!」

 

「どうした!ビビってんじゃねぇ!」

 

 

 距離を取ろうとしても、すぐに間合いを詰められる。振り回される鎖と、2丁のサブマシンガンから放たれる弾幕が私の体を襲う。咄嗟に身をかがめるも、全ての弾丸を回避できるわけではない。

 

 顔を上げた次の瞬間、銃口が視界一杯に広がった。

 

 

「"スモーク"!」

 

 

 咄嗟に口から出た言葉に、"武装"が反応する。煙幕弾が放たれ、辺りは忽ち煙に包まれた。

 

 煙の中での行動は全方位掃射か、潜伏かに別れる。

 

 

「おらぁ!!!」

 

 

 ネル先輩は、もちろん前者だ。放たれた乱雑な弾幕を躱し、私は煙から抜けて────

 

 

「目標、確認」

 

 

 横に、飛んだ。

 

 避けることができたのは勘だった。主人は良い顔をしないかもしれないが、偶には頼ってみるのもいいかもしれない。

 

 そんな非合理な考えを振り払い、目の前にいたカリン先輩に銃口を向ける。

 

 

「……やはり偽ヤヨイでは相手になりませんでしたか」

 

「いえ、かなり苦戦しましたが……途中で助けが入ったもので」

 

「ヴェリタスの副部長もこちらの味方だ。もう大人しく降参することをお勧めする」

 

「?私は誰にも会わなかったよ!」

 

 

 先輩方を分断した先には、偽ヤヨイ達がいたのだが、どうやら無駄遣いだったみたいだ。だが、ヴェリタスの副部長まで参戦したとなれば、いよいよ不味い状況になった。"アレ"を使うことも念頭に置いて────、

 

 

『トキ。一度退きなさい』

 

「ッ……リオ様、私はまだ……!」

 

『貴方を責めているわけではないわ。ただ、アバンギャルド君がヴェリタスの干渉受けて活動を停止してしまった。けれど、向こうもヤヨイがプログラムした"鏡"対策で痛手を負っているはずよ。私達も一度体勢を立て直すわ』

 

「……イエス、マム」

 

「待て!逃さねぇぞ!」

 

「"フラッシュ"」

 

 

 私の一言で、閃光弾が私と先輩方の間で炸裂する。

 

 

「では、また後ほど」

 

 

 ふざけんな!というネル先輩の怒号を他所に、私は戦線を離脱した。

 

 

「ヤヨイはまだ取り込み中ですか?」

 

「いえ、まだもう少し時間がかかるそうよ。……部屋には入らないでほしいと言われたわ」

 

「……そうですか」

 

 

 残念だ。最終決戦の前に一言声をかけたかったのだけれど、ヤヨイがそう言ったのなら仕方ない。

 

 

「アビ・エシュフの使用を許可するわ。ここが最終防衛ライン、必ず守りなさい…………あの子のためにも」

 

「イエス、マム」

 

 

 小さく呟いた主人の姿が、少しだけ哀れに思えてくる。

 ヤヨイはきっと、リオ先輩との約束は果たさない。あの子はただ、姉との決着をつけたいだけなのだから。

 

 だけど、それは私が言うべきことではない。私にできることは、主人の命を遂行し、友の悲願の達成を願うことだけだ。

 

 私達の目的は違う。ヤヨイは自分のために。リオ先輩はキヴォトスの未来のために。そして私は、2人のために。だけど、互いの手を取った。だから、負けられない。

 

 中央タワー前にて、先生達を出迎える。

 

 

「お待ちしておりました。先輩方、先生」

 

 

 先生達にも、負けられない理由がある。きっとその覚悟は等しい。だから、"準備"ができている私達の方が強い。

 

 リオ先輩の合図をもって、"それ"を呼ぶ。

 

 

「呼出信号確認」

 

 

 眩い閃光と轟音が辺りに響き渡る。

 

 

 ────────星が、堕ちた。

 

 

「『アビ・エシュフ──Sol』起動」

 

 

 陽に焦がれたあの子に、安寧の夜があらんことを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 『アビ・エシュフ──Sol』の機能は大きく分けて2つある。1つは、要塞都市エリドゥの電力を用いた演算によって行われる擬似的な未来予知。これだけでも、相手の攻撃は全て回避し、こちらの攻撃だけを当てることができる。

 

 現にアビ・エシュフを装着してから、戦いは一方的だ。

 

 

「ッ……とんでもねぇもん隠してやがったな!」

 

「ネル先輩に、もう勝ち目はありません」

 

「やってみなきゃわかんねぇだろ!!」

 

 

 そして、もう1つは────、

 

 

『気をつけて、先生!もの凄いスピードであの機体に電力が貯まってる!』

 

 

 エリドゥからの供給電力とは別で、稼働開始から蓄積される電力。その、放出。

 

 ────現在、電力87%

 

 

「何をしようとしてるかわかる!?」

 

『たぶん……エネルギーの、放出』

 

「……あと、猶予はどのくらい?」

 

『待って…………たぶん、長くても3分』

 

「……わかった」

 

 

 主砲から放たれるそれとは違い、アビ・エシュフの中心部に取り付けられているコアによって放出される。

 開発者のヤヨイ曰く、全方位無差別の、熱と衝撃による波状攻撃だ。

 

 

「ネル!!」

 

 

 先生の一声で、ネル先輩が後退した。追撃するのは簡単だが、時間が経てば有利になるのは私だ。演算を止めることなく、2人の動作を観察する。

 

 

「……逃げても無駄です」

 

 

 僅かな作戦会議の後、ネル先輩がとった行動は"逃走"。機体を操作してその後を追う。

 

 ────現在、電力92%

 

ネル先輩が逃げ込んだ先は、建物の屋上。明らかな悪手だと、私はそう思った。だが────、

 

 

「なら、空中はどうだ?」

 

 

 その言葉を聞いた直後、私の体を浮遊感が襲った。

 

 

「おりゃあああっ!!!」

 

 

 弾丸が、機体を掠める。突然の事態に驚きはしたものの、戦況を覆すほどではない。すぐさま演算を再開し、眼前の弾幕を対処する。

 

 

「ッ……」

 

 

 だが、それにも限界はあるようで、先程までは回避できていた弾が私に直撃する。

 

 

「おらおらぁ!!空中じゃあ思うように動けねぇみたいだな!!」

 

 

 尚も迫りくる弾幕。私は…………ネル先輩から照準を外した。辺りを見渡し、先生の位置を確認する。

 

 

 ────現在、『アビ・エシュフ──Sol』電力100%

 

 

 

「『陽光』」

 

 

 

 辺りを光が埋め尽くす────遅れて、爆音が要塞都市を震わせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 爆発音が聞こえる。どうやら私がちんたらしている間に、トキの方は終わったみたいだ。その戦いの衝撃で、部屋が、この都市全体が揺れているように感じた。

 

 私の体も、震えている。

 

 

「ようこそ、お姉ちゃん」

 

 

 今から私は、お姉ちゃんと戦う。

 

 

「ヤヨイ……アリスを返してもらいます」

 

「お姉ちゃんが、私に勝ったらね」

 

 

 部屋の中央に位置するアリスを破壊するための装置。既に中にはアリスが入っており、その中にいると約1時間後にアリスは破壊されてしまう……というシナリオだ。

 

 勝負内容はいたってシンプル。この1時間、装置をハッキングして停止させようとするお姉ちゃんを、私が防ぐ。1時間後、お姉ちゃんが装置を停止できていなければ、私の勝ちだ。

 

 自分でも、あまりにも幼稚でくだらないと思う。お姉ちゃんと勝負したいなら、他にも色んな方法があった筈だ。それに、何もお姉ちゃんが得意とするハッキングで戦う必要もなかった。

 

 だけど……こうでもしないとお姉ちゃんは私を見てくれない。お姉ちゃんと、対等になりたかった。貴方が見ている景色を、私も見てみたかった。

 

 

 ただの、ハッキング勝負。

 ただの、単純な頭脳比べ。

 

 だからこそ、意味がある。

 だからこそ、絶対に負けられない。

 

 この1時間が、私の存在証明になる。 

 

 

「言っておくけど」

 

 

 勝負のルールはただ一つ。

 

 

「手加減なんかしないでね」

 

「えぇ、それはもちろん」

 

 

 お互いの端末を装置に接続する。あとは、合図があれば始まる。始まってしまう。

 

 

「あぁ、言うのを忘れるところでした」

 

 

 私の興奮を他所に、お姉ちゃんは余裕ぶってニヤリと笑みを浮かべた。

 

 

「私は、ヤヨイが大好きですよ」

 

 

「…………あっそ」

 

「これが終わったら、2人でお話しましょう」

 

「今から終わった後の話?随分余裕だね」

 

「私にも、お姉ちゃんとしての意地がありますから」

 

「私だって、絶対に負けられない。それに、お姉ちゃんの妹はもううんざりなの」

 

 

 お姉ちゃんを……明星ヒマリを指差す。

 

 

「私は"明星ヒマリ"を超えて、初めて"明星ヤヨイ"になる」

 

 

 後追い星だなんて、もう誰にも言わせない。

 

 

「よーい、スタート」

 

 

 初めての姉妹喧嘩が、始まった。

 

 

「……ッ」

 

 

 開始の合図と同時に、セキュリティがものすごいスピードで解析されていく。

 速い。わかってはいた……それでも、その処理能力の高さに気圧される。

 

 ────だけど、それは対策済みだ。

 

 

「"同期しろ"」

 

「……それはズルいと思います」

 

 

 私の声を認識したアンドロイド達が一斉に起動し、意識を、思考を、身体を、感情を共有する。"私"が、流れ込んでくる。

 

 

 ────辛い。憎い。悲しい。悔しい、悔しい、悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい。

 

 ────痛い、痛い、痛い、痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い。

 

 

 ────そんなこと、今はどうだっていい。

 

 

「へぇ、お姉ちゃんが……私にそれを言うんだ!」

 

 

 セキュリティプログラムの解除と、再構築の速さが均衡する。今、私と同期しているアンドロイドは10体。それ以上は、私がもたない。

 

 視界が増え、手が増え、一瞬の間にできることの量が格段に増える。それを、横並びになった思考で処理する。頭が……焼き切れそうだ。

 

 

「っ……私の、何がズルいんですか!」

 

「ズルい……ズルいよ!だって、私がどんなに頑張っても背中すら見えないじゃんか!」

 

「貴方の自己評価が低過ぎるんですよ!」

 

「何が?私なんて、お姉ちゃんと比べたら底辺だって……お姉ちゃんもそう思ってるんでしょ!」

 

 

「そんなこと、思うわけないでしょ!」

 

 

 お姉ちゃんの、手が止まる。私も、手が止まった。2人の目が合う。

 

 

「…………なに、それ……ふざけないで」

 

 

 だけど、それも一瞬。再び画面に向き直る。

 

 

「ふざけてなんかいません。お姉ちゃんは、貴方を底辺だなんて一度も思ったことはないです」

 

「っ……嘘だ!」

 

「嘘じゃありません。ヤヨイはずっと、世界一頑張り屋さんの、私の妹です!」

 

 

 そんなの、絶対に嘘だ。信じられるわけがない。

 

 だけど、私はお姉ちゃんの妹だから……小さい頃からお姉ちゃんの一番側にいたから…………お姉ちゃんは嘘なんかついていないって、わかってしまう。

 

 胸が震える。

 

 それなら、どうして……どうして、どうして!

 

 

「ならなんで!私を見てくれなかったんだよ!!!」

 

 

 お姉ちゃんの手が、再び止まる。"泣いてる私"が、お姉ちゃんに叫ぶ。

 

 

「ずっと、私なんて眼中になかったんでしょ!初めて一緒に勉強した時も!ミレニアムに入った時も!ずっと、ずっと!!」

 

 

 今だってそうだ。私がリオ先輩につくだなんて、思ってもみなかったでしょ?それってさ、お姉ちゃんにとって私なんか、敵になっても取るに足らない存在だってことじゃないの?

 

 

「お姉ちゃんみたいになるためにずっと頑張ってた……!でも、お姉ちゃんは私を置いていった」

 

「私は……置いていったりなんか…………」

 

「置いていったよ。ミレニアムに入ってから、私のことなんて見向きもしなかったじゃんか」

 

 

 残り時間は50分……まだまだ夜は始まったばかりだ。

 

 

「でも、今日……追いついて、追い越す」

 

 

 再び私は決意を固めた。

 

 

「お喋りはここまでだよ、お姉ちゃん」

 

「……いいでしょう。言いたいことはまだ山程ありますが、貴方を倒し、アリスを助けてからにします」

 

 

「"同期しろ"」

 

 

 痛みと、全能感と……恐怖が、私を満たした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私は先生失格だな……」

 

 

 生徒達を前にして言う言葉ではないことはわかっている。だが、そう言わずにはいられない。

 

 

「部長ぜんぜん起きないよ〜……」

 

「アスナ先輩も怪我してるんですから!大人しくしてください!」

 

「このままだと……アリスちゃんが……」

 

「せっかくここまで来たのに……!」

 

 

 傷ついた生徒。心が折れかかっている生徒。未だ囚われたままの生徒。そして、自身の手を汚そうとしている生徒。"先生"という存在がいながら、今の状況は最悪と言ってもいい。

 

 ほんとうに、ほんとうに……情けない。

 

 

「先生……アリスは、まだ大丈夫だよね……?」

 

「……大丈夫だよ、モモイ。まだ、諦める時じゃない」

 

 

 依然として状況は最悪。生徒の誰もが下を向き、不安に潰されそうになっている。

 だから、私が……私だけは前を向かなければならない。私だけは、夢を、希望を抱き続けなければならない。生徒の可能性を、私だけは諦めてはいけない。

 

 

「ッ……誰だ!!」

 

 

 その時、カリンが銃を手に取った。その銃口が向けられた先には────、

 

 

「ちょ、ちょっと待って。私だよ」

 

「……エイミ?」

 

 

 和泉元エイミがいた。彼女もまた、傷だらけの状態ではあったが。

 

 

「その傷、どうしたの?」

 

「ヤヨイ先輩に3人がかりでやられた。部長を救出しようとしたんだけど……私だけじゃ無理。先生達は?」

 

「私達はトキにやられたよ」

 

「うぅ……タワーにもまだヤヨイ先輩がいるんだったら、結局アリスのとこまで行けないじゃん……!」

 

「お姉ちゃん……ネガティブなことばっかり言わないで」

 

「だってそうでしょ!あんなチート使い達をどうやって突破するの!?」

 

 

 やはり、リオ達残りのの戦力はトキとヤヨイだけみたいだ。だけ、と言ってもそれが本命であり、私達はその2人を突破できていないのだけれど。

 

 

「でも、良い知らせもある」

 

「聞かせてくれるかな?」

 

「アリスはまだ破壊されてない」

 

「え!それって本当!?」

 

「落ち着いて、モモイ。今は"まだ"ってだけ。たぶんだけど、あと20分もしたら時間切れになる」

 

「それだけでも十分だよ。ありがとう、エイミ」

 

「……どういたしまして」

 

 

 生徒達の顔は、先程よりかはいくらかマシになった。最後の一押しは、私の役目だ。

 

 

「まずは謝罪させてほしい。私がいながら、君たちに苦しい思いをさせてしまって、申し訳ない」

 

 

 頭を下げる。この悲劇は、私の責任だ。

 

 

「もう一つ。これから、君たちには酷なお願いをしなければならない。それを先に謝っておく」

 

「……酷なお願いって?」

 

 

 顔を、上げる。不安そうな瞳をしたモモイと目が合った。

 

 

「アリスを……ヒマリを、トキを、ヤヨイを、リオを……私と一緒に彼女達を助けてほしい」

 

「アリスちゃんだけじゃなくて……?」

 

「君たちはまだ子供だ。間違えたのなら……道を違えたのなら、もう一度道を選び直せばいい。責任は全部、私達大人にあるんだから」

 

 

 君たち生徒には、やり直すチャンスがある。たくさん間違えて、失敗して、その度に努力したり、仲間と力を合わせて乗り越えていく。君たちはこれから、そうやって成長していくんだ。

 

 

「私は、生徒のみんなに幸せになってほしい。最後にはみんなが笑っている……そんなハッピーエンドがいいんだ。…………君たちはどう?」

 

 

 それを、ここで終わりになんかしていいわけがない。

 

 

「私は……もちろん、ハッピーエンドがいいよ!」

 

「私もです!」

 

「わ、私も……!」

 

「まぁ、私も」

 

「ふふ、私もハッピーエンドがいいですわ」

 

「悲劇的な終わりなんて、納得できないからな」

 

「うん!みんな笑顔が一番だよね!」

 

「じゃあ、ここで諦めたりなんかできないよね」

 

 

「当たり前だぁ!!!」

 

 

 コールサイン"00"。ミレニアムの、私達の勝利の象徴が目を覚ました。

 

 反撃が、始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 要塞都市は、未だ静寂を保っている。『アリスを破壊した』というヤヨイの報告もなければ、私とリオ先輩の間にも言葉はない。

 それが、嵐の前の静けさのようで……妙な胸騒ぎがした。そんな私の予感めいたものは、直後現実となった。

 

 

「ネル先輩……」

 

 

 先程撃退したはずの先生方が、再び私の前に現れた。主力ともいえるC&C……ネル先輩は、先の戦いで既に傷だらけだというのに。

 

 

『……何を企んでいるか知らないけど、無駄よ。トキ』

 

「待って」

 

 

 先生の声が、要塞都市に、私の耳に響く。

 

 

「その前に、私のお願いを聴いてほしいんだ」

 

『……"お願い"?』

 

「うん。君たちにしか頼めない、特別なお願いだよ」

 

 

 リオ先輩が困惑の表情を浮かべる。それとは対照的に、先生は仄かに笑って、手を差し出した。

 

 

「私を、助けてくれ」

 

 

 その言葉の意味が、理解できなかった。

 

 

「君たちが言ったように、確かにアリスにはキヴォトスを滅ぼす可能性がある。だから……アリスを破壊しようとするリオ達の考えも、わからなくもない」

 

『……そうよ。これ以外の方法は────』

 

「だけど、アリスの犠牲の上にこのキヴォトスが成り立つなら……きっとこの先、誰も本当に笑うことができなくなる」

 

 

 その理由はきっと、罪悪感だ。わかってしまうのは、今の私にもそれがあるからだろうか。

 

 

「"先生"として、それは見過ごすことはできない。生徒全員が笑って過ごせる結末に導かないといけない」

 

『なら……貴方はどうするというの、先生?』

 

「あはは……責任を背負う大人、"先生"としては、きっとここで格好いいことを言わなきゃいけないんだけどね。情けないことに、私にはできそうにない。だから────」

 

 

 そう言って、先生はもう一歩踏み出す。

 

 

「君たちに、こうやって助けを求めることにした」

 

 

 これが"大人"なのだろうか。

 

 

「大切な生徒のアリスを。苦しい選択を強いてしまったリオを、トキを、ヤヨイを。生徒全員を救うために、私に力を貸してほしい」

 

 

 ────本当に、おかしな人だ。

 

 

『っ……理解に苦しむわ。それは単なる理想論、夢物語に過ぎない』

 

「それでもいいさ。だって、夢は語ってこそでしょ?」

 

『……もう、いいわ。貴方の言葉を聞いていると…………トキ』

 

「イエス、マム」

 

 

 ────ごめんなさい、先生。

 

 少しだけ。少しだけ心が揺らいだ。だけど、私達にも意地がある。決意を固め、銃口を先生に向けようとして────、

 

 

「忘れてもらっちゃ困るなぁ!!」

 

 

 その鮮烈が、視界に割り込んだ。

 

 

「ッ……そんな身体で、まだ戦うつもりですか……!」

 

「……気に食わないんだよ。お前も、ヤヨイも」

 

「何を……!」

 

「しけた面しやがって。お前らがしてることは、自分で選んだんじゃねぇのか!」

 

 

 私は……そんな顔をしているのか。

 

 

「少なくとも、あのチビはそんな顔は絶対しねぇ奴だった」

 

 

 先輩達が、ネル先輩の銃口が、私を射抜く。

 

 

「『アビ・エシュフ──Sol』戦闘体勢へ移行します」

 

「私の後輩を泣かせた罪は重いぜ!!覚悟しろよ、新入り!!!」

 

 

 静寂は、破られた。

 

 

「いくぞ!!」

 

 

 ネル先輩の叫びと共に、一直線に向かって来るアスナ先輩。先生とて、この行為は無駄なことはわかっているだろう。つまり、これは陽動だ。視界にいないカリン先輩とアカネ先輩への警戒を高める。

 

 

「カリン」

 

「ッ!……そこですか」

 

「チッ……アスナ!!」

 

「あははっ!突撃〜〜!」

 

 

 視野外からの狙撃を躱す。アスナ先輩の弾幕を避けながら、こちらも広範囲に弾幕を展開する。

 アスナ先輩を相手にする時は、勘では避けようのない面制圧が適している。ちなみに、これはヤヨイ談。

 

 

「いたーい!」

 

「逃がしません」

 

 

 まずは一人。一気に距離を詰めて、アスナ先輩の意識を刈り取ろうと────、

 

 

「今だ!アカネ!!」

 

「はい!部長!」

 

 

 その瞬間、爆炎が視界を埋め尽くした。咄嗟に周囲に向けて掃射する。だが、それは悪手であった。

 

 

「おらぁ!!!」

 

「ぐっ……!」

 

 

 煙の先から、ネル先輩が突撃してきた。その衝撃で、先の爆発で空けられたタワー内部へと押し込まれる。

 

 縦横無尽に動き回き、攻撃を続けるアスナ先輩とネル先輩。その後ろから援護してくるカリン先輩とアカネ先輩。そして、彼女達を指揮する"先生"。

 

 ────押されている。

 

 "敗北"の2文字が、脳裏にうっすらと過った。

 

 

「トキ!主砲の使用を許可するわ!」

 

 

 だが、それも杞憂に終わりそうだ。

 

 

「イエス、マム」

 

『中央タワーに電力が集まってる!みんな、気をつけ──』

 

 

 主人の許可を貰い、『アビ・エシュフ』をエリドゥ中央タワーへと接続。主砲に電力を集中させる。『陽光』とは違い、一瞬の、一点集中の光────、

 

 

「『暁光』」

 

 

 閃光が、象徴を掻き消した。

 

 

『……ここまでよ』

 

 

 ────本当に?

 

 主人の声が告げる終わりに、私は未だ確信が持てずにいた。確かに、ネル先輩は『暁光』を受けて倒れた。ヤヨイ曰く、これをまともに受けても尚動けるなら、それはもう人間の域を超えている、らしい。

 

 

『ネルが倒れ、C&Cももう限界が近いでしょう、先生。……もし、貴方がその"先生"の意地とやらで満身創痍の生徒を戦わせたのであれば……心底、軽蔑するわ』

 

「それは違います、リオ会長」

 

 

 恐れる必要はないはずだ。相手の主力は失われた。残された時間も僅か。なのに、どうして諦めていないのか。

 

 

「私達は、先生に頼られて、自分達の意志で、"大切な友人を助けたい"その思いで、ここまで来たんです。決して、先生がそうさせたわけではありません」

 

『…………』

 

「あぁ、そういえばリオ会長。まさか忘れていませんよね?」

 

 

 そうだ、何かを忘れている。この場において、最も警戒するべきことを。

 

 

「ネル先輩のもう一つの名前。コールサイン"00"。私達ミレニアムの『約束された勝利の象徴』ということを」

 

 

 その瞬間、背後に気配を感じた。

 

 

「とらえた」

 

「『暁光』を正面から受けて動けるだなんて……!」

 

 

 ────ネル先輩は、人間ではないのかもしれない。

 

 

「あいにく、この間も食らったばっかでな!」

 

 

 そして。

 

 

『中央タワーの貨物エレベーターをハッキングしました!』

「ネル!今だ!!」

 

 

 私達の運命を運ぶエレベーターが、到着した。

 

 戦いは、さらに加速する。

 

 

『トキ!今すぐそこから出てあの子達は──

 

 

「あたし、前に言ったことがあったよな?」

 

 

 主人の言葉を遮り、エレベーターにネル先輩が入ってくる。全身は傷だらけで、明らかに満身創痍だ。だけど、その瞳は、その顔は、獰猛な笑みを浮かべていた。

 

 

「あたしの間合いに入って勝てるやつなんか、このキヴォトスのどこにもいないって」

 

 

 そして、エレベーターが動き出す。重力を感じると同時に、『アビ・エシュフ──Sol』の回避システムが麻痺した。これで、私のアドバンテージはほぼなくなった。

 

 

「さて、と。これでチートは使えねぇ。正々堂々勝負しようぜ、後輩?」

 

「はぁ……終わりですか………………」

 

 

 これでは、もう私に勝ち目はない。

 

 ネル先輩との地力の勝負になってしまえば、パワードスーツとしての機能しかないアビ・エシュフでは、勝てない。

 私にできることは、精々当たるかもわからない銃を撃ちまくるくらいだろう。

 

 明確な詰みの状態。逃げ道も、体力も、無い。諦めるのが最適だと……そんな考えが頭の中に浮かぶ。

 

 

 だけど。

 

 

「私だって、約束したんです。絶対に勝つって」

 

「ハッ!そうこなくっちゃな!!」

 

 

 友が作ってくれた機体を動かし、立ち上がる。"最強"に立ち向かう。

 ただの口約束。されど、唯一の友と交わした約束だ。破るわけにはいかない。

 

 

 ほんとうに、厄介な友人だ。

 

 

「チヒロ!もっと上げろ!!」

 

 

 私達は、さらに加速する。

 

 

「ハァァッ!!!!」

 

 

 重い。重いが、それだけだ。気力を振り絞ってガトリングの照準をネル先輩へと合わせて引き金を引く。

 

 

「甘い!」

 

 

 だが、ネル先輩はまるでこの重力など関係ないみたいに壁を駆け、私に弾丸を叩き込んだ。

 

 

「ッ……ほんとに人間ですか!」

 

「あぁ!?どういう意味だ!」

 

 

 ネル先輩がさらに近付く。私達の間の距離がゼロになる……その時、私は全力で砲身を振り回した。

 

 

「そのままの意味です……よッ!!」

 

「ガッ……!」

 

 

 ドンッ、と。容赦のない殴打。回避能力を失ったパワードスーツ、その砲身が、打撃武器としてネル先輩に襲いかかる。

 ネル先輩は宙に浮き、その直後には床に叩きつけられる。だが、その顔は苦痛に歪んだものではなく────、

 

 

「やるじゃねぇか……!」

 

 

 どこまでも、獰猛で、楽しげなものだった。 

 そして、再度、この場では信じられない速さでの接近。それを、正面から迎え撃つ。

 

 

「おらぁぁぁぁあぁ!!!!」

 

「あぁぁぁあ!!!!!」

 

 

 激痛が、私の意識を徐々に奪っていく。だが、それは相手も同じ筈。ここからは、根性比べだ。

 

 戦いは、頂きへと至る。

 

 撃って、撃たれる。重力でほとんど動けない中、避けることは選択の中にない。それはネル先輩も同じようだ。だからこそ、正面きっての撃ち合い。

 

 

 そして、

 

 

 ──────ドガンッ!!!!!

 

 

 

「なっ……!?」

 

「きた……!」

 

 

 とてつもない衝撃と、浮遊感。私達を乗せたエレベーターは、天井を突き破り、空中へと放り投げられた。

 

 

「捕まえました!」

 

「この……!離せ!」

 

 

 あれだけの速度を出せば、こうなるとは思っていた。空中に浮かんだ機体を操作し、ネル先輩を捕縛する。頭が出口の方へと向くように調節し────、

 

 

「"パージ"!」

 

 

 『アビ・エシュフ──Sol』から離脱する。

 

 慣性が私の身体を圧迫するが、無事にエレベーターから脱出することはできた。ネル先輩は、今やっとアビ・エシュフの拘束から逃れられたところだ。こちらを見て、ネル先輩もエレベーターから出ようと足に力を入れた。

 

 だが、もう遅い。

 

 ネル先輩を指差し、ニヤリと笑う。

 

 

 

「『陽光』 フル、バースト!!!!」

 

 

 

 その一瞬、闇夜に太陽が輝いた。

 

 轟音と、衝撃。そして重力によって私の身体は屋上へと打ち付けられた。……四肢が地面に投げられ、もう起き上がれそうにない。

 遅れて、エレベーターだったものが落下する。朦朧とする意識の中視線を動かして、煙が晴れるのを待つ。

 

 

「嘘ですよね…………」

 

 

 晴れた煙の先、美甘ネルが立っていた。

 

 

「ぺっ…………今のはかなり効いたぜ」

 

 

 かなり効いたぜ。で済まされたら困るんですが。

 困惑をすぐに捨てて、携帯していた小銃を発砲する───しかし、それよりも先にネル先輩のサブマシンガンが、私めがけて火を吹いた。

 

 

「お前は強い。正直、私だって今にもぶっ倒れそうだ」

 

 

 ……意識が、遠のいていく。

 

 

「だけどな、最後の最後。立ってた私の方が勝った。それだけだ」

 

 

 ごめんなさい、ヤヨイ。貴方との約束は守れませんでした。

 でも、これでよかったのかもしれません。

 

 その思考を最後に、私の意識は闇の中へと消えていった。

 

 

 勝利の象徴は、陽の光に焦れなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──もっと速く手を動かして!

 

──考えるのが遅いんだよ!もっと速く対応しろ!

 

──ねぇ、またこっちのセキュリティも突破された。ヘルプ求む。

 

──もう再構築するセキュリティのパターンなくない?同じのもう一回入れる?

 

──バカ。そんなの1秒も稼げないでしょ。

 

──とりあえず今やってる作業10秒で終わらせて。これまでのパターン組み合わせて複雑化するよ。

 

 

「…………もう……!」

 

 

 思考が重ね合わさる。部屋にあるアンドロイドは全て私と同期している。そうしてやっとお姉ちゃんと互角か、それ以下だ。

 "同期"した私達の声が、頭の中の響き渡る。もう何が何だかよくわからなくなってきたし、とにかくうるさいなと私はどこか他人事のようにそう思った。

 

 既にセキュリティの半分以上がお姉ちゃんの手に渡っている。私の処理速度では、お姉ちゃんのハッキングを相殺するのに手一杯で、とてもじゃないが取られた部分の制御権を奪い返すなんてことはできない。

 

 だけど、残り時間は10分。私の防戦一方だった電脳戦も、いよいよクライマックスだ。待ちに待った"勝利"が、もう目前まで迫っている。

 

 だが…………

 

 

──なに、これ……

 

 

「は…………?」

 

 

 その均衡が、崩れる。

 

──解除された部分にアクセスできない!

 

──お姉ちゃんに、ロックされてる

 

──こっちもだ……パスワードが……

 

 

『お姉ちゃんが、この世で一番愛してる人は誰でしょう?』

 

 

──お姉ちゃんって好きな人いたの……?

 

──リオ先輩でしょ

 

──先生だ!

 

──いや、絶対チヒロ先輩

 

──…………和泉元は?

 

──誰でもいいから速く入力して!

 

 

 各務チヒロ…………『違います』。

 和泉元エイミ……………『違います』。

 先生…………『違います』。

 調月リオ…………『そんなわけがないでしょう?!』

 

 

「くそ……!」

 

「ふふ、わからないんですか?」

 

「黙ってて……!」

 

 

 …………よし、これは諦めよう。幸いにも、まだ私の占有している領域はある。それを奪われないようにすればいいだけの話だ。

 お姉ちゃんに取られた領域を奪い返そうとしていた分の思考を、全て防衛に割く。これなら、残り数分間も耐えられる───そう、思っていた。

 

 

「はっ……なん、で……!」

 

 

 私は、お姉ちゃんの本気を理解できていなかった。

 今まで辛うじて均衡を保つことができていたのは、お姉ちゃんが私へのハッキング攻撃と同時に、そこに組み込むプログラムを作成していたから。

 私達が防衛に集中できるようになったように、お姉ちゃんもまた、攻撃に集中できるようになったのだ。

 

 

「かなりギリギリでしたけれど、確実に勝てる手を打たせてもらいました。…………まぁ、そこで詰まるとは思っていませんでしたが……」

 

 

 一手ずつ、着実に制御権が奪われる。一つ、また一つと残りの防壁が破壊される。時間の進みだけが、異様に遅く感じられた。

 

 

 ────あぁ、負ける

 

 

 どこがいけなかった?何を間違えた?そもそも、この行為に意味はあったのか?本当に、私が勝つ可能性はあったのだろうか。私なんかが、お姉ちゃんに勝とうとしたのが間違いだったのだろうか。

 

 手元の端末から視線を外す。もう、これ以上は無駄だ。目線を上げると、勝ち誇った笑みを浮かべるお姉ちゃんと目が合った。

 

 ムカつく。ここまでして、届かないのか。ふざけるなよ。私めちゃくちゃ頑張ったんだぞ。

 というかあのパスワードなんなの?百歩譲ってあの質問はわかる……どうせ解除したらしたで何か仕掛けがあったろうし。けどリオ先輩の名前打ち込んだ時にだけ別枠で反応が返って来るようにプログラムするな。そんな余裕あるんだったらハッキングしてこい。ふざけんな。

 

 あぁ、もう……ほんとにムカつく。お姉ちゃんなんて、大嫌いだ。

 

 だけど──────

 

 

「やっぱり……お姉ちゃんはすごいなぁ…………」

 

 

 17年間ずっと、貴方に焦がれ続けた。

 羨ましかった。妬んだ。嫌いになった。

 それ以上に、憧れた。貴方のようになりたいと願った。貴方の言葉に、行動に、その才能に、光を見た。

 

 私の嫉妬も、怒りも、願いも、言葉も、能力も、才能も、努力ですら貴方には届かない。

 

 そんなお姉ちゃんが、私は嫌いだ。

 

 そんなお姉ちゃんを、私は世界で一番尊敬している。

 

 

 

 ────勇者の部屋が開かれた。

 

 

 

 開かれた装置から、勢いよくアリスが飛び出してきた。……成功、かどうかはまだわからないが、最悪の事態はどうやら回避できたみたいだ。

 

 

「アリス!無事でよかったです」

 

「あ!ヒマリ先輩!ちょうどいいところにいました!」

 

「……?」

 

 

 そう言ってアリスはお姉ちゃんのところへと駆け寄った。

 

 

「状態異常を付与できる武器はありませんか?」

 

「…………???……えっと、手持ちにはありませんが……理由を聞いても?」

 

 

「はい!『ケイ』を仲間にするためです!」

 

 

 その瞬間、視界の端に"アリス"の姿が映り────私の意識は暗転した。

 

 




次回──第6話:太陽と向日葵、姉と妹、貴方と私
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