私は最強のウマ娘である。
栄光のティアラ三冠を無敗で駆け抜け、シニア級では『
そして私はその栄光を確固たるものにせんと凱旋門賞への挑戦を表明しトレーニングに励んでいた。……が、オーバーワークを指摘され休養という名の暇を持て余していたところだった。
「よお! 暇してんだったらちょっくら太平洋にカツオでも釣りに行かね!?」
「王命である。付き合え」
オルフェーヴルさんとゴールドシップさんが少ない負荷で実戦感覚を保てるVRウマレーターであれば休養中でも大丈夫であろうとトレーナーから許可を取ってきたようだ。
「んじゃ、条件はどーするよ?」
「では、東京2400で」
「ほう、余に異論は無い。……貴様に二度土をつけられた其処で勝利してこそ余の王権は復活する」
「は〜!? ゴルシちゃんソコで勝ったことないんですけど〜!? もっと別のにしようぜ〜!? 阪神2200とかさ〜!?」
「あら、走る前から負け惜しみなんて面白いことするじゃない」
「やってやろうじゃねえかよコノヤロウ!!」
「決まりだな……む?」
ゴールドシップさんをからかっていると突如として場の雰囲気が一変する。東京レース場に変わるだけでなくVRウマレーター自体が変調をきたしているかのように。
「これは……?」
「おい、ゴルシ」
「ゴルシちゃんはまだ何もやってないぜ!? って、なんだありゃ?」
VRウマレーターがノイズを出しながらウマ娘サイズの何かを出力しようとしている。まるでこれからレースをする私たちにあてがおうとするかのように。
「……こりゃあ噂のVRウマレーターの誤作動ってやつか? こんなおもしれーことが起きるんだったらナカヤマのやつも連れてくりゃよかったぜ」
噂自体は聞いたことがある。何でもウマレーターに入っているウマ娘達の『最強』のイメージないしライバルを出力し、勝てなければ一生出てこられなくなるとか。眉唾物でしかなかったが、実際に出くわすと話は全く変わってくる。
「フン、余であればたとえ『
慢心かもしれないが、私たちであればその程度であればなんとでもなる実力は確かにある。……骨のある相手だと良いのだけれど。
「来るぞ」
「ッ!!」
少しずつ出力されていくウマ娘を観察していたら突如頭に激痛が走った。
「おい、どーした? ゴルシちゃん特製焼きそばでも食うか?」
「ゴルシよ、一体何処から出した」
「バグってんだったらいけんじゃねーかなと思ってやってみたら出ちまったぜ。うん、うまいけど麺のコシがイマイチだから62点だなー」
「ふ、……フフ」
何処か物足りない三年間だった。よく分からない何かに怯えながら鍛え続けた三年間だった。
「……フフフ、……アハハハハハハ!!」
「マジで大丈夫かお前」
「……気が触れたか。ゴルシ、此奴は使い物にならぬかもしれんな」
私のライバルと呼ばれるウマ娘がいない三年間だった。貴女だけは絶対に倒したいというウマ娘がいない三年間だった!!
「ま、三年間無敗で通した女王様でも休んでなきゃこーなっちまってもおかしくねーか。オルフェ、こんな奴さっさと倒してコイツベッドに叩き込むぞ」
私はこのウマ娘と走ったことはないし、見覚えも当然ない。しかし私の魂は、ウマソウルはこのウマ娘を確かに知っている!!
「アハハハハハ!! ……ふぅ、問題ありませんわ。ですが、このウマ娘だけは絶対に私が下します」
ウマレーターによって完全に出力されたウマ娘を観て確信を深める。貴女こそ私が倒すべき、倒さなければならないウマ娘だと!!
「あら、私がいないだけで随分と腑抜けた走りをしていらしたのね。オルフェーヴルさん、ゴールドシップさん」
そのウマ娘は私達ですら不足と言わんばかりに値踏みしてくる。……貴女ならそうしてくるでしょうね。その不遜なウマ娘を射殺さんばかりの眼光で睨み付け、私はその名を叫ぶ!!
「ですが、貴女は如何にも潰しがいがありそうな面構えですわね。
「
これは貴女を越える為の
ジェンティルドンナがいない世界線でヴィルシーナがジェンティルドンナの隠しイベントを達成した場合のお話となります。
叙述トリック風味に書いてみましたが上手くできているでしょうか?
ジェンティルドンナがいない世界線で彼女を出すためにどうするか考えた結果KOPPERIONさんのVRウマレーターの誤作動を参考にさせていただきました
続きません(鋼の意志)