冷酷死霊術師とわがまま女神のリスタート 〜殺し合いの因縁を超えた先の、あまりにも短い幸福〜   作:えびふぉねら

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9話 仲間

 クレアは静かにシードの墓標の前に跪き、震える声で語り始めた。

 

「私は生まれつき魔力が弱く、他者の助けがなければ長く生きられない身体でした。でも……シード様が私に魔力を与えてくださり、こうして生き延びることができたんです」

 

 その言葉に、セラの銀色の瞳がわずかに揺れる。

 

「お父様がそのようなことを……」

 

 セラはそっと呟きながら、驚きと安堵の入り混じった表情を浮かべた。

 異形の神の力が、破壊や恐怖だけでなく、命を救うためにも用いられていたことを知り、胸が少しだけ軽くなった気がした。

 

「でも……まさか……亡くなられていたなんて……」

 

 クレアの真紅の瞳に涙が滲む。彼女は墓標に手をつき、肩を震わせた。その様子に、アルズとナディアも視線を落とし、しばし言葉を失った。

 

 セラは静かにクレアに寄り添い、その肩に優しく手を置いた。

 

「大丈夫です。父はここから、ラナスも、そしてあなたのことも見守っています」

 

 セラの優しい声に、クレアは涙を拭いながら顔を上げた。そして、不意にセラの手をぎゅっと握りしめる。

 

「セラ様。どうか私を、あなたの旅に連れていってください!」

 

 彼女の唐突な提案に、セラは驚きに目を見開いた。

 

「……え?」

 

 クレアの真剣な表情に、彼女の意志の強さが伝わってくる。

 

「危険を承知でお願いしています。シード様の娘であるあなたと一緒に旅をすることが、私の恩返しだと思うんです!」

 

 クレアの真紅の瞳が、セラの銀色の瞳をまっすぐに見つめる。その視線に、セラは一瞬たじろいだ。

 

「あなたはまだ幼いです。それに、私たちの旅は長く、危険を伴います」

 

 セラが静かに断ろうとすると、クレアは得意げに片手を掲げた。その手には、漆黒の炎が小さな渦を巻いている。

 

「こう見えて、私は魔法が得意なんです! 決して足手纏いにはなりません!」

 

 クレアが生み出した漆黒の炎は、その年齢――十歳ほどの外見には不釣り合いな力を秘めていた。

 

「へぇ、頼もしいな。仲間が増えるのは歓迎だぜ!」

 

 アルズがにこやかな笑みを浮かべながら応じると、ナディアが呆れたようにため息をつく。

 

「アルズお兄ちゃん、セラ様が良いと言うまで、勝手に決めないでよ」

 

 しかし、その表情には微笑みが浮かんでいる。

 

「まあ、オレは異論はありませんよ。セラ様が良ければ」

 

「二人とも……」

 

 セラは少し困惑しながらも、柔らかい微笑みを浮かべた。

 

「決まりですね!」

 

 クレアが満足げに笑みを浮かべたその時――

 彼女のお腹がぐうっと大きな音を立てた。

 

「ごめんなさい……ちょっとお腹がすいてて……」

 

 クレアが照れくさそうに笑うと、アルズが大きな声で笑い出した。

 

「よし、新しい仲間も増えたことだし、飯にしようぜ!」

 

「もう、アルズお兄ちゃん! シード様の前で失礼ですよ!」

 

 ナディアが頬を膨らませて小声で叱る。

 

 四人は墓標に祈りを捧げ、霊園を後にした。その時、セラは巻物に微かな光が宿るのを感じた。

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