転生したら秋庭怜子のマネージャーになった件   作:幽玄の鬼

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副題】秋庭怜子のマネージャー冬森宏一は、秋庭怜子と2人でミラクルランドを訪れる

宏一のいるフルスコアが放映された世界線で、リメイクされた◯曜ロードショー特別放送の鎮魂歌の前日譚的なエピソード


ちなみに私ごとですが、今日は私の誕生日です


探偵たちの鎮魂歌(レクレイム)編
劇場連動アニメオリジナルエピソード②鎮魂歌の序曲


 天下一夜祭殺人事件を解決してから1週間。

 

 

 コンサートやら収録やらで忙しかったのは当然だが、あれから8件の殺人事件に巻き込まれ、成り行きで怜子と宏一のコンビで解決していき――

 

 

 すっかり世間に『音楽家探偵』として定着してしまった。

 

 

 

閑話休題

 

 

 今日は連日目白押しのイベントがひと段落したので、息抜きを兼ねて遊園地を目指していた。

 

 蜂模様のシボレーカマロを運転する宏一は、どことなくご機嫌だ。

 

「いやぁ、楽しみですねミラクルランド」

 

 殺人やら収録やらで忙しかった2人。

 1日を使ってどこか行くのは本当に久しぶりだから、どことなく宏一は浮かれていた。

 怜子と遊園地に遊びに行けることを純粋に喜んでいる様だ。

 

 怜子もまた上機嫌である。

 

 陽射しがキツくサングラスを掛けているが、今にも鼻歌を歌い出しそうな程に浮かれている、

 

「このところ仕事だけじゃなくて、それ以外でも忙しかったものね。だから私も楽しみ。2人っきりの遊園地デート」

 

「あはははっ、またまた。秋庭さんのリフレッシュのための慰安旅行です。秋庭さんを楽しませるのがマネージャーである僕の仕事。デートだなんて、そんな……恐れ多すぎます」

 

 怜子なりの冗談だと捉えた宏一は朗らかに笑う。

 だが求めていたリアクションとは180°異なる宏一の返答を受けて怜子の機嫌は一気に冷え込んだ。

 

 ブリザードの如く吹き荒れる怜子は、そのまま眦を吊り上げてキレた。

 

「言ってみただけじゃない! 宏一の余計な一言で、さっそく不快になってきたんたけど?」

「申し訳ありません」

「そう思うのなら誠意を今後の行動で示す様に」

「了解しました」

 

 何故急に怒り出したのか皆目見当が付かないが、これ以上怜子の機嫌を損ねる訳にはいかず、宏一は平身低頭言われるがまま女王の命令を了承する。

 

 そんな宏一の様子を見て、怜子は鼻を鳴らすと溜飲を下げて、話題転換を図るのであった。

 

 

「……それにしても何年ぶりかしらね。宏一と遊園地に来るのって」

「最後が小学校5年になる直前ですから……19年ですね」

 

 宏一が引っ越す前の月に家族ぐるみでトロピカルランドに行ったきり。

 

 それ以来、19年間。

 

 怜子と7年前に再会してからも、一度も行ってない。

 

 行く機会がなかった。というよりも何となくだが宏一が行きたがらないことを、怜子も察していたからこそ無理強いすることが出来ずに、ずっと避けてきた遊園地。

 

 それが今日、どういう心境の変化か

 

 ――宏一と遊園地に向かっている。

 遊園地に向かって、助手席に怜子を乗せ、宏一が愛車を運転してくれている。

 

 

「そう。あれから、もうそんなに経つわけか」

 

 宏一の方を向かずに、頬杖をつき景色を眺めながら感慨に耽っていた怜子は静かに呟いた。

 それからふと気になった怜子は、疑問を宏一に投げかけた。

 

「ねぇ、宏一。どうして遊園地に来る気になったの?」

「どうして、とは?」

「宏一って、遊園地を避けてる……いいえ、苦手? とは、違うわね。関わりを避けてきた……が正しいのかしら? 違う?」

「…………」

「理由は言わなくていいわ。……分かるから。分かっているから……分かってるつもりだからすごく気になるの。そんな宏一が何で今日、私と遊園地に行く気になったのか」 

「……前に進むためですね」

 

 宏一は一度言葉を切って、何と喋ろうか悩んで、それから再び喋る。

 

「過去に囚われたままだと前に進めない。そんな当たり前のことに気付いたからです。先生は過去に縋りついて執着したから、大きな罪を犯しました」

 

 敬愛していたかつての『先生』は過去という呪縛に囚われ、前に進むことが出来ずに疑心暗鬼の道を突き進み、取り返しのつかない大罪を犯してしまった。

 最後の最後で止めることが出来たし、先生は友との和解があって最後には前に進めたと宏一は信じたい。

 

 宏一とてそれは同じことだ。

 先生を止めることは叶わなかった。そうでなくても、諸々の過去の過ちを今となってはどうしようも出来ない。

 

 だから宏一は前に進むことにした。先生と同じ過ちを犯さぬように。

 

「僕はそうはなりたくありません。ですから、過去のわだかまりは水に流すことにしました。過去の思い出は僕が前に進むためにある筈ですから」

 

「そうね。私もそう思うわ。すごく」

 

 過去は前に進むためにある。

 

 怜子は宏一のその言葉に、激しく同意するのであった。 

 

 

 

 

 

♪ ♬ ♪ ♬ ♪ ♬

 

 

 

 

 

 

 ミラクルランドのお城のようなホテル。

 そこのとある一室に招かれた怜子と宏一であったが、宏一は非常に困惑した様子で、部屋の雰囲気に似合わない現代的な椅子を見つめていた。

 

 洋風は洋風でも、バロック調の室内で、明らかに椅子だけが浮いている。

 

 とても見覚えのある椅子。

 

「……」

 

 椅子をずっと凝視するのも無理はない。どこかで見た気のする眼鏡男に、強引に案内された室内にある見覚えのある椅子。

 

 既視感しかないシチュエーションに、宏一はただただ困惑していた。

 

 椅子に座り足を組みながら絶賛リラックス中の怜子が、ふと宏一を仰ぎ見た。

 

「どうしたの、宏一?」

「いえ……何でもありません」

 

 と、しか宏一には答えようのない。

 すると台車を推しながら、怪しげな眼鏡秘書が室内に戻って来た。いまだ立ったままの宏一を視界に収めると、自称秘書は再度宏一に席に着くよう促す。

 

「冬森さんも、椅子に座ってください。依頼人から話がありますので」

 

 何が何でも宏一を椅子に座らせたいらしい。

 フッと鼻で笑うと宏一は、投げやりに座り手すりに手を置く。

 

 そして案の定渡された腕時計型のウェアラブル端末を、なるようになれ精神で腕に巻いたところで依頼人の話が始まった。

 リモコン一つで閉まるカーテン。

 

 テレビが付き、複数のモニターを背に椅子に腰掛ける男性が映る。顔は逆光で良く見えない。

 

『唐突に女性を招く無礼をお許しください。世界的音楽家秋庭怜子さん。貴方の探偵としてのご活躍は度々ニュースで拝聴していました、貴方もまた素晴らしい探偵です』

 

『そして……あらゆる指紋データベースに登録がない正体不明の誰かさん』

 

「彼は――ッ!」

 

 余計なことを言おうとした秘書に拳銃を向け、宏一は秘書の口を防ぐ。

 

 怜子がどういうことなの? と言いたげな顔で宏一を見るので、宏一はゆるゆると力なく首を横に振った。

 




宏一の内心「嘘やん。待って待って、レクレイムってフルスコアの過去作やろ? えぇぇぇぇ……」


いつから劇場版を放映通りにやると錯覚していた?



※宏一が本誌及び映画に登場する世界線の鎮魂歌のリメイク版という設定です。TVスペシャルで、◯曜ロードショーでノーカット版放送される的な? 小さくなった名探偵と同じ扱いだとお思いください
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