ちいさい選ばれし者と聖火守指長たち   作:匕囗

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ロンドもサザントスも任務で不在のところ、ちょうどフレイムグレースを訪れていたブリジットがミトスの相手をしてくれることに。
いっしょに雪だるまを作ったりして外で遊んだあと、ブリジットは冷えた体を温めるためにホットミルクを作ったようです。


まくま:りじーとおるすばん

「………。」

「ふああ…あったまる……、ホットミルクおいしいですねミトスさん」

「ん!」

 唇の上にミルクのヒゲを作りながら、ミトスはどこか誇らしげにカップを持ち上げました。

「あ、もう飲んじゃったんですね。火傷してませんか?」

「ないー」

「よーし、じゃあそのおヒゲ拭いちゃいましょう。じっとしててくださいね」

「んむゅ」

 ブリジットが口の周りを優しく拭ってくれますが、その感触がくすぐったいミトスは足をぱたぱた動かして、笑い出しそうになるのを我慢しています。

「ぷは! くしゅぐったゃかったー」

「でも我慢してくれたんですね、ありがとうございます。それに汚さずに飲めてえらいです! 私が今のミトスさんくらい小さかった時はもっとどんくさくて、口の周りをべたべたにしちゃったり、コップを傾けすぎて零しちゃったり…」

「? ちーさいりじー?」

「ふふ、私にも小さい時があったんですよ?」

「ちーさいりじーも、みぅく、しゅきらったの?」

「もちろんです! ハチミツ入りのミルクなんてもう、あったかいし甘いし、大好きでした! あっ、今も好きです…!」

「はちみちゅしゅき!」

「はい、同じです! それで……ハチミツ入りのホットミルクが嬉しすぎて、勢い余ってひっくり返しちゃったことがあって……」

「………ぅ」

 自分のことに置き換えたのか、それとも当時のブリジットの悲しみに共感したのか、ミトスの顔がみるみる曇っていきます。今にも降り出しそうです。

「わああ!? だ、大丈夫です! 昔の話なので今はもう、ぜんっぜん悲しくないですよ!?」

「ぅ…?」

「ほんとです! 大丈夫です!」

 本当かと言いたげな涙目に、ブリジットはぶんぶんと勢いよく頷きました。

「そ、そうだ! 午後は何しましょうか!? また雪だるま作ります?」

「んーん、みぅくちゅくりゅ」

 目元を袖で拭きながらミトスが答えますが、ブリジットは不思議そうに首を傾けます。だって、今しがた飲んだばかりなのです。

「ミルク、飲みたいなら作ってきますよ?」

「ちあうの、しゃじゃと、ろんろの、ちゅくゆの」

「ああ、お二人の…! でもお二方、帰って来るのはまだ……」

 サザントスとロンドが任務に向かってから今日で二日、戻って来る予定の日はまだもうちょっと先です。

 それでもミトスは、寒い寒いお外から、今にも二人が帰って来るんじゃないかと待っています。

 きらきら綺麗な聖火が大好きで、眺めていれば時間なんてあっという間に過ぎていくから、一人で過ごすのはつらくありません。みんな話しかけてきてくれるし、ブリジットみたいに一緒に遊んでくれる人もいます。一人で眠るのだって、お人形さんがいるから寂しくありません。

 なのにミトスは二人に会いたくて仕方ありません。俯いた口からは、二人の名前が勝手に零れ落ちていきます。

「ミトスさん…」

「……しゃじゃ、ろんろ…」

「……あの、ミトスさん。ミルクだとお二人が帰る前に冷めてしまいますから、クッキーにしませんか?」

「くっきー?」

「はい、クルミのクッキーです。ミトスさんには、たくさんのクルミの中からおいしそうなのを選んでほしいんです。それでいっぱいクッキーを作って、お二人が帰って来たらお茶会しましょう」

「……! しゅゆ! くっきーちゅくりゅ!」

「よーし、お二人がびっくりするくらいいっぱい作りましょうね!」

「う!」

 がんばるぞーと拳を振り上げる二人の顔は、やる気に満ちて輝いています。

 その結果ちょっと作りすぎてしまい、「きょぉこーしゃまにわけてくりゅ!」とミトスが全速力で走り出し、ブリジットが泡を食いながら後を追う事態に発展するのですが、それはまたいつかお話ししましょう。




Fedibirdで投げた単純な会話文にト書きを追加したり調整したりしたものです。
自サイトの方で後日原文込みの公開も予定。
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