不動遊星の初体験を奪いたい   作:うおのめちゃん

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41話 生きるということ

「ん……」

 

 最初に感じたのは、身体の重さだった。

 まぶたを開く。

 ぼんやりとした視界の向こうに広がっていたのは、見慣れない白い天井だった。

 視線を少し動かせば、白いカーテン。規則正しく並ぶ照明。どこか遠くから聞こえてくる、機械の電子音。

 そして、鼻をくすぐる清潔な匂い。――病院。

 そう理解するまでに、少し時間がかかった。

 

「……ここ、は……?」

 

 声に出してみる。自分の声なのに、ひどく掠れていた。

 右腕に違和感がある。見れば、手の甲から伸びた透明な管が、点滴の袋へと繋がっている。

 そこでようやく、身体のあちこちに残る鈍い痛みに気づいた。

 上半身を起こそうと、ベッドに手をつく。

 

「つっ……!」

 

 鋭い痛みが走り、思わず顔をしかめる。

 その痛みが、途切れていた記憶を引きずり出した。

 落下する身体。デルタイーグル。ブルーノ。

 そして――海。

 

「……そうだ。僕……」

 

 そこまで呟いたところで、綴はふと気づいた。

 自分のいる病室に、もう一つの呼吸音がある。

 規則正しく、静かな寝息。綴はゆっくりと首を横へ向けた。

 

「……え?」

 

 そこにいたのは、ブルーノだった。

 ベッドの脇で椅子に座ったまま眠っている。

 いや――よく見れば、その頭は綴の膝元に乗っていた。

 

「……ブルーノ?」

 

 呼びかけても、返事はない。

 どうやら、よほど疲れていたらしい。

 その寝顔を見つめながら、綴はしばらく何も言えなかった。

 ――生きている。

 自分も。そして、ブルーノも。

 その事実を確かめるように、綴は小さく息を吐いた。

 けれど、安堵した途端に新たな疑問が浮かんでくる。

 自分たちは、どうして病院にいるのだろう。

 海に落ちた。そこまでは覚えている。

 だが、その後の記憶がない。綴はベッド脇へ視線を向けた。

 小さなテーブルの上に、ナースコールのボタンが置かれている。

 

「……これ、押していいのかな」

 

 少し迷った末、綴は左手を伸ばした。

 指先でボタンを押す。

 ほどなくして、廊下から足音が近づいてきた。

 そして、二回のノック。

 

「失礼します」

 

 扉が開き、白衣を着た医師が病室へ入ってくる。

 

「お目覚めになりましたか」

「あの……ここは?」

 

 綴は身体を起こそうとする。

 

「無理に動かないでください」

 

 医師がすぐに制した。

 

「かなり強い衝撃を受けています。まだ身体は回復途中ですよ」

「……僕たちは、どうしてここに?」

 

 その問いに、医師は一瞬だけ言葉を選ぶように黙った。

 

「海上で発見されたんです。あなたと、そちらの男性を」

「海上……」

 

 綴の脳裏に、あの時の光景が蘇る。

 落下するデルタイーグル。迫り来る海面。そして――白い飛沫。

 

「……そうだったんだ」

 

 自分が生きていることが、急に現実味を帯びてくる。

 そのときだった。

 

「……ん……」

 

 膝元から、小さな声がした。

 

「……あれ?」

 

 ブルーノがゆっくりと顔を上げる。

 まだ眠気の残った目で周囲を見回し、やがて綴と目が合った。

 

「……綴?」

「ブルーノ……!」

 

 ブルーノはしばらく呆然としていたが、綴の姿を確認すると、ほっとしたように笑った。

 

「よかった……目を覚ましたんだね」

「それはこっちの台詞よ。ずっと僕の膝を枕にして寝てたでしょう」

「えっ?」

 

 自分の置かれている状況に気づいたブルーノが、慌てて身体を起こす。

 その様子を見て、綴は思わず小さく笑った。

 

「さて、失礼しますよ」

 

 医師がベッドの脇まで歩み寄る。

 綴はその姿を見上げながら、頭の中に浮かんだ疑問を一つずつ整理していった。

 アーククレイドルの落下。海への墜落。そして、目を覚ましたこの病院。

 分からないことが多すぎる。

 

「お医者様、質問しても?」

「どうぞ、遠慮なく」

 

 医師が穏やかに頷く。

 綴は一度だけ息を整え、最も気になっていたことを口にした。

 

「アーククレイドル降下の影響で、ネオドミノシティのモーメントは使えなくなっていたはずですよね。けど、この病院は正常に機能している……ここはどこの病院で、誰が僕達を発見して、僕は何日くらい寝ていたのか教えてくださる?」

 

 矢継ぎ早の質問にも、医師は慌てることなく答えた。

 

「ここはシティの郊外の病院です。海上に浮かんでいた貴方達を治安維持局の方が見つけて救助し、モーメントを使わない特殊車両でここまで搬送しました」

「治安維持局……」

 

 綴は小さく呟いた。

 どうやら、アーククレイドルの影響が及んでいない地域では、最低限のインフラが維持されているらしい。

 それなら、この病院が機能していることにも納得がいく。

 

「湯上さんは三日程眠っていましたね」

「三日……」

 

 思った以上の時間が過ぎていた。

 綴が驚きを隠せずにいると、医師は続ける。

 

「骨折21箇所。全治3ヶ月で、1ヶ月間は絶対安静です」

「……21箇所」

 

 改めて自分の身体を意識すると、包帯や固定具の存在が急に重く感じられた。

 あれだけの高さから海へ落ちたのだ。

 むしろ、生きていること自体が奇跡なのかもしれない。

 

「なるほど……」

 

 綴は一度頷き、それから隣にいるブルーノへ視線を向けた。

 

「ブルーノはどうして無事なの?」

「それが不思議でしてね……」

 

 医師もブルーノへ目を向ける。

 

「レントゲンを撮っても骨折している箇所が見当たらないんですよ。彼の話によれば、お二方は高所から落ちたというのに」

「え?」

 

 ブルーノが気まずそうに笑う。

 綴も思わず彼の身体を見た。

 確かに、ブルーノには目立った怪我がない。

 あれほどの落下だったというのに。

 

「あはは、ボク、頑丈だから……」

 

 いつもの調子で誤魔化すブルーノ。

 医師は釈然としない様子ながらも、それ以上は追及しなかった。

 綴も何も言わない。―言えるはずがない。

 本当のことを話せば、ブルーノが人間を模して造られたロボットであることが知られてしまう。

 幸い、外見上はどこにも機械だと分かる破損はないらしい。

 それだけでも、不幸中の幸いだった。

 綴はブルーノを見つめる。

 彼は笑っている。けれど、その笑顔の奥にあるものを――綴だけは知っていた。

そんな綴の視線に気づいたのか、ブルーノが小さく首を傾げる。

 

「……どうしたの?」

「ううん。なんでもないわ」

 

 二人のやり取りを見ていた医師が、穏やかに微笑んだ。

 

「では、今日はここまでにしましょう。湯上さん、まだ身体を起こすのは控えてください。痛みが強くなったり、気分が悪くなったりしたら、すぐにナースコールを」

「はい。ありがとうございます」

 

 医師は点滴の状態を確認し、カルテへいくつか記入する。

 

「それでは、私はこれで失礼します。何かあれば遠慮なく呼んでください」

「わかりました」

 

 医師が一礼し、病室の扉へ向かう。扉が開き、廊下の明るい光が差し込む。

 そして――扉が静かに閉じられた。

 病室に、二人だけの静けさが戻ってくる。

 先ほどまで聞こえていた廊下の足音も、次第に遠ざかっていった。

 綴は天井を見上げる。白い天井。点滴の雫が落ちる、規則正しい音。

 その静寂が、かえって現実を意識させた。

 自分たちは生き残った。

 けれど――

 

「……ブルーノ」

「うん?」

 

 綴はゆっくりと彼へ視線を向ける。

 

「聞きたいことがあるの」

 

 ブルーノの表情から、ほんの少しだけ笑みが消えた。

 

「……ボクも、綴に話したいことがあるよ」

 

 二人の視線が重なる。

 海へ落ちる直前から途切れていた時間。

 そして、まだ誰にも語っていない秘密。

 静かな病室の中で――二人の会話が始まった。

 

「まず……アスピッピはどうなったの?」

 

 綴が最初に尋ねたのは、あの落下の直前まで自分たちを支えていた存在のことだった。

 

「力を使い果たしたと言っていたけれど……。まさか、消滅したりしていないわよね?」

「ああ、それなら心配しなくていいよ。ほら」

 

 ブルーノはそう言うと、傍らに置いていたバッグへ手を伸ばした。

 取り出したのは、綴のデッキケース。

 中からデッキを取り出し、その一枚を抜き取る。《地縛神 Aslla piscu》。

 ブルーノはそのカードを、病室に備え付けられた机の上へそっと置いた。

 

「アスピッピ。綴が起きたよ」

『……意識が戻ってなによりだ』

 

 カードのイラストが、淡く揺らめいた。

 次の瞬間。そこから黒い影がふわりと抜け出す。

 現れたのは、掌に収まるほど小さくなった黒いハチドリだった。

 ぱた、ぱた、と小さな翼を羽搏かせながら、綴の前を飛ぶ。

 

「アスピッピ!」

 

 綴の顔に、安堵の笑みが浮かんだ。

 

「良かった……!」

 

 アスピッピは綴の左手へ降り立つ。

 すると綴は、待っていたとばかりにその小さな身体を指先で撫で回した。

 

「本当に良かった……!」

『ええい、そう感激するな!』

 

 アスピッピが翼をばたつかせる。

 

『我の力不足で貴様はその怪我を負ったのだぞ。恨み言の一つでも言わんか!』

「いいえ」

 

 綴は首を横に振った。

 

「貴方がいてくれたから助けられた場面は、何度となくあったわ。僕達が今生きていることもそう。本当にありがとう!」

『……』

 

 アスピッピは一瞬、言葉を失ったように黙り込む。

 やがて、そっぽを向くように顔を背けた。

 

『どういたしまして、と言っておこう』

「ふふっ」

『だが、今の我の力はわずかに回復した程度だ』

 

 そう言って、小さな翼を胸を張るように広げる。

 

『みかんかコロッケを疾く捧げよ!』

「人の負の感情じゃなくて、ごはんがいいんだね」

 

 ブルーノは思わず笑った。

 

「すっかりかわいくなっちゃって」

『かわいくなどない!かわいくなどないぞ!マイナスのエネルギーを取り込むことは、あの忌々しい赤き竜に禁じられているからでしかないのだ!』

「はいはい」

『そのような目で見るな!』

 

 綴の指先から逃れるように、アスピッピが宙へ浮かぶ。

 だが、その声には以前ほどの力はなかった。

 それでも、綴が無事に目を覚ましたことを確かめると、どこか安心したように小さく息を吐く。

 

『……もういいだろう』

 

 アスピッピは二人を交互に見た。

 

『二人きりで話したいこともあろう。我は再び眠る』

「あ……」

 

 綴が呼び止めるより早く、アスピッピはカードへ向かって飛んでいく。

 最後にほんの少しだけ振り返り――

 

『……無茶はするなよ、綴』

 

 それだけを残して、黒いハチドリはイラストの中へと潜り込んだ。

 カードは、何事もなかったかのように静かになった。

 

「……ありがとう、アスピッピ」

 

 綴が小さく呟く。

 そして病室には、再び二人だけの静寂が戻ってきた。

 ブルーノが、静かに綴を見る。

 綴もまた、彼へ視線を向ける。

 ――今度こそ。

 二人だけで話す時間が始まろうとしていた。

 

「それじゃあ、次の質問よ」

 

 綴は天井を見つめたまま、静かに息を吐いた。

 まだ身体を動かすたびに痛みが走る。

 けれど、それ以上に気になっていることがあった。

 

「アーククレイドルは、どうなったの?」

 

 ブルーノは少しだけ目を伏せ、それから端末を手に取った。

 

「消滅したよ。ほら……」

 

 身体を起こせない綴の目の前へ、端末の画面を向ける。

 そこに映し出されたのは、ネオドミノシティの上空だった。

 そこに、アーククレイドルの姿はない。

 ただ、どこまでも広がる青い空だけが映っている。

 

「……それなら」

 

 綴の胸に、ほんの少しだけ安堵が灯った。

 

「遊星が勝ったのね……」

「うん」

 

 ブルーノは頷いた。

 

「僕は病院の人伝に聞いたけど、間違いないよ」

 

 そして、少しだけ言葉を詰まらせる。

 

「Z-ONEは……アーククレイドルを消滅させるために……」

「残っていた命を使い果たした。そうね?」

「ああ」

 

 ブルーノは短く答えた。

 その声には、喜びだけではない何かが混じっていた。

 

「それとね……」

 

 ブルーノは自分の胸元へ手を当てる。

 

「僕の身体のメモリ部分に、最期のメッセージが届いている」

「最期の……?」

 

 綴が顔を向ける。

 ブルーノは少し迷ったあと、その言葉を伝えた。

 

「『私は不動遊星に希望を見ました。アンチノミー、貴方の役割は終わりです。好きに生きなさい。それと、湯上綴について、ですが……人の可能性という点では評価しますが、希望というには自爆は無謀すぎる試みです。希望を語るなら、自分の身を顧みることですね』……って」

「……」

 

 綴は言葉を失った。

 

「最期に僕へのメッセージまで?自分の命が尽きるって時に……」

 

 Z-ONEは最後まで、綴の行動を「希望」と認めなかった。

 それでも――その言葉の中には、確かに綴を見ていた者にしか語れないものがあった。

 

「希望じゃないって否定していたけれど……感じるものはあったんだと思うよ」

 

 端末の画面には、変わらない青空が映っている。

 もう、そこにアーククレイドルはない。Z-ONEも、いない。

 

「彼の最期を看取ることが出来なかったのは残念だけど……」

 

 ブルーノは画面から目を離し、遠くを見るように呟いた。

 

「最後に希望を抱けて逝けたなら、よかった……」

 

 一筋の涙が、ブルーノの頬を伝った。

 それは、綴が知るブルーノの涙とは少し違っていた。

 友として。同志として。そして――アンチノミーとして。

 長い時間を共に歩み、同じ未来を見つめてきた男の最期を知ったことで、胸の奥に押し込めていた感情が、静かに溢れ出していた。

 ブルーノは涙を拭おうとはしなかった。

 ただ、消えたアーククレイドルのあった空を、静かに見つめ続けていた。

 

「……」

 

 綴は何も言わなかった――言えなかった。

 窓の外へ視線を向けたまま、静かに涙を流すブルーノ。

 その横顔を、綴はしばらく見つめていた。

 Z-ONEを失った悲しみ。長い年月を共に過ごした、アンチノミーとしての想い。

 今のブルーノに、軽々しく言葉をかけることはできなかった。

 やがて、ブルーノがゆっくりと振り返る。

 その表情には、先ほどまでの悲しみとは違う色があった。

 少しだけ厳しい。まっすぐに、綴を見つめている。

 

「ボクも聞きたいことがあるんだけど、いいかな?」

「な、なにかしら?」

 

 綴がわずかに身構える。

 ブルーノは一度息を吸うと、意を決したように口を開いた。

 

「どうしてZ-ONEとの闘いに《自爆スイッチ》を使ったんだい?」

「……」

「《ヒロイック・ギフト》でお膳立てまでして……」

 

 ブルーノの声が、少しずつ強くなる。

 

「テイルに『生きろ』って言われたのに。無茶が過ぎると、ボクも思っていたんだよ」

 

 その言葉に、綴は視線を逸らした。

 

「それは、ですね……」

 

 言い訳を考えるように、しばし沈黙する。

 

「Z-ONEほどのデュエリストなら、地縛神を使った戦術は突破してくると思って。奥の手として思いついたというか……」

「《自爆スイッチ》の枠に、他のカードの採用を検討できたはずだよね?」

「だって……」

 

 綴は少し頬を膨らませる。

 

「時械神相手に、まともな戦闘は通らないじゃない。それをすり抜けて効果ダメージを与えるにしたって、なんらかの方法で回復されたら僕のリソースがなくなって、負けが近づいちゃうわ……」

 

 そして、困ったように笑う。

 

「だったら、予想外の一手を入れた方がいいかなーって……」

「……自分にも大ダメージが及ぶ可能性は考えたかい?」

「えーっと……はい」

 

 綴は視線を泳がせた。

 

「けど、多分死にはしないから大丈夫だと思ってぇ……」

「よくないよ!」

 

 病室に、ブルーノの声が響いた。

 綴がびくりと肩を震わせる。

 

「大好きな人が死ぬかと思って、ボクがどれだけ肝を冷やしたと思う!」

 

 ブルーノは思わず身を乗り出していた。

 普段の穏やかな彼からは想像できないほど、真剣な表情。

 

「その骨折、一部は《自爆スイッチ》のせいだろう?」

「……」

 

 綴は、完全に固まった。聞き間違い――ではない。

 今、ブルーノは確かに、そう言った。

 

「……え?」

 

 頬が、じわりと熱くなる。

 

「……だ、大好き……?」

 

 口からこぼれた声が、自分でも分かるほど上ずった。

 ブルーノが目を瞬かせる。

 

「えっ?」

「……ねえ、今……『大好きな人』って言った?」

「…………」

 

 ブルーノの顔が、みるみる赤くなる。

 

「……あ」

 

 完全に失言だった。

 

「……いや、その……」

 

 さっきまであれほど強く叱っていたブルーノが、今度は露骨に狼狽している。

 

「ち、違うんだ。そういう意味じゃなくて……いや、そういう意味でもあるんだけど……!」

「ど、どういう意味よそれぇ……!」

 

 綴の顔がさらに赤くなる。

 思わず布団を胸元まで引き上げ、顔の半分を隠してしまう。

 

「そ、それじゃあ……その……」

 

 布団の陰から、上目遣いにブルーノを見る。

 

「僕のこと……大好き、なの?」

「………………」

「……答えて?」

 

 病室が、妙に静かだった。

 点滴の雫が落ちる音だけが、二人の間に響いている。

 そしてブルーノは、観念したように、視線を逸らした。

 

「……うん」

 

 ブルーノは、静かに頷いた。

 

「キミが、あの宇宙空間でボクが死ぬ未来を知っていて、それを回避するために奔走していたのは知っている。けれど、ボクが謎のD・ホイーラーとして活動していた時にも、キミは心強い存在で、一緒にいて嬉しい人だったんだ」

 

 ブルーノは、これまでの時間を一つずつ思い出すように言葉を紡いでいく。

 

「一人だったボクに対して、みかんを食べたり、デュエルしたり、猫のぬいぐるみをくれたり……」

 

 その口元に、懐かしそうな笑みが浮かんだ。

 

「その時間は、とても楽しかったよ。それに、キミが困難に立ち向かう姿を見て、ボクは希望を感じたんだ」

「お、オーケー」

 

 綴は頬を赤くしながら、妙に早口になった。

 

「遊星に対する親愛と同じくらいの『大好き』、ね?あなたがよく『大好きブルーノちゃん』とか、おふざけで言っているから、それで『大好き』なんて言葉が出たのね?」

 

 必死に理屈をつけようとする綴を見て、ブルーノは苦笑する。

 綴は答えるまでに、ほんの少しだけ時間を置いた。

 そして――

 

「半分は、そういう意味もあるけど――」

 

 そこで一度、言葉を切った。

 

「半分は違うよ」

「……え?」

「ボクの全てを知りながら、親身に接してくれたキミと……ずっと一緒にいたいと思ったんだ」

 

 綴の頬が、また少し熱くなる。

 

「そして、キミが今回のような無茶をしたせいで、ますます目を離したくなくなった。守りたいって思ったんだ」

「……」

「けど、キミは遊星のことを愛しているから、言葉にするのは控えようと思っていたのに……」

「遊星には、WRGPで負けた時にフラれちゃったから、それはいいのよ」

 

 綴は少しだけ苦笑した。

 

「アキさんには、チャンスがあれば掻っ攫うなんて言ったけど。あれは激励だったのだし……」

 

 そこまで言って、綴は一度言葉を止めた。

 そして――恐る恐るブルーノを見る。

 

「それで……」

 

 心臓が、妙に大きく鳴っている気がした。

 

「さっきの『大好き』は……僕と付き合いたいって意味で、いいのかしら?」

「……ああ」

 

 ブルーノの返事は、今度は迷わなかった。

 綴はしばらく黙り込む。頬は赤いまま。

 けれど、やがて何かを決意したように口を開いた。

 

「いい?」

「うん」

「まず、ボクは男の子よ」

「それは知ってるよ」

「そして……キス以上のことをするとなれば、かなり大胆なことをするわよ」

 

 綴は恥ずかしそうに視線を逸らしながらも、言葉だけははっきりと続ける。

 

「欲望や誘惑に囚われない心を持つことが大事なのは分かっている。けど、お互いを大切にして、幸せにするためなら……僕は、自分の気持ちを我慢するつもりもないわ」

 

 そして、もう一度ブルーノを見る。

 

「そんな僕でも、いいの?」

 

 ブルーノは少しも迷わなかった。

 

「そんなキミでも、ボクは愛せるって言えるよ」

「……」

 

 その言葉が、胸の奥へ静かに染み込んでいく。

 けれど、綴にはもう一つだけ確かめたいことがあった。

 

「……テイルを亡くして傷心中の僕に、同情しているとかはない?」

「ないとは言わないけど……」

 

 ブルーノは困ったように笑った。

 

「骨折していなければ、抱きしめて慈しみたいって気持ちは、同情とは違うんじゃないかな」

「……」

「ただ、テイルがいたらなんて言うだろう、とは思ったけど」

 

 その名前を聞いた瞬間、綴の表情が柔らかくなる。

 

「……馬鹿みたいに笑って、盛大に祝福してくれるわよ」

 

 目を閉じれば、あの明るい笑顔が浮かぶ。

 

「テイルは僕にとって、お兄さんみたいな存在だったし。僕が幸せなら、きっと喜んでくれるから」

 

 その言葉を聞いたブルーノは、少しだけ安心したように息を吐いた。

 

「今の言葉は……」

 

 ブルーノの声が、わずかに震える。

 

「ボクの『大好き』って気持ちを、受け入れてくれる……ってことでいいのかな?」

「……ええ。僕も、あなたが大好きよ。ブルーノ」

 

 その名前を、ゆっくりと口にする。

 

「穏やかで、真剣で、献身的で、優しいあなたを愛してる」

「……」

 

 今度はブルーノが言葉を失った。

 

「……それじゃあ」

 

 しばらくして、ようやく口を開く。

 

「ボク達、両想いってことになるのかな」

「……ええ、そうね」

 

 綴は小さく頷いた。

 途端に、今まで平気だったはずのことが急に恥ずかしくなってくる。

 

「……なんか、恥ずかしくなってきちゃった」

「ボクも……」

 

 二人とも、同時に視線を逸らした。

 病室には、気まずいような、くすぐったいような沈黙が落ちる。

 けれど、その沈黙は決して嫌なものではなかった。

 窓から差し込む光の中で、二人はようやく、自分たちの想いが同じ場所へ辿り着いたことを実感していた。

 ――だが。

 

「愛に現を抜かすか、アンチノミー。破滅の未来を避けられたとはいえ、浮かれすぎているのではないか?」

 

 突然、病室に第三者の声が響いた。

 

「あなたは……!」

「アポリア!生きていたんだね!」

 

 驚きに目を見開く綴と、思わず声を上げるブルーノ。

 二人の視線の先。

 そこには、見慣れた巨体が堂々と立っていた。

 

「アーククレイドルの消滅後、私は少年……龍亞と龍可の家で居候の身となった。あの二人の強い希望でな。そして不動遊星が空いている時間で私を修理したおかげで、空間転移も容易く行えるようになったというわけだ」

 

 淡々と語るアポリア。

 その姿を見つめながら、ブルーノはようやく状況を理解したように首を傾げた。

 

「どうしてこの場所がわかったんだい?」

「私がイリアステルの三皇帝として分割された時に、一時期治安維持局の長官を務めていたことを忘れたか?彼らの全ての動きなど手に取るようにわかる。お前達がこの病院に搬送されたこともな」

「……なるほど」

 

 ブルーノは納得したように頷く。

 しかし、綴の中には別の疑問が浮かんでいた。

 

「……待って」

 

 嫌な予感がした。先ほどまでの会話を思い返す。

 ブルーノの告白。自分の返事。

 そして――

 

「アポリア、あなたいつから僕達の会話を聞いてたの?」

 

 病室に、妙な沈黙が落ちた。

 アポリアは一切の動揺を見せることなく、答えた。

 

「『あなたが大好きよ、ブルーノ』、からだ。それがなんだ?」

「………………」

 

 綴の顔が、一瞬で赤く染まった。

 隣ではブルーノも固まっている。

 

「アポリア……」

 

 しばしの沈黙のあと、ブルーノが額に手を当てる。

 

「空気を読んで黙っていてくれたんだろうけど……人に聞かれているのは恥ずかしいよ……」

 

 その声には、安堵と照れが入り混じっていた。

 アポリアはそんな二人を交互に見つめる。

 

「……そうか」

 

 それだけ呟くと、何事もなかったかのように腕を組んだ。

 だが、その沈黙がかえって二人の羞恥心を刺激する。

 

「……もう、やだ……」

 

 綴は布団を少しだけ引き上げ、赤くなった顔を隠した。

 先ほどまで二人だけのものだったはずの想いは――いつの間にか、しっかり第三者の耳にも届いていた。

 

「羞恥が勝るか……愛する者を失う前は、私にもそんな甘い時間があったな」

 

 ふと、アポリアの声から力が抜けた。

 ほんの一瞬だけ。

 そこにあったのは、かつて愛する者―――エウレアと過ごした時間を思い出す、一人の人間のような表情だった。

 だが、それもすぐに消える。

 

「本題に入るぞ」

 

 その声音には、再び揺るぎない決意が宿っていた。

 

「私はこれまで、歴史改竄を行い、多くの犠牲を出してきた。この身の修理が完了した今、私は世界を廻る。贖いのため。そして、Z-ONEが託した未来のために――影から世界を守るつもりだ。今度は、人間を排除するのではない。人間を――生かす方法で」

 

 その言葉を聞き、綴は小さく息を吐いた。

 かつて世界を救うために、人類そのものを切り捨てようとした男。

 その男が今、自らの罪を背負いながら、正反対の道を歩もうとしている。

 

「……恋愛にかまけているんじゃなくて、ちゃんと世界のために動けってことだね」

「その通りだ。そして、湯上綴」

「……なに?」

 

 名を呼ばれ、綴は顔を上げた。

 アポリアの視線が、まっすぐに綴を射抜く。

 

「いずれ、お前は死ぬ」

 

 あまりにも率直な言葉だった。

 

「老衰ならばまだいい。だが、お前が無茶をして死んでしまえば――アンチノミーに後悔と絶望を残すことになる」

「…………」

「愛する者を失った絶望は、相当に堪えるぞ」

 

 その言葉には、経験した者にしか持てない重みがあった。

 愛してくれる者を失い、愛する者を失い。仲間を失った。

 そして、自らもまた世界の破滅へと身を投じた。

 だからこそ、アポリアは知っている。

 大切な者を失った後に残るものが、どれほど深い痛みになるのかを。

 

「ゆめ忘れるな。その身はもはや――一人だけのものではないということを」

「……わかったわ」

 

 綴は胸元に手を添えた。

 

「忠告、ありがとう」

「ふん。今後の身の振り方を考えておけ」

 

 アポリアは踵を返した。

 

「では、私は行く。治安維持局の牛尾哲には、湯上綴が目覚めたことを伝えておいた。近いうちに見舞いが来ることになるだろう」

「牛尾さんが……?」

「愛を睦み合っている最中に邪魔をされぬよう、精々気を付けることだ」

「「…………」」

 

 再び、病室に気まずい沈黙が落ちた。

 綴とブルーノの顔が、同時に赤くなる。

 

「さらばだ」

 

 そんな二人を意に介すことなく、アポリアの身体が淡い光に包まれた。

 次の瞬間。その巨体は、空間そのものに溶け込むようにして消えた。

 残された病室には、再び二人きりの静寂が戻ってくる。

 けれど今度の沈黙は、先ほどまでとは少し違っていた。

 綴は胸に手を当てる。――もう、自分一人の命ではない。

 その言葉が、いつまでも心の奥に残っていた。

 

「いろんな人に『生きろ』って言われちゃったわ。もう僕、無茶できないわね」

 

 アポリアが残していった言葉を思い返しながら、綴は苦笑した。

 

「そうだよ。まずは、その身体を治すところから始めないと」

 

 ブルーノはそう言って、綴の包帯の巻かれた身体へ目を向ける。

 

「ボクも最後まで付き合うからさ。一緒に生きよう」

「……うん」

 

 綴は小さく頷いた。

 その言葉を交わしたあと、二人はしばらく何も言わなかった。

 窓から差し込む光を眺めながら、ただ隣にいる。

 それだけで、不思議と心が満たされていた。

 ――それから、二時間ほど経った頃。

 病室の扉が二度、控えめに叩かれた。

 

「どうぞ」

 

 綴が返事をすると、扉が開く。

 

「よう、失礼するぜ?思ったより元気そうだな」

 

 入ってきたのは牛尾だった。

 

「牛尾さん!」

 

 続いて姿を見せた人物を見て、綴は目を丸くする。

 

「生きていてよかった、綴!ブルーノ!」

「遊星、それに……アリア?」

 

 二人の姿に驚く綴。

 ブルーノもまた、意外そうに三人を見回した。

 

「まさか、こんなに来てくれるとは思わなかったよ」

「一安心、と言ったところかな」

 

 アリアが微笑みながら、手にしていた袋を掲げる。

 

「お見舞いにみかんとアイスを買ってきたよ。好きな時に食べるといい」

「ありがとう、アリア。みかんはともかく、アイスまであるのね」

「病院で食べるアイスも、たまにはいいだろう?」

「ふふ、そうね」

 

 思いがけない見舞いの品に、綴の表情が少し和らぐ。

 しかし、そこで一つの疑問が浮かんだ。

 

「でも……牛尾さんはともかく、遊星とアリアまで来るとは思わなかったわ」

「ボクも同じだよ。来てくれたのは嬉しいけど……何か理由があるのかな?」

 

 綴とブルーノに見つめられ、三人は顔を見合わせた。

 やがて遊星が、静かに口を開く。

 

「俺から話そう」

 

 そう言って、一歩前へ出る。

 

「俺はチーム5D'sの代表として来たんだ。みんなで来たら流石に迷惑だろう、とクロウが言ってな。一番仲のいい俺が適任だ、とアキにも勧められたんだ」

「そうだったのね」

 

 綴は遊星を見つめる。

 以前なら、その顔を見るだけで胸がざわついていたかもしれない。

 けれど今は、隣にいるブルーノの存在が自然と意識に入ってくる。

 遊星もそんな綴の表情を見て、何かを察したように、それ以上は語らなかった。

 そして今度は、アリアが口を開く。

 

「私は……けじめをつけに来たんだ」

「けじめ……?」

 

 綴が聞き返す。

 アリアは一度だけ目を伏せ、それから真っ直ぐに綴を見た。

 

「綴、君を裏切ってZ-ONEの側についたこと。そして、『不動遊星』とその仲間が死ぬという予言を覆せなかったことにね」

「アリア……」

 

 綴の表情から、先ほどまでの柔らかな笑みが消える。

 アリアがどんな思いでここへ来たのか。

 その言葉だけで十分に伝わった。

 そんな二人のやり取りを見届けてから、牛尾がゆっくりと口を開いた。

 

「……で、俺は別の理由だ」

「別の理由?」

「ああ」

 

 牛尾は少しだけ視線を落とした。

 

「俺は、テイルとの約束を果たしに来た」

 

 その名前が出た瞬間、綴の胸がわずかに締めつけられる。

 

「『おれがいなくなったら、綴のことを一市民として守ってやれ』ってな」

「…………」

 

 綴は何も言えなかった。

 テイルが最後に残した約束。

 それを今、牛尾が自分のところまで届けに来てくれた。

 牛尾は照れ隠しのように鼻を鳴らす。

 

「だから来た。約束を破るわけにはいかねぇからな」

 

 短い言葉だった。

 けれど、その言葉の奥にあるものを、綴には痛いほど感じ取ることができた。

 

「……ありがとう、牛尾さん」

 

 綴は静かに微笑んだ。

 

「テイルも、きっと喜んでるわ」

「ああ。俺もそう思ってる」

 

 牛尾が短く頷く。

 しばらくの間、誰も口を開かなかった。

 テイルの名前が出たことで、病室に少しだけ寂しさが残る。

 それを察したのか、アリアが持ってきた袋をベッド脇の机へ置いた。

 

「……そうだ。せっかく買ってきたんだから、みかんを食べようか」

「うん。ちょうど食べたかったの」

「じゃあ、剥かせてもらうよ」

「ありがとう、アリア」

 

 アリアがみかんの皮を剥き始める。

 その様子を眺めながら、綴がふと尋ねた。

 

「そういえば……みんな、これからどうするの?」

「これから?」

「アーククレイドルも消えて、Z-ONEもいなくなって……未来は変わったんでしょう?」

「ああ」

  

 遊星が頷く。

 

「少なくとも、俺たちが知っていた未来とは違うものになった」

「じゃあ、これから先のことは誰にもわからない?……僕はあなた達の将来も観測してるけど、必ずしもそうはならないのよね?」

「そういうことになるな」

「……なんだか、変な感じね」

 

 綴は窓の外へ目を向けた。

 

「ずっと未来を変えるために戦ってきたのに、いざ変わってみると、その先に何があるのかわからないなんて」

「でも、それでいいんじゃないかな」

 

 ブルーノが穏やかに言った。

 

「未来が決まっていないからこそ、自分たちで選べるんだと思う」

「……そっか」

 

 綴は小さく笑った。

 

「それなら、僕もこれからどうするか考えないとね」

「まずは怪我を治すことだ」

 

 遊星が即座に言った。

 

「うっ……」

「それは本当にそうだな」

 

 牛尾も頷く。

 

「お前、今までどれだけ無茶したと思ってんだ。これからの人生を考える前に、まず三ヶ月は大人しくしてろ」

「三ヶ月……」

 

 綴が露骨に嫌そうな顔をする。

 

「長いわね……」

「当たり前だ。21ヶ所も骨折してんだぞ」

「でも、僕は元気よ?」

「元気な奴は病院のベッドに縛り付けられてねぇよ」

「縛られてはいないわよ」

「そういう問題じゃねぇ!」

 

 牛尾のツッコミに、アリアが思わず吹き出した。

 遊星もわずかに口元を緩める。

 綴は少しむくれながら、隣のブルーノを見る。

 

「……ブルーノも、そう思う?」

「うん」

「即答!?」

「だって、本当に心配なんだ」

 

 ブルーノは苦笑する。

 

「今回だって、ボクがどれだけ怖かったか……」

「……ごめん」

 

 綴が素直に謝ると、ブルーノは少し驚いた顔をした。

 

「珍しいね。綴がそんなに素直に謝るなんて」

「僕だって反省くらいするわよ」

「それなら安心した」

 

 ブルーノが笑う。

 そのやり取りを見ていた遊星が、ふと口を開いた。

 

「……二人とも、仲がいいな」

「え?」

 

 綴が振り返る。

 

「まあ……色々あったからね」

 

 ブルーノが少し照れながら答える。

 

「色々、ねぇ」

 

 牛尾が意味ありげに二人を見た。

 

「……なにかしら?」

「いや、別に」

「絶対何か言いたそうだね」

「言ってねぇよ」

「顔に出てるわよ、牛尾さん」

 

 綴が笑う。

 そんな二人の様子を見て、アリアも穏やかに微笑んだ。

 

「……でも、本当に良かった」

「何が?」

「こうして二人とも生きていてくれたこと」

 

 その言葉に、綴とブルーノは顔を見合わせる。

 

「……うん」

「ボクもそう思うよ」

 

 短い返事だった。

 けれど、それだけで十分だった。

 アリアは剥き終えたみかんを綴へ差し出す。

 

「はい。どうぞ」

「ありがとう」

 

 綴が一房受け取る。

 口に入れると、爽やかな甘さが広がった。

 

「……おいしい」

「それならよかった」

「ブルーノも食べる?」

「うん」

 

 綴が一房つまみ、ブルーノへ差し出す。

 

「はい」

「……え?」

「食べないの?」

「いや、その……」

 

 ブルーノの顔が少し赤くなる。

 牛尾が横から呆れた声を出した。

 

「お前ら、俺たちがいるの忘れてねぇか?」

「……あっ」

「……ごめんなさい」

 

 綴とブルーノが同時に気まずそうに視線を逸らす。

 アリアはくすくすと笑った。

 

「ふふ……まあ、いいんじゃないかな」

「何がだよ」

「二人が幸せそうなら、それで」

 

 その言葉に、綴は少しだけ照れながら笑った。

 

「……うん」

 

 病室の窓から差し込む光は、いつの間にか少し高くなっていた。

 戦いは終わった。

 失ったものは、決して戻らない。

 それでも今、こうして仲間たちと笑っていられる。

 そして、その隣には――一緒に生きると約束した人がいる。

 綴はもう一度、みかんを口に運んだ。

 今度こそ、自分の未来を自分で選ぶために。




というわけでアーククレイドル編終了です。
今まで読んでいただいた読者の皆様に感謝を。

しかしおかしいな。遊星√を進もうとしていたはずが、ブルーノ√でノーマルENDを迎えてしまいました。キャラクターが作者の想像を超えて動いてしまったいい例です。
タイトルを使って一捻り入れたかったのですが、そこは作者の力量不足ですね。

それでは、次回があればまた読んでいただければ幸いです。お疲れさまでした。
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