【カオ転三次】幼女ネキの謎を解明するため、黒札調査隊は宮城県の奥地〇〇町出張所へと向かった――。   作:貧弱一般メガテンプレイヤー

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 また他所の話を見てネタ思い付いた話になります。
 そんなんばっかですが、元々全然シリアスじゃない連中をカオ転世界や三次勢に突撃させてみたいから始まった作品なのでそういうモノとご了承頂ければ幸いです。
 あと今回少しバカ共の出番とバカは少なめです。

 何時も通り作中の設定・時系列等は外伝・アンソロジー時空という事でお願い致します。


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 黒札内でツーリングがブームになり、結果黒札とお近づきになる為にと金札・銀札等にもバイクが流行りつつあるガイア連合山梨支部。

 そんな支部の居住区の一角のドクターネキ宅。

 

「ドーモ。ドクターネキ=サン。サスケニキです」

「邪魔するぜぇ~」

「邪魔すんなら帰ってー」

 

「「「だが断る」」」

 

 そうアホなネタを三人でかましつつ勝手知ったるとばかりにのこのことドクターネキ宅に上がり込んでいく三馬鹿ラス。

 そんな何時も通りといった様子だが、今日は違った。

 ティガゴドスを筆頭にゾイド達がわらわらと集まり、バカ共の背をぐいぐいと押してドクターネキの部屋へと誘導する。

 

「おいおい、今日は随分と盛大な歓迎だな。実際スゴい」

「なんだー? 一体全体どーしたってんだよ?」

「何らかのトラブルですか? それにしては静かですが」

 

 戸惑いながらも大人しくドクターネキの部屋へ向かう三人。

 そして到着した其処には――

 

 

 「……いらっしゃい」

 

 

 ――部屋一面にむっすぅぅぅぅううう!というオノマトペが見えそうな程に不機嫌で頬を膨らませたドクターネキが居た。

 

「「「……お、お邪魔してます……お、お邪魔しました……」」」

 

 その様子に引き攣った顔と声でそれでもアイサツする三馬鹿ラス。アイサツは大事。

 思わず帰ろうと振り向いた先には誰も居らずバタン、とドアを閉める音のみが残った。

 

 

(((ハメられたー!!!)))

 

 

 内心で絶叫を上げつつ視線を戻すと、ドクターネキが愛用のパソコンチェアに座ってPCで何やら作業をしている――しかしその纏うオーラは全力で不機嫌を主張しており顔は膨れっ面のままだ。

 全力で怒った姿は以前の件*1で見たが、ここまで不機嫌な姿はそれなりに長い付き合いの三馬鹿ラスも初めてである。

 

 当然、三馬鹿ラスに心当たり等――

 

 

「……これってあの件がバレたのか?」

「……やっぱそうオメーもそう思うか?」

「……他に一体何があると言うんです」

 

 

 ――しっかり、ばっちりあったのである。

 

 

 

◇ 

 

 

 

 ある日の午後、並んで歩く二体のゾイド、バリゲーターとヘルキャット。

 この二体のゾイド、かなり仲が悪い――とある事情から取っ組み合いのケンカの演技をした際*2に、誰も全く違和感を感じないぐらいには。 

 どんな事でも命令や仕事なら全力で取り組む生真面目なバリゲーター。

 仕事や命じられた事はちゃんとやるが断じて勤勉ではないヘルキャット。

 

 バリゲーターからすると主の為に全力を尽くさないヘルキャットの不真面目さは看過出来ず、ヘルキャットからするとやる事やってるのに色々口出ししてくるバリゲーターは口煩い面倒な奴。

 

 そんな仲の悪いこの二体が態々並んでいるのも、水中シキガミの集いと散歩の帰りに偶々出会い、自分の方から道を変えるのはこちらが譲った様で気に入らないという意地の張り合いである。

 互いに絶対視線を合わさない様に顔を背けたままで家への道を歩く二体のゾイド。

 そんな中帰り道途中の公園にて何やら話している三馬鹿ラスの姿を見つける二体。

 

「実はバリゲーターの新キットの箱裏写真見て、気付いた事がある」

「んーと、バリゲーターが川に引きずりこもうとしてるんだっけ?」

「ええ、ヘルキャットを。バリゲーターの数少ない金星シーンですね」

 

 少しだけ得意気なアトモスフィアでちらり、とヘルキャットを見やるバリゲーター。

 やんのかコラ、此処には川はないぞと睨みつけるヘルキャット。

 そんな二体に気付かずサスケニキが『ある気付き』の説明を始める。

 

 

 

「これさ――――川というか布団に引きずり込もうとしてるみたいな感じじゃね?」

 

 

「あー……『よいではないか、よいではないか』『あーれー』みてーな?」

「そういえば『hellcat』って英語だと阿婆擦れとか性悪女って意味でしたっけ」

 

 新たな知見に驚く二人に、頷いたサスケニキが更なる見解を投下。

 

「更にソースは見つかんなかったけど、アリゲーターって性的に強引な男って意味があるとか」

「うわぁ……もうそういうシーンにしか見えなくなったぞおい。あれ? でもゾイドって女性格なんじゃ」

 

「一体何の問題が? それがいいんだよ! 全部女性格というそのシチュが『いい』んじゃあないかッ!」

 

 そんなアホな議論で盛り上がるバカ共を見て、ヘルキャットとバリゲーターは互いにしっかりと視線を合わせ、無言のままにやり取りを行う。

 

 

 

 ――――ついて来れる?

 

 ――――ついて来れる、じゃない。貴女の方こそ、ついて来い!

 

 

 

 この後の二体にゾイドによる制裁(ツッコミ)は、二体の仲が悪い等誰も信じないであろう程の、見事な連携攻撃であったとか。

 

 

 

◇ 

 

 

 

 とまあ、そんな思い当たる節がめっちゃあったバカ共は、即行動へと移る。

 

 

 

「「「――――バリゲーターとヘルキャットにセクハラ(?)と名誉棄損してすいませんでしたぁ!!」」」

 

 

 

 跳躍し、一糸乱れぬ動作のジャンピング土下座をキメる三馬鹿ラス。

 ある程度の事ならついうっかり許してしまいそうな程、美しい土下座を見せられたドクターネキは――

 

 

「……何の事?」

 

 

 ――思いっきり戸惑った顔になった。

 

 

 

(((――――しまったぁぁああああ!!!)))

 

 

 

 三馬鹿ラス、痛恨の大自爆(メガンテ)である。

 制御棒全抜きからのメルトダウン、ミュータントクロウズ誕生だ。

 後悔は先に立たず、吐いた唾は飲めず、発言は無かった事にならない。

 ゆっくりとチェアから立ち上がったドクターネキは、未だドゲザ中の三馬鹿ラスの前に立つと決断的に告げた。

 

 

 

「説明」

 

 

 

  ――ちびっこ博士尋問中・三馬鹿ラス白状中――

 

 

 

「……ああ、それでヘルキャットとバリゲーターが強化改造を希望したんだ。奇襲や隠密が仕事の自分に過剰な攻撃力は必要ないって言ってたヘルキャットが急にそんな事言いだしたり、バリゲーターも理由をはっきり言わないから何でかなとは思ってたけど……」

 

 軽い溜息と共に頭を抑えるドクターネキ。

 膨れっ面の治まった顔は現在は呆れと困惑に満ちていた。

 件の二体は三馬鹿ラスをボコボコにするのに予想より時間が掛かった事で、己が正面からぶつかるタイプのゾイドでないとはいえ、力不足を痛感した様である。

 

 

「――裁きを申し渡します! バリゲーター達のやる気を引き出した功を持って罪一等を減ず! よってお兄ちゃん達は後日改造したあの子達の習熟訓練相手の刑!」

 

 

「「「ハハーッ」」」

 

 名奉行・怒苦汰悪(どくたあ)のネキさんのお裁きに、恐れ入りましてございますとオシラスに頭を擦り付ける三馬鹿ラス。

 

 これにて一件落着。(CV:松方弘〇)

 

「あのー、それじゃあ何でそんなにご機嫌ナナメなんですかね? 俺は訝しんだ」

「……」

 

 恐る恐る視線だけ上げて尋ねるサスケニキ。

 その言葉に再びぶすくれた表情になったドクターネキは無言でPCを操作すると、とある動画チャネルを表示する。

 そんな年下の少女にびくびくしながらもディスプレイを覗き込む三馬鹿ラスの目に映るのは。

 

「ゆっくり動画、か? あ、俺このチャンネル知ってるわ」

「そーなん? どーいうチャンネルだ? エロ系? メシ系?」

「いえ、私達の。つまり黒札や黒札関係の解説系動画ですね」

 

 ガイア連合からの許諾と公式開示情報を元にしたゆっくり解説動画だった。*3

 しかし、これの何がここまでドクターネキを不機嫌MAXに変えたというのか?

 こいつらなりに原因を彼是と考える中、専用シキガミについての解説を見たサスケニキが叫ぶ。

 

「分かったぞ! このシキガミの分類や種類でゾイドはこの分類だとか言ってくる奴が居たんだろ!? 俺知高分」

「……いや、何でだ? それ決めんのは作ったドクターネキだろ。なんで他の奴が口出すんだよ?」

「甘いですよヨロイニキ。世の中には自分の設定が絶対って連中が居るんですから。『公式が勝手に言ってるだけ』とかあったでしょう」

 

 当たってる?と視線で問う三バカに溜息を吐くドクターネキ――何だかんだで三馬鹿ラスと話す間は落ち着きを取り戻している模様。

 

「……違うよ。わたし、そんな事でここまで怒らないから――まあ実際そういう事言ってくる人は居たんだけど」

 

「「「居たんかい」」」

 

 揃ってビシッとツッコむ三馬鹿ラス。

 

「お兄ちゃん達と会う前からも含めて、わたしがどんだけ話も言葉も通じない人達相手の依頼交渉してきたと思ってるの? 今更その程度の事に動じる様なわたしじゃないよ」

 

 やれやれとばかりに両手を広げてみせるドクターネキ。

 

 

「まあ最近はそっちの方はほぼ居なくなったけどね――――幼女ネキと黒死ネキが家に遊びに来る様になってからは特に顕著に。虎の威を借る狐みたいであんまりいい気分じゃないけど」

 

 

「「「あー……」」」

 

 幼女ネキと黒死ネキ。

 この両名、理由や方向性は異なれど、同胞にして同じ境遇である黒札相手の暴行、場合によっては殺害すら躊躇いのない事で有名である。

 

「そりゃ居なくなるわな。鳴いた七面鳥は矢で射られ焼かれる定めとミヤモト・マサシも言っている」

「居なくなったってのはどっちの意味なんだろーな……? 近寄らなくなっただけか、または……」

「両方、じゃないでしょうか? その手の連中は他所でもやらかしててあの二人に目を付けられててもおかしくないですから」

 

 さもありなんと頷く三馬鹿ラス。

 

 

 なお、そんな二人の両方から、しかも複数回にわたってフルボッコorDieされてるお前らは何なんだとドアの向こう側でゾイド達が心の中でツッコんでいた事をバカ共は知らない。

 

 

「えーと、じゃあそこまでイラついちゃってるワケは一体何なん?」

 

 挙手して尋ねたヨロイニキに、ドクターネキは再び無言である動画を再生する。

 そして少しだけびくびくしながらも再度ディスプレイに注目する三馬鹿ラス。

 

「何々……境界神の左神、右神について――って、人魚ネキのトコの双子か」

「武器プレゼントすんな、片っぽだけ呼ぶな、まあ当然っつーか今更だよな」

「あの、この動画の何がそんなに不快なのかホントに分かんないのですが……」

 

 わけがわからないよ、と顔とアトモスフィア全開な三馬鹿ラスに、ドクターネキはぽつり、と呟いた。

 

「――が、――に、――――の」

 

「「「え?」」」

 

 

 

「――――わたしの作ったゾイドが!! 双子ちゃん達を召喚する時に!!! 儀式の触媒――生贄に使われてるの!!!!」

 

 

 

 本日一番の大音声と共にバァン!と机に両の掌を思い切り叩きつけたドクターネキの口から、溢れる感情のままに怒声が溢れ出す。

 

 

「そりゃあ買ったゾイドに何を使うか何をやらせるかなんて買った人の自由で権利だよ!? だけど! これは違うでしょ!? だったらその費用の分で金属塊でも買ったらいいじゃない! 何でわたしのゾイドを買うの!? 動物の見た目で出来もいいからその方が双子ちゃん達が喜ぶと思った!? そんな理由で造形技術褒められても全っ然!! 嬉しくない!!! 大魔王バーンに光魔の杖を最高傑作って言われたロン・ベルクの気持ちが『言葉』でなく『心』で理解できたよ!!」

 

 

「「「ど、ドクターネキさん、お願いだから落ち着いてくだしあ;;」」」

 

 顔を真っ赤にしてバンバン机を叩きながら怒号を上げるちびっ子博士の背後に、ギャオオオオン!!と咆哮するアニメ版ラスボス仕様のデスザウラーを三馬鹿ラスは確かに見た。

 

「お、思うに背に腹は代えられないというやつだったのではないか? 実際大変」

「そ、そーそー。黒札居ないシェルターなら結界なくなりゃその時点でオダブツだし」

「少しでも儀式の成功確率を上げたい故の必死の考えだったのではないかと……」

 

「そんなの分かってる! 分かってても! それでも物事には我慢出来る事と出来ない事があるの!!」

 

「「「ひっ」」」

 

 今にも口から荷電粒子砲でもぶっ放しそうな勢いのドクターネキ。

 そんな普段のしっかりした振る舞いを月まで放り投げた様な有様のドクターネキを何とか鎮めんとする三馬鹿ラス。

 

「落ち着け! 落ち着くのだドクターネキ! ほら深呼吸深呼吸! ヒッヒッフーヒッヒッフー!」

「って何の呼吸させてんだアホゥ! い、一番ヨロイニキ! 『金縛りにあった徳川家康』やりまーす!」

「え、えーとえーと……の、のっぴょっぴょーん!! ぱんぴれぽにょーん!!」

 

「むぅうぅう! むぅうぅうぅうぅうぅう!!」

 

 

 

  ――ちびっこ博士激怒中・三馬鹿ラス全力で鎮め祀り中&モノマネ・一発ネタ中――

 

 

 

「……落ち着いた? というか、落ち着いてくれてないと困る。実際困る」

「……うん、少しスッキリした……ありがとね、お兄ちゃん達」

「あー……疲れた、マジでホントーに疲れた……」

「流石にもう気力もネタも残ってませんよ……」

 

 嵐が過ぎ去ったかの如きアトモスフィアで満ちたドクターネキの私室。

 事実、先程までの事を思えばまさに台風一過といったところである。

 色んな意味でぐったりとしていた三馬鹿ラス+ドクターネキがよっこいしょと身体を起こす。

 

「それで思ったんだが、前にゾイド不味くしてたよな?*4 双子の儀式には逆効果じゃないか?」

「……だって、わざわざ『このゾイドは凄く不味いです』なんて説明書に書かないよ。食べる事も生贄に使うのも想定してないもん」

「「「ですよねー」」」

 

「んじゃさ、ゾイドの説明書にそう書いときゃいーんじゃねーの?」

「どうでしょう? あの手の物を読まない人はホント読みませんから」

「なら縛りなり呪いなり組み込むのはどうよ? そこまですれば流石にやるバカ居ないだろ」

「ゾイド一体一体にそんな事したら手間とコストが跳ね上がっちゃうよ。値上げはしたくないし」

「そういえば、生贄に使われたゾイドはどうなったんです?」

 

「双子ちゃんがわたしの家に連れて来てくれたの。『貰ったけど食べてもいいの?』って。連れて来てくれたお礼に何時もあげてる機械牛や魚と交換したよ」

 

「……危ないとこだったんだな。まさに黒ひげ危機一髪」

「人魚ネキの教育に感謝だなー、あと双子と仲良くしててセーフだったな」

「ですね――ん?」

 

 何かに気付いたクロマニキが少し考えた後、ドクターネキに尋ねる。

 

 

 

「あの、だったら――――双子に送ってる機械牛や機械魚を双子召喚儀式の専用触媒として販売すれば良いのでは……?」

 

 

 

サスケニキ、ヨロイニキ、ドクターネキが揃って目をまん丸にした暫し後――ドクターネキが片手をグーにして掌をぽん、と叩いたのであった。

 

 

 

 こうして販売が始まったドクターネキ製機械牛と機械魚。

 双子召喚の儀式に有用なのは無論、金属を食べる悪魔への贈答品、または罠に設置する餌として効果が高いと評判になり、豚や羊といったバリエーションも増えドクターネキの思わぬ臨時収入となる。

 

 三馬鹿ラスもドクターネキに御詫び代わりの豪華な夕食を奢ってもらってほくほく顔だったとか。

 

 

 

◇ 

 

 

 

「――という訳で、双子をみつけるのに人魚ネキはエライ苦労したんだってよ*5

「成程、しかし人魚ネキ氏程の強者でも自分の子供には勝てないのですなあ」

「まー結局黒札だかんなあ、力でどーこー出来ないモンに弱ぇーのはしゃーねーよ」

「拙者みたいな者からすると力でどうにか出来る事は出来る時点で凄く羨ましいですぞ」

「ですよねー。ま、私達は私達で遠慮を忘れず、且つ楽しく生きていけばいいんですよ」

「……あれでも遠慮してるんだ。なら遠慮しなかったら一体どれだけ……」

 

 ある日の昼下がり、山梨支部を歩く五人組。

 何時もの三馬鹿ラスと、現在はからあげ☆レモンニキを名乗っているとある一件*6でバカ共と交友が出来た新入りの黒札と彼のシキガミ・シャルロットこと通称シャルたん。

 ゲーセンへ遊びにいく途中の彼らは双子シキガミの家出事件の事を駄弁っていた。

 

「しかし、『人魚ネキが双子を何時見つけるか』のトトカルチョとは。事件発生から立ち上げまでが早すぎませぬか? 予め準備でもしてたのかってレベルですぞ」

「俺たちだからなあ……なんか面白そうな事が起きたら即すっ飛んでくる様な奴らばっかだろ。あからさまに野次馬なのだ!」

「だよなー。オレが知ってるだけでも『田舎ニキが何時借金返済終えるか』『黒死ネキが次にケンカふっかけるのは誰か』『幼女ネキが次に拾ってくるUMAは何か』とかあんぞ」

「これも一種の有名税ってやつなんですかね? ま、私達には関係ない話ですよ。ネタで一口買って当たればラッキーってぐらいで」

 

 

 完全に他人事といったていの三馬鹿ラスだが、自分達もしっかりと『三馬鹿ラスが童〇を捨てる相手は誰か』でトトカルチョをされているという事実をこいつらは知らない――――なお一番人気は『捨てられない。現実は非常である』である。

 

 

「おや? あれはゾイドではないですかな?」

「ホントだ。ありゃレブラプターじゃん、何してんだ?」

 

 からあげ☆レモンニキが指差す先にはやたらと周囲をキョロキョロ見回すヴェロキラプトル型ゾイドの姿。

 普段の基本はクールな雰囲気とは異なる、何処か慌てた様な様子に首を傾げるサスケニキ。

 

「あ、オレらに気付いたっぽいぞ――ってこっちに来るな、何かあったのか?」

「ふうむ。おーい! どうしたんです? 今日は貴女一人だけで――」

 

 そして、目が合った途端にこちらへダッシュしてくるレブラプターに、同じくヨロイニキが首を傾げ、クロマニキが呼びかけた所。

 

 

 問答無用で飛び掛かったレブラプターが三馬鹿ラスをまとめて押し倒した。

 

 

「「「うおわー!!?」」」

 

 その姿、まさにジュラシック・パークやロスト・ワールドで人間に襲い掛かるヴェロキラプトルの如し。

 装備した爪や鎌を器用に使って三馬鹿ラスを捕まえたまま吠えるレブラプター。

 それが合図、または連絡だったのか彼方此方からEMZ-22イグアン等の販売用ゾイド達がわらわらと集まって来る。

 

「ちょ、おま、いきなりなんだ!? こんなマネされる覚えはない! 多分!」

「立ち合いやる時はあらかじめ場所と時間言っとくのが作法だぞ作法!」

「くっ、完全に先手を打たれましたか、不覚! からあげ☆レモンニキ、援護を――」

 

「「「――って、判断が早い! 足もはっっや!!」」」

 

 助けを求めて手を伸ばした三馬鹿ラスの目に映るのは、からあげ☆レモンニキを小脇に抱えて一切振り返らず全力で逃げていくシャルロットの姿。

 そしてドップラー効果で小さくなっていく『シャルたーん!?』というからあげ☆レモンニキの戸惑う声。

 

 そんな三馬鹿ラスをレブラプター達は、EMZ-15モルガの引く台車に三人を乗せ、集団で抑え込んだままその場を後にした――――なお、一連の騒ぎを目撃した人々は割と何時もの事だからと誰も気にしなかった。

 

 そうして三馬鹿ラスが連れて来られたのはドクターネキ宅。

 連行される間、問いかけも命乞いも全てゾイド達に黙殺される中、屋敷内で視界に入ったものに三馬鹿ラスは絶句した。

 

 庭で、廊下で、階段で、地に伏して、または壁に寄りかかる姿で動かない多数のゾイド達。

 

 意識を失い、または意識はあるものの、ぴくりとも動く様子をみせないぐったりとした様子に戦慄する三馬鹿ラス。

 

「こ、これは……もしかしなくても、もの凄くピンチなのでは? 実際ヤバイ」

「ヤル気の幼女ネキや黒死ネキに見つかった時みてーな首筋のピリピリ感が止まんねー……」

「もしくは一周回って輝く笑顔なちひろネキの目の前にいる時の様な悪寒が……」

 

 脳裏に浮かぶのは以前の双子召喚儀式のゾイド生贄事件。

 まさか、またそれ絡みで何かがあったのか?

 あのドクターネキが、ゾイドを愛してやまないドクターネキが、ゾイド達にこれ程の八つ当たりをする程の事態が発生したとでもいうのか?

 

 信じ難いが、目前の光景と自分達を連行するゾイド達の何処か怯えた様なアトモスフィアから、そう判断せざるを得ず――――そして、自分達を待ち受ける未来に三馬鹿ラスは恐怖し、そして心の中で決断する。

 

 

 ――――この二人を囮にして自分は絶対に逃げ切ってみせる!

 

 

 三人の心が寸分たがわず一つになった瞬間であった――嘘は言ってない。

 

 そしてドクターネキの部屋の前に着くと、ゾイド達は三馬鹿ラスを室内に放り込み、即座にドアを閉めてドアの前に意識を失ったマルダーとカノントータスを積み上げた。

 無様にべちゃっと這いつくばった三人が恐る恐る顔を上げた先に見えるのは――

 

 

「あ、お兄ちゃん達いらっしゃーい♪ 調子はどーお? わたしは絶好調だよ!」

 

 

 ――屈託のない笑顔を満面一杯にしたドクターネキだった。

 

 予想とは180度真逆の表情に完全に虚を突かれて停止する三馬鹿ラス。

 

 怒り過ぎて一周回って笑顔になってるのではと一瞬思ったが、その喜色満面といったその様子は

『歌でもひとつ歌いたいようなイイ気分だ~~!』と言わんばかりである――というか実際wild flowers*7を鼻歌で歌っている。

 

 どうすればいいか分からず暫し沈黙した後、互いに顔を見合わせて頷くと覚悟を決めてサスケニキが踏み込んだ。

 

「え、えーと……何があったのか聞いてもいいか? いや、別にイヤならいいんだけど、もし問題なかったら教えて欲しいなあと思わないでもないというか」

 

 覚悟は決めたがビビらないとは言ってないな有様のサスケニキの質問に、まってました!とばかりの笑顔を浮かべたドクターネキが答える。

 

「実はね、こないだの双子ちゃん達の召喚儀式の件なんだけど――また儀式にゾイドが使われたの」

 

 その言葉に一斉に三人の顔色が青を通り越して白へ変わる。

 やはり憤怒が一周回った笑顔だったのか、最早二人を犠牲にする他助かる道はなしと動こうとする三馬鹿ラス。

 しかし、バカ共の動きを遮る様にドクターネキが言葉を続けた。

 

「――――ううん、使われたんじゃない。儀式に志願したの、命じられたからではなく、ゾイドが自らの意思で! シェルターの結界を守る為に、自分の相棒を守る為に!」

 

「わたしは、わたしは心の底から嬉しい! ゾイドと人が互いを守ろうと、助けようとして! ゾイドが人間を感じ、ゾイド乗り*8の気持ちを素直にその能力へと反映させ、そこに無限の可能性が生まれる! それが楽しい、それが嬉しい!」

 

 

「わたしの望む光景が確かにこの世界にある!!!」

 

 

 演説する様に天に両手を掲げて叫ぶドクターネキの背後に袈裟を着た変な前髪な細マッチョの姿を幻視して、再度顔を見合わせる三馬鹿ラス。

 ややあってから、三馬鹿ラス達が声を掛ける。

 

「あー、まとめるとだ。ゾイドがまた儀式に使われたけどそれは本人、いや本ゾイドの意思だった」

「うん!」

「んで、その理由はシェルターっつーか、正確にはテメーの相方を守るためにテメーの命を差し出したと」

「そう!」

「作ったゾイドが、人とそれだけの仲に、それだけの絆を育んだ事が嬉しくで仕方ないんですね?」

「Yes!」

 

 うふふ、えへへへとにこにこ笑顔全開のドクターネキ。

 どのくらいかと言うと、見ている三バカが『とけかけたお餅』とか『チョコで出来たネコ』といった感想を持つ程言えばどれ程のものか分かるだろう。

 

「うふふふ、しっかりばっちり強化改造して返してあげないとね。回収した子もパワーアップした姿を見せたいって言ってたし!」

「遂に前から言ってた野生のアーバインを見つけたんだな。メデタイ!」

「んー、その人おじちゃんで、相棒もEMZ-14ゲーターだから……アーバインよりもキャプリ*9かも」

「キャプリ? 誰それ? 外人? 歌? 喜劇王? アニメにんなの居たっけ?」

「チャップリン違う! まあアニメじゃなくてバトストの方の登場人物で、少々マニアックですからねえ」

 

 鼻歌と共にくるくるとその場で回る笑顔のドクターネキを、普段しっかりしてる子の年相応――いや、ちょっと年不相応な振る舞いに苦笑しつつも暖かな気持ちになる三馬鹿ラスだが、ふと気付く。

 

 

 あれ?じゃあ途中のぐったりしたり、怯えていたゾイド達は一体どゆこと?

 

 

 そんな中、くるくる回っていたドクターネキがそのまま『何か』にぎゅっと抱き着き、ドクターネキにばかり注目していた三馬鹿ラスは、漸く部屋にいたその『何か』に気が付いた。

 

「「「ベッ……ベアファイターッッッ」」」

 

 えへへー、と抱き着いてなでなですりすりするドクターネキに何の反応も示さず、ぐったりとしたドクターネキとハグが大好きなゾイドの姿に絶句する三馬鹿ラス。

 

「あ、あれを! モルガに、プテラスも……!」

「お、おい……ありゃあ……マジかよ……」

 

 クロマニキの指先には、力なく地に伏せた二体のゾイド。

 そして更にヨロイニキが震える声で示す先には、

 

「……ティガゴドス、お前まで……」

 

 ドクターネキの最初のゾイドにして、腹心でお目付け役なゾイドの燃え尽きた有様に、サスケニキは呻き声で呟いた。

 

「もう、何時もは抱きしめ返してくれるのに、皆どうしたのかなあ……あ♪」

 

 そう言ってベアファイターから離れたドクターネキの、こちらを見るその『瞳』を見た三馬鹿ラスは、その瞳が何なのかを知るが故に戦慄する。

 

「あ、あの目は……し、知ってる! 子供や生き物をとことん愛玩する時の瞳!」

「しかも、限度超えてヤリすぎてめちゃくちゃストレスを与えまくるタイプの瞳だ!」

「その結果、対象を病気や毛髪をハゲ散らすレベルまで追い込んじゃう者の瞳です!」

 

 

 

 そう、あまりの嬉しさと上機嫌でテンションがリミットオーバーもかくやな勢いで急上昇したドクターネキは、生い立ちと人型不信によるスキンシップ不足と合わさり妖怪なでなで博士に変貌してしまったのである!

 

 

 

 母性本能随一のティガゴドス、子供大好きモルガ、褒められたがりのプテラス、ハグは人生ベアファイターといった面々を含む多数のゾイド達を撃破した彼女は、新たな獲物をロックオン。

 手をわきわきさせながら迫ってくる年下の少女に、ずざざざと後ずさりするも、直ぐに壁に追い詰められる三馬鹿ラス。

 

「ねえ、何で逃げるの? わたしはただ今のわたしの喜びと嬉しさを皆に、お兄ちゃん達にも知って欲しいだけなのに……♬」

 

 満面の、されど強烈な『圧』を感じさせる笑みで、静かに、ゆっくりと間合いを詰めていくドクターネキ。

 逃げ場はなく、止める術もなく、助けを求められる相手もいない三馬鹿ラス。

 

 

「「「うう!! うわ~!! うわあああ!!」」」

 

 

 ドクターネキ宅に、天才(笑)に木人形(デク)にされるボクサーみたいな三馬鹿ラスの悲鳴が響き、ゾイド達は頭を抱え、耳を塞いで蹲る事しか出来なかった。

 

 そして同時刻――

 

 

 

◇ 

 

 

 

「――つまり、暫くの間ドクターネキの家には行かない方がいいという事か?」

「うーん、主達と違ってお前がバカな事は言わないと知っているが、いまいち話がみえんな」

「……?」

 

 そう不思議そうな、怪訝そうな顔をする幼女ネキ、黒死ネキ、セツナの三人。

 ドクターネキ宅へと向かっていたドクターネキを除く実年齢JSカルテットの前に、アイアンマンポーズ着地で現れた瑞穂モードのアガシオン。

 ただ、聞かされた話の内容は些か理解に苦しむものであった。

 

「ドクターネキが現在有頂天を越えた緋想天なレベルでご機嫌で」

「その結果、普段のスキンシップ不足と相まって妖怪なでなで博士になってると」

「……何が起きてるの……?」

 

 流石のガイア連合の黒髪暴れん坊コンビも困惑を隠せぬ模様、でも事実だから仕方ない。

 このまま家に向かえば捕獲されストレスがマッハになるまでなでなでよしよしされてしまうというアガシオンの警告に、何とも言えない表情のJS三人。

 

「いや、流石になあ……幾ら何でもあのドクターネキがそこまで暴走するのか?」

「それにそうだとしても問題はないな。私や幼女ネキがその程度の事で――あ」

「?」

 

 黒死ネキと幼女ネキの視線が、セツナへと集まる。

 そして突如その場の全員の脳内に溢れ出した存在しない記憶。

 

 

 

 それは、体力の限界を超えて撫でまくられて、口から魂を出してぐったりするシマエナガの姿。

 

 

 

「――よし、今日は引き上げよう。君子危うきに近寄らずだ。黒死ネキもそれでいいな?」

「ああ、異存はない。生憎私は幼女ネキと違って膝抱っこされて撫でられて喜ぶ趣味はない」

「……うん」

 

 理由は違えど修羅場を知る三人は、こういう時の勘は鋭く、選択を誤る事はなかった。

 

「ああ、そうだ。お前(アガシオン)も来ると良い。バカ共とドクターネキがその様子では行く当てがあるまい」

 

 そう誘う幼女ネキの言葉に、少し驚いた顔で動きを止めるアガシオン。

 ややあってアガシオンは幼女ネキに向けて静かな微笑みを返す――その笑顔には感謝と柔らかな、されど明確な拒否が含まれていた。

 そしてアガシオンはぺこり、と三人に深く頭を下げた後、壺入りぷにぷに生物に姿を変えると足早に立ち去って行った。

 ドクターネキは主達が世話になっており、ゾイド達は友人で、何より主達がまだ其処にいる。

 

 

 故に、自分だけが逃げ出すという選択肢は、アガシオンにはなかった。

 

 

「……ねえリン。あの子大丈夫かな……?」

「さあな。だが奴は漢。そしてそんな漢が決意したことだ、黙って見送ってやるしかないじゃないか」

「セツナ、男が人のために血を流してるときは見殺しにするのが情けだ。覚えておくと良い」

「……男……?」

 

 二人のネタはスルーしてそこにツッコむセツナだった。

 

 

 

 そしてその日、ほぼ同じ大きさの三つの流れ星と、その傍らに寄り添う様に小さな一つの、全部で四つの流れ星が山梨支部の夜空に流れ、生き残ったゾイド達が星空に浮かぶ三馬鹿ラスとアガシオンに敬礼する姿があったという。

 

 

 

◇ 

 

 

 

 とある地のシェルターの一角の居住区。

 シェルター防衛隊で偵察兵を務める元自衛隊の隊員は、自宅前に置いてある大きなダンボールに困惑し、警戒した。

 爆発物か何かである可能性から本部への連絡を行おうとした矢先、ダンボールが破れ中から姿を現したのは。

 

「! お前、無事で――いや、戻ってきたのか? でも結界は確かに……」

 

 結界の劣化と接近する悪魔の群れ、そんなシェルターの危機に、自ら結界を司る双子神の儀式の生贄となった相棒――――EMZ-14ゲーター改め、ゲーター・レドームスペシャル。*10

 嬉しそうに擦り寄ってくる姿の変わった相棒と、ダンボールに入っていた『これからもこの子をお願いします』と書かれた手紙に、混乱しながらも彼の顔には隠しきれない笑みが浮かんでいた。

 

 なお、このゲーターはシェルター防衛隊の予算で購入されたゾイドであり、その権利は防衛隊にある。

 あくまでも役割と任務の適正からコンビを組まされていたのであり、強化改造されたゲーターが別の隊員に配備されても何もおかしくはない。

 だが、強化されたのが戦闘能力でなく、索敵・電子戦方面の強化だった為、今迄の経験も考慮され、再びバディを組む事が正式に決まる。

 

 まあ当人(?)が『別の相手と組めというなら創造主(ドクターネキ)オリジナル(専用ゾイド)から教わった切り札を切るのも辞さない』と宣言したのも決して無関係ではないだろう――――なおその切り札というのが寝転がってヤダヤダと尻尾と足をジタバタする事だとシェルターの人々は知らない。

 

 こうして再会した相棒と再び共に戦う事になった隊員は、噂に聞くガイア連合の黒札――強大な力を持ち、時に気まぐれで、されど情に脆く、浪花節を好む節がある――へ心中で感謝すると、相棒の頭を優しく撫でながら告げる。

 

「これからも宜しくな、お互い生き延びようぜ。ええ、相棒」

 

 まかせとけ、とばかりに片方の前足を突き出すゲーターに、隊員はその前足を笑顔で強く握りしめた。

 

 

 

「しかし本当に良かったよ――――お前が女の子になって戻って来なくって。もしそうなってたら家族に何て言やいいか分かんねえからなあ」

 

 

 

 しみじみとした口調でそんな事を言う隊員に、ゲーターが不思議そうに首を傾げる。

 

 

 ――――なんでか人外の異性を交際相手としてやたらと紹介してくる事がある。

 

 

 そんな別の黒札の噂も知っていた妻子持ちの隊員は、家庭板案件まっしぐらな事態が回避出来た事に心から安堵したのであった。

 

 しかし数年後、朝起きたらゲーター・レドームスペシャルがEPZ-004ディメトロドン*11になっていてひっくり返る事になるのは未来のお話。

 

 

 

「――良かったね、ゲーター。これからも頑張ってね」

 

 そんな一人と一体を離れた場所から隠れて密かに見守るドクターネキ。

 『娘を嫁に出す親』以外の何物でもない状態の彼女の傍にはお供の三馬鹿ラスも一緒である。

 

「フーム、何で戦闘力を強化しないのかと思ったがそういう訳か。さすが高い偏差値!」

「うん、あの人偵察兵だからただ強くすると別の人と組まされちゃうかなって。それに――」

「例えコンビ解消にならずとも、ゾイドに合わせた前線に送られたら人の方が戦死する恐れがある、と」

「そ。レベル限界は低めだけど斥候・偵察の技術は確かみたいだから。なら得意分野で頑張ってもらうのが一番でしょ?」

「強えー武器渡して悪目立ちしてもヤベーし、装備でカバーすんのも限度があるもんなー」

 

 むふー、と良いものを見てほくほく顔全開なドクターネキに、それじゃー見つかる前に帰りますかと黒札が居るとバレて騒ぎになる前に帰ろうとする三馬鹿ラス。

 パッソル=Γを隠した所に向かう中、ふと思いついたヨロイニキがドクターネキに尋ねる。

 

「なあ、今回は『戻ってまた共に戦いたい』って希望だったけどさ。もし――」

 

 

「――――もし『戻って人間になって番いになりたい』ってゾイドが言ったら、どーすんだ?」

 

 

「え」

 

 

 

 その言葉に時間停止モノA〇みたいに固まってしまったドクターネキを、えっちらおっちら担いでシェルターを後にする三馬鹿ラスが居たとか居ないとか。

 

 

 その後、ドクターネキは自室に籠もって一週間の熟考の結果、漫画で擬人化してた事、何より子の幸せを邪魔する親にはなりたくないとして、もしそう願われた時には受け入れる事を決めた。

 

 

 但し人に変化するのであって本来の姿はゾイドという方向にする模様――そこは譲れぬ一線だった様である。

 

 ただその結果、今迄自分には必要ないからとドクターネキが後回しに――否、避けていた『人の姿』をした物の勉強・作成に向き合い、取り組む切っ掛けになったのはまさに人生万事サイオー・ホースと言えよう。

 

 

 

◇ 

 

 

 

「えーと……なあサスケニキ! この金属板であってたか?」

「んーと、ああ、こいつだ。型番と枚数確認しろよ。間違うと怒られんぞ」

 

 山梨支部は作製部内の売店。

 ホームセンターの様な雰囲気の店内で、素材用の金属板を吟味するサスケニキとヨロイニキ。

 

「こちらの買い物は終わりました。そちらはどうです?」

「割とイイ感じの材料があったの! 今回のジャンクは当たりだよ!」

 

 そんな言葉と共に二人に合流するクロマニキとドクターネキ。

 そして、クロマニキとドクターネキの左手と右手はしっかりと繋がれている。

 

「おー、あとはこれだけだ。ドクターネキ、こいつで良かったよな?」

「んー……ごめん、上の方も確認したいから、ちょっとお願い」

「りょーかいっと、ほれよいしょっと」

 

 そう言われたヨロイニキが後ろに回り込むと、高い高いの要領でドクターネキを持ち上げた。

 

「ありがとー……うん、問題なし!――じゃあお会計してくるね」

 

 暫く金属板をみつめていたドクターネキが告げ、ヨロイニキが彼女を下ろすとレジへと向かう一行。

 そうして会計と配達手続きを終えた彼らは売店を後にする。

 

「じゃ、次は今日の夕飯のお買い物ね。今日のご飯は――」

「スシ!」

「肉!」

「カレー!」

 

 シュバッ!と手を上げるバカ三人。

 大きく両手でペケをするドクターネキ。

 

「はい却下。今日はお魚!――旬だしカツオがいいかな?」

「カツオか、ならばここはやはりタタキではないか?」

「いーや、オレはカツオハンバーグを推すね!」

「私は竜田揚げを提案します、中華風あんかけで」

「バラバラだなぁ……ま、お店行ってから考えよっか」

 

 そしてドクターネキの前にサスケニキが背を向けて立つと、少し身を屈めた。

 それを見たドクターネキは笑顔を浮かべ、ジャンプして背中に飛びつき、ドクターネキをおんぶしたサスケニキが宣言する。

 

「よーし、そんじゃあ行くぞ。せーの」

 

 

 

「「「「出発おしんこ~! きゅうりのぬかづけ~!!」」」」

 

 

 

 あらほらさっさーとスーパーへと向かう三馬鹿ラス&ドクターネキ。

 スキンシップ不足が暴走の原因なら、日頃からスキンシップを増やせば良い。

 そんなアガシオンの提案を受諾した四人を、アガシオンは無機質な、しかし何処か温かな瞳で見つめ――

 

 

 

 ――隣で、今にもハンカチ噛みながらキー!とか叫びそうなティガゴドスの様子に、溜息吐く様な仕草と共に肩をポン、と叩くのであった。

 

 

 

 

 

 

 なお、後日強化改造したゾイドを返した件が広まり、『ゾイドが自主的に生贄に志願した(志願したとは言ってない)』とマネをする案件が複数発生。

 結果ドクターネキの機嫌が世界恐慌やリーマンショックもかくやな勢いで急降下し、三馬鹿ラス・アガシオン・ゾイドの連合軍でも抑えきれず、彼方此方に援軍を要請する事になるのはまた別の話である。

*1
24話

*2
16話

*3
黒焦げ様作。 【カオ転三次】 終末に向けての準備するとある転生者の話 外伝20話:ゆっくり解説動画『夜の女神 ニュクス・アコ』・外伝30話:ゆっくり解説動画『境界神 左神スイレン 右神アヤメ』・外伝31話:ゆっくり解説動画 番外編 『黒札と黒札守護者』 より。多分生声やボカロやずんだもん等もあるのだろう

*4
18話

*5
黒焦げ様作。【カオ転三次】 終末に向けての準備するとある転生者の話 外伝32話:ふたごと仲直りしました より。泣いてないけど泣く子には勝てず

*6
19話

*7
アニメ『ゾイド -ZOIDS-』のOPテーマ。EDテーマは放映中に何度か変わったがOP曲はずっとこの曲であった。

*8
乗ってない

*9
ゾイドオフィシャルファンブック・バトルストーリの登場人物キャプリ・コンラッド。ディメトロドンのパイロット。エースの駆るライガーゼロにより自分を残して隊が全滅し、機体を捨て生身で逃げれば助かると承知の上で抗戦。善戦するも性能差・技量差は埋まらず敗北。しかしライガー側がすぐトドメを刺さないのを格下にやられた怒りから嬲ろうとしていると判断。その隙に周囲のチャフにレーダー波を放つという電子レンジ戦法で相手パイロットを道連れに戦死した。なおキャプリは知る由もないが、ライガーゼロのパイロットが追撃しなかったのは、圧倒的不利な状況で一矢報いたキャプリをゾイド乗りとして出来れば死なせたくないと何とか脱出させようとしたからであった。

*10
背びれのレーダーは放熱板に、ガトリングビーム砲を3Dレーダードームに換装した単独で敵地での情報収集を想定した特別仕様のゲーター。砂漠や森林に潜むのを前提に迷彩塗装されている

*11
ディメトロドン型ゾイド。モチーフと機体名が全く同じという珍しいゾイド。大型の電子戦ゾイドで同クラスのゴルドスを性能で上回り、更に敵の通信を妨害するジャミング機の役割も持つ。しかし電子戦用の為戦闘能力は低く、同じ大型の純粋戦闘用ゾイドには殆ど勝ち目がない。




 ―以下どうでもいいバカ共の設定―

 何があったのか何をされたのかは三人共固く口を閉ざしている、というか自力で記憶を抹消した模様。
 ドクターネキの八つ当たり、ワガママには普段しっかりし過ぎてるぐらいだし寧ろ子供らしさだとそんな気にしてない――夕飯にカレーや肉が出たら忘れるレベル。
 他の黒札からの制裁の方がよっぽどキツイというのもあるが、普段の自分達のやらかしと比べれば天秤がドクターネキの方に大幅に傾くと一応こいつらも理解しているから。
 スキンシップも子供相手によくやるのでそれと同じと考えている。
 ただ、数年後も同じノリでスキンシップされたら色んな意味でマズイのでは?と気付いたが都合の悪いことは忘れた――未来の自分達に押し付ける気満々な模様。

・サスケニキ
 他二人が鎧兜やとんがり帽子が邪魔になるのでおんぶ担当。
 時々背負ったままで乗り物上の直立態勢エントリーをやっておりドクターネキからは好評。
 ただ時折パッソル=Γや飛行シキガミ等の一線越えたアブナイチャレンジをやろうとしてゾイド達にフクロにされている。

・ヨロイニキ
 一番力が強く何かを持ち上げるのも慣れてるので抱っこ担当。
 だがお姫様抱っこはハジメテはドクターネキが好きな人が出来た時の為にとっておけと断った。
 自分も理想のシキガミ嫁の為にとっていると熱く語り、ドクターネキに苦笑され他二人からテメーは何を教えてんだと殴られた。

・クロマニキ
 三人の中で最も体格や歩幅が近いため手を繋ぐ担当。
 ただその纏うオーラの為か、通報するべきかどうかみたいな視線が周囲から集まるのが悩み。
 なおサスケニキ・ヨロイニキはネタ半分ガチ半分で通報しようとするのでその度に攻撃魔法をブチ込んでいる。

・アガシオン
 三馬鹿ラス同様の付き合い長さと壺入りモードなら人型不信の対象外の為、ドクターネキとは互いに信用しており、三馬鹿ラスに秘密でドクターネキからの単独依頼をする事もある。
 たがあくまでも己は三人の所有の魔法生物であるとしっかりと一線を引いている。
 ゾイドにはないそのぷにぷにボディを限界までぷにぷにされた模様。

・ドクターネキ
 ゾイドはシキガミであると同時に愛する作品・思い入れのある作品という面もある為、八つ当たりや悪感情をぶつけた場合、冷静さを取り戻した後の自己嫌悪や自責の念といった精神面の悪影響が大きく、ゾイド側もそれを理解している。
 受け皿である三馬鹿ラスにちゃんとお礼と感謝を伝えたいが、それをやると連中の挙動がバグる可能性が非常に高く伝えられない為、夕飯のカレーでコロッと忘れるバカ共に内心救われた様な思いを持っている。
 なお、ゾイドにやらかした連中には後日尿道結石の痛みの呪いを警告と共に送った。

・からあげ☆レモンニキ
 以前の件で交友が続いている後輩、見た目は勿論さばげぶっ!のからあげ☆レモン。
 オタクな見た目のキャラは他三次に大勢居るから多分まだ居ないからあげ☆レモンになったというメタ事情がある。 
 ガイア連合では後輩だが年齢は三馬鹿ラスより上で、バカ共と程々に仲が良い。
 戦闘スタイルはガンスリンガーだが実銃でなくガンシューティングゲームの銃を模したガイア銃を用いる後衛。
 最近の悩みはからあげにレモンは好きじゃないけどコテのせいで言い出せない事。

・シャルロット
 からあげ☆レモンニキの専用シキガミで容姿はISのシャルロットで愛称はシャルたん、勿論からあげ☆レモンニキだけに許された呼び方で、他の奴が言うと笑顔で圧をかけてくる。
 戦闘スタイルは遠・中・近を熟す万能型よりの中・後衛。
 三馬鹿ラスと居る時は全力で警戒態勢で、何か起きれば即主を連れて逃走して巻き込まれるのを防ぐシキガミの鑑である。

・ゲーター・レドームスペシャル
 シェルターの為、相棒の為、犠牲になる覚悟で生贄に志願したらパワーアップする事になったラッキーゾイド。
 終末後にはEPZ-004ディメトロドンに改造され、相棒の家の守り神ポジとなった。
 将来相棒が引退した後は、相棒の子供達を守り、共に戦う事を伝える――その時やっぱり人の姿の方が良いのか、その場合男と女どっちになるのがいいか真剣に尋ねて相棒を盛大に足ズッコケさせた。

・偵察兵
 おじさんで普通に妻子持ち、ゾイドが側室希望の人外娘になって帰って来なくてほっとした。
 でも未来でEPZ-004ディメトロドンになった結果シェルターでの地位が急激に変わってしまい頭を抱える事になる模様。
 後に娘と息子がディメトロドンの本来の姿がイケメンと美少女のどちらかで激しく議論をしていた事を知り説教&拳骨した――大体ガイア連合と黒札の所業が原因である。



 黒焦げ氏のゆっくり動画ネタみて思い付いたネタでした。
 当初はただドクターネキが激おこぷんぷん丸するだけだったのに、何故か書いてる内にまた長くなる何時ものパターンです。
 まあたまにはバカしないで(当社比)ほのぼのするのも良いかなという事でw

 次回ですが、現在浮かんでるネタがアレなネタばっかりで悩み中。
・三馬鹿ラス依頼で穏健派のトコに。
 読んでくれる方が筆者の話に求めてるモノとは全然違う話になる可能性高し。

・新横、もとい月架手町へ行って頭オポンチ吸血鬼勢との交流
 まだあまり描写されてないのでタマヤ与太郎氏のネタ潰しになりそうで怖い。

・IF&TSネタ
 ディストピア氏のありえた未来話で思い付いたが、見出しの時点で既に劇物、なお雲霄三姉妹に非ず。

 勿論何か別のネタ浮かぶかもですし、また小ネタ集するかもしれません。
 基本筆者は降りてきたネタ書くタイプなのでどうなるかは不明ですが、お待ち頂ければ幸いです。

 それでは最後まで読んで頂き、誠にありがとうございました。
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