メカゴジラ×ガイガン フールマン・インスペース   作:アイアイホイホイおさるさん

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#6

 ………その間あった事は割愛しよう。

 バイラス以降、そこまで別の宇宙怪獣と会敵する事はなかったし、ザラブ以外の宇宙人とも会わなかった。

 怪獣の出る話として絵的に映える描写は何もなかったし、SFや哲学の話をしようにもネタがない。

 

 しかしイツムとガリアの日常を描こうにも、既に取り繕うものの無くなったイツムは激しく腰を振り、ガリアの手を握り、身体を重ねるばかりである。

 それは某怪作の二次創作としてもの目指す所ではないし、何より本作のレーティングの都合上無理だ。

 

 ただ………イツムはこれまで苦しみ続けた人生の中で、一番幸せな時だった。

 そしてガリアも、心の底から満たされた。とだけ言っておく。

 

 

 ***

 

 

 ハヌーシュ号は小惑星帯を抜け、ついに木星圏に到達した。

 ガスと嵐の渦巻く木星の鮮明な姿は、まるで超巨大な生物のようであり酷く不気味に見えた。

 電子望遠センサーがX星の姿を捉え、その姿をモニターで見た時、イツムはその青い姿に故郷・地球の姿を重ねて奇妙な安心感を覚える。

 

「………青いね」

「地表を覆う岩の色よぉ、実際には海すら無いわぁ」

「それなのに文明が?」

「X星人の起源は地下水脈なのよぉ、だから文明も生命も地下世界にあったの」

「ふうん………」

 

 もっともそれは、既にキングギドラなる存在に滅ぼされた後であるが。

 かつて存在したX星の生命と文明に思いを馳せながら、イツムはハヌーシュ号をX星の持つ衛星軌道へと持っていく。こうなれば外見のみならず、完全にハヌーシュ号は宇宙ステーションである。

 

 ………ここでスターライト計画の、X星に到達した後の第二段階について説明する。

 ハヌーシュ号を構成する三つのブロック、無重量ブロック、重力ブロック、作業ブロックの内、作業ブロックをX星の地表に下ろし、そこを中心にX星の開拓を始める。

 衛星軌道上のハヌーシュ号は地球と通信を取るための電波中継ポイントとして活用し、それ以降は地球〜X星の中間ステーションとして、航続の部隊に使ってもらう。

 構想では最終的に、X星開拓の記念碑として残す事を計画しているとか、いないとか。

 

「時間だな………連絡を入れる。ガリアは隠れてて」

「オッケィ、イツムちゅわん」

 

 その第二段階に入る前に、イツムはNASA本部に通信を入れる必要があった。小惑星帯を抜けた事で電波が回復していたので、既に通信は回復している。

 その間、ガリアはモニターに映らぬよう隠れて貰う事にしていた。宇宙人の彼女の姿が明らかになれば大変だから。

 

 ………もっとも船内に付着した体液等から遅かれ早かれガリアの存在は露呈するとはイツムも思っていたが、できるだけ長くガリアとの甘い時間を過ごしたかったのだ。

 

「ハヌーシュ号より本部、ハヌーシュ号より本部、こちらイツム・ニノミヤ。現在X星衛星軌道に到達。これよりスターライト計画は第二段階に移行する。どうぞ」

 

 しかし、ここでアクシデントが発生した。

 

「………ハヌーシュ号より本部、ハヌーシュ号より本部、こちらイツム・ニノミヤ。NASA応答願います、どうぞ」

 

 機器は正常に動かしている。手順も間違えていない。にも関わらず、地球からの応答は一向に返ってこなかった。

 距離によるタイムラグを考えたが、いつまで経っても呼びかけに応答がないのだ。

 

「………こっちのアンテナに異常はない。なら、これは………」

 

 何が問題なのか、何が起きたのか。せっかくここまで来てこれかとイツムが頭を抱えた

 

 ………ビィロロロ………

 

 ………その直後、ハヌーシュ号にイツム達も気づかぬうちに、宇宙を羽ばたく翼の影が落ちた。

 

『本船に急接近する物体あり、スタッフは各自対応してください。本船に急接近する物体あり、スタッフは各自………』

 

 合成音声による警告と共に、緊急事態を知らせる赤いランプが点灯した。

 ザラブの宇宙船との接触の際に起動した、隕石の接近を知らせるアラートであるが、この時に訪れたのは危機であった。

 

 ………ズドオォンッ!!

 

 まるで巨大なダンプカーが体当たりしたかのような衝撃!

 ハヌーシュ号を強烈な揺れが襲い、イツムはモニターの前から吹っ飛ばされる。

 

「うわあ!?」

「危ない!!」

 

 しかし、ガリアがそれを受け止めた。

 ガリアの膨らんだ乳房がクッションになり、イツムを守った。

 隠れていろと言われたが、そんな事を気にしている余裕なかった。

 

『警告、本船は深刻なダメージを受けました。総員退船せよ。繰り返します、本船は深刻なダメージを受けました。総員………』

 

 赤いランプに、ビービーとサイレンまで加わった。

 この段階では鳴らないハズだった、本来はハヌーシュ号が中継ステーションとしての役割に移った際に、テロや事故等で破壊されるような事があった時に流れる。と、搭乗前にブリーフィングで聞かされた警告音声。

 まさかこの状況で聞く事になるとはと、イツムは有事の際にどうするべきかを立ち上がるまでに思い出す。

 

「ガリア、作業ブロックに行こう!この船はもうダメだ!!」

「オッケィ、イツムちゅわん!」

 

 ガリアに抱きかかえられ、イツムは作業ブロックに向かう。ゴキブリの特徴を持っているからかは解らないが、ガリアは素早く、火花の散るハヌーシュ号内部を駆け抜けた。

 

 この船はもうダメだ。それは実際の状況を見てのイツムの判断であったが、内に秘めた感情がどうだったかは苦虫を噛み潰したかのようなイツムの顔を見れば明らかである。

 それまでの一生の内一番幸せな時間を過ごしたハヌーシュ号を見捨てる事など、辛くない訳がない。

 

 

 ***

 

 

 何者かの攻撃を受けたハヌーシュ号は、翼のようなソーラーパネルが破かれ、各ブロックが曲がり、ひしゃげ、それこそカマキリ等に捕まった蜻蛉のようになりながら崩壊してゆく。

 各部が火を吹いて崩れるように崩壊する中、作業ブロックが本体から切り離された。

 元々、地上に降りるポッドとして使う予定だったそれは問題なく分離し、崩壊するハヌーシュ号からX星に向け、逃げるように降下してゆく。

 

 ゴゴゴゴと激しい揺れに襲われる中、宇宙服を着たイツムはガリアと共に機龍のコックピットに飛び込んだ。

 作業ブロックの操作を行う管制室が破壊されていたため、機龍を使って外部からシステムにアクセスし、着陸プログラムを操作しようとしたのだ。

 だが、災難はこれで終わらなかった。

 

「なんてこった………着陸用のブースターが壊されてる」

「嘘でしょ!?」

 

 安全に着陸を行うための逆噴射を行うブースターまでもが、攻撃により破壊されていた。

 これでは減速できず、二人を乗せた作業ブロックはX星の岩まみれの表面に全身を強く打ち付けられる事になる。

 そうなれば、まず命はない。

 

「………仕方ない」

 

 しかし、希望は失われていない。

 イツムは再度機龍越しに作業ブロックの制御システムにアクセスする。そして、今まさに落下している作業ブロックの扉を展開させた。

 そこにはX星の殺風景な光景が扉越しに見え、ゴウゴウという激しい風音が響く。

 

「………何をするつもり?」

「機龍を空中で切り離す!」

「ええっ!?」

 

 作業ブロック内の機体ロックが解錠され、銀色のボディが一歩また一歩と落下中の作業ブロックの外へと向かう。

 

「すっごい揺れます、捕まってて!!」

「ぐううっ!!」

 

 そして、二人を乗せた機龍はX星の大気の中へと飛び降りた。

 作業ブロックが動かないなら、まだ動く機龍で降りればいいと考えたのだ。

 しかし、ザラブ星人に改修されたとはいえ元より飛行能力を持たない機龍もまた、X星に存在する重力に従って落下してゆく。

 

「逆、噴、射ああああっ!!」

 

 が、機龍にはバックパックと四肢のバーニアがある。それを自身の下に向けて噴射し、鉄のボディに減速による強烈なGがかかる。

 そしてバーニアを吹かせながら、機龍はついにX星の地表へと到達した!

 

 ずががががっ!!

 がぎゃっ!ぎゃぎゃぎゃ!!

 

 目指したのは着陸だが、それは最早不時着と言ってもよかった。

 スペースチタニウムでコーティングされた4万tの鉄の塊は、なんとか直立した状態ではあるものの、X星の岩まみれの地表をガリガリと削りながら降り立った。

 

「きゃああああ!!!」

「止まれえええええっ!!!」

 

 当然ながらコックピット内は強烈な振動に襲われる。

 いたる所を狭いコックピットにぶつけながら、ガリアはしっかりと操縦席に捕まり、イツムは減速のために機龍のバーニアを噴射させ続けた。

 

 ガリガリガリガリ!!

 ズガガガガガッ!!

 ドゴゴゴゴォン!!

 ガガガガガガ!!

 ベキベキベキベキィ!!

 

 大地を岩を砕きながら機龍は10秒進み続け、ようやく停止した。

 バーニアを切った時、まるで疲れて脱力するように、ブシュウと使用済み冷却水が蒸気になって排出される音がした。

 

「はあっ、はあっ………」

「はあ、はあ………へ、へへ、流石は機龍。なんともないぜ」

 

 そんなガンダムの名台詞の一つを真似てみたイツムは、この着陸(ふじちゃく)で機龍が駄目になる事も覚悟していた。

 しかし、これだけの無茶をしたにも関わらず、外装・内蔵機器共々機龍の制御システムはコンディショングリーンを表示していた。

 ザラブによる改修を考慮に入れても、流石はあのゴジラと戦うことを目指しただけはある頑丈さである。

 

「ここがX星………」

 

 機龍のメインカメラ越しに見た異星の光景は、どこまで行っても岩の平原が広がるだけの、ひどく殺風景なものだった。

 大気はあるが地球とは勝手が違うらしく、太陽に照らされて明るさはあったが、火星のような緑がかった空をしていた。

 

「イツムちゅわん、あれ………」

「あっ…………」

 

 そんな空には飛行機雲………ではなく、先程乗り捨てた作業ブロックの軌跡が見えた。

 かなり遠くに落ちたらしく、ここからはどうなったかは解らない。が、惑星外からあれだけの速度で落ちたと思うと、イツムにはとても無事を想像する気にはなれなかった。

 

「………状況を確認しよう」

「………ええ」

 

 間を置き、自身達が落ち着くためにイツムはまず状況確認を取る事にした。

 落ち着いて、全部の持ち物を確認するんだ。という、昔見た古いドラマで劇中登場した警察官が遭難した際に取った行動に則って。

 

「まず、ハヌーシュ号は突然何かから攻撃されて破壊された」

「ええ」

「僕達はマニュアルに従って作業ブロックで脱出するも、それも攻撃により逆噴射が効かず、僕達は機龍で脱出」

「そうね」

「機龍には地球と連絡を取る手段はなく、作業ブロックは落下によりお陀仏、ハヌーシュ号は宇宙の藻屑と化して、今ここにあるのは僕とガリアと機龍だけ」

「………詰み、ね」

 

 しかし状況を確認しても、残ったのは絶望と落胆だけ。

 地球と連絡する手段も、食料も無く、イツムはガリアと機龍と共に、この岩の荒野が広がるX星に放り出された。

 このような状況を、イツムの出身国である日本では「遭難」という言葉で表現する。

 

「………はあ」

 

 地球を旅立つ際に聞かされた危機。宇宙での遭難が現実のものになった事にイツムは深くため息をつく。

 

「………ガリア、ごめん」

「なぁに?」

「………頭を回したい、糖分がいる」

 

 こういう時に、こういう事はする事ではないとイツム自身思っていた。

 が、とにかく今は安心して、頭を冷静にしたいと思った。

 

「………おっぱい、ちょうだい」

「あら………うふふ♡いいわよぉ♡」

 

 恥を忍んでのイツムの頼みを、ガリアは複眼を瞼で細め了承した。

 イツムが宇宙服のヘルメットを開けると同時に、目の前には狭いコックピットを甲殻の手足で器用に前に回ってきたガリアが妖しい笑顔で微笑みながら、掌で乳房をどだぶんっ♡と持ち上げながら迫ってきていた。

 

 

 ***

 

 

 作者の自己満足で挿入される意味のないお色気シーンは、近年のSNSで叫ばれる「オタクはなぁ!!無意味な美少女のサービスシーンなんざ求めてねえんだよ!!オタクが求めてるのは王道の熱い魂が燃え上がる男の展開なんだよ!!男ならあああああ!!!!誰かのために!!!!熱くなれよおおお!!!!」という声に配慮して全カットさせていただきました。

 

「たしかガリアは、X星に何か預けてたんだよね?」

「ええ、X星人と私達M宇宙ハンター星雲人は同盟関係にあったの。そこで、私が持っていたあるモノを調整してもらってたのよぉ」

 

 再びヘルメットをかぶり、口内に甘ったるい味を感じながら、イツムは改めて背後に戻ったガリアに問う。

 そのガリアの返答によると、彼女の目的である「あるモノ」とは、調整という言葉から察するに宇宙船等の機械である事が伺える。

 

「どこに預けたか、大まかな場所はわかる?」

「そうねぇ………」

 

 呟いた後ガリアは目を瞑り、精神を集中させながら後頭部の翅を擦り合わせる。

 ザラブの宇宙船を呼んだ時もこうしていた。おそらくこれが、彼女達M宇宙ハンター星雲人の持つ一種の無線であり、彼女達がザラブ星人のような遺伝子レベルで機械文明と同化した種族(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)の証なのだろう。

 

「………反応があったわぁ、ここから2時の方向。そこにあるX星地下都市の中よぉ」

「わかった、行ってみる」

 

 イツムは操縦桿をガリアが指定した方向へと倒す。

 すると、機龍が起動音と共にズシンズシンと足音を立てて歩き出した。

 

「イツムちゅわん………?」

「そこなら多分、X星の機械が生きてて地球にコンタクトが取れるかも知れない。なんとしても、この事は地球に伝えなきゃならないんだ」

 

 助けなんて来ない。そんな事は解っている。

 けれども、共に向かうハズだった宇宙飛行士仲間や、定時連絡で言葉を交わした通信使とは仲良くやっていたからこそ、イツムは彼らに報いなければならないと思った。

 

「………スターライト計画は失敗したって」

 

 だからこそ、こんな宇宙(じごく)に彼らを連れ出すわけにはいかないと。

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