メカゴジラ×ガイガン フールマン・インスペース   作:アイアイホイホイおさるさん

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#8

 かつてX星の地下都市だった場所は、今や「それ」の巣穴となっていた。

 念入りに倒された"皇帝"であるが、その首無しの死体(えさ)を独り占めする権利を得た「それ」は、他の兄弟よりも大きく、強く進化した。

 もはや、大元の細胞の持ち主(キングギドラ)からは連想さえできない程の変貌ぶり。そんな突然変異とも言える影響を「それ」に与えた事を考えると、死の瞬間までX星人の奴隷(かいいぬ)として戦った皇帝ではあるものの「腐ってもカイザーギドラ」であると思わせる。

 

 ………グロロロッ

 

「それ」がこの星に訪れた存在に気付いたのは、「それ」の中に流れる黄金の血が、数多の文明を焼き払ってきた巨神の血が文明の化身(メカゴジラ)がやってきたと反応したからだろう。

 もっとも、今の今まで気づかなかったあたり所詮はデッドコピーの巨獣であるとも言えるが。

 

 

 ***

 

 

 その怪獣は、宇宙を旅する星人達の間で「ドラット」と呼ばれていた。

 キングギドラの襲撃を受け滅びた星にしばらくすると現れるようになる怪獣であり、キングギドラを一本首にして簡略化したような姿から「戦いで飛び散ったキングギドラの肉片から成長した」と云われている。

 いわば劣化コピー・ギドラであるが、その凶暴性と文明を敵視する特性、そして攻撃性はオリジナル(おや)と同じ。

 大きさは成長に従う個体差があるが、ここに現れた三体は40mはあり、一端の怪獣とみていいサイズだ。

 

 ビィィロロロロッ!!

 ビィロロロッ!!

 ビィィリリリッ!!

 

 三体のドラットは口から稲妻状の引力光線を放ち、絨毯爆撃のようにファクトリーシティを破壊してゆく。

 四角い建物が次々と内部機材や骨組みを撒き散らしながら吹き飛び、道路はめくれ上がる。

 その様はまるで、子供が積み木を崩して遊んでいるかのように無邪気で、そして残酷であった。

 

 ビリリリッ!!

 

 内一体のドラットが、この地下都市を見つけた理由であり破壊活動のメインディッシュを見つける。

 それは、施設の前に昼寝するかのように寝転がる機龍。地球からもたらされた文明の象徴であり、ドラットの中の中に流れるキングギドラの血が「破壊せよ!」と叫ぶ。

 

 ビィィリリリッ!!

 

 ぶっ壊してやる!と言うかのように、まるでイヌワシが狩りを行うように足の爪をギラリと剥いてドラットは機龍に迫る。

 

 ………がしっ!!

 ビィ!?

 

 しかし、次の瞬間ドラットの視点が横転した。

 見れば、ドラットの首は鋼鉄の腕により鷲掴みにされ、ギリギリと締め上げられていた。

 誰の腕かって?勿論、起き上がると同時に不意打ちを仕掛けた機龍の腕だ。

 

 ピシャアアッ!!

 ビィリリリッ………!?

 

 威嚇するように唸ってみせた後、機龍はドラットをズムッ!!と建物の一つに投げつけ、倒壊する建物の下敷きにしてみせた。

 そして瓦礫を払って起き上がるより先に機龍が口を開き、二連メーサーの一撃!

 ザラブの改修により威力が上がり、本来想定していた山吹色(サンライトイエロー)となった稲妻の光線は、ドラットの細い餓鬼のような身体を粉々に粉砕する。

 

 ビィィリリリッ!!

 

 断末魔を上げて散った仲間に、というよりは突然起き上がった機龍に気づいた残り二体のドラットが集まってきた。

 そんな二体を機龍、そして急いでコックピットに乗り込んだイツムが睨みつけた。

 

「へへ、寝かしといてよかったよ。すぐに乗り込める………」

 ビィィロロロロッ!!

 ビィロロロッ!!

 

 残り二体のドラットも、動き出した機龍に対して獲物を見つけた猛禽がごとく突撃する。

 全身が機械の塊である機龍は、文明を否とするキングギドラのDNAが最も嫌う存在だ。本能が、あれを破壊せよと叫ぶのだ。

 

「悪いけどこれ以上街を壊されると僕が、ガリアさんが困るんだ!死んでもらう!!」

 ピシャアアッ!!

 

 しかしイツムも冷静だ。機龍のバックパックから誘導ミサイル………98式320ミリ多目的誘導弾を発射。

 ヒュルルと飛ぶ弾頭は二体のドラットを追尾する。片方は口から吐く引力光線によりミサイルを逆に撃墜してみせたが、もう片方はタイミングが遅れ、ドムッ!!とミサイルの直撃を受けて地面に落下してしまう。

 

 ビィロロロッ!!

 

 しかしこのドラットはガッツのある奴だった。

 翼が破れて飛行能力を失うも、翼を畳んで前脚にしたナックルウォーク………いわゆる「ワイバーン体勢」で機龍に向かってくる。

 

「金メッキドラゴンめッ!このメーサーサーベルの錆にしてくれるーッ!!」

 

 そんなドラットに応えるべくイツムが選んだのは、ザラブ星人による改修の際に着けてもらった装備。その名をメーサーサーベル!

 

 ………さて。本家の方、すなわち3式の方の機龍の武器にメーサーブレードという物がある。

 これはレールガンに内蔵した隠し刃であり、相手に突き刺して電流を流すというもの。

 なのだが、ゲーム「ゴジラ怪獣大乱闘」においては、何故かビームサーベルのような光の刀身を伸ばして相手を突き刺す武器として描写されている。

 

 そしてメーサーサーベルは、本家の機龍改なら何もないハズのレールガンの砲身の間からそのメーサービームによるビームサーベルを展開する武器。

 飛びかかるドラット向けて、一閃!

 

 ず ば し ゃ あ

 

 断末魔を挙げる間もなく、ドラットは前から真っ二つに切断され、血液代わりに流れる金粉をまき散らしながら機龍の背後に分かれてドサリと落下する。

 ………キングギドラの細胞は確かに凄まじい。しかしこのドラットはあくまで劣化コピー。生死の条件は通常生物と変わらず、ここから再生はしない。

 

 ビィィロロロロッ!!

 

 が、そこに最後のドラットが突っ込んできた。引力光線で誘導ミサイルを相殺した頭のキレるドラットだ。

 先程死んだドラットを囮として、機龍の隙をついて攻撃を仕掛けたのだ。

 

 ピシャアアッ!!

 

 そして、そんな頭のキレる「卑怯者」にくれてやる末路(エンディング)は、既にイツムの中で決まっていた。

 ドラットが突っ込んできたのが機龍の右からだったというのもあるのだろう、機龍はサッと右手だけを向けた。

 するとどうだろう、右手首が突然回転したかと思うと、槍や鏃を思わせる形状へと変化した。

 

 ………スパイラル・クロウ。正式名称、4式対獣掘削装置。

 新造された機龍の右腕に搭載した武装である。

 この武装が何なのかについては、もっとも単純明快な一言で説明できる。

 それはッ!

 

 ど ぐ ち ゅ あ

 

 ドリルである。

 グレンラガン、ゲッター2、そして東宝特撮的には轟天号の艦首についている回転掘削機、ドリルである。

 本来は分厚い岩盤等を突き破るために使われるドリルは、その破壊力は勿論折り紙付き。

 

 ばぎゃっ!ぎゃぎゃぎゃ!

 

 ブチブチメキメキィ!

 

 ぼたっ ぐちゃあ

 

 それは突っ込んできたドラットに容赦なく突き刺さり、肉片と骨をミキサーにかけられたミンチのように撒き散らしながらその黄金の身体を四散させる。

 ドラットは断末魔をあげる事すら許されず、想像を絶する苦痛と共に金粉を撒き散らしながら絶命した。

 

「ぜえ………ぜえ、ど、どうだ!?」

 

 機龍の性能に助けられたという面はあったにしても、あっという間に三体のドラットを撃滅してみせるイツム。

 もしここが地球で、彼が抗戦派のパイロットか何かだったなら英雄と祭り上げられていただろう。

 ザラブ星人の改修によりコックピットにかかるG問題は解決した。

 が、それでも戦闘というのはかなりの疲労を感じさせる。荒い息で宇宙服のヘルメットを白く染めるイツムは、それを物語っている。

 

 ………ひとまず脅威は去ったと安堵したイツムであるが、「それ」は彼を逃さなかった。

 知らぬうちに発していた僅かな、ほんの僅かな邪念とも言うべき戦いの中での感情の高ぶりを嗅ぎつけたのかも知れない。

 

 ………ズズズズ………

 

 最初は、地鳴りとなって現れた。

 機龍に乗っていても感じるような地面の揺れ。ただの地震と呼ぶにはどこか不自然にも思えた。

 

「何だ………?」

 

 段々と地鳴りが大きくなる。まるで近づいているかのように。

 そしてピタリと突然地鳴りが止まり、静寂が流れる。

 ………ただの地震だったか?そんな希望的観測がイツムの頭に過った、直後である。

 

 

 ず   お   !

 

 

 機龍の眼前。ファクトリーシティの地面が、まるで噴火したかのように土石流の爆発を撒き散らす。

 綺麗に舗装された地面を突き破り現れたのは、60mある機龍より頭二つ分大きい80mの巨体。

 

 ギュアゴオォォオオオン!!

 

 充血した赤い目に、亀か恐鳥類を思わせる嘴の顎。

 黄金の身体と、背中を覆う金色の氷山のような甲羅を持ち、両腕は古代の刀剣を思わせる鋭い金色の刃となっている。

 かろうじて身体の各部に見られる金色の鱗が、それがドラットと同じくキングギドラの細胞(にくへん)から生まれた怪獣である事を物語る。

 

 その怪獣は、我々の世界において「アレルギドラ」と呼ばれている怪獣だ。

 キングギドラに倒されたカイザーギドラの肉片を食べた一頭のドラットが、その細胞を吸収して突然変異を起こし、この姿へと変貌した。

 

 ギュアゴオォォオオオン!!

 

 アレルギドラは眼前の機龍を一目見た瞬間、すぐに敵と認識した。

 尾の先端の花弁のような部分をガラガラヘビのように、もとい親とも言えるキングギドラのようにジャカジャカと鳴らし、威嚇行動を取る。

 

「こいつ………やるかぁッ!!」

 ピシャアアッ!!

 

 それが敵対の意思表示であると認識したイツムは、機龍のバックパックのロケットランチャー、そして両腕のレールガンをアレルギドラに向けて放つ。

 ズドドン、ドン!と放たれた砲弾と弾丸はアレルギドラに向け真っ直ぐ飛んだが、アレルギドラは避ける素振りを見せない。これは何故か?

 

 理由は簡単、通じないからだ。

 ロケットランチャーもレールガンも、アレルギドラの強靭な体表を打ち破るには至らない。直撃して爆発が起きようとかすり傷一つつかない所か、怯む様子すらない。

 

「嘘だろ!?」

 

 イツムが面食らったのも無理はない。

 特にこのロケットランチャーの威力は、2016年に現れたゴジラ(シン・ゴジラ)に明確なダメージを与えたバスターアンカーのそれに匹敵するのに、だ。

 

 ギュアゲェエ………!!

 

 そんなイツムを嘲笑うかのようにアレルギドラが唸る。

 次の瞬間、背中の結晶体が内部で光が破裂(スパーク)するかのようにビカビカと光ったかと思うと、なんと結晶体から引力光線が放たれた。

 それも一発や三発ではない。それこそ2016年のゴジラ(シン・ゴジラ)の放射線流がごとく背中の結晶体全体から放出するように何発も放たれた引力光線が、誘導ミサイルのように機龍めがけて降り注いだ。

 

 ………ここで、引力光線の話をしよう。

 この世界のキングギドラが口から吐くのは、実は電気エネルギーの光線である。しかし、この技は他世界の固体のように引力光線の名前で呼ばれている。

 というのも、普通は四散してしまう電気エネルギーを引力により圧縮・収縮させ、狙った一箇所に向けて放つのが、この引力光線の正体。だからただの高圧電流光線でありながら、有機体はおろか電気を通さない物質ですら破壊できるのだ。

 

 それを応用すれば、この通り。

 

「ぐあああっ!?」

 

 引力光線を浴びた機龍は、まるでアニメの感電描写のように全身に見える程の電流を浴び、コックピットのイツムもダメージを受ける。

 それだけでは終わらず、なんと機龍の4万tの巨体が宙に浮き上がった。

 

 ギュアゲェエ………!!

 

 アレルギドラがその剣のような腕をサッと翳すと、機龍の装甲がミシミシと音を立てる。

 

「ま、まさか、機龍を押し潰すつもりか!?」

 ギュアゲェエ………!!

 

 そうだよ?と嗤うようにアレルギドラは唸る。

 イツムは電流により痺れる身体に鞭を打ち操縦桿をガシャガシャと動かすが、機龍はどうにもならない。

 引力光線により外界と切り離された機龍はどうする事も出来ないのだ。

 

「このおっ!動け!動けよぉっ………!」

 

 ミシミシと装甲が軋む音がする。

 ボンッ、とコックピット内に爆発が起きる。

 まるで泡を吹くかのように顎をガクガクと震わせ、白目を剥くかのように目を点滅させる機龍。

 

 今にも破壊されようとしている文明の化身(メカゴジラ)を前に、アレルギドラの中に流れるキングギドラの血が、本能的な喜びを感じてゲッゲッゲと嗤った。




Q.アレルギドラって誰?
A.田辺三菱製薬とのコラボで登場したべノラみたいなオリジナル怪獣
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