金カ夢の短編集
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初めて現パロ書きました( 'ω')
絶対二番煎じ。
月島さんに「俺のために争わないでください」と言わせたいがために作りました(笑)
鯉登と言い争って月島さんを取り合いたいのです(*´`)
白蛇シリーズでも絶対に入れたいのですが、樺太までの道のりが長過ぎて・・・
我慢出来ずに書いちゃいました(´▽`)
匿名感想箱作りましたので、コメントいただけると嬉しいです(*´`)
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『ちょっと〜、音が引っ張ったからこっち短くなってんですけど!』
目の前に座る従兄弟に向かって抗議すると、特徴的な眉毛に皺を寄せて更にコタツ布団を引っ張ってきた。
「ふん。あたいは背が高か分、布面積が必要なんじゃ。小せきさんには分からんじゃろうがな」
こんの、ワガママ坊ちゃんめ!!
『小さいの関係無いでしょー!もう何とかしてください月島さん!!』
「はいはい。鍋そっち持って行くんで、机の上空けてください。鯉登さんは七海さんを困らせない」
「キエッ!元はち言えば結月が割り込んで来たんじゃろ!独り身じゃっでってあたい達ん年越しに邪魔しおって!」
『むぅ・・・年越し一人なの寂しいじゃんかぁ』
「いいじゃないですか。鯉登さんだって毎年勝手に乗り込んで来るんですから、似たようなもんですよ」
従兄弟の音之進、そして音之進の部下の月島さん。
そこに私が参加するのは傍から見れば不思議だろうが、私達は度々こうやって集まっている。
もっぱら外で飲むことの方が多いが、今日は大晦日。
特別に月島さんの家にお邪魔させてもらった。
コタツでミカンをむいむいして、つけっぱなしのテレビからは聞き覚えのある流行りの歌が流れている。
あぁ。またも告白出来ないまま、年が暮れるのか。
従兄弟の音之進とは、同じ薩摩の出身だ。
東京に出て偶然職場が近いことが判明し、ちょくちょく二人で仕事終わりに飲みに行っていた。
珍しく音之進が酔っ払った日、彼は誰かに電話をかけた後に潰れて、どうしようかと困り果てていた私の元へ、音之進を迎えに来たのが月島さんだった。
会社でもプライベートでも手のかかる弟ポジの音之進(本人はそう思ってない)。
何故か憎めないので、つい世話を焼いてしまうのは月島さんも同じらしい。
そうやって自然と三人で会うことも多くなり、今に至る。
「はい、出来ましたよ棚田鍋です」
『わぁっ、いい匂い!新潟の温泉地で出されてるメニューって前に言ってましたよね!!』
お米好きの月島さんがよく作るというこの鍋には、魚沼産コシヒカリの重湯が使われているそうだ。
「美味そうじゃな!結月、はよミカンを退けっ」
私はミカンを退かそうしたが、音之進の手が伸びてきて半分食べられてしまった。
『そうやって、いっつもあたしが剥いたやつ取るんだからぁ!』
「せからしかっ、邪魔じゃっでたもってやったんじゃっ」
「ほらほら、熱いんで気を付けてください」
並べられた月島さんらしいシンプルな食器達の中に、グレーの犬であろうキャラクターが小さく描かれた可愛らしい箸が目の前に置かれて、何だか胸の奥がザワザワした。
二人の箸は、食器に合わせて無地なのに。
一膳だけ・・・という事は、彼女が使っていた物だろうか。
何年も前に別れた、と音之進から聞いたことがあるけど。
捨てられない程に未練があるのだろうか・・・と顔も知らない女性を頭に浮かべてモヤモヤしている私の心など、彼は気付いていないだろう。
ハッと我に返って、月島さんがよそってくれた湯気のたつ深皿に両手を伸ばして『いただきます』と出来るだけの笑顔を向けた。
片思いなんて可愛らしい気持ちではない、醜い嫉妬を燻らせているなんて知られない様に。
音之進には度々相談しているが「告白したやよかじゃろ」と言われるだけだ。
真っ直ぐな彼らしい返しだけど・・・『それが出来たら苦労しないのよ』と嘆いてお酒をあおって酔い潰れて、次の日の朝後悔するのが月に一度はある。
「美味かね〜、結月が持って来た酒に合うとじゃなかか?」
『月島さんにおもてなしさせてばっかりで・・・いつもすみません。こちらお納めくださいっ』
そう言って焼酎の一升瓶を渡すと、月島さんはフッと口角を上げた。
あ、好き。
普段あまり笑わない月島さんが笑顔を向けてくれるなら、何だってしたい。
「ありがとうございます。コレ、前に鯉登さんの行きつけの店で飲んで美味かった銘柄だ」
御明答、大正解です。
音之進から聞いた月島さんの情報は、一語一句聞き逃さないのだ。
『えへへ、音から月島さんが美味しいって言ってたって聞いたから・・・』
途端に恥ずかしくなって、どんどん声が小さくなってしまった。
そんな私を見て音之進がにんまりと笑い「せっかっ美味か鍋と酒があっど。冷めん内にたもっど」と偉そうに言ってイラッとしたが、今はそれに救われた。
鍋をおかわりする前に「私は重湯だけじゃ我慢できないので、早々に米も入れてしまうんですが・・・いいですか?」と月島さんが言って、予め研いであったのであろうお米を、キッチンから持って来てくれた。
『最高です。これだけでも美味しいのに、これ以上私達の胃袋を掴んでどうする気ですか?』
「月島を嫁にもらうしかないな」
『音にはあげないよ、私がお嫁さんにもらうのっ!』
「月島はおいんだぞ!」
『私の月島さんなの!』
「なんで俺が嫁設定なんですか」
こういう事は、音之進がいれば冗談に見せかけて言えるのにな。
「俺のために争わないでください」といつものやり取りで場が和んで、鍋もお酒も時間も進んで行った。
◇◇◇
『音〜、風邪引くよぉ?』
ほろ酔いで眠くなった音之進が、机に突っ伏してうとうとしていた。
ミカンを唇に押し付けると、もごもごしている。
ふふ・・・虫みたい。
「年末の業務が立て込んでいたんで、疲れてるんでしょう。奥の部屋に布団用意してあるんで、連れて行きます」
全く、何も考えずに甘えてるんだから・・・羨ましい。
あぁ、音にまで嫉妬してる。末期だな。
「鯉登さんよく寝てますね。多分明日の朝まで起きないと思いますよ」
戻って来た月島さんは、冷蔵庫からペットボトルの水を取り出し、キャップを外して目の前に置いてくれた。
仏頂面なのに気遣いが出来るなんて、これ以上私を惚れさせないでください。
『お水、いただきますね。ほんっと毎回すみません・・・いつまで経っても甘ちゃんなんだから』
「はは、もう慣れましたよ」
音之進がいなくなって、月島さんが右隣に座って、少し静かになった部屋。
居た堪れない心が私の手を動かして、ミカンへ伸びる。
『この箸、カワイイですね。犬・・・かな?月島さんみたいに渋い顔してる』
あ、ささくれ。
下を向いてミカンの皮をむいむいしながら、何とも思っていませんよ、という顔をして聞いてみた。
この複雑な乙女心に気付いて欲しくないし、気付いて欲しい。
でも、この気持ちをさらけ出して断られてしまえば気まずくなって、音之進繋がりの彼とはもう会うことも叶わないだろう。
それなら・・・このコタツの温度設定が"弱"のままの様に、私達の関係がこれ以上熱くならなくたって我慢できる・・・する。
「それ、先週買ったんです。貴方が来るって鯉登さんから聞いて」
『え?!わざわざ買って来てくれたんですか?』
突然の月島さんの発言に、思わず右を向いた。
思ったよりも月島さんの顔が近くて、心臓の音が聞こえてしまいそう。
どうしよう、口元が緩んじゃうじゃないか。
目が逸らせない私の手元から月島さんは片手でミカンを取り上げて、こちらをじっと見ている。
何か言いたいのに役立たずの私の口は、はくはくとするだけで言葉を紡げない。
「結月さんにミカンを剥くのは俺がしますし、来年もその箸で棚田鍋を一緒に食べてくれませんか」
初めて名前で呼ばれた・・・嬉しすぎる。
・・・っじゃなくて!!
『え、それってどういう・・・?』
除夜の鐘が遠くで鳴っている。
平常心を取り戻す為にその音を数えていると、コタツの中で月島さんの手が私の手に重なった。
テレビからは、年明けの騒がしい声が響き渡る。
「あけましておめでとうございます。来年もそのまた先も、よろしくお願いします」
『はぃ・・・』
コタツの温度は、依然として"弱"に設定されたまま。
それなのに月島さんの手はカサついていて、堪らなく熱かった。
・・・きっと、私の顔はそれ以上に熱い。
──────後日、音之進から「上手きったげなな」と意味深に笑われたのは、また別の話。