見切り発車です
漫画のサカモトデイズにハマった結果、ゼンゼロの世界に篁さんみたいな人がいたらどうなるかと思って書きました。
用語など描写が出来ていない場面もあると思います。

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もしもゼンゼロにこんなキャラクターがいたら

 

 

 

 その日、新エリー都治安局のヤヌス区分都市秩序部捜査課に属する特務捜査班は書類仕事に追われていた。班長の朱鳶を筆頭に班員で治安官の歴が長い青衣(チンイー)は、黙々と進め、新米でオオヤマネコのシリオンであるセス・ローウェルは苦戦しながらも書類を捌いていた。

 そんな中、朱鳶は書類を整えながら口を開いた。

 

 

「そういえば、今日でしたね……。」

 

 

「今日…?あの、何かあるんですか?」

 

 気になったセスが彼女に問う。すると、彼女の代わりに青衣がセスの疑問に答えた。

 

 

「そうか、セス坊は知らなんだか。………今日はな、朱鳶の同期の命日であったのだぞ。」

 

 

「………え゙ッ!?そ、そうなんですか!?す、すみません班長!軽々しく聞いてしまって…。」

 

 

「いえ、気にしないで下さい、セス君。」

 

 

 セスが慌てて謝ると、朱鳶は静かに首を横に振った。その表情はどこか遠くを見つめているようだった。

 

 

「それで、その方は……どんな人だったんですか?」

 

恐る恐る尋ねるセスに、朱鳶は少しの間だけ沈黙した後、静かに口を開いた。

 

 

「……優秀な治安官でした。誰よりも真っ直ぐでした。でも、それだけじゃない。あの人は……どんな時も決して弱者を見捨てない人でした。」

 

 

「……そんな方が、なぜ……?」セスの問いは自然と零れた。

 

 

朱鳶は少し目を伏せ、書類を整えながら静かに答えた。

 

 

「ホロウ災害の鎮圧中に、命を落としました。」

 

 

その言葉が部屋に重く響いた。

 

ホロウ災害──それは、都市のどこにでも突如発生しうる、異常現象。その原因は未だ解明されておらず、治安局は常にその対応に追われていた。そして、多くの人間が犠牲となってきた。

 

 

「……私は、彼の意志を継いで、ここにいます。」朱鳶はそう言うと、静かに書類へと視線を戻した。

 

 

セスは何かを言おうとしたが、言葉が見つからなかった。

そんな沈黙を破ったのは、青衣だった。

 

 

「さて、おしゃべりはここまでにしておこうかの。朱鳶、本日はどうする?」

 

朱鳶は一度まばたきをしてから、気持ちを切り替えるように顔を上げた。

 

「……通常通り、パトロールを続けます。事件が起きれば、それに対応するだけです。」

 

「了解。」青衣が頷く。

 

セスも小さく頷きながら、まだ胸の奥に残る朱鳶の言葉を反芻していた。

 

──誰よりも真っ直ぐだった。

 

それは、今目の前にいる朱鳶自身のことでもあるのではないか。

そう思いながら、セスは深く息を吐き、机上の書類に視線を戻した。特務捜査班の一日は、いつもと変わらず続いていく。だが、今日という日は、確かに彼女にとって特別な意味を持つのだろう。

 すると、書類仕事に一区切り着いた特務捜査班の元に、急報が入った。

 

「報告! ヤヌス区の南部工業地帯でホロウの発生を確認! 現場で共生ホロウの疑いあり!」

 

 通信機越しに飛び込んできた報告に、朱鳶はすぐさま反応した。

 

「詳細を。」

 

「既に周辺住民の避難誘導は完了。しかし、内部ではエーテル反応が急激に増大中。状況が不安定で、これ以上の一般部隊の突入は危険と判断されました!」

 

 つまり、特務捜査班の出番というわけだ。

 

「了解しました。すぐに向かいます。」

 

 朱鳶は通信を切ると、青衣とセスを見渡した。

 

「出動します。先輩、車の準備をお願いします。」

 

「ぬかりはないぞ。セス坊、準備はいいか?」

 

「ええ、もちろんです!」

 

 セスは勢いよく立ち上がり、装備を整える。特務捜査班はすぐさまホロウ発生地点へと向かった。

 

 

 現場に到着すると、既に空間はホロウ特有の歪みに飲み込まれつつあった。巨大なドーム状の闇が工業地帯を包み込み、内部からは結晶化したエーテルが不気味に輝いている。

 

 朱鳶は顔を引き締め、青衣、セスと共にホロウの中へと足を踏み入れた。

 

 ホロウ内部は、異質な静けさに満ちていた。

 

 ひび割れたコンクリートの床に、緑と青が混じったエーテルの結晶が点在し、周囲の空間は不規則に歪んでいる。まるで時間と空間そのものが不安定になっているかのようだった。

 

「……班長。」

 

 セスが低く呟く。

 

「油断せずに進みましょう。」朱鳶は静かに言った。「エーテリアスが潜んでいる可能性が高い。気を引き締めて。」

 

 青衣が周囲をスキャンする。

 

「……前方にエーテリアス。単体ではなく、複数……!」

 

 その瞬間、金属を引き裂くような甲高い音と共に、暗闇から無数の影が飛び出してきた。

 

「来ます!!」

 

 セスが咄嗟に警棒を構え、飛び掛かってきたエーテリアスを迎え撃つ。

 

 エーテリアス──それは、ホロウ内部に生息する、エーテル侵食を受けて結晶化した体と、小さいブラックホールのようなコアで出来た怪物。

 

 巨大な牙を持つ獣型、異常に長い手足を持つ人型、そう変異した異形……次々と襲い掛かるエーテリアスに対し、特務捜査班は迎撃を開始した。

 

「班長!! 後ろ!!」

 

 セスの叫びと同時に、朱鳶は素早く身を屈め、背後から襲い掛かる影を回避。サプレッサーを抜き、間髪入れずに発射した。

 

 轟音と共にエーテリアスが吹き飛ぶが、それだけでは止まらない。

 

 青衣が素早く動き、三節棍を振るう。

 

「まとめて粉砕するぞ!」

 

 青衣の連撃により、数体のエーテリアスが光の粒子となって弾け飛ぶ。

 

 しかし、次の瞬間、より巨大な影が立ちはだかった。

 

 それは、他のエーテリアスとは一線を画す存在だった。

 

 全身が漆黒の装甲で覆われ、鋭利な刃のような腕を持つ異形の怪物──明らかに通常のエーテリアスとは異なる、強力な個体だ。

 

「…これは…厄介ですね。」

 

 朱鳶が低く呟く。

このホロウの核となる存在。共生ホロウの中心に現れる、最も厄介な怪物。それは朱鳶たちを認識すると、耳をつんざく咆哮を上げた。次の瞬間、猛然と襲い掛かってきた。

 

「──くっ!!」

 

 朱鳶が咄嗟に回避するが、その速度は凄まじかった。

 

 セスが警棒と盾を大剣にさせ反撃を試みるも、装甲の硬さに阻まれる。

 

「……硬い!?」

 

 青衣が振りかかるが、いとも容易く弾かれる。

 

「こやつ……ただのエーテリアスではない!」

 

 相手の一撃は重く、速い。攻撃の隙を突こうにも、反応速度が異常だった。

 

 朱鳶は冷静に状況を分析する。

 

 このままでは、戦況が不利―。そう思った瞬間、エーテリアスが再び猛攻を仕掛けてきた。爪が閃き、空気を裂く。セスが紙一重で避けた直後──

 

 ズバァッ!!

 

 突如として、エーテリアスの体が真っ二つになった。全員の動きが止まる。エーテリアスの残骸が、ゆっくりと地面に崩れ落ち、静寂が訪れる。 誰もが言葉を失った。

 

「……今の、何が──?」

 

 そして、静寂の中、日本刀を持った一人の白いワイシャツに黒のジャケットとパンツを履いた男が歩いてくる。肩まで伸びた白髪や伸ばしたままの髭といった出で立ちは年老いているとしか思えなかった。何やら小声で「〜〜〜〜〜〜」と意味の分からない言葉を唱えている。

青衣とセスがが即座に構える。しかし、朱鳶には見覚えのある男だった。

 

それは、3年前に殉職したはずの、朱鳶の同期。鶴田 宗近(つるた むねちか)だった。彼女のかつての記憶とは全く違い、朱鳶は言葉を失う。生きていたならなぜ連絡をしてこなかったのか、聞きたいことは山程ある。本物の鶴田宗近なのか、彼女が口を開く。

 

「あ、貴方は――――」

 

うっひょーーー!!!

 やっぱすげえなぁオイ!!!」

 

 いつの間にか、宗近の周りをガラの悪い男たちが囲んでいた。どうやら、宗近はこの男たちとホロウ内で行動を共にしていたようだ。興奮した男は、朱鳶たち治安官には気づかず、仲間の一人に話しかけた。

 

「なぁ、やべえだろこのジジイ!」

 

「〜〜〜〜〜〜」

 

 「ほんとになァ!エーテリアスに襲われちまったときはどうしようかと思ったぜ!これで殺したガキと一緒にお陀仏なんてことはねえよな!!

 

 

瞬間、捜査班の3人に緊張が走る。それは犯罪を軽々しく自供したことからではなく、目の前に棒立ちしていた男から発せられる殺気によるものだった。

 

 

「〜〜〜〜〜」

 

 

「ちげぇねえ!」

 

 

「ギャハハハハハ――」

 

 

 ドシャッ

 

 

「ハ?」

 

「お、オイ、お前……う、腕…腕が……!」

 

「はあ?腕なんて……う、うわぁぁあっ!!腕、俺の腕がぁぁッ!?」

 

 次の瞬間、驚愕の声が響き渡る。周りにいた男たちの顔色が瞬時に変わり、目の前の男の腕が無くなったことに気づく。腕が見事に切り落とされ、血が飛び散り、地面に落ちていく。

 

「な、なんだとっ!?」 「う、うわっ!なんだこいつ、どうなってんだ!?

男たちは恐怖に顔を歪ませて後退る。その瞬間、

 

 

「……テメェら、俺がボケてると思ってんだろ」

 

 

 そう呟くと、周囲の空気が一変した。男たちは一斉に宗近に対して向き直り、手に武器を取ろうとしたが、その動きがあまりにも遅すぎた。宗近が一瞬で抜刀し、男2人を斬殺。軽く刀をひと振りし、腕を落とされた最後の一人を突き刺した。

 

 

「ヒィッ、に、逃げ――――」

 

 

「〜〜〜〜〜〜〜〜」

 

 グシャッ!

 

 

それを見ていた特務捜査班のセスと青衣は捕縛を試みる

  

「い、一体、何が……」

 

「とにかく、彼の者を捕縛する他あるまいて。セス坊、慎重に参るぞ」

 

「は、はいッ!」

 

 

「……宗近……どうしてですか……。」

 

 

 

「〜〜〜〜〜〜〜」

 

 

その後、ホロウから脱出した特務捜査班は、鶴田宗近の身柄を拘束。

しかしまともに宗近が喋ることができないことや、敵意にしか反応しないことが判明し、特務捜査班の監視下に置かれる事となった。

 

 

 

 

 

 

 

 





鶴田宗近...3年の間に色々あった人、災害の救助の際、死んだと思われていたが生きてた。朱鳶とは学生時代からの同期だった。

朱鳶...死んだと思ってた同期が生きててめっちゃ驚いた人。なにかあったんだろうなとは薄々感じている

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