陸王が無事に復帰ライブを終えた数日後。今日も真白は封印から解かれたであろう厄災の気配を探るためあちこちを散策していた。
「探しているのは、僕でしょ?」
「っ!」
唐突に声をかけられた真白は、その声に反応して振り返る。そこには最後の厄災が、厄災の親玉である存在そのものがいた。
『熊手、もしかしてコイツが?』
「あぁ、レクス。厄災の親玉だ」
「熊手真白くん、元気だった?」
気軽な雰囲気で真白に話しかけるレクスにベアックマはこんな相手が本当に厄災の親玉なのかと疑問を抱きながら近づく。
「油断するなベアックマ。とぼけた顔をしているが、中身はとんだ極悪人だ」
迂闊なベアックマに注意した真白はレクスを睨みつける。
「レクス、お前には本当に沢山の大切なものを踏みにじられたな」
「やだな〜真白くん。僕の名前はドゥーラ・レクス・セド・レクス。勝手に省略されるのはやだよ〜。まぁそれは置いておいて、今日は真白くんに素敵なお願いがあって来たんだ!」
レクスの提案に耳を貸す気のない真白は武器グーデバーンを構えた。
「黙れ。俺様の前に現われたこと、後悔させてやる!エンゲージ!」
【ゴジュウポーラー!】
ゴジュウポーラーに変身した真白はレクスへと殴りかかる。しかしその一発は瞬間移動で回避されてしまい、肝心のレクスはベンチに座り青空を眺めていた。
「みてみて真白くん。あの雲クマみたいだね〜」
「舐めやがって」
【フィニッシュナックル!!】
必殺の拳を叩き込んでレクスを凍らせて粉々に砕いたゴジュウポーラーだったが、レクスは瞬時にその身体を再生、いや、復活させてしまう。
「いきなり酷いな〜。でも僕は死なないよ。僕は全ユニバースの厄災そのもの。死という概念の外側にいるんだ」
死の概念が存在しない存在。それをさも当然のように語るレクスは戦意を真白に向けようともしないまま語る。
「真白くん。君が僕に敵意を向けるのは君が僕の事を知らないからだ。だから僕たち厄災のことを教えてあげるね!」
自分の事を真白に教えることを告げたレクスはゴジュウポーラーとベアックマと共に海の一望できる砂浜へと瞬間移動する。その瞬間移動でどういう訳か変身が解除された真白は自身の姿に一瞬驚くも、即座にレクスを睨みつける。
「綺麗な海だね〜」
「ふざけるな!どういうつもりだ!」
「この海も原始時代から比べてかなり変わったね。どのユニバースの海もそれがなければ人類は発展しなかった。そんな生命の幸福を支えてきたのが厄災なんだ」
真白がレクスに詰め寄ろうとした矢先、海の向こうに見えていた貨物船が突如として爆発。炎上しながら沈みだした。
「なっ、何をしたレクス!」
「僕は何もしてないよ~。僕がいると潜在的な厄災が活発になるだけさ。様々なユニバースでたくさんの知的生命体が生まれた。そんなラッキーに釣り合ったアンラッキーがユニバースがよりハッピーな進化をしていくためには必要なんだ」
「必要なことだと?多くのユニバースを終わらせた事がか?」
「神様。この場合創造主って言えばいいかな。そんな創造主たちが頑張ってラッキーを振り撒いた結果ユニバースが増えすぎてアンラッキーが釣り合わなくなったんだ。全宇宙のラッキーアンラッキーの均衡を整えるためにはユニバースを1回全部リセットして、整理しなきゃならなかったんだ」
レクスは真白たちと共に町に戻った瞬間、東京タワーに落雷が落ち、崩壊。その被害で沢山の人々が犠牲になった。
「やめろレクス!」
「ごめんよ〜。だけど僕にも始まった厄災は止められないんだ。だってこのユニバースも、いや、全ユニバースは1度滅びる運命だったからね。そんな運命をギリギリのところでストップさせたのが熊手真白くん。君とテガソードなんだ。おかげで全ユニバースの法則が捻れちゃって、他のユニバースの人たちがこっちに流れ着く無秩序も起きちゃってる。その無秩序を正そうと厄災クラディスは再開したんだ。つまり今厄災が活発的になっている原因の一端は真白くんにもあるってことだよ」
今の厄災は自分のせいでもある。そう言われた真白は動揺のあまり動悸を起こしてしまっていると、レクスはその手を真白の肩にポンと置いた。
「真白くん!神になってよ!一緒にこの無秩序を正そう!」
こうして厄災の王、レクスは真白に神になる事を提案してくるのだった。
「まったく。クマたんは何処に行ってしまったんだ。今日はホエルっち&クマたんとソラはれ&まっしーの争奪戦の日だと言うのに」
「まさかアイツ、怖気づいてたりしねぇよな?」
ところ変わってホエルたちはというと、争奪戦3回戦を行う前に学園へと足を運ぼうとしていたのだが、待ち合わせ時間を過ぎても真白が現れなかったことを心配していた。
「そう言えば昨日から角乃ちゃんと健さんにも連絡が付かないね。2人で特訓でもしてるのかな?」
「突然ごめんね〜!」
学園の敷地に入るやいなや、真白はレクスと共に瞬間移動でホエルたちの前に現われた。
「こんにちは。僕はドゥーラ・レクス・セド・レクス!厄災クラディスの王様です!」
「テメェ、何ふざけた事を」
「そいつの言っている事は本当だ。そうだろう。熊手真白」
本郷猛がその場にやって来ると、真白に真意を確認する。
「あぁ。2代目の兄貴が身体を張って張り直した封印が完全に解かれちまった」
「そんな・・・」
ホエルはクオンがその身を犠牲に封印した相手が世に放たれた事にショックを受けるも、レクスはそんな事など気にしない。
「今日は皆さんにお願いがあって参りました」
レクスは何処からか手土産を取り出して竜義へと渡す。
「真白くんを僕にください!」
その予想打にしない言葉にホエルたちは目を丸くしつつも竜義は手土産を開ける。そこには『厄』と文字が入ったどら焼きが納められていた。
「これまで君たちには同胞が大変お世話になりました。疫病に戦禍、飢餓に死。だけどそれらを倒しても厄災自体はなくならない。厄災っていうのは君たち人間が守るべきルールだからね」
「大変です学園長!学園中で感染症が蔓延して、生徒たちが!」
鳴介は学園中で病に倒れる生徒たちが多発していることを本郷猛に報告しに駆けよってくる。当然鳴介はレクスに驚いていたが、誰一人鳴介に状況は説明しなかった。
「ドゥーラ・レクス・セド・レクス。悪法もまた法であると言う意味だったか」
「詳しいね〜。だからその法を正しく執行する神様が必要なんだ。真白くんっていう新しい神様がね。僕はテガソードの事はキライだけど真白くんのことは結構気に入っているんだ。ヤツが作っちゃったユニバースの歪みを一緒に正そう!1回全部のユニバースを壊して作り直すんだ。そうやってユニバースのバランスを取るんだ。そうしたらユニバースは君の遊び場にしていいからさ」
「ふざけんな!滅びるのはお前だけでいい!」
「うーん。分からないかな?なら!」
姿を凶悪なものへと変えたレクスは竜巻を作り出すと、その竜巻は一瞬にして学園を、そして周囲の建物や町をめちゃくちゃにしてしまった。
「厄災は絶対のルール。その身で味わえ」
この町だけでない。世界中に、様々な残るユニバース中に厄災による被害が多発して崩壊が始まる。
「我は全ユニバースの因果律。逆らう事は許されない」
「何がルールだ!何が因果律だ!そんな事俺らが知った事か!」
【ゴジュウウルフ!】
【ゴジュウティラノ!】
【ゴジュウポーラー!】
ホエルたちは変身してレクスへと立ち向かう。すると騒ぎに気づいた和人も駆けつけてきた。
「まさか最後の厄災か!エンゲージ!」
【リュウソウジャー!】
リュウソウレッドに変身した和人も合わせて4人がかりでレクスに挑む。しかし4人は攻撃こそレクスに当たるにも関わらず、まるで手応えを感じていなかった。
「なんだか変じゃないですか?」
「まったく手応えを感じない」
「当然だ。我はユニバースのルールそのもの。死という概念はない」
「ならその因果、俺が焼き斬る!」
その場に乱入してきたファイヤキャンドルは烈怒へと変身すると黄金槍を振るってレクスを斬ろうとする。
「貴様は陰を断つ牙狼の力を変質させた戦士か。確かにその刃なら我の因果にも多少は干渉できるか」
「テメェにはノーワンワールドを滅ぼされた借りがあるからな。ここでぶった斬る!!」
怒りに燃える烈怒は黄金槍の刃をレクスへと何度も振るうも、瞬間移動やバリアでそれは届かなかった。
「面倒な。まとめて潰すか」
巨大な姿となったレクスの攻撃にゴジュウウルフと烈怒、そしてリュウソウレッドは吹き飛ばされる。
「おいでください!テガソード様!」
【アウェイキング!】
【アライジング!】
「来い!グーデバーン!」
【アウェイキング!】
竜義はリョウテガソードと超越人神一体し、真白もグーデバーンと人神一体すると、そこにさらにテガジューンも現われる。
『しょうがないから手伝ってあげるよ。身体を犠牲にした借りもあるしね』
どうやらテガジューンの中にはクオンことガリューデカリバーがいるようだ。
『コイツが厄災レクス』
『ガリュードよ。今こそ我々の贖罪を果たす時だ』
グーデバーンとテガジューンもそれぞれ最強の厄災に挑む覚悟を決める。
「テガソード。ユニバースの秩序を乱す悪魔め」
「テガソード様が悪魔だと?許さん!」
テガソードを侮辱された竜義は怒りを見せる。すると真白はテガソードに話しかける。
「テガソード、お前は厄災に対抗する願いから生まれたんだろ。なら気合い入れやがれ!」
『永きに渡るこの戦い。今日で終わらせる!』
リョウテガソードはレクスに刃を振るうも、その刃は瞬間移動で避けられて空振りになる。するとレクスはグーデバーンとテガジューンの背後に現われ、2体を殴り倒す。
『厄災レクス!私はもう1人ではない。我々家族の力を思い知れ!』
再びレクスに刃を振るったリョウテガソードはそのまま捕まえて抑え込むと、テガジューンとグーデバーンが必殺技の構えを取っていた。
『一撃で決めるぞ。グーデバーン』
『はい、母さん!』
【テガソード!インフィニティディバイド!!】
【ジューンフィニッシュ!!】
【ポーラー!グーデフィニッシュ!!】
リョウテガソードにテガジューン、そしてグーデバーンの必殺技が命中してレクスは確かに爆発したのだが、瞬時に復活を果たす。
「なんて奴だ」
「何度も言っただろう。我に死は存在しない!」
大量に展開した棘に貫かれたリョウテガソードたちは爆発し人神一体が解除されてしまうと、テガソードたちはダメージのせいで人間サイズまで縮んでしまいながら地面を転がる。すると人間サイズに戻ったレクスは起き上がろうとしていた竜義の前に立つ。
「テガソードに仕える悪魔の下僕よ。消えろ」
「っ!?」
レクスの胸の目が赤く輝いた瞬間、竜義は灰となって散り散りになるように消滅してしまった。
「おい、竜義?お前!竜義をどうした!!」
ホエルはレクスに竜義をどうしたのかと問い詰める。するとレクスはゴジュウユニコーンの指輪をホエルに見せてきた。
「今更何を驚いている。既に消えた仲間に気づいてなかったのか?」
遡ること半日前。レクスと早い段階で遭遇したゴジュウユニコーンとゼンカイザー、そしてゴセイレッドはレクスと戦う事になっていた。
「天装!」
ゴセイレッドが竜巻を発生させた隙にゼンカイザーは拳に青空の力を溜め、ゴジュウユニコーンはゴーゴーファイブのセンタイリングを取り出す。
「エンゲージ!」
【ゴーゴーファイブ!】
「ブイモードパンチ!」
「ひろがる!ゼンカイザーパンチ!」
ゴーレッドに変身したゴジュウユニコーンはブイモードブレスのコマンドを入力するとゼンカイザーとともにレクスへ殴りかかるが、その攻撃ではレクスを倒すことは叶わずに呆気なく3人は消されてしまっていた。
「3人共!貴様!!」
【ジェットマン!フィニッシュ!!】
遅れて駆けつけたレッドホークは3人の最後の瞬間を目にして怒りを露わにしながら必殺技を発動し、レクスへと突撃したが、彼の一撃はレクスへと届くことはなかった。
「そんな。・・・角乃たちが」
角乃たちが既に消されていた事に絶望したホエルは動きを止めてしまうと、レクスは次はホエルだと言わんばかりに胸の目を赤く輝せる。
「逃げろ!2代目!!」
「「危ない!」」
次はホエルが消される。真白がそうなって欲しくないと叫ぶも、ホエルがレクスに消されそうになった瞬間、陸王と禽二郎は2人してホエルを庇い消滅してしまった。
次回「破滅のCHANGE ポーラーララバイ」