キン肉マンスーパーフェニックス対オメガマン・アリステラ戦で語られた安土城と本能寺の変に関する超人界での史実。
それがどのようなものだったのか、当事者である超人閻魔ことザ・マンに語って貰った。

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本能寺の変〜何故超人閻魔は介入したのか?〜

「ねえねえ、ザ・マンの旦那。

 フェニックスちゃんとアリステラちゃんが戦った時、何とか城は昔のオメガの拠点で、何とかノブナマが超人墓場に攻め込もうとしたから潰したって聞いたんだけど?」

 流石は下等超人と言われても仕方ないキン肉マンの口調に、彼の大叔父が嗜めようとした。

「大王様、失礼ですよ!

 ちゃんとか、旦那とか、もっと超人界の恩人に敬意を表して下さい。

 そうですよね、ネメシス様」

 目付役のミートに機先を制されて、怒るきっかけを潰されたのは、キン肉スグルの祖父の弟たるキン肉サダハル、現在の名前はネメシスである。

(真弓め、しっかりした目付を見出したな。

 スグルも、このミートが居る限り、かつてのキン肉族のような腐敗した存在にはなるまい)

 安心したネメシスは、下品な子孫に釘を刺しつつ、その疑問に答えを聞き出す手助けをしようと思った。

 

「スグルよ、ミートの申す通りお前は礼がなっておらん。

 大体、何とか城とか、ノブナマって何だ?

 人に教えを乞うなら、もっと確かな事を話すのだな!」

「すんましぇん……」

「ミートよ」

「はい、ネメシス様」

「頭の悪い下等スグルに代わり、お前が質問せよ。

 それなら閻魔様も答えてくれようぞ」

「はっ」

「下等スグルって……それはないじゃないか」

「あー、もう、大王様は少し黙っていて下さい!

 話が進みません!

 失礼しました、ザ・マン。

 改めてお聞きします。

 織田信長が築いた安土城、そこが太古の昔、オメガの民が超人墓場に攻め込む為の拠点だった事は、キン肉マンスーパーフェニックスとオメガマン・アリステラの戦いで語られました。

 そして織田信長が安土城を築き、そこから再び超人墓場に向かおうとした事も。

 ですが、僕たちが分からないのは、人間にそんな事が出来るわけがない、万が一可能だったとしても、墓守鬼すら突破出来ないのではないか、それなのに何故天啓を与えて本能寺の変を引き起こしたか、です。

 如何に織田信長が偉人でも、超人閻魔が歴史に介入する程の事だったのでしょうか?

 いささか過剰だったように思われます。

 ですが、僕たちは真の貴方と接し、軽い考えでそんな事をする超人じゃない事を知っています。

 何かの陰謀が、あの時あったのでしょうか?」

「うおー、良いぞミート、よく聞いてくれた!」

(僕ちん、そこまで考えてなかったけど)

 

 一連のやり取りに、今まで黙っていたザ・マンであり、超人閻魔でもある男が口を開いた。

「ミートよ。

 確かに人間相手なら私がやった事は過剰だし、許される事ではない。

 人間の歴史を思うように操作する等、神を気取る所業だ。

 神の座を降りた私が忌み嫌う行為だ。

 だが、それは人間相手の話だ」

「まさか、織田信長は超人だったのですか?」

「え? しょんな事あるの?」

「察しが早いな。

 織田信長は人間だ。

 だが、超人に転生したのだ」

 

 ザ・マンの口から歴史が語られる。

 

「ネメシスよ、お前が超人墓場の門を叩いた時、超人強度は幾らだった?」

「確か、168万パワーでした」

「今は6800万パワーだったな」

「御意」

「完璧超人に転生した事で、これだけ変わる。

 正義超人のジェロニモは、元は人間で超人強度など無かった。

 人間から超人に変わる、それだけで脅威的な事なのだ」

「ジェロニモは、スーパーマンロードの神によって超人に変わりました。

 織田信長にも同じような神が味方したのでしょうか?

 それともスーパーフェニックスのように、邪悪の神が取り憑いたとか?」

 ザ・マンは首を振って両方を否定する。

「あの男を偉人と言ったな?

 確かにその通りだ。

 奴は自ら超人になる方法を見つけたのだ。

 それは地上のバランスを崩す、恐ろしい行為だったのだ」

 

 ザ・マンが遠い目になり、過去を語り始める。

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

「見つけた、あれがそうか!」

 その忍者の呟きは、誰にも聞こえないはずであった。

 安土城天主閣に設けられた仏塔、そこから奇妙な力が溢れている。

「そうだ、よく見つけたな、褒めて進ぜよう。

 何処の鼠かは知らぬが、満足であろう?

 儂自ら相手してやる故、有り難く思え」

 忍者は思わず飛び退る。

 背後には、とても大名とは思えぬ異様な気を放つ、寝巻き姿の織田信長が立っていた。

 

(これが前右大臣、織田信長。

 信じられない。

 まるで自分に依頼した神仏と同じ気配ではないか)

 忍者の足が震える。

 とても勝てない。

 こうなると忍者の判断は速い。

 戦う事など考えず、情報を持ち帰る事を優先する。

 撒菱、煙玉、装束を変えての変装とありとあらゆる手段で、異形の信長の目を眩まそうとした。

 しかし、どれも通じない。

 

「折角戦ってやると申しておる。

 詰まらぬ真似はやめて、儂の相手をせよ」

 忍者の全力の逃げ足に先回りされ、それどころか空中に浮いている相手に、逃げの一手は通じない。

 目的を果たす為にも、全力で戦って活路を見出さねば。

 忍者も、闇雲に逃げた訳ではない。

 今居る森は、罠を仕込んでいた為、それが使える。

 化け物相手に一矢報いられるだろう。

 

 忍者は木に駆け寄ると、そこに引っ掛けていた綱を持ち、木を蹴って信長に高速接近すると、首にそれを掛けた。

 それを目にも止まらぬ速さで数度繰り返すと、信長の身体は綱で雁字搦めとなる。

「秘術、蜘蛛糸縛り。

 織田右府、覚悟召されよ」

「面白き技よ。

 気に入った。

 儂に仕えぬか?」

(これでも効いておらぬと?

 化け物め、やはりここで滅する他無い)

 忍者は油が染み込んだ綱に火を放つ。

 綱が焼き切れる前に、信長は炎に包まれ、焼き殺されるだろう。

 

「フフフ……差し詰め焦熱地獄といった技かな?

 だが、焼き討ちなら儂は其方の何倍もしておるわ!」

 信長の身体から湯気が立ち昇る。

 すると、あっという間に雨が降り、火を消してしまった。

 

 言葉の無い忍者に対し

「今川治部を討った時も、朝倉左衛門督を倒した時も、雨は儂の味方であった。

 火も雨も儂の手の内にあり」

 と余裕の宣告をする信長。

 忍者はそれを黙って聞いている事は無く、再び逃げる。

「人の話を聞かぬとは、無礼であるぞ」

 信長は再び忍者の前に回り込むと、蹴たぐりを入れる。

 その一撃で忍者の身体は宙に浮く。

 信長も跳び、左手は忍者の上手を掴む形になった。

 上手投げ……ではない。

 むしろ帯を使って忍者右手を折るサブミッションであった。

 信長の右手は忍者の喉輪を掴んでいる。

 恐ろしい握力で、それだけで人を殺せた。

 信長は忍者の右手を折り、首を砕き、更に頭部を地面に叩きつけた。

 

「閂喉輪落としと名付けた技じゃが、満足したか?」

 織田信長は若き日より、角力が好きだった。

 相撲ではない、角力である。

 一個一個は角力の禁じ手に近い技だが、これを複合してドロップ技に仕上げたのだ。

「ふむ、折角の儂の技を受けて、何も話さんとはつくづく無礼者よ。

 まあ、楽しませて貰っただけ良しとする」

 そう呟くと、信長は去って行った。

 

(死んだと思ったようだな)

 忍者は実はまだ生きていた。

 忍者は割り切りが肝心である。

 技を受ける時、忍者は生を切り捨てた。

 ただあと半刻生きていれば良い。

 全身砕かれるのを覚悟し、死なない事に全生命力を投じた。

 それか報われた。

 最早死を待つだけ、生ける屍と化した忍者は、それでも閻魔堂という祠に這い寄ると

(閻魔様、最早話す事は出来ませぬ。

 自分の目、耳、身体を差し出しますので、それで悟って下さい)

 と依頼主に念じた。

(ご苦労であった。

 何か希望はあるか?)

 思いがけず返って来た神仏からの言葉に、忍者は遠い意識の中

(願わくば、あの信長の如き力を。

 長年培った技が、ああも役に立たぬは腹立たしき限り。

 力と技と両方有れば、忍びの術の真価を発揮出来よう)

 そう願った。

 忍者は答えを聞く事なく事切れる。

 

 結論から言えば、この忍者は転生し、忍者超人として活躍する事になるのだが、それはキン肉マンの時代まで待たねばならない。

 

 

 

 北極海にある完璧超人の拠点「聖なる完璧の山(モン・サン・パルフェ)」の一室に、完璧始祖と呼ばれる超人たちが集まっていた。

 回収した忍者の遺体から、彼の見たもの、聞いたもの、受けたものを幻影として投射する、完璧参式のミラージュマン。

 

「驚きましたね。

 たかが下等人間が、マグネットパワーの漏洩に気づき、それを人間に浴びせて超人化する技法を編み出すとは……」

 評論家然とした感想を漏らすのは、地球と超人と生命とを繋ぐ未知のエネルギー「マグネットパワー」の開発者たる完璧拾式サイコマン。

「偉そうに語るなー!

 テメェあんなインチキを見つけるから、人間如きにまで利用されてんじゃねえか!」

 激昂するのは完璧漆式ガンマン。

「テハハハハ、そう言うなよガンマン。

 あの場所はオメガの民の拠点だったから、サイコマンの責任とは言い切れないぞ。

 オメガの民もマグネットパワーには気がついていたからなあ。

 物事は多角的に、柔軟に考えた方が良いな」

 宥めたのは完璧伍式ペインマン。

 もっとも、この宥めは嫌いなサイコマンの責任を問いたいガンマン、楽しく口喧嘩をしたいサイコマン両方から不満を持たれている。

 

「しかし、どうする?

 我々完璧超人は、人間社会には介入しない事を掟としている。

 あの織田信長は、超人に変わったしまったが、それでも人間社会の指導者だ。

 出張るにも出張らないにも問題がある。

 あれが純粋な超人なら、無量大数軍を向かわせれば事が済むのだが」

 

 織田信長という特異な存在に対する問題点を指摘したのは、完璧陸式ジャスティスマン。

「ああ、あいつだけならどうにでもなるが、そうなれば多くの人間が死ぬだろう。

 そいつは後味が悪いぜ」

「超人墓場の監察官」こと完璧肆式アビスマンも同意する。

「いいじゃねえか、下等人間どもが幾ら死のうが!」

 とガンマンは喚いたが、彼以外はその意見に賛同しない。

 

「私に考えがある」

 ザ・マンが重々しく口を開いた。

「この件、あくまでも人間社会の事件として片付ける。

 ミラージュマン、シングマン、カラスマン、手伝って欲しい」

 言われて頭を下げる完璧参式ミラージュマン、完璧捌式シングマン、完璧玖式カラスマン。

「私は誘って貰えないんですか?

 閻魔さん」

 寂しそうなサイコマンだが、ザ・マンは

「お前には、安土城のマグネットパワー漏れを封じて貰う。

 超人それぞれに役割がある。

 マグネットパワー漏れの対応だけは、お前にしか出来ん」

 と答えられた為、満足気に引き下がった。

 

 

 

 ある晩より織田信長の重臣・明智光秀は

「マッ!」

 という声の後に聞こえる金属音に悩まされる。

 その音は、どうやら彼にしか聞こえていないようだ。

 

 不眠に悩まされる光秀は、参禅して気を落ち着けようとする。

 だが彼は、そこで地獄を見る。

 明徹な光秀は、禅をすると陥る幻覚「魔境」というのを知っていた。

 しかし、そんな光秀にして、その魔境は否定しがたいものだ。

 

 超人となった織田信長は、同じように側近たちを超人化させていく。

 超人は人間の力ではまず倒せない。

 砂を音で崩すとか、超人にだけ有効な殺人光線に人間なら対抗出来るとか、特殊な事情が無い限り、人間が何万人いても超人を倒せない。

 その超人を人工的に作り出せる織田信長は、ついに世界征服に乗り出した。

 マグネットパワーの悪影響なのか、その顔には邪悪な陰が貼り付いている。

 そして信長は

「強き者は多くある必要は無い」

 という結論にも達した。

 超人は彼の馬廻り衆だけで十分。

 そうして、重臣たちの粛正が始まった。

 彼、明智光秀も超人となった「鬼武蔵」こと森長可に、手と一体化した槍・人間無骨に貫かれた後、百段天馬落としという技で頭を砕かれて死ぬ。

 

 その幻覚から目覚めた光秀は、荒い呼吸とべっとりした汗が止まっていなかった。

 そして光秀は毎夜、その恐ろしい夢を見続ける事になる。

 

 明智光秀は、織田信長の超人化計画に深く関わっていた。

 安土城の礎となった観音寺城、その近くに在る観音正寺や金剛寺に僅かに遺されていた「謎の先史文明」の文書を読み解き、人間を上回る存在「超人」を知ったのは彼が先である。

 そして、何人もの爆散死体を作る実験の果てに、人間を超人化させる仏塔を開発したのも彼である。

 ザ・マンがサイコマンを光秀に近づけなかったのは、光秀がかなりサイコマンに近い性質である為、彼を惜しむ可能性があったからだ。

 それ程までに優秀な武将である。

 もし信長が、超人化計画を独占するなら、光秀は真っ先に殺されるだろう。

 

 光秀が信長に対し疑心を抱いた時点で、ザ・マンの計画は半分終了していた。

 光秀に対しては、折を見て「信長を弑す事が、あらゆる者から感謝される未来」という幻覚を、ミラージュマンが刷り込めば仕込みが終わる。

 問題は、超人化した信長と近習たちである。

 超人となった彼らを、光秀では絶対に倒せない。

 ザ・マンは異例な事ながら、自ら動いた。

 

 

 

「そこな者、誰ぞ?」

 天正十年六月二日、京都二条の本能寺にて眠りに着こうとしていた織田信長は、圧倒的な気配を感じて誰何する。

 かなりの強者だ。

 しかし、超人となって日が浅い信長は、実力差がどれ程かはまだ感じ取れない。

「グロロロロ〜。

 私はお前が攻め込もうとしている地の長、超人閻魔と言えば分かるのではないか?」

 夜目が効くようになると、甲冑のような物を纏った巨躯の男が立っていた。

「ほう?

 敵の大将自ら儂を討ちに来たか。

 重畳、重畳。

 返り討ちにすれば、儂の強さは更に強きものとなろう」

 尊大な信長に対し、ザ・マンは更に遥か上からの言葉で返す。

「重い上がるな、下等!

 目障りではあるが、お前など我々完璧超人が相手をするまでもない小物。

 我らが手を下すまでもなく、人は人によって殺されるが良い」

 自分以上の傲慢さに怒りを覚えた信長は、ザ・マンに攻撃を仕掛ける。

「神とか閻魔とかは愚かしいな。

 いずれその方どもを上回る者とて現れように。

 いつまで左様な物言いをするか!」

 ザ・マンは一瞬寂しそうな目つきになる。

「グロロ……。

 神も閻魔も愚かしいか。

 それについてはお前に同意する。

 いつか我々を上回る者が現れる、私はそれを期待していた。

 その気概、惜しいな。

 だが、今のお前はただ地上に乱を起こす源となる存在だ!

 零の惨劇!!」

 

 ザ・マンに組みついた信長から、力が失われていく。

 悶絶の声を上げる信長。

 

「返して貰ったぞ、下等には身に余る力を。

 言ったであろう、お前如きとは戦いにすらならん、と。

 お前は元より人間。

 人間として生き、人間として死ぬが良い。

 お前はここで死んだ方が、世の人から讃えられるであろう」

 

 グロロ〜という声を残すと、超人閻魔と名乗った巨躯は、幻であったかのように本能寺の闇の中に消えていった。

 代わって、彼の元に急報が入る。

 

「本能寺が囲まれております。

 旗印は水色桔梗紋、明智日向守の軍勢です」

 

 信長は先程の巨躯が言った言葉を思い出して反復していた。

 

「お前は元より人間。

 人間として生き、人間として死ぬが良い」

 

 自分が人ならぬ、超人になってこの世の全てを手にしたいと思った報いかもしれない。

 そう思うと、織田信長は思わず笑ってしまった。

 超人化に手を貸していた明智光秀が敵に回ったという事は、どうやら人が超人になる事を許さぬ者に、まだまだ太刀打ち出来なかったのだ。

 だが、その足元にたどり着いたのは、自分と光秀だけであろう。

 やり残しは有るが、閻魔とやらまで引き摺り出したのは、満足がいく最期だろう。

 

「是非も無し」

 

 織田信長はそう呟くと、既に人間に戻されていた近習たちと共に戦い、燃える本能寺の中でその生涯を閉じた。

 

 

 

 それからしばらくして、明智光秀は中国地方から戻って来た羽柴秀吉に敗北。

 超人化計画も、その先にあり得た未来も知らない織田家重臣たちは、誰も光秀に味方をしなかった。

 落武者となった明智光秀は、小栗栖の藪の中に居た。

 彼にはまだ打開策がある。

 慎重さ故に、自らには施さなかった超人化。

 坂本城に戻ったら、琵琶湖を渡り、安土城に入って超人化すれば羽柴軍など簡単に勝てる。

 

「それは許されない思考だ。

 自分が織田信長を殺しておいて、それに気づかないのか?」

 

 そんな声が聞こえると共に、闇夜にも関わらず烏が大量に襲い掛かって来た。

 ただでさえ疲労の極みにある光秀。

 烏の猛攻に彼は姿勢を崩し、落馬する。

 老齢の彼は打撃に悶絶し、動く事が出来ない。

 その目には、ここを通る事が予め分かっていたかのように、準備万端な農民たちが迫って来るのが見えた。

 

「見たか、ネヴァーにモアよ。

 あれが人間では知者と呼ばれた男の末路だ。

 切羽詰まり、己が何故主君を討ったのか、その意味が分からなくなっていた。

 下等な人間が進化するには、まだ時間が掛かりそうだな」

 両肩に停まる烏に話し掛けるカラスマン。

「捌式(エイス)の方も仕事は終わっただろう。

 さあ、『聖なる完璧の山(モン・サン・パルフェ)』に戻ろうぞ」

 そう言いながらも、カラスマンは京都の地にえも言われぬ思いを感じていた。

 

(この地には、完璧壱式ゴールドマン、完璧弐式シルバーマンが、各々の主義で弟子を鍛えた場所が在った。

 気まぐれに訪れた時に出会った、遮那王とかいう人間を鍛えてやった事もある。

 あの時私は、カラス天狗と名乗っていたな。

 何かは分からんが、私ないずれまたこの地を訪れ、戦うような気がする)

 

 そして、シングマンも仕事を果たしていた。

 本能寺の変から山崎の戦いと、混乱する中で手薄になった安土城。

 そこに誰の目にも止まらぬまま侵入したシングマンは、かの超人化装置たる仏塔を見つけた。

「シングデモリッションウェーブ!

 マッ!!」

 明智光秀を不眠に追い込んだ音波攻撃だが、実際は物質を粉砕崩壊させるパワーを持つ。

 件の仏塔は、粉々に砕かれた。

「このような物があるから、下等が身に合わぬ夢を見るのだ。

 無理に進化をするな。

 そのままの自分である事も素晴らしいのだぞ、人間どもよ」

 そう独り言を吐くと、彼もまた「聖なる完璧の山(モン・サン・パルフェ)」に戻っていった。

 シングデモリッションウェーブの余波で城中の弾薬が爆発し、壮麗な安土城が焼け落ちてしまい、その時安土城に駆けつけていた信長次男の織田信雄のせいにされた事など、完璧超人には全く気にならぬ些事でしかなかった。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 話を聞き終えた一同は静まっている。

 まさか、人間の中に超人を含む世界を揺るがしかねない事を引き起こしかけた者が居たとは。

 ミートが沈黙を破る。

「完璧超人がスグル大王様を殺そうとした事。

 今なら理解出来るつもりです。

 争いしか望まぬ者に、過剰な力は不要。

 貴方たち完璧超人は、僕たち正義超人や悪魔超人だけでなく、人間だって信用出来なかったのですね。

 ですが、四百年以上前からそんな事が起こっていたなんて」

 

「うむ。

 だが、今の私ならやり過ぎだったとも思える。

 織田信長が超人になったのなら、我々の同胞として導いてやれば良かった。

 もちろん、人間界とは手を切って貰うが。

 だが……」

 

 ザ・マンはその先を敢えて言わない。

 彼には見えている。

 織田信長がやろうとした超人濫造。

 信長には分からないその悪影響が、世界を破滅させかねない事を。

 その者は、分かったいて敢えてしようとしている事を。

 その者の暗躍を許さぬ為に、一部の神々が暗躍を始めた事を。

 

(この者たちには、更に試練を与えてしまうな。

 だが、もう私は介入しない。

 それがこの者たちに将来を託した事なのだから)

 

 キン肉マンたちの戦いは続く。




この手の2次創作にありがちな
「これ、いつの話よ」
ってのは大目に見て下さい。
オメガ編終了後なのは確かですが、超神編、時間超人編の間隙のどこかの時間って事で。

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